ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

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1章

5.出会い

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「瑠衣ちゃん、もうお外暗いし帰ろっか」
「ううん、るいちゃまだここいる」

お母さんは困ったように苦笑いしている。

「でもね、あんまりお外暗いとお化けさんが来ちゃうんだよ~?」
「・・・うん」

お化けと聞いて一瞬怯んだ。
――けど。

「も、ちょっとだけ。・・・だめ?」

最近覚えたおねだりはお母さんに効果は絶大だった。

「もうちょっとだけね」
「うん!!」

そう言って、僕は秘密基地に入る。
丸い球状の遊具。所々に穴が開いてて外の光が入る。中は砂場で球状の天井は色んな落書きでいっぱい。
そこにぽつんと座ってる子がいた。

「るいね。も、ちょっとだけ遊んでて良いって。だから、さびしくないよ?えっと・・・おなまえは?」

その子に話しかけると驚いたのか目を見開いたのがわかった。

「・・・かいと」
「かいとくんかぁ。いいおなまえだね!!」
「うん・・・。きみは?」
「るいはるいだよぉ。へへっ、かいとくんはなんしゃい?」

僕は5歳なのにまだ舌っ足らずでかいとくんに話しかける。

「5歳だよ。るいちゃんは?」
「おんなじー!!」

そして、きゃっきゃっと話してるうちにもっと暗くなった。
お母さんが「帰るよー」と言ってるのが分かった。
でも、かいとくんが寂しそうだったから。そのまま隠れたままでいた。


夜7時。
僕らは隠れたまま、寝てしまっていたらしい。
目が覚めて辺りが見えないほど暗いことが分かって不安になった。

「うぅ~。・・・おかぁしゃん?・・っふっ、かいとくん?」

思わず泣き出しそうになって横を見たらかいとくんが泣いていた。声も出さないでポロポロと泣いていた。

「え、かいとくん?・・・だいじょうぶ?」

かいとくんは頷くばかりで涙はポロポロとあふれでている。

「えっえ、るいちゃいるからだいじょうぶだよぉ~!!泣かないで~!きっとおかぁしゃん来てくれるよ!!」
「るいちゃん・・・うぅ~。ぼく、いやらいの?だかりゃままもぱぱもさがしにきてくれないの?」

かいとくんは目に涙をためて言った。

「そんなことないよ!るいはかいとくんがいてくれたらうれしいよ?だって、いまかいとくん、いなかったらるいだってさびしいもん・・・かいとくんがいるから・・・だいじょぶっておもえるし、るいがまもってあげりゅから・・・泣かないで」
「・・・うん。うっうぅ~」
「だいじょぶだから泣かないで~。るいいるよぉ~。ふえっうっうっうぅ~」

僕は耐えきれずに泣き出してしまった。
すると、そっと小さな手がほっぺに触れた。

「ごめんね・・・るいちゃん。・・・ぼくはもうだいじょぶ」

そう言って、にこっと笑ってかいとくんは頭を撫でてくれた。
ゆっくり、優しく。

「うん・・・だいじょぶなの。
るいだっておとこのこだもん!!」
「へ?
「瑠衣ちゃん!!海渡君!!どこにいるの~」

お母さんの声が聞こえた。

「おかぁしゃん!!かいとくん!!」
「ん、うんっ!!」

かいとくんは目をぱちぱちしてるけど僕は遊具の中からでてお母さんの元に向かった。

「おかぁしゃん!!ごめんなさいぃ~」
「分かってるわ。大丈夫。瑠衣ちゃんは海渡君と一緒に居てくれたんだものね。・・・海渡君は?」
「こっち!!」

お母さんの手を引いて遊具の前に連れていく。
お母さんは隣に居た綺麗なお姉さんと目をあわせて二人でついてきた。

「っ!!海渡!!」
「えっ・・・ままっ!!」
「海渡っ・・・ごめんね。まま、海渡に酷いこと言っちゃった・・・こんなままのこと嫌いだよね・・・ごめんね・・・ごめんねっ」
「かいと、るいちゃんがいてくれたからだいじょぶだったよ!!まま、かいともごめんなさい。ままのことだいすき!!」

二人は泣きながら抱き合ってた。
僕もつい泣きそうになったけどかいとくんに「だいじょうぶ」と「まもってあげる」って言ったから頑張って涙をこらえた。


帰りはみんなで手を繋いで帰った。
お母さんと僕とかいとくんとかいとくんのお母さん。
大きな満月が四人を照らしてた。





あとで聞いたらかいとくんはお勉強に疲れてお母さんとケンカしちゃったんだって。
それで公園までいったけど帰りづらくてあの遊具の中で遊んでたんだって言ってた。
それと、僕とかいとくんは親戚だった。
お母さんのお姉さんの恋人の妹さんがかいとくんのお母さん。
あんまり綺麗なお姉さんだったからおどろいちゃった。(かいとくんのお母さんにそれを言ったら頬擦りされて、いっぱいお菓子をくれた!)
しかもお父さんのお友だちがかいとくんのお父さんだったのと、お家が隣だった!!
これからはいっぱい遊ぼうねって約束した。

かいとくんは「うん!!・・・僕もるいちゃんをまもれるように頑張るね」って

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