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二章
【視点】黒川 楽①
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「楽、おはよう」
「······おはようございます」
「今日もいい天気だね」
朝起きて、部屋を出たら親父と目が合ってしまった。
この親父は何を言ってんだ?曇天じゃねーか。
「そう······すか?」
「あはは。そこは曇ってるよって突っ込んでくれないと」
「···はぁ」
「ねぇ、楽」
「···はい?」
「まだルウ君の後見人、決まってないなら私が立候補してもいいかな?というか海月様とか小鳥遊のご先代様とかもう既に立候補いちゃったりする?ルウ君可愛いからなぁ」
相談しようと思ってたら先に言われた。
······アポ取って俺らで説得とか、考えてた訳だが···。
「ねぇ、楽聞いてるかい?」
そんな気なんて知らない親父はねぇねぇと俺の周りをぐるぐるしてる。親父は人懐っこいんだか、何考えてんのか分かんね。俺を引き取る時もこんな感じだったな···。
「聞いてます、後見人を俺からもお願いしたくて、アポとるつもりでした。すみません」
「あはは。いいよいいよ。昨日は忙しかったしねぇ···うちもそこまで明るいお家じゃないけど楽のお嫁さんなんだ。後見出来て嬉しいよ。じゃ、書類書いておくから流君たちに宜しくね」
「分かりました。ありがとうございます。連絡しておきます」
まぁ、結果オーライってとこか。
俺からお願いなんて今更過ぎてアイツの為だって分かってたけど、親父になんて切り出すか正直ビビってた。
「あぁ、そうだ。そろそろ柊も起きるだろうから、声掛けお願い出来るかい?あの子は朝弱いからねぇ。何回か声掛けて起きなかったら、いつものね」
それじゃ、先に行ってるから宜しくね。
と親父は言い残し、スキップして食堂に向かっていった。
······またかよ。
俺は軽く頭を下げてから兄ー黒川 柊の部屋に向かった。
俺には兄がいる。と言っても勿論血は繋がってない。
俺は養子だ。だから勿論親父とも兄とも血が繋がっていない。
俺がこの家に迎えられたのも兄が原因だった。
俺がこの家に来たのは8歳の時だった。
世話になってた孤児院に、親父が慰問に来てくれた時に声をかけられた。まぁ同じような匂いがしたのかもしれない。本を読んでればひょっこり現れ、庭でサッカーしてればゴールキーパーとしてちゃっかり参加してたし、親父は昔から変わんねえ。俺はそんな親父が苦手で···まぁそんなことより。
俺が養子として迎えられたのは俺が継ぐか、兄が諦めて結婚して子供をつくるかで親父なりに兄への思いやりだったのかもしれない。
兄は病弱で昔から外にも出れず、ずっと家の中で過ごしていたらしい。それが“例の計画”が実行されることで自ら志願したと聞いた。自分はいつまで生きられるか分からないから、今、やりたい事をやってみたい···そう親父を説得したと聞いた。それがほんの2年前、兄が19の時だったと思う。
まぁ、あっちから来れてこっちから行けないなんてことは無いだろうとは思っていたがまさか本当にあの兄が任命されるとは俺も思ってなかった。
が、兄は結局3ヶ月ほど前に帰ってきた。
記憶を失って。
向こうで何があったのかは分からない。まぁ、危険が伴う任務であることは理解していたし、親父も兄が帰ってきたと言うのを聞いても冷静だった。
そんで今、帰ってきているのだが······。
「···兄さん。楽です」
数回部屋のドアをノックして声を掛ける。
······やっぱり反応ねぇな。
「兄さん。起きてください。···入りますよ」
正直、入りたくない。
出来ることなら、ここで引き返して俺も朝飯食いたい。
一応、もう一回ノックしておく。···やはり反応なし。
「············入ります」
うげ······。やっぱり···か。
部屋に入るとそこはー汚部屋だったーとかでなく、普通に兄の部屋······なのだが。俺の兄···義兄は普通ではない。ピンクピンクピンクピンクピンク······そして以下にもメルヘンチックな部屋の内装だ。その部屋の天蓋付きの淡いピンクのベッドの上で兄はぬいぐるみに埋もれて寝ていた。
白銀の髪が印象的だ。目尻の赤い文様は彼の真の姿が“妖狐”であるからに他ならない。記憶を失って帰ってきたことで普通なら誰でも出来る“完全な獣化”が出来なくなっているからなのか、常に白銀の耳と九尾に分かれた尾が出っぱなしだ。
「·······兄さん、起きてください」
すぅー、すぅー、と一定に聞こえる寝息。
尾が揺れているから熟睡とはいかないもののやっぱり寝ている。···これは朝が弱いとかそんな類のものじゃないんじゃないか?てか大きな病気とかだったら怖ぇーし、親父も病院連れてげよ···。
仕方ねぇな。
「···はぁ、兄さんいい加減起きてください。つか放っておいたらあんた明日まで起きないだろ。起きないとこのぬいぐるみ共ゴミ捨て場行きだからな」
ガバッッッ!!
「······んあぁ。·······あれえ、らぁくおはよお」
「やっと起きましたか(このクソ兄貴)」
「·······ぐぅ」
「···今日って燃えるゴ
「起きた」
「おはようございます。朝食出来てますよ」
「···う~ん。リクタンに持ってこさせて」
「すみませんがリクタンは今使用中になってるので、久しぶりにご自分の足で食堂まで行かれたらどうですか」
「······おんぶ」
ブチッ
「いい歳して甘えてんじゃねぇぇえ!!歩けバカ兄!」
✻✻✻✻✻ ✻✻✻✻✻ ✻✻✻✻✻
結局、楽が折れて背負って食堂までいきます(笑
これが黒川家の朝です。
もう1話くらい楽視点続きます。
「······おはようございます」
「今日もいい天気だね」
朝起きて、部屋を出たら親父と目が合ってしまった。
この親父は何を言ってんだ?曇天じゃねーか。
「そう······すか?」
「あはは。そこは曇ってるよって突っ込んでくれないと」
「···はぁ」
「ねぇ、楽」
「···はい?」
「まだルウ君の後見人、決まってないなら私が立候補してもいいかな?というか海月様とか小鳥遊のご先代様とかもう既に立候補いちゃったりする?ルウ君可愛いからなぁ」
相談しようと思ってたら先に言われた。
······アポ取って俺らで説得とか、考えてた訳だが···。
「ねぇ、楽聞いてるかい?」
そんな気なんて知らない親父はねぇねぇと俺の周りをぐるぐるしてる。親父は人懐っこいんだか、何考えてんのか分かんね。俺を引き取る時もこんな感じだったな···。
「聞いてます、後見人を俺からもお願いしたくて、アポとるつもりでした。すみません」
「あはは。いいよいいよ。昨日は忙しかったしねぇ···うちもそこまで明るいお家じゃないけど楽のお嫁さんなんだ。後見出来て嬉しいよ。じゃ、書類書いておくから流君たちに宜しくね」
「分かりました。ありがとうございます。連絡しておきます」
まぁ、結果オーライってとこか。
俺からお願いなんて今更過ぎてアイツの為だって分かってたけど、親父になんて切り出すか正直ビビってた。
「あぁ、そうだ。そろそろ柊も起きるだろうから、声掛けお願い出来るかい?あの子は朝弱いからねぇ。何回か声掛けて起きなかったら、いつものね」
それじゃ、先に行ってるから宜しくね。
と親父は言い残し、スキップして食堂に向かっていった。
······またかよ。
俺は軽く頭を下げてから兄ー黒川 柊の部屋に向かった。
俺には兄がいる。と言っても勿論血は繋がってない。
俺は養子だ。だから勿論親父とも兄とも血が繋がっていない。
俺がこの家に迎えられたのも兄が原因だった。
俺がこの家に来たのは8歳の時だった。
世話になってた孤児院に、親父が慰問に来てくれた時に声をかけられた。まぁ同じような匂いがしたのかもしれない。本を読んでればひょっこり現れ、庭でサッカーしてればゴールキーパーとしてちゃっかり参加してたし、親父は昔から変わんねえ。俺はそんな親父が苦手で···まぁそんなことより。
俺が養子として迎えられたのは俺が継ぐか、兄が諦めて結婚して子供をつくるかで親父なりに兄への思いやりだったのかもしれない。
兄は病弱で昔から外にも出れず、ずっと家の中で過ごしていたらしい。それが“例の計画”が実行されることで自ら志願したと聞いた。自分はいつまで生きられるか分からないから、今、やりたい事をやってみたい···そう親父を説得したと聞いた。それがほんの2年前、兄が19の時だったと思う。
まぁ、あっちから来れてこっちから行けないなんてことは無いだろうとは思っていたがまさか本当にあの兄が任命されるとは俺も思ってなかった。
が、兄は結局3ヶ月ほど前に帰ってきた。
記憶を失って。
向こうで何があったのかは分からない。まぁ、危険が伴う任務であることは理解していたし、親父も兄が帰ってきたと言うのを聞いても冷静だった。
そんで今、帰ってきているのだが······。
「···兄さん。楽です」
数回部屋のドアをノックして声を掛ける。
······やっぱり反応ねぇな。
「兄さん。起きてください。···入りますよ」
正直、入りたくない。
出来ることなら、ここで引き返して俺も朝飯食いたい。
一応、もう一回ノックしておく。···やはり反応なし。
「············入ります」
うげ······。やっぱり···か。
部屋に入るとそこはー汚部屋だったーとかでなく、普通に兄の部屋······なのだが。俺の兄···義兄は普通ではない。ピンクピンクピンクピンクピンク······そして以下にもメルヘンチックな部屋の内装だ。その部屋の天蓋付きの淡いピンクのベッドの上で兄はぬいぐるみに埋もれて寝ていた。
白銀の髪が印象的だ。目尻の赤い文様は彼の真の姿が“妖狐”であるからに他ならない。記憶を失って帰ってきたことで普通なら誰でも出来る“完全な獣化”が出来なくなっているからなのか、常に白銀の耳と九尾に分かれた尾が出っぱなしだ。
「·······兄さん、起きてください」
すぅー、すぅー、と一定に聞こえる寝息。
尾が揺れているから熟睡とはいかないもののやっぱり寝ている。···これは朝が弱いとかそんな類のものじゃないんじゃないか?てか大きな病気とかだったら怖ぇーし、親父も病院連れてげよ···。
仕方ねぇな。
「···はぁ、兄さんいい加減起きてください。つか放っておいたらあんた明日まで起きないだろ。起きないとこのぬいぐるみ共ゴミ捨て場行きだからな」
ガバッッッ!!
「······んあぁ。·······あれえ、らぁくおはよお」
「やっと起きましたか(このクソ兄貴)」
「·······ぐぅ」
「···今日って燃えるゴ
「起きた」
「おはようございます。朝食出来てますよ」
「···う~ん。リクタンに持ってこさせて」
「すみませんがリクタンは今使用中になってるので、久しぶりにご自分の足で食堂まで行かれたらどうですか」
「······おんぶ」
ブチッ
「いい歳して甘えてんじゃねぇぇえ!!歩けバカ兄!」
✻✻✻✻✻ ✻✻✻✻✻ ✻✻✻✻✻
結局、楽が折れて背負って食堂までいきます(笑
これが黒川家の朝です。
もう1話くらい楽視点続きます。
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