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アイドルな俺たち♪
可愛いあの人のPvがエロ過ぎる件②
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やっぱり・・・ここでしたね。
私と翔さんはスタッフへの謝罪を終えて鈴を迎えに向かった。ここは楽屋。
鈴は楽屋の端に体育座りで顔を伏せていた。
「う~・・・無理だよぉ。・・・・・・俺なんかみたいのが足引っ張って・・・。・・・あー、居なくなりたい」
鈴はそう叫んでいた。
そんなことは無い。鈴はたくさんの人に愛されている。謝罪に行ったときも皆、鈴を怒るでなく鈴の心配ばかりだった。
『この三人でhappeningれいん♪なんだ。誰か一人でも欠けたらそれはhappeningれいん♪なんかじゃない。ただの凡人なんだよ?三人だからアイドルなんだ』
いつか社長がそう言っていた。鈴が『happeningれいん♪』から居なくなるなら、私たちもこの仕事は辞める。
・・・別に鈴のためなら構わないですよ?
「・・・俺、どうしたらいんだろ・・・・・・」
でも、
いつも周りを明るくしてくれる貴方も。
オーディションでごもった可愛らしい貴方も。
コロコロと踊る貴方も。
貴方の綺麗な歌声も。
演者さえも共感を得るような素直な演技も。
どんな人でもつられて笑いそうになる笑顔も。
全部が貴方なんですよ?
「なんで、俺なんかが採用されたんだろ・・・」
単純なことに気がつかない貴方にはそろそろ教えて差し上げなければなりませんね。
ガチャ
「それは鈴が可愛いからじゃないですか?」
「鈴を見てて飽きないからだよ」
私と翔さんは楽屋に入ってそう言った。
「翔さん・・・・・・に東雲?」
「・・・・・・」
「まぁまぁまぁ、いーちゃん?どうどうどう」
「私は家畜やペットの分類ではないのですが・・・あと、『いーちゃん』などと呼ばないで下さい」
私は翔さんの次ですか・・・。やはり、ガンガンアプローチしていた翔さんと比べるとここまで差が出るらしい。
私に変なあだ名をつけた翔さん。・・・あとでそれ相応の報いを受けて頂きましょう。だてにスケジュール管理はさせて頂いて無いですから。
「それに、happeningれいん♪はカッコいいでは売ってないからねー。どちらかと言えば可愛い系アイドルグループだし」
翔さんが唐突に言った。
・・・そんなこと誰でも知っています・・・よ?
「あれ・・・・・・その顔、、しゃちょーさんから聞いてない?」
「いえ、私たちのグループ命名の際に仰ってましたよ・・・・・・ただ、単に鈴が聞いていなかっただけでは?」
鈴はポカンと口を開けている。
そして、ようやく思い出したのか手を打った。
確か・・・。
<回想>
『はーい、皆ちゅーもーく!!』
『・・・社長!!遅いですよー『はいはい、鈴ちゃんあ~ん『あ~ん♪もぐもぐ『翔さん、あまりその人を甘やかさない方が『えー、だって鈴可愛いんだもんなー・・・あ、依音も甘やかして欲しいのか?このこの~可愛いやつめっ『ちっ違いますよ!』
『はーい、皆~楽しいのは良いけど僕の話も聞いて欲しいな~』
『『『はーい(はい、すみません)』』』
『でー、グループ名はhappeningれいん♪。鈴ちゃんの愛され体質は貴重だし翔君と依音君の個人能力もハンパないんだから~、と
『はい、分かりました。・・・それでスケジュール管理の方は・・・?』
『依音君に任せちゃう♪』
『あ、分かりました』
『うん♪だから私、社長からは≪可愛くて可愛いそのものみたいな驚きのアメを降らしちゃって~≫と言うことでとにかく可愛いはぷれい♪で売って行きたいと
『キャッチコピーは変えますね(即答)』
『・・・はい』
と言う私と社長の話の間。
『はい、鈴依音が煩いから俺が残りも食べさせてやりたいけどね(プリンを渡される)』
『いえいえ、美味しかったれす♪』
『はぁ・・・鈴は可愛いなぁ・・・(なでなで)』
この二人はいちゃいちゃしていたような・・・?
<回想終わり>
「まったく、あなたって人は・・・・・・」
「鈴たらお茶目さん♪・・・そこも可愛いくて尚良ろし!」
「それにあなたは特に『可愛い系』です。私はクール&ビューティ、翔さんはムードメーカーや優しいお兄さん・・・といったそんな感じに構成してると社長さんは言ってました。あなたがそんなに気を病むことは無いんですよ。とにかく、はっちゃけて下さい」
あのときから翔さんが鈴にガンガンアプローチしていたと言うのは解せないところもある。
しかし、鈴のおバカなところも可愛いので許します。
ようやく納得したと言う風に鈴は顔をあげた。
少し涙目になった瞳がキラキラ光って――。
「分かった・・・。ありがとうございます、翔さん」
「いえいえどーいたしまして♥️」
「・・・・・・・・・・・・」
やはり、翔さんだけなんですね・・・・・・。
まぁ、良いです。いつものことですし・・・。
「・・・東雲・・・も、あ、ありがと」
え、今、この人、なんて・・・、言いました?
「っ、・・・・・・どういたしまして?」
「なんで疑問だよっ!!人がせっかく恥ずいのに・・・言ったのにっ!!・・・・・・もう知らないっ!!」
不意打ちに驚き、反応が遅れた私は返す言葉が言葉で無くなってしまい鈴がいつものように声をあげた。
貴方の可愛いさで私を再起不能にする気ですか!?
「ふっ、これが鈴の可愛いさだ。それをいつも受けてる俺はよく耐えられたと思わない?」
翔さんがそう言い残して鈴を追いかけて行った。
・・・ソウデスネ。
「アイドルって・・・・・・なに?」
冒頭に戻りましょう。
まだ無防備にもそう呟いてる可愛い鈴はとにかく可愛い。
鈴が混乱している原因。
それは昨日撮ったPvについてでしょう。
私ですら、これはR指定されるのでは?と思うほどのエロい・・・いや、艶かしく頬を上気させた美少年。が画面に映っている。
桃色の頬とキラキラ光ってる瞳をこちらに向けて手を広げてる。
『味気ないな 飛び込んで sign』
『なんてキラキラ 僕らは夢を見てる?』
『想いを伏せて 冷静に』
『もっと情熱的に 求め会いたい heart』
『似合わないね = 場違い』
『引き寄せようぜっ!! 心の架け橋』
歌詞が頭の中に入ると同時に動く艶かしい身体、上気した肌、サビの息の合った動きの中央。
・・・誰にも見せなくないですね・・・。
色気にあてられて、目眩がしそうです。
あれから鈴のファンも増え続けていますし、仕事が来るのは嬉しく万々歳なのですがなんとも言えない気分です。
「おーい」
翔さんが声をかけるが聞こえないらしい。(翔さんとかけるをかけているわけではない)
「聞こえてないね~・・・まぁ忙しいのは良いことだよー」
「鈴のスケジュール・・・・・・これだと、休みないですよ?」
そう。
あれから仕事が増えて、鈴は週に一日ほどしか休みが入っていない。代われるものなら代わってやりたいが生憎、『三人でhappeningれいん♪』と言うことで私も翔さんも休みはない。
「ふふっ、これから大変だね~」
そう言ってまた鈴の頭を撫でる翔さん。
・・・ふっ。私だって今回のことで学びました。
「・・・・・・これ、頑張ってるので」
鈴の前にプリンを置いた。
期間限定のチョコレートパフェプリン。この前、鈴が食べたいと言っていたのだがアイドル=体重が命なので我慢してもらっていた。
しかし、今日は特別ですから。
「東雲・・・・・・お前、良いやつだな。初めて見直した!!お前だって忙しくなるのに・・・」
「私たちは三人でhappeningれいん♪なんですから・・・当たり前です」
初めて、って・・・。私、そんなに嫌われてたんですかね?
しかし、私たち三人なら・・・。
いえ『鈴がいる』なら。きっと私たちはアイドル界の頂点にも立てるかもしれません。
「うん!!じゃ、いただきまーす♪」
嬉しそうにプリンとスプーンを持つ姿は本当に可愛らしい。翔さんにも負けてられないですね・・・。これからは鈴をたくさん甘やかしましょうか。
私と翔さんはスタッフへの謝罪を終えて鈴を迎えに向かった。ここは楽屋。
鈴は楽屋の端に体育座りで顔を伏せていた。
「う~・・・無理だよぉ。・・・・・・俺なんかみたいのが足引っ張って・・・。・・・あー、居なくなりたい」
鈴はそう叫んでいた。
そんなことは無い。鈴はたくさんの人に愛されている。謝罪に行ったときも皆、鈴を怒るでなく鈴の心配ばかりだった。
『この三人でhappeningれいん♪なんだ。誰か一人でも欠けたらそれはhappeningれいん♪なんかじゃない。ただの凡人なんだよ?三人だからアイドルなんだ』
いつか社長がそう言っていた。鈴が『happeningれいん♪』から居なくなるなら、私たちもこの仕事は辞める。
・・・別に鈴のためなら構わないですよ?
「・・・俺、どうしたらいんだろ・・・・・・」
でも、
いつも周りを明るくしてくれる貴方も。
オーディションでごもった可愛らしい貴方も。
コロコロと踊る貴方も。
貴方の綺麗な歌声も。
演者さえも共感を得るような素直な演技も。
どんな人でもつられて笑いそうになる笑顔も。
全部が貴方なんですよ?
「なんで、俺なんかが採用されたんだろ・・・」
単純なことに気がつかない貴方にはそろそろ教えて差し上げなければなりませんね。
ガチャ
「それは鈴が可愛いからじゃないですか?」
「鈴を見てて飽きないからだよ」
私と翔さんは楽屋に入ってそう言った。
「翔さん・・・・・・に東雲?」
「・・・・・・」
「まぁまぁまぁ、いーちゃん?どうどうどう」
「私は家畜やペットの分類ではないのですが・・・あと、『いーちゃん』などと呼ばないで下さい」
私は翔さんの次ですか・・・。やはり、ガンガンアプローチしていた翔さんと比べるとここまで差が出るらしい。
私に変なあだ名をつけた翔さん。・・・あとでそれ相応の報いを受けて頂きましょう。だてにスケジュール管理はさせて頂いて無いですから。
「それに、happeningれいん♪はカッコいいでは売ってないからねー。どちらかと言えば可愛い系アイドルグループだし」
翔さんが唐突に言った。
・・・そんなこと誰でも知っています・・・よ?
「あれ・・・・・・その顔、、しゃちょーさんから聞いてない?」
「いえ、私たちのグループ命名の際に仰ってましたよ・・・・・・ただ、単に鈴が聞いていなかっただけでは?」
鈴はポカンと口を開けている。
そして、ようやく思い出したのか手を打った。
確か・・・。
<回想>
『はーい、皆ちゅーもーく!!』
『・・・社長!!遅いですよー『はいはい、鈴ちゃんあ~ん『あ~ん♪もぐもぐ『翔さん、あまりその人を甘やかさない方が『えー、だって鈴可愛いんだもんなー・・・あ、依音も甘やかして欲しいのか?このこの~可愛いやつめっ『ちっ違いますよ!』
『はーい、皆~楽しいのは良いけど僕の話も聞いて欲しいな~』
『『『はーい(はい、すみません)』』』
『でー、グループ名はhappeningれいん♪。鈴ちゃんの愛され体質は貴重だし翔君と依音君の個人能力もハンパないんだから~、と
『はい、分かりました。・・・それでスケジュール管理の方は・・・?』
『依音君に任せちゃう♪』
『あ、分かりました』
『うん♪だから私、社長からは≪可愛くて可愛いそのものみたいな驚きのアメを降らしちゃって~≫と言うことでとにかく可愛いはぷれい♪で売って行きたいと
『キャッチコピーは変えますね(即答)』
『・・・はい』
と言う私と社長の話の間。
『はい、鈴依音が煩いから俺が残りも食べさせてやりたいけどね(プリンを渡される)』
『いえいえ、美味しかったれす♪』
『はぁ・・・鈴は可愛いなぁ・・・(なでなで)』
この二人はいちゃいちゃしていたような・・・?
<回想終わり>
「まったく、あなたって人は・・・・・・」
「鈴たらお茶目さん♪・・・そこも可愛いくて尚良ろし!」
「それにあなたは特に『可愛い系』です。私はクール&ビューティ、翔さんはムードメーカーや優しいお兄さん・・・といったそんな感じに構成してると社長さんは言ってました。あなたがそんなに気を病むことは無いんですよ。とにかく、はっちゃけて下さい」
あのときから翔さんが鈴にガンガンアプローチしていたと言うのは解せないところもある。
しかし、鈴のおバカなところも可愛いので許します。
ようやく納得したと言う風に鈴は顔をあげた。
少し涙目になった瞳がキラキラ光って――。
「分かった・・・。ありがとうございます、翔さん」
「いえいえどーいたしまして♥️」
「・・・・・・・・・・・・」
やはり、翔さんだけなんですね・・・・・・。
まぁ、良いです。いつものことですし・・・。
「・・・東雲・・・も、あ、ありがと」
え、今、この人、なんて・・・、言いました?
「っ、・・・・・・どういたしまして?」
「なんで疑問だよっ!!人がせっかく恥ずいのに・・・言ったのにっ!!・・・・・・もう知らないっ!!」
不意打ちに驚き、反応が遅れた私は返す言葉が言葉で無くなってしまい鈴がいつものように声をあげた。
貴方の可愛いさで私を再起不能にする気ですか!?
「ふっ、これが鈴の可愛いさだ。それをいつも受けてる俺はよく耐えられたと思わない?」
翔さんがそう言い残して鈴を追いかけて行った。
・・・ソウデスネ。
「アイドルって・・・・・・なに?」
冒頭に戻りましょう。
まだ無防備にもそう呟いてる可愛い鈴はとにかく可愛い。
鈴が混乱している原因。
それは昨日撮ったPvについてでしょう。
私ですら、これはR指定されるのでは?と思うほどのエロい・・・いや、艶かしく頬を上気させた美少年。が画面に映っている。
桃色の頬とキラキラ光ってる瞳をこちらに向けて手を広げてる。
『味気ないな 飛び込んで sign』
『なんてキラキラ 僕らは夢を見てる?』
『想いを伏せて 冷静に』
『もっと情熱的に 求め会いたい heart』
『似合わないね = 場違い』
『引き寄せようぜっ!! 心の架け橋』
歌詞が頭の中に入ると同時に動く艶かしい身体、上気した肌、サビの息の合った動きの中央。
・・・誰にも見せなくないですね・・・。
色気にあてられて、目眩がしそうです。
あれから鈴のファンも増え続けていますし、仕事が来るのは嬉しく万々歳なのですがなんとも言えない気分です。
「おーい」
翔さんが声をかけるが聞こえないらしい。(翔さんとかけるをかけているわけではない)
「聞こえてないね~・・・まぁ忙しいのは良いことだよー」
「鈴のスケジュール・・・・・・これだと、休みないですよ?」
そう。
あれから仕事が増えて、鈴は週に一日ほどしか休みが入っていない。代われるものなら代わってやりたいが生憎、『三人でhappeningれいん♪』と言うことで私も翔さんも休みはない。
「ふふっ、これから大変だね~」
そう言ってまた鈴の頭を撫でる翔さん。
・・・ふっ。私だって今回のことで学びました。
「・・・・・・これ、頑張ってるので」
鈴の前にプリンを置いた。
期間限定のチョコレートパフェプリン。この前、鈴が食べたいと言っていたのだがアイドル=体重が命なので我慢してもらっていた。
しかし、今日は特別ですから。
「東雲・・・・・・お前、良いやつだな。初めて見直した!!お前だって忙しくなるのに・・・」
「私たちは三人でhappeningれいん♪なんですから・・・当たり前です」
初めて、って・・・。私、そんなに嫌われてたんですかね?
しかし、私たち三人なら・・・。
いえ『鈴がいる』なら。きっと私たちはアイドル界の頂点にも立てるかもしれません。
「うん!!じゃ、いただきまーす♪」
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