83 / 86
本編
80.仕組まれた襲撃
しおりを挟む
ゴオゥゥッッ!!
という音と共に俺が保っていた火柱が消えた。
そして空中で真っ黒になった二つの影を腕一本で受け止めたのは──。
「············ど、して」
俺が見間違えるはずがない。
この世界に生まれて、16年生きて、その間ずっと見てきたその顔──。
入学式の日は俺の入学式が見たかったからって仕事を放っぽり出して···俺に連絡もせず内緒で家に帰ってきて···玄関開けたら直ぐに俺を抱きしめてくれた······。
鉛色の肌、母に何をされても笑って喜んでいたその表情には今は何も無い。上空から俺たちを見下ろして、俺や兄貴がいるのも見えているはずなのにその顔には何も映らない──。
「······と、うさ···?」
声が掠れて出ない。
「っ···おと···さ······ん···っ!」
出ろ、出てくれ···!!
なんで出ないんだよ······!!
父さんを止めないと行けないのに、
父さんにいっぱい聞きたいことがあるのに、
生きてたのかって、母さんは生きてるのかって!!
···視界が霞む、まだ目の前には敵がいて、父さんがいて、やらないといけないことがあるのに、まだ気を失うわけにはいかないのに······!!口の中に鉄の味が広がる。どんなに歯を食いしばって、唇を噛んでも何故か父さんが助けた小豆親子を睨むことしか出来なかった。
徐々に父さんが離れていく。
悔しい······せっかく父さんに会えたのに!
俺は最後の力を振り絞ってボロボロになった舞台を拳で叩いた。
「···律花」
どれくらい経ったのかは分からない。結局俺は意識は失わなかったものの、暫く心神喪失状態でいたらしい。気がついたら兄貴が肩を抱いてくれてた、一定の感覚で頭を撫でる指に嗚咽が漏れる。
「···くやしい」
「···そうだね」
小豆親子を逃がしたことも、父さんを引き止められなかったことも、俺の力じゃ適わなかったことも、守られてばっかだったことも···それに兄貴が何も教えてくれなかったことも。
兄貴はきっと知ってた。魔法式の核を破壊してるやつらのことも、それに魔人化し覚醒した人が関わっていたことも。
「律花、とりあえず移動しよう」
「燈夜も無理はするな。律花は任せろ」
先輩は俺を支えて立とうとした兄貴を遮った。
よく見ると兄貴の足元も覚束無い。
「律花も無理はするな、嫌だろうが少し我慢しろ」
そう言って先輩は俺の両足の裏に腕を通した。視線が上がる。驚いて先輩の首にしがみつくと、俺の体が安定するように抱え直す先輩。いつもならここで何か言うのに兄貴も黙っている。
···そりゃ当たり前だ。目の前に死んだはずの父親が激変した姿で現れたんだから。あれは父さんじゃないと信じたい。でも俺が今放てる最大の魔法を簡単にかき消すことが出来るのはそんなに多くないはずだ。···否定したい気持ちを実際に起こった現実が塗り替える。
目眩がする···やっぱり魔力を使いすぎたらしい。いくら魔力を循環させる機能があるとはいえ放出しすぎた。あの莫大な量の魔力を循環させたら俺はまだしも、周りに被害が出ると思い俺の作った魔道具は一時的に機能を停止させている。ただ今回は気を失うギリギリを意識してちゃんと耐えた。···俺だって成長してるんだから。
その後先輩に抱えられたまま、生徒会室に誘導されて会場で一部始終を見ていた生徒···霧ヶ谷さんを除いた俺たちが集められた。霧ヶ谷さんは被害のあった会場の武具準備室に私物の点検に行っている。教員、警備係担当は会議室で状況の説明と今後についての話し合いを行っているらしい。
「律花君、顔色が悪いようだ···応急処置だが失礼する」
生徒会室のふわふわなソファの上に降ろされた俺。そう言うと会長はすぐ横にきて俺の額に手をかざした。ぽわんと暖かい光に目眩で重くなった頭が軽くなった。
「私は回復魔法が少々扱えるのだが···律花君は特異体質だ、満星さんの所で改めて診てもらった方がいいだろう。成る可く話も早く終わらせよう」
会長の話の内容はこうだ。
まず今回の襲撃の件は会長自身が黙認していたこと···理由は小豆親子を誘き出し捕縛するためであったことだった。これは団吾を捕らえた後に兄貴と先輩が話をしていたから俺にも察しがついていた。
そして会場へ駆けつけるのが遅れた理由···それは小豆大福が会場へ向かう会長たちを妨害していたからだった。会場に併設されている武器などを置いておく、武具準備室から何かを持ち出す小豆大福を発見した生徒会室役員の面々が対応したが逃げられ、生徒会役員は多数が負傷。一般生徒、一般保護者まで巻き込まれそうになったことで会長はそっちの防護に追われていたということだ。
小豆親子の目的は兄貴の召喚魔法式核の破壊だったらしい。いや、正確には兄貴の持つ美園の守護獣ほ奪取。その理由は···父さんが現れたことで明確だろう。“元の場所に戻るだけ”、あの言葉が意味していたのは···元の主人である父さんに力の権限が移る。どういう仕組みになっているのかは分からないが、そういう意味だったんだろう。
何故フェスタを利用して小豆親子の捕縛を計画したのかについては、厳島領地の件もあって相手も警戒している所で下手に誘き出せば逃げられてしまう可能性が高かったこと。学園内、そしてフェスタの途中なら安心しているだろうと思わせて油断を誘えること。そして最大の要因は本気になった兄貴と先輩なら守護獣を召喚するだろう、そう相手に思わせていたこと。
俺が考えていた以上にあの名前のない組織について情報が集まっているようだ。犯行との関わりは分からないが学園の中にもその組織と関わりのあった生徒もいたらしい。だがあまり話を長引かせると俺の体調の方が心配だと会長が言い、ここで話は終わった。
兄貴の様子から父さんが魔人側についてたということは誰も分かっていなかったことなんだろう。会長もその件については改めて調べる必要があるということで保留になった。
楼透はこの後、禅羽さんと合流し無名の組織と関わりのあった生徒に聞き込みを行うらしい。千秋も会長の補佐に回るということで怪我人である俺たちが病院に向かう。馬車の用意や病院への連絡は先輩や会長が手続きしてくれたらしい。
「私も正直甘くみていた。小豆大福男爵が···いや、小豆大福があそこまで魔道具を保有しているとは思っていなかったからな。被害を抑えられなかったのは私の責任だ」
「煌紀だけの責任ではないだろ。お前は生徒会長と言えど生徒だ。お前が黙認していた、ということは理事長や情報漏洩リスクを避ける為に少数であれ教職員も知っていたはず···背負い込むな」
「ははっ、先輩はいつもそうだな。有難く心に留めるよ」
暫くして生徒会室のドアがノックされた。満星さんへ連絡がついたことと、病院経向かう為の馬車の用意が出来たらしい。ゆっくり立ち上がろうとしたが立ちくらみがしてふらついた体を先輩が受け止める。
「抱えるが我慢してくれ」
そう言って再び俺を抱えあげた。正直自分で歩いて馬車乗り場まで行く自信がなかったから助かった。それに先輩の腕はしっかり俺の体を支えてくれていて安定感がある。
···だから嫌ではないんだけど···。
嫌だろう、とか。我慢してくれ、とか。
···今まで好き勝手してきたくせに。
けど今は怒る気力も湧かないしそんなことで体力を消費したくない、それに···。場所を移動してからも一言も発さない兄貴、目が合いそうになっても逸らしてくる。いくら父さんが魔人になってて俺たちの敵になったかもしれないからって···俺だって辛いのにそんな態度を取られると傷つく。
「···オレの······オレの···ッッッ」
「霧、ヶ谷先輩······?」
生徒会室を出て馬車乗り場へ向かう渡り廊下で霧ヶ谷先輩を見かけたが何か様子がおかしい。両手を見つめて全身を小刻みに震えさせていた。
「オレの······オレの···姫が······!!」
···ヒメ?
あまりにもいつもと違う雰囲気に嫌なことを思い出した。
だが時期的にまだ···。
「おい、霧ヶ谷···」
「···あぁ?」
いやもうメインストーリー自体がイカれてんだ。時期とか関係ないんだろう。先輩と兄貴は多少動揺しているようだが俺には予想がついていた。そして対処法も分かっている。···こんな時にこんなことしたくないんだが。俺は先輩に一旦降ろすようにお願いし、まだ若干の目眩を残す足で霧ヶ谷先輩の前に向かった。
「霧ヶ谷先輩」
名前を呼ぶと確かにこちらを見る視線。
「大丈夫ですから」
そう言って霧ヶ谷先輩の頭を引き寄せると額を合わせ目を閉じた。あー、こんなスチルがあったなぁ···何度も見せられたなぁ···と思い出しつつ(勿論相手は主人公の千秋とである)目を開けるとポロポロと涙を零して泣いている霧ヶ谷先輩が。
「···先輩も不安だった、ですよね?俺も怖かったし」
そう言って苦笑いする。そしてこの行動の言い訳として、「不安と混乱でぐちゃぐちゃになってたら誰かにこうして貰えたら少しは安心するかなって」と返した。まさか、霧ヶ谷先輩のことが好きだからやったなんて俺の後ろに立ち尽くしてる美園律花ガチ恋勢達に思われたらあとが怖い。
未だしくしく泣いている霧ヶ谷先輩をなだめつつ、さっきからずっと何も言わない背後の気配たちを振り返りみると呆れた表情をしていた。
「タラシか···」
たらしてないってば。
「···オレの···オレが作った、人形···盗まれちゃった···」
落ちつき始めた霧ヶ谷さんはポツリとそう言った。
という音と共に俺が保っていた火柱が消えた。
そして空中で真っ黒になった二つの影を腕一本で受け止めたのは──。
「············ど、して」
俺が見間違えるはずがない。
この世界に生まれて、16年生きて、その間ずっと見てきたその顔──。
入学式の日は俺の入学式が見たかったからって仕事を放っぽり出して···俺に連絡もせず内緒で家に帰ってきて···玄関開けたら直ぐに俺を抱きしめてくれた······。
鉛色の肌、母に何をされても笑って喜んでいたその表情には今は何も無い。上空から俺たちを見下ろして、俺や兄貴がいるのも見えているはずなのにその顔には何も映らない──。
「······と、うさ···?」
声が掠れて出ない。
「っ···おと···さ······ん···っ!」
出ろ、出てくれ···!!
なんで出ないんだよ······!!
父さんを止めないと行けないのに、
父さんにいっぱい聞きたいことがあるのに、
生きてたのかって、母さんは生きてるのかって!!
···視界が霞む、まだ目の前には敵がいて、父さんがいて、やらないといけないことがあるのに、まだ気を失うわけにはいかないのに······!!口の中に鉄の味が広がる。どんなに歯を食いしばって、唇を噛んでも何故か父さんが助けた小豆親子を睨むことしか出来なかった。
徐々に父さんが離れていく。
悔しい······せっかく父さんに会えたのに!
俺は最後の力を振り絞ってボロボロになった舞台を拳で叩いた。
「···律花」
どれくらい経ったのかは分からない。結局俺は意識は失わなかったものの、暫く心神喪失状態でいたらしい。気がついたら兄貴が肩を抱いてくれてた、一定の感覚で頭を撫でる指に嗚咽が漏れる。
「···くやしい」
「···そうだね」
小豆親子を逃がしたことも、父さんを引き止められなかったことも、俺の力じゃ適わなかったことも、守られてばっかだったことも···それに兄貴が何も教えてくれなかったことも。
兄貴はきっと知ってた。魔法式の核を破壊してるやつらのことも、それに魔人化し覚醒した人が関わっていたことも。
「律花、とりあえず移動しよう」
「燈夜も無理はするな。律花は任せろ」
先輩は俺を支えて立とうとした兄貴を遮った。
よく見ると兄貴の足元も覚束無い。
「律花も無理はするな、嫌だろうが少し我慢しろ」
そう言って先輩は俺の両足の裏に腕を通した。視線が上がる。驚いて先輩の首にしがみつくと、俺の体が安定するように抱え直す先輩。いつもならここで何か言うのに兄貴も黙っている。
···そりゃ当たり前だ。目の前に死んだはずの父親が激変した姿で現れたんだから。あれは父さんじゃないと信じたい。でも俺が今放てる最大の魔法を簡単にかき消すことが出来るのはそんなに多くないはずだ。···否定したい気持ちを実際に起こった現実が塗り替える。
目眩がする···やっぱり魔力を使いすぎたらしい。いくら魔力を循環させる機能があるとはいえ放出しすぎた。あの莫大な量の魔力を循環させたら俺はまだしも、周りに被害が出ると思い俺の作った魔道具は一時的に機能を停止させている。ただ今回は気を失うギリギリを意識してちゃんと耐えた。···俺だって成長してるんだから。
その後先輩に抱えられたまま、生徒会室に誘導されて会場で一部始終を見ていた生徒···霧ヶ谷さんを除いた俺たちが集められた。霧ヶ谷さんは被害のあった会場の武具準備室に私物の点検に行っている。教員、警備係担当は会議室で状況の説明と今後についての話し合いを行っているらしい。
「律花君、顔色が悪いようだ···応急処置だが失礼する」
生徒会室のふわふわなソファの上に降ろされた俺。そう言うと会長はすぐ横にきて俺の額に手をかざした。ぽわんと暖かい光に目眩で重くなった頭が軽くなった。
「私は回復魔法が少々扱えるのだが···律花君は特異体質だ、満星さんの所で改めて診てもらった方がいいだろう。成る可く話も早く終わらせよう」
会長の話の内容はこうだ。
まず今回の襲撃の件は会長自身が黙認していたこと···理由は小豆親子を誘き出し捕縛するためであったことだった。これは団吾を捕らえた後に兄貴と先輩が話をしていたから俺にも察しがついていた。
そして会場へ駆けつけるのが遅れた理由···それは小豆大福が会場へ向かう会長たちを妨害していたからだった。会場に併設されている武器などを置いておく、武具準備室から何かを持ち出す小豆大福を発見した生徒会室役員の面々が対応したが逃げられ、生徒会役員は多数が負傷。一般生徒、一般保護者まで巻き込まれそうになったことで会長はそっちの防護に追われていたということだ。
小豆親子の目的は兄貴の召喚魔法式核の破壊だったらしい。いや、正確には兄貴の持つ美園の守護獣ほ奪取。その理由は···父さんが現れたことで明確だろう。“元の場所に戻るだけ”、あの言葉が意味していたのは···元の主人である父さんに力の権限が移る。どういう仕組みになっているのかは分からないが、そういう意味だったんだろう。
何故フェスタを利用して小豆親子の捕縛を計画したのかについては、厳島領地の件もあって相手も警戒している所で下手に誘き出せば逃げられてしまう可能性が高かったこと。学園内、そしてフェスタの途中なら安心しているだろうと思わせて油断を誘えること。そして最大の要因は本気になった兄貴と先輩なら守護獣を召喚するだろう、そう相手に思わせていたこと。
俺が考えていた以上にあの名前のない組織について情報が集まっているようだ。犯行との関わりは分からないが学園の中にもその組織と関わりのあった生徒もいたらしい。だがあまり話を長引かせると俺の体調の方が心配だと会長が言い、ここで話は終わった。
兄貴の様子から父さんが魔人側についてたということは誰も分かっていなかったことなんだろう。会長もその件については改めて調べる必要があるということで保留になった。
楼透はこの後、禅羽さんと合流し無名の組織と関わりのあった生徒に聞き込みを行うらしい。千秋も会長の補佐に回るということで怪我人である俺たちが病院に向かう。馬車の用意や病院への連絡は先輩や会長が手続きしてくれたらしい。
「私も正直甘くみていた。小豆大福男爵が···いや、小豆大福があそこまで魔道具を保有しているとは思っていなかったからな。被害を抑えられなかったのは私の責任だ」
「煌紀だけの責任ではないだろ。お前は生徒会長と言えど生徒だ。お前が黙認していた、ということは理事長や情報漏洩リスクを避ける為に少数であれ教職員も知っていたはず···背負い込むな」
「ははっ、先輩はいつもそうだな。有難く心に留めるよ」
暫くして生徒会室のドアがノックされた。満星さんへ連絡がついたことと、病院経向かう為の馬車の用意が出来たらしい。ゆっくり立ち上がろうとしたが立ちくらみがしてふらついた体を先輩が受け止める。
「抱えるが我慢してくれ」
そう言って再び俺を抱えあげた。正直自分で歩いて馬車乗り場まで行く自信がなかったから助かった。それに先輩の腕はしっかり俺の体を支えてくれていて安定感がある。
···だから嫌ではないんだけど···。
嫌だろう、とか。我慢してくれ、とか。
···今まで好き勝手してきたくせに。
けど今は怒る気力も湧かないしそんなことで体力を消費したくない、それに···。場所を移動してからも一言も発さない兄貴、目が合いそうになっても逸らしてくる。いくら父さんが魔人になってて俺たちの敵になったかもしれないからって···俺だって辛いのにそんな態度を取られると傷つく。
「···オレの······オレの···ッッッ」
「霧、ヶ谷先輩······?」
生徒会室を出て馬車乗り場へ向かう渡り廊下で霧ヶ谷先輩を見かけたが何か様子がおかしい。両手を見つめて全身を小刻みに震えさせていた。
「オレの······オレの···姫が······!!」
···ヒメ?
あまりにもいつもと違う雰囲気に嫌なことを思い出した。
だが時期的にまだ···。
「おい、霧ヶ谷···」
「···あぁ?」
いやもうメインストーリー自体がイカれてんだ。時期とか関係ないんだろう。先輩と兄貴は多少動揺しているようだが俺には予想がついていた。そして対処法も分かっている。···こんな時にこんなことしたくないんだが。俺は先輩に一旦降ろすようにお願いし、まだ若干の目眩を残す足で霧ヶ谷先輩の前に向かった。
「霧ヶ谷先輩」
名前を呼ぶと確かにこちらを見る視線。
「大丈夫ですから」
そう言って霧ヶ谷先輩の頭を引き寄せると額を合わせ目を閉じた。あー、こんなスチルがあったなぁ···何度も見せられたなぁ···と思い出しつつ(勿論相手は主人公の千秋とである)目を開けるとポロポロと涙を零して泣いている霧ヶ谷先輩が。
「···先輩も不安だった、ですよね?俺も怖かったし」
そう言って苦笑いする。そしてこの行動の言い訳として、「不安と混乱でぐちゃぐちゃになってたら誰かにこうして貰えたら少しは安心するかなって」と返した。まさか、霧ヶ谷先輩のことが好きだからやったなんて俺の後ろに立ち尽くしてる美園律花ガチ恋勢達に思われたらあとが怖い。
未だしくしく泣いている霧ヶ谷先輩をなだめつつ、さっきからずっと何も言わない背後の気配たちを振り返りみると呆れた表情をしていた。
「タラシか···」
たらしてないってば。
「···オレの···オレが作った、人形···盗まれちゃった···」
落ちつき始めた霧ヶ谷さんはポツリとそう言った。
13
お気に入りに追加
3,114
あなたにおすすめの小説
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
王弟様の溺愛が重すぎるんですが、未来では捨てられるらしい
めがねあざらし
BL
王国の誇りとされる王弟レオナード・グレイシアは優れた軍事司令官であり、その威厳ある姿から臣下の誰もが畏敬の念を抱いていた。
しかし、そんな彼が唯一心を許し、深い愛情を注ぐ相手が王宮文官を務めるエリアス・フィンレイだった。地位も立場も異なる二人だったが、レオは執拗なまでに「お前は私のものだ」と愛を囁く。
だが、ある日エリアスは親友の内査官カーティスから奇妙な言葉を告げられる。「近く“御子”が現れる。そしてレオナード様はその御子を愛しお前は捨てられる」と。
レオナードの変わらぬ愛を信じたいと願うエリアスだったが、心の奥底には不安が拭えない。
そしてついに、辺境の村で御子が発見されたとの報せが王宮に届いたのだった──。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる