ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

文字の大きさ
上 下
9 / 64
1章

7.おはよう

しおりを挟む
「嫌だ。お前と登校するくらいなら休む」
「ガーンッ・・・お義母さん。おはようございます」
「あら/////」

母さん!?頬を染めてる場合じゃないよ?
こいつ今、『お義母さん』って呼んだよ!?
僕はさらに家に引っ込もうとした。

「今日は理事長が来るから全校生徒参加の朝礼があるって言ってたじゃん。だから、瑠衣ちゃんも遅刻しないようにって呼びに来たんだよ」
「まぁまぁ、そうだったの?瑠衣ちゃん、海渡君がせっかく呼びに来てくれたんだから学校行きなさい」

うっ、

「海渡、先に行ってて」
「待ってるよ」
「先に行って」
「・・・待つ」
「じゃあ、僕は先行くから」

海渡は待つと言って、玄関にある椅子に座った。
その瞬間を見計らい僕は玄関を出た。

「えっ」

海渡が戸惑う声が聞こえた。

「あ、お義母さん。また午後訪ねますね。お邪魔しました」

そう言って深々と頭を下げる。
また海渡は良い子をやってるらしい。
そのうちに僕は学校を目指し走った。




と言うか、また午後来るんだ・・・。
嫌な予感がする。


「あっ!」

僕は寝不足なんだった。足がもつれ、倒れそうになる。
ただでさえ僕は運動が苦手だって言うのに!!
朝の6時は登校中の小学生やサラリーマンのお父さん方が歩いてるって言うのにここで転んだら・・・。
痛みと羞恥が襲う。
僕は目を閉じた。


「おっと。・・・大丈夫?瑠衣ちゃん」

ゆっくり目を開けると海渡の顔が近くにあった。

「やっぱ軽いね。へへ、あー捕まえた」

そう言って海渡は僕を担ぎ上げた。
突然、宙に浮いた感覚。
――助けてくれた?

「瑠衣ちゃん・・・俺から逃げたお仕置ね」

へ?

「ふっ・・・や、なに触って」
「ん?瑠衣ちゃんのお尻・・・がはっ」

制裁!!

僕はそのまま足を遠心力で跳ねあげ潰した。

「海渡。僕は言ったよ?まず第一に僕をちゃんづけしたら殺すって。あと、海渡の薬。使えないようにしようか?ってもう使えない?お大事に。・・・助けてくれたのは・・・ありがとう」

そう、僕は狙った。
海渡の股間を目掛けて遠心力によって振り下ろした足。
完全に潰しきったら僕が捕まっちゃうからなるべく力加減はした。
まだ、痛みから立ち上がれそうにない海渡をとりあえず『自業自得』と言うことで放置した。


学校遅れたらヤバイからねっ!!


人がめんどくさくていちいち『ちゃんづけで呼ぶな』って言わないのを良いことにここ最近会えば必ず瑠衣ちゃん!!
それにお仕置って言ってお尻触るとかありえないんだけど!!
なんか、ぞわぞわして気持ち悪いし。
へ、 変な感じてなんか・・・。
とにかく!!・・・意味分かんない。




そして学校に着いて。

「え、今日は朝礼じゃない?」

友達に聞くと違ったらしい。
海渡は嘘つきだ。

「これは・・・制裁を」

小さく呟いた僕の独り言。
死ぬ思いでようやく学校にたどり着いた海渡は朝から保健室行きになったらしい。
なんでも、校門前で飛びげりをくらったとかなんとか。(てへぺろ♪)









ーーーーーーーーーーーー


「ただいまー」
「おかえり~兄さん。おみやげは?」
「幸福堂のアイスクリーム饅頭」
「お兄~。大好きぃ~」
「兄さん!愛してる~」

そして僕は左右から抱きつかれる。
ヤバイ、まじかわいい僕の妹たち。

雫と静は双子。一卵性。
だから二人とも同じ顔で同じ身長。
中学2年の雫と静は午後4時には必ず帰宅してる。と言っても帰宅部だから早いんだけど。
だからよく『おみやげ』と称した貢ぎものを献上する。そうすれば、今日みたいに左右から『可愛い妹ぷれす』を受けられるから。
これはシスコンであって、変態ではない。

「あ、お兄にお客さん来てんよー。ふふっ、お義母さん・・・・・

なっ・・・。

僕は言葉を失った。
僕の天使が僕を変態という名の悪魔に差し出そうとしているっ!!
その変態の母親=お義母さん。

「兄さん?・・・こりゃ、諦めが肝心ねー」
「雫、静。おみやげはお預け」
「「えっ(はぁ!?)」」

僕を変態に差し出そうとする悪い子たちにはお預けです!!

僕は「お兄の意地悪!!大っ嫌い!!」とか「兄さん!見損なったぜ!!」とかグサグサと心を抉られつつリビングへ向かう。
・・・あとで夢見大福買ってこよう。




「ただいま帰りました。佐紀さん、お久しぶりです」
「ふわぁわわわっ!瑠衣ちゃん!!おかえり~。ごめんねぇ~急に」
「いえ」

リビングに入ると海渡のお母さん、沖江佐紀さんがソファに座っていて母さんとなにやら話し込んでいる様子だった。
一応、声をかけておかないとあとが怖い。そう判断した。

「瑠衣ちゃん・・・また、可愛くなっちゃって・・・」

・・・。

「いいですね~!瑛子さんは・・・いえ、義姉さんはこんなに可愛い子供たちに恵まれて~。ほんと、可愛い~」

きたーーー。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

異世界の『贄』として殺された僕がこの世界で生きるにはどうしたら良いのですか?

紡月しおん
BL
異世界『ユグドラシル』から贄として殺されたはずなのに何の因果か“この世界”に落とされた村人A・・・・・・ルウ。 何も知らない彼が“この世界”で出会う三人の騎士。 「俺に囲われてろ」 「僕なら、絶対君を幸せにする···!」 「俺じゃダメ?・・・ずっと一緒にいよ」 「えーと・・・どうしたら良いんでしょうか?」 ────────── ※思っていたより長くなりそうなので長編に変更しました。 すみませんm(。>__<。)m

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...