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本編
46.記憶
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「···分かりました、少しだけ話しましょうか」
そう答えた楼透は空を彷徨っていた黒い手の一つに軽く触れた。
それと同時に俺の身体を這いずり回っていた手の力が緩む。
「方法、あったんじゃねぇか」
「勘違いしないで下さい。これは気休めでしかありませんよ。·······コレはもう分かってるんです、私たちには今の状況を看破出来るほどの力が無いと。
「······今は私の意識があるのでこれを抑制出来ていますが、そのうち完全に呪いに呑み込まれてしまえば私は律花様を殺してしまうでしょう·······私が無力で不甲斐ないばかりに──」
どうやら一瞬でも小屋の外に出ようと抵抗すればさっきみたいに俺を拘束して今度は俺たちが死ぬまで離さないと言う。逃げようとしても捕まって死んで、楼透の意識が無くなれば我を忘れた楼透に殺されるなんて······確かにそれじゃ俺にはどうにも出来ないな。
指先を宙で彷徨せながら楼透は目を伏せる。乱れた着物の襟から覗く何かを封じるかのような痛々しい鎖の痣は所々薄れ、壊れかけているようにも見えた。そんな俺達を嘲笑うように天井でペラペラと揺れる黒い手。
本当にもう手遅れなのか?
そうは思いたくないが一向に打開策は思い浮かばない。今は少しでも時間を稼ごう···きっと時間が経っても俺が帰ってこなければ禅羽さんが異変に気づいてくれるはずだ。
「そうですね·······もう全てを話している時間もありませんから」
楼透は少し考えるようか素振りをしてから再び指先を黒い手の一つに触れた。触れられた黒い手がブルルと微かに震えるとそれに共鳴するように周りの黒い手も震え出す。
そして全ての黒い手が振動を始めると、俺を囲ってたものも含め全ての手が一箇所で丸まったり、塊になったかと思えば広がって視界全体···つまりは小屋の内部を一面真っ黒に埋め尽くしたりと優柔不断に動き始めた。
「実際に見て頂いた方が早いでしょうね」
解釈はお任せします、と楼透はそう言いながら親指と人差し指で捏ねるような仕草をした後にパチンッと指を鳴らした。その音を合図にしたように塊となった闇が俺を包む。恐怖で思わず目を閉じ息を止めるがさっきまでとは裏腹に不思議と不快じゃなくて恐る恐る目を開けた。
「──っ!!」
闇の中にシャボン玉のような透明な球体が沢山浮かんでいてそれに何かが映っている······これは楼透の記憶なのか?このサラサラとした深い紺色の髪はまさに楼透の物······。ん?これは美園の家に来たばかりの頃じゃないか?俺の記憶にもある楼透の姿。宙にふわふわ浮かんでいる球体は俺の周りをくるくると回りながら俺の傍で弾けていく···と同時に俺の脳内に映像が入り込んできた。
入り込んでくる度に頭がぐるぐるする······。
痛みは無いが目眩に似た感覚、そして意識はここにあるのに何故か視界だけその球体に映る光景を見ているようで気持ちが悪くなってくる。これが楼透の記憶なのか·······?見えている映像は全て俺だった。全ての記憶の中に俺の姿がある。
そして時間を遡るかのように記憶の中の俺は幼くなっていった。
記憶と言うのは、普通はずっと前の記憶ほど景色の色が色褪せ消えていくはずなのに楼透の記憶は相反して鮮明になっていく。······あの日、俺がこの世界が『アカソマ』の世界だと知って楼透や千秋から逃げたあの日の記憶から色はより鮮明になっていた。
······つまりはあの日から楼透の視界から色が消えていたという事。
楼透の見えていたものが色を失っていた。
それが俺が楼透を傷つけたと言う証拠で、どれだけ楼透が俺に好意を持ってくれていたのか、俺が楼透を避け始めてどれだけ辛かったか思い知らされるようだ·······。
それだけでも辛いのに·······。
見せられた記憶はそれだけじゃなくて──。
全ての球体が消えた後、俺を取り囲んでいた暗い闇は発散し深く濃い霧状になって辺りを揺蕩っている。その奥で小屋の内部を微かに照らす僅かな蝋燭の光に触れて怪しげに反射する楼透の瞳が見えた·······。俺は何も言えずに拳を強く握るだけ、見つめ返すも俺の知らない楼透を見せられて、何と声を掛ければいいのか言葉が見つからない。俺は楼透の事を何も知らなかったんだって思い知らされたようだった·······。
「そんな顔······しないで下さい」
「今では蓮家最弱と呼びれている私ですが、僅か二歳にして蓮の術を粗方習得しましたし、三歳にして事情を知らない者達からは天才と謳われていた時期もありました······」
楼透はそう言って笑う。
俺はそれを黙って聞いていた。
「ある時、父、母、兄達、分家の各代表がお爺様に招集されました。勿論私もその場にいましたがそこで私の呪いの成就について知らされました······。勿論律花様もご存知でいらっしゃると思いますが、呪いと言うのは発動の“鍵”となるものを糧に自身に力を与えると共に対価を要求してくる──しかしこの蓮家の呪いは対価が前払いと言う点で少し特殊なのですよ」
「······ここ数百年の間、この力を発現から成就させた者はいませんでしたからその力を恐れた蓮家はこの呪いを封印する為の儀式を決行しました。それが私が四つの時、美園家に送られる一年程前の話です」
それから楼透の口から語られた儀式の内容は俺が夢で見たあの悍ましい光景と類似······いや酷似していた。多分、俺が見たあの夢は封印の儀式の一部だったんじゃないかと思う。
······そうか、あの夢は楼透の力を制限する為の儀式だったのか。楼透の首筋にある痣を見てから予想はしていたとは言え、そう思えば納得が行く。何故俺がその光景を夢に見たのかは分からないが。
「発現は呪いの継承者の記憶を継承し、呪いの力を知り司る者と対話出来る事、成就は呪いの進行に伴って司る者と意思疎通を交わし同調することで力の行使が出来る事、その後司る者の力を完全に吸収し制御出来るようになる事を同化と言います。······私は発現が早かった分成就も早く、呪いを制御出来るように同化の修行も行いましたが完全なる同化は望めませんでした。
「そればかりか私には彼の──司る者の姿を見ることが出来なくなってしまって······中途半端な成就しか見込めなかった、それ故に同化の前段階である同調さえも上手く出来なくて······」
「一族から見放されても仕方の無いことだと言えますね、律花様は勘違いなさっているようですが。これは呪いを継いだ者の宿命と言えます。······いつかはこんな日が来ると知っていましたし」
楼透の言葉に一瞬背中にぞわりと寒気が走った。
何故なら俺には理解出来たから、見てしまったから。
楼透だけじゃない、誰かの······複数人の様々な記憶。
ほんの少しだけだけど確かに見えた。そこから感じたことは蓮家の呪いは継承されている、という事。生まれた時から死ぬその瞬間まで、歩んだ人生は違えど始まりと終わりは全て同じ·······。
そして継承され、発現から成就までした人の末路は·······。
···お前は何でそんなに冷静でいられるんだ?
知っていたって何故そこまで諦められる?
そんな楼透の素っ気ない態度に驚愕や恐怖よりも怒りが沸いてきた。呪いを恐れるばかりに、周囲の人から忌避されて最後には一人で死ぬなんて······辛すぎる。それを見せられたんだ·······楼透を殺すのも二人で無理心中もどっちも嫌だけど、楼透を一人で死なせるのだって、呪いを解くのを諦めるのだって出来るわけない。
「······お前の話だと同化出来れば何とかなるって事だろ?」
「理屈では」
「じゃあ──」
「出来ませんよ」
間髪入れずに楼透はそう言う。
暗い目で俺を見つめて、不気味に微笑む。
「もう時間です」
その声を待っていましたとばかりにぶわりと増殖する黒い手が再び小屋の中を埋めつくし始めた。楼透の表情もまた苦痛に歪み始める。
何か方法は無いのか······?本当に、何も?
「······俺が律花様を好きにならなければ良かった、綺麗な貴方に触れようとしなければ、そうすれば貴方をこうやって傷つけなくて済んだのに──」
ポロリ······楼透の悔しさに細められた瞳から一粒涙が落ちた。······楼透が泣くなんて···俺にこんな弱気な姿を見せる事なんて無かったのに。
···でも、そうだよな。いくら過去の継承者達の人生を見てきたとしても大人びてるとは言え楼透はまだ十四歳なんだ。楼透が何を思っているのかは分からないが、俺が中学三年生の頃だって将来なんて考えたこと無かった。やりたい事もまだ見つからなかった頃だ。
「······楼透」
「封印が解け始めたのを感じたのは二、三ヶ月程前です。徐々に魔力のコントロールが難しくなって行きました。一度、蓮家に戻ろうと旦那様や奥様にも既にお伝え済みで······あの日、律花様を穢してしまったあの日が最後の務めと予定していました」
「···は?」
「天井裏から厳島龍玄と霧ヶ谷陽星の二名が律花様に触れた時点で、何故か封印が解けてしまった···困惑しつつ呪縛に囚われた私は気づけば貴方を穢し──貴方の心に深い傷を負わせてしまった······」
「ちょっと待て、最後って···」
「·······最初からその契約だったんです。私の呪いが制御出来なくなった時点で律花様の従者を辞めると。···律花様の従者選定の場で私は候補外だったのですが屋敷内で偶然にも私の姿を見た旦那様と奥様がお爺様にご相談なさって決まった事です。何故私に声が掛かったのかは教えて下さらなくて、理由は今となっては分かりませんが······」
は?
楼透の話が頭に入ってこなくなる。
···父さんと母さんには相談してたって······俺には言わなかったのにか···?
「俺は、、もう貴方の傍に居たくなかった···」
「···は?」
「律花様の事が好きだったんです。だからこんな気持ちを抱く俺も、俺にこんな感情を教えた貴方の事も、大嫌いでした」
「私が貴方の従者だから······!!」
そう答えた楼透は空を彷徨っていた黒い手の一つに軽く触れた。
それと同時に俺の身体を這いずり回っていた手の力が緩む。
「方法、あったんじゃねぇか」
「勘違いしないで下さい。これは気休めでしかありませんよ。·······コレはもう分かってるんです、私たちには今の状況を看破出来るほどの力が無いと。
「······今は私の意識があるのでこれを抑制出来ていますが、そのうち完全に呪いに呑み込まれてしまえば私は律花様を殺してしまうでしょう·······私が無力で不甲斐ないばかりに──」
どうやら一瞬でも小屋の外に出ようと抵抗すればさっきみたいに俺を拘束して今度は俺たちが死ぬまで離さないと言う。逃げようとしても捕まって死んで、楼透の意識が無くなれば我を忘れた楼透に殺されるなんて······確かにそれじゃ俺にはどうにも出来ないな。
指先を宙で彷徨せながら楼透は目を伏せる。乱れた着物の襟から覗く何かを封じるかのような痛々しい鎖の痣は所々薄れ、壊れかけているようにも見えた。そんな俺達を嘲笑うように天井でペラペラと揺れる黒い手。
本当にもう手遅れなのか?
そうは思いたくないが一向に打開策は思い浮かばない。今は少しでも時間を稼ごう···きっと時間が経っても俺が帰ってこなければ禅羽さんが異変に気づいてくれるはずだ。
「そうですね·······もう全てを話している時間もありませんから」
楼透は少し考えるようか素振りをしてから再び指先を黒い手の一つに触れた。触れられた黒い手がブルルと微かに震えるとそれに共鳴するように周りの黒い手も震え出す。
そして全ての黒い手が振動を始めると、俺を囲ってたものも含め全ての手が一箇所で丸まったり、塊になったかと思えば広がって視界全体···つまりは小屋の内部を一面真っ黒に埋め尽くしたりと優柔不断に動き始めた。
「実際に見て頂いた方が早いでしょうね」
解釈はお任せします、と楼透はそう言いながら親指と人差し指で捏ねるような仕草をした後にパチンッと指を鳴らした。その音を合図にしたように塊となった闇が俺を包む。恐怖で思わず目を閉じ息を止めるがさっきまでとは裏腹に不思議と不快じゃなくて恐る恐る目を開けた。
「──っ!!」
闇の中にシャボン玉のような透明な球体が沢山浮かんでいてそれに何かが映っている······これは楼透の記憶なのか?このサラサラとした深い紺色の髪はまさに楼透の物······。ん?これは美園の家に来たばかりの頃じゃないか?俺の記憶にもある楼透の姿。宙にふわふわ浮かんでいる球体は俺の周りをくるくると回りながら俺の傍で弾けていく···と同時に俺の脳内に映像が入り込んできた。
入り込んでくる度に頭がぐるぐるする······。
痛みは無いが目眩に似た感覚、そして意識はここにあるのに何故か視界だけその球体に映る光景を見ているようで気持ちが悪くなってくる。これが楼透の記憶なのか·······?見えている映像は全て俺だった。全ての記憶の中に俺の姿がある。
そして時間を遡るかのように記憶の中の俺は幼くなっていった。
記憶と言うのは、普通はずっと前の記憶ほど景色の色が色褪せ消えていくはずなのに楼透の記憶は相反して鮮明になっていく。······あの日、俺がこの世界が『アカソマ』の世界だと知って楼透や千秋から逃げたあの日の記憶から色はより鮮明になっていた。
······つまりはあの日から楼透の視界から色が消えていたという事。
楼透の見えていたものが色を失っていた。
それが俺が楼透を傷つけたと言う証拠で、どれだけ楼透が俺に好意を持ってくれていたのか、俺が楼透を避け始めてどれだけ辛かったか思い知らされるようだ·······。
それだけでも辛いのに·······。
見せられた記憶はそれだけじゃなくて──。
全ての球体が消えた後、俺を取り囲んでいた暗い闇は発散し深く濃い霧状になって辺りを揺蕩っている。その奥で小屋の内部を微かに照らす僅かな蝋燭の光に触れて怪しげに反射する楼透の瞳が見えた·······。俺は何も言えずに拳を強く握るだけ、見つめ返すも俺の知らない楼透を見せられて、何と声を掛ければいいのか言葉が見つからない。俺は楼透の事を何も知らなかったんだって思い知らされたようだった·······。
「そんな顔······しないで下さい」
「今では蓮家最弱と呼びれている私ですが、僅か二歳にして蓮の術を粗方習得しましたし、三歳にして事情を知らない者達からは天才と謳われていた時期もありました······」
楼透はそう言って笑う。
俺はそれを黙って聞いていた。
「ある時、父、母、兄達、分家の各代表がお爺様に招集されました。勿論私もその場にいましたがそこで私の呪いの成就について知らされました······。勿論律花様もご存知でいらっしゃると思いますが、呪いと言うのは発動の“鍵”となるものを糧に自身に力を与えると共に対価を要求してくる──しかしこの蓮家の呪いは対価が前払いと言う点で少し特殊なのですよ」
「······ここ数百年の間、この力を発現から成就させた者はいませんでしたからその力を恐れた蓮家はこの呪いを封印する為の儀式を決行しました。それが私が四つの時、美園家に送られる一年程前の話です」
それから楼透の口から語られた儀式の内容は俺が夢で見たあの悍ましい光景と類似······いや酷似していた。多分、俺が見たあの夢は封印の儀式の一部だったんじゃないかと思う。
······そうか、あの夢は楼透の力を制限する為の儀式だったのか。楼透の首筋にある痣を見てから予想はしていたとは言え、そう思えば納得が行く。何故俺がその光景を夢に見たのかは分からないが。
「発現は呪いの継承者の記憶を継承し、呪いの力を知り司る者と対話出来る事、成就は呪いの進行に伴って司る者と意思疎通を交わし同調することで力の行使が出来る事、その後司る者の力を完全に吸収し制御出来るようになる事を同化と言います。······私は発現が早かった分成就も早く、呪いを制御出来るように同化の修行も行いましたが完全なる同化は望めませんでした。
「そればかりか私には彼の──司る者の姿を見ることが出来なくなってしまって······中途半端な成就しか見込めなかった、それ故に同化の前段階である同調さえも上手く出来なくて······」
「一族から見放されても仕方の無いことだと言えますね、律花様は勘違いなさっているようですが。これは呪いを継いだ者の宿命と言えます。······いつかはこんな日が来ると知っていましたし」
楼透の言葉に一瞬背中にぞわりと寒気が走った。
何故なら俺には理解出来たから、見てしまったから。
楼透だけじゃない、誰かの······複数人の様々な記憶。
ほんの少しだけだけど確かに見えた。そこから感じたことは蓮家の呪いは継承されている、という事。生まれた時から死ぬその瞬間まで、歩んだ人生は違えど始まりと終わりは全て同じ·······。
そして継承され、発現から成就までした人の末路は·······。
···お前は何でそんなに冷静でいられるんだ?
知っていたって何故そこまで諦められる?
そんな楼透の素っ気ない態度に驚愕や恐怖よりも怒りが沸いてきた。呪いを恐れるばかりに、周囲の人から忌避されて最後には一人で死ぬなんて······辛すぎる。それを見せられたんだ·······楼透を殺すのも二人で無理心中もどっちも嫌だけど、楼透を一人で死なせるのだって、呪いを解くのを諦めるのだって出来るわけない。
「······お前の話だと同化出来れば何とかなるって事だろ?」
「理屈では」
「じゃあ──」
「出来ませんよ」
間髪入れずに楼透はそう言う。
暗い目で俺を見つめて、不気味に微笑む。
「もう時間です」
その声を待っていましたとばかりにぶわりと増殖する黒い手が再び小屋の中を埋めつくし始めた。楼透の表情もまた苦痛に歪み始める。
何か方法は無いのか······?本当に、何も?
「······俺が律花様を好きにならなければ良かった、綺麗な貴方に触れようとしなければ、そうすれば貴方をこうやって傷つけなくて済んだのに──」
ポロリ······楼透の悔しさに細められた瞳から一粒涙が落ちた。······楼透が泣くなんて···俺にこんな弱気な姿を見せる事なんて無かったのに。
···でも、そうだよな。いくら過去の継承者達の人生を見てきたとしても大人びてるとは言え楼透はまだ十四歳なんだ。楼透が何を思っているのかは分からないが、俺が中学三年生の頃だって将来なんて考えたこと無かった。やりたい事もまだ見つからなかった頃だ。
「······楼透」
「封印が解け始めたのを感じたのは二、三ヶ月程前です。徐々に魔力のコントロールが難しくなって行きました。一度、蓮家に戻ろうと旦那様や奥様にも既にお伝え済みで······あの日、律花様を穢してしまったあの日が最後の務めと予定していました」
「···は?」
「天井裏から厳島龍玄と霧ヶ谷陽星の二名が律花様に触れた時点で、何故か封印が解けてしまった···困惑しつつ呪縛に囚われた私は気づけば貴方を穢し──貴方の心に深い傷を負わせてしまった······」
「ちょっと待て、最後って···」
「·······最初からその契約だったんです。私の呪いが制御出来なくなった時点で律花様の従者を辞めると。···律花様の従者選定の場で私は候補外だったのですが屋敷内で偶然にも私の姿を見た旦那様と奥様がお爺様にご相談なさって決まった事です。何故私に声が掛かったのかは教えて下さらなくて、理由は今となっては分かりませんが······」
は?
楼透の話が頭に入ってこなくなる。
···父さんと母さんには相談してたって······俺には言わなかったのにか···?
「俺は、、もう貴方の傍に居たくなかった···」
「···は?」
「律花様の事が好きだったんです。だからこんな気持ちを抱く俺も、俺にこんな感情を教えた貴方の事も、大嫌いでした」
「私が貴方の従者だから······!!」
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