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1章
3.隣の変態
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「あらあらあら~。海渡君じゃない~」
「よく来てくれたなぁ。ほら、早く入んなさい」
海渡の腹に一発入れたあと物音で一家総出でダイニングから顔を出した。
「いや、母さん。こいつもう帰るから・・・」
「そうですか?じゃあ、少しだけ」
僕が言い終える前に台詞を被せてきた。
こいつ、絶対帰る気ないな・・・?
「なんのお構いも出来ませんで・・・」
海渡はいやいやいやと手を振る。
「すみません...。お茶まで頂いてしまって」
「あら、いいのよ~。海渡君は未来の息子なんだからぁ~」
「ゴホッ、ゲホッゲホッ・・・母さん!!まだ僕は海渡と結婚するなんて言ってない!!」
「お兄、最近気管が弱なったんやないん?
・・・雫は心配やよ~」
「雫~?心配してくれるのかぁ~。ほんっと可愛いなぁ・・・じゃなくてっ!!・・・雫、ほんとは?」
「気管が弱なったんならキスのとき大変やなぁ~って思てなぁ。かい兄、肺活量良さそうやから」
「一応、6000あるよ。水泳のとき・・・長時間潜ってられるよう頑張ったんだー」
盛大な拍手とともに海渡を称賛する声が上がった。
「さすが、『海を渡る男』だなぁ!はっはっはっ」
笑えねぇー。
「なぁ、海渡?僕さプールに入ると必ず水着を盗られてたんだけど、しかも30分に一度プールの中で脱がされてた・・・知ってる?」
「あぁ、知ってる。しかも、いつも袋に入って瑠衣ちゃんの鞄の中に戻ってたってやつでしょ?瑠衣ちゃんずーっと言ってたもんね」
「海渡ー。僕、言ってないよ?袋に入ってたのを見せたことはあるけど鞄の中に戻ってたなんて一っ言も言ってないよ?」
「あれ?・・・そーだっけ?・・・まぁ、でも時効だよね!!」
そう言ってみんなして笑い出した。
「時効?・・・なぁにが時効だよ!!
あのとき恥ずかしくって恥ずかしくって・・・小学校の時から僕はプールに入れなかったんだぞ!?
そのせいもあって僕は男なのに全くの日焼けも知らない色白=病弱って思われてんだよ!!」
・・・。
「はっはっはっ」
「さすが、兄ぃ~www」
泣けてくる・・・。
「でも、だからこそ?・・・瑠衣ちゃんは可愛いよ。大丈夫!!俺が保証するし、お嫁に貰ったげるから」
「良かったじゃない~!!瑠衣ちゃん、可愛いからもうお嫁に出すんなら海渡君くらいじゃないと!!」
「母さん!?僕は男だよ!?」
「そんなのちょっとの差よ~」
ちょっとの差って!?
母さんはにこにこと言う。
「ちょっとの差ってなんだよ!!・・・・・・とにかく、僕は海渡と結婚なんてしない。普通に女性とお付き合いして、結婚する。だから、なんて言われたって海渡と結婚しない!!以上!!」
僕は足早に自分の部屋に駆け込んだ。
階段を上る僕の背に「え~」だとか「なんでー」とか声が上がるけどそれも無視。
「・・・・・・あんなやつと結婚なんて・・・今さら何いってんの?バカみたい」
僕の声は小さく消えた。
ーーーーーーーーーーーー
[海渡視点]
今、俺はある家の前に立ってる。
午後6時。
さすがにばからしいとは思われるかも知れないけど、ようやく俺達が結婚出来るようになったと知った昼下がり。
俺は学校を早退して母さんとともに白のスーツや大輪の赤いバラの花束や婚約指輪を買いに行った。(もちろん、自腹。親に払って貰うほど俺は貧しくないし、それに瑠衣ちゃんにあげる指輪はどーしても自分が稼いだお金で買いたかったし)
そして、今。
白のスーツを着て、髪は綺麗に整えた。左腕にバラの花束、ジャケットの右ポケットに10カラットダイヤの指輪。
「完璧でしょ」
目を閉じる。
思い出される日々の努力。5歳での初恋は俺を変えた。
小学生になった年。俺は父さんに頼んで色んな文書とか研究書類を整えてもらった。
さすがに小学生だ。読めない漢字がまず多い。
――漢検を取ろう。
漢検一級取得!!
そして、古文書まで行き着いたとき。
・・・何語?
大人ですら読めない。
――語学留学で解読しよう!
解読成功!!
さぁ、研究しよう!・・・と思ったら、専門の知識が無ければ実験することも開発することも出来ない。
――資格を取ろう!!
――あっ、数検も取っとこう。
――ついでに結婚したとき、料理作れなかったら大変だから、『国家栄養士』とか『調理師』とかの資格も取っちゃおう。
とまぁ、いろいろあって俺は研究を始めた。
これが中学2年の夏。
この頃には俺は父さんに会社を継ぐように言われ始めてたからめんどくさくて学校(瑠衣ちゃんに会える日!!)以外は基本的に研究室に籠ってた。
中学3年の冬には受験も控え、俺は人生で一番の危機を迎えた。
・・・だって瑠衣ちゃん教えてくんなかったんだもん!!志望校!!
だから中学のパソコン室から職員室のパソコンをハッキングしたり、聞き込み調査したり、担任を脅迫――。
まぁ、いろいろやった。
しかし。
瑠衣ちゃんの志望校はあの゙静華桜蘭高校゙と知った。私立でかなりの難関校。
スー○ーサイ○ジン状態だった俺にとってはそう難しくなかったけど。
「よく来てくれたなぁ。ほら、早く入んなさい」
海渡の腹に一発入れたあと物音で一家総出でダイニングから顔を出した。
「いや、母さん。こいつもう帰るから・・・」
「そうですか?じゃあ、少しだけ」
僕が言い終える前に台詞を被せてきた。
こいつ、絶対帰る気ないな・・・?
「なんのお構いも出来ませんで・・・」
海渡はいやいやいやと手を振る。
「すみません...。お茶まで頂いてしまって」
「あら、いいのよ~。海渡君は未来の息子なんだからぁ~」
「ゴホッ、ゲホッゲホッ・・・母さん!!まだ僕は海渡と結婚するなんて言ってない!!」
「お兄、最近気管が弱なったんやないん?
・・・雫は心配やよ~」
「雫~?心配してくれるのかぁ~。ほんっと可愛いなぁ・・・じゃなくてっ!!・・・雫、ほんとは?」
「気管が弱なったんならキスのとき大変やなぁ~って思てなぁ。かい兄、肺活量良さそうやから」
「一応、6000あるよ。水泳のとき・・・長時間潜ってられるよう頑張ったんだー」
盛大な拍手とともに海渡を称賛する声が上がった。
「さすが、『海を渡る男』だなぁ!はっはっはっ」
笑えねぇー。
「なぁ、海渡?僕さプールに入ると必ず水着を盗られてたんだけど、しかも30分に一度プールの中で脱がされてた・・・知ってる?」
「あぁ、知ってる。しかも、いつも袋に入って瑠衣ちゃんの鞄の中に戻ってたってやつでしょ?瑠衣ちゃんずーっと言ってたもんね」
「海渡ー。僕、言ってないよ?袋に入ってたのを見せたことはあるけど鞄の中に戻ってたなんて一っ言も言ってないよ?」
「あれ?・・・そーだっけ?・・・まぁ、でも時効だよね!!」
そう言ってみんなして笑い出した。
「時効?・・・なぁにが時効だよ!!
あのとき恥ずかしくって恥ずかしくって・・・小学校の時から僕はプールに入れなかったんだぞ!?
そのせいもあって僕は男なのに全くの日焼けも知らない色白=病弱って思われてんだよ!!」
・・・。
「はっはっはっ」
「さすが、兄ぃ~www」
泣けてくる・・・。
「でも、だからこそ?・・・瑠衣ちゃんは可愛いよ。大丈夫!!俺が保証するし、お嫁に貰ったげるから」
「良かったじゃない~!!瑠衣ちゃん、可愛いからもうお嫁に出すんなら海渡君くらいじゃないと!!」
「母さん!?僕は男だよ!?」
「そんなのちょっとの差よ~」
ちょっとの差って!?
母さんはにこにこと言う。
「ちょっとの差ってなんだよ!!・・・・・・とにかく、僕は海渡と結婚なんてしない。普通に女性とお付き合いして、結婚する。だから、なんて言われたって海渡と結婚しない!!以上!!」
僕は足早に自分の部屋に駆け込んだ。
階段を上る僕の背に「え~」だとか「なんでー」とか声が上がるけどそれも無視。
「・・・・・・あんなやつと結婚なんて・・・今さら何いってんの?バカみたい」
僕の声は小さく消えた。
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[海渡視点]
今、俺はある家の前に立ってる。
午後6時。
さすがにばからしいとは思われるかも知れないけど、ようやく俺達が結婚出来るようになったと知った昼下がり。
俺は学校を早退して母さんとともに白のスーツや大輪の赤いバラの花束や婚約指輪を買いに行った。(もちろん、自腹。親に払って貰うほど俺は貧しくないし、それに瑠衣ちゃんにあげる指輪はどーしても自分が稼いだお金で買いたかったし)
そして、今。
白のスーツを着て、髪は綺麗に整えた。左腕にバラの花束、ジャケットの右ポケットに10カラットダイヤの指輪。
「完璧でしょ」
目を閉じる。
思い出される日々の努力。5歳での初恋は俺を変えた。
小学生になった年。俺は父さんに頼んで色んな文書とか研究書類を整えてもらった。
さすがに小学生だ。読めない漢字がまず多い。
――漢検を取ろう。
漢検一級取得!!
そして、古文書まで行き着いたとき。
・・・何語?
大人ですら読めない。
――語学留学で解読しよう!
解読成功!!
さぁ、研究しよう!・・・と思ったら、専門の知識が無ければ実験することも開発することも出来ない。
――資格を取ろう!!
――あっ、数検も取っとこう。
――ついでに結婚したとき、料理作れなかったら大変だから、『国家栄養士』とか『調理師』とかの資格も取っちゃおう。
とまぁ、いろいろあって俺は研究を始めた。
これが中学2年の夏。
この頃には俺は父さんに会社を継ぐように言われ始めてたからめんどくさくて学校(瑠衣ちゃんに会える日!!)以外は基本的に研究室に籠ってた。
中学3年の冬には受験も控え、俺は人生で一番の危機を迎えた。
・・・だって瑠衣ちゃん教えてくんなかったんだもん!!志望校!!
だから中学のパソコン室から職員室のパソコンをハッキングしたり、聞き込み調査したり、担任を脅迫――。
まぁ、いろいろやった。
しかし。
瑠衣ちゃんの志望校はあの゙静華桜蘭高校゙と知った。私立でかなりの難関校。
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