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2章 失った光
1.焦燥
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頭が真っ白になった。
俺は中田さんが何を言ってるのか理解できなかった。いや、言葉では理解出来たのに頭がついてこなかった。
······入鹿さんが、、、意識不明、、?
中田さんの報せを聞いてみっきーは隆生を呼びに行き、蒼空君は険しい表情で中田さんの話を聞いている。あの何事にも無表情でこなす蒼空君も青ざめて腕組みしている腕が少し震えている。
俺はただ呆然としていた。何を言われても何を言われているのか、まるで耳を通り抜けていくようだった。
······入鹿さんがっ、入鹿さんがっ、、っ。
「ハル!······落ち着け」
「···あ」
気づけば真剣に俺の顔を覗き込む隆生に肩を揺すられていた。みっきーも蒼空君の肩を抱いている。
「中田さん。周防はどこの病院に運ばれた?」
「叶中央病院です。今は叶プロデューサーが付き添って下さっているそうです!」
「···なるほどな。中田さん、叶プロデューサーに連絡とって下さい。今から向かいますって」
「でもみんなは-」
「だって、俺たちはいるかさんがマネしてるアイドルグループ“かるてっと”だから、ね。だから行かなくちゃー」
「······ボクも。ボクも行く」
「お、俺も!!」
中田さんは無言でうなづいた。
隆生がみっきーに車のキーを取ってくるよう言った。みっきーが駆け出した後、隆生に先導されて俺と蒼空君は急ぎ足で車に向かう。
······入鹿さん、、無事でいて············!
「······ハル」
【side】石見 蒼空
ボクの憧れ。
ハルはいつも明るくて、元気だ。
表情筋の無いボクとは違ってそんなとこまで動くのかと思うくらいコロコロと表情が変わる。
そんなハルのことがボクは大好き。
8ヶ月前。ハルがマネージャーのイルカさんと付き合うことになった。······ハッキリ言って悔しかった。
ボクの方が先にハルと出会ったのに。
ボクの方がハルのこと、大好きなのに······!
それでも納得するしかなくて。
イルカさんの傍にいるハルは凄く可愛い。それに笑顔がキラキラしてて、ほんとにイルカさんが好きなんだって痛感した。
だから、そんな嬉しそうなハルを見れるのがボクは嬉しい。ほんとに好きだから。ハルには笑ってて欲しい。
······たとえ、ボクの傍じゃなかったとしても。
今日はレコーディングの仕事があって、事務所の寮暮しのボクはイルカさんの運転する車に乗りハルの隣で曲を聴いてた。
······たった一つだけ叶えられるなら···。
·······ボクの願いはただ一つ。
ボクの傍で-。
······笑ってて欲しい。
スっと急に歌い出したハルの歌声に、感情がシンクロする。···ハルもなんだね···。大切な人に、笑ってて欲しいのは。
だからこそ。
「············むしょーにイラつく」
そのあと。
たかおとみっくんと合流した。
ボクとハル。たかおとみっくん。で別々のレコーディング。駐車場に集合してみんなでプロデューサーさんのところへ挨拶に行った。
たかおとみっくんのとこはどうか分からないけど、ボクたちをいつも支えてくれてるスタッフさんたちはみんな優しい人たち。
いつも面白い。
ちょっと子供扱いされるのが苦手だけど。
ボクもハルもすんなりとレコーディングを終え、2人の様子を見にイルカさんのとこに行くとまだ終わってなかったみたい。近くの喫茶店で待っててって。
事務所のお金だとあんま高いものはダメだから早く2人が終わんないかなー。きっとたかおが奢ってくれる。
「俺は・・・軽くていいかな。入鹿さんもみっきーも隆生も食べてないし、先に食べてるのもね」
そう言ったハルに合わせて2人でサンドイッチを半分こしようと提案した。ハルは優しくて意外と心配性なんだ。そんなハルにこれだけ心配かけてるイルカさんには絶対ハルを幸せにしないといけない義務がある。
あ、来た。
たかおとみっくんが喫茶店に入ってくる。
やっぱり大人セクシーって感じ。喫茶店がちょっとイケナイお店にも見えてくるのはきっとボクだけじゃない。
お金持ちのたかおのサイフの紐は緩い。
ちょっとおねだりすれば、理由によっては恵んでくれる。いいお財布。そういうとこは嫌いじゃない。
だってお金って大事だから。
そこへイルカさんからLIMEが来た。
ハルを送っていくよーにって。
ボクもついでに乗せてってくれるってたかおは言ったけど、事務所から歩いて10分の寮に住んでるボクはべつに送ってもらわなくてもいい。そう言ったのに子供扱いされた···。
イラッ。
ボクはあとから頼んだパフェをもぐもぐ。
イラついたから、たかおのピザトーストももぐもぐ。
あ、バレた。
たかおはボクのほっぺについてたクリームを舐めた。
······ボクのクリーム!!
ふざけるたかおが凄くキモい。
「タカちゃーん・・・・・・?」
そのとき天の声が聞こえた。
たかおがみっくんに怒られてる。ボクにちょっかい出したから。みっくんがちゃんと首輪を握っててくれるのがすごく有難い。
「そろそろ行かない?」
そう言ってハルはボクに紙ナプキンをくれた。
それからだった。
事務所に行ってボクとハル、みっくんがダンスの練習をしているとき-。
急に報せが入った。
入鹿さんが意識不明の重体。
何故か全身に震えが走った。
悲しいのか、怖いのか、それか······。
「········ボクも。ボクも行く」
あとからハルの震えた声がした。
·········。
ボクたちは走ってたかおの車に向かった。
着くと同時にみっくんが車のキーをたかおに投げる。
ロックが解除された。
ドアを開くとボクたちは急いで乗り込んだ。
叶中央病院。
叶プロデューサーの一族が経営している有名な病院。
よくテレビでCMも見る。
広い駐車場はほとんど埋まっててなかなか停められない。たかおも少し苛立っている。みっくんも焦ってるのか表情が険しい。
「たかお。ボクとハルだけ先に降ろして。
先に行って、病室とか聞いてくる。みっくんはたかおが事故らないように一緒にいてあげて」
「···分かった。ハルを任せた」
「俺たちもあとから行くからねー。
タカちゃんは任された!」
ボクはハルと一緒に車を降りるとすぐに受付へ向かって、叶プロデューサーに連絡を入れてもらう。
イルカさんの居場所が分かった。
俺は中田さんが何を言ってるのか理解できなかった。いや、言葉では理解出来たのに頭がついてこなかった。
······入鹿さんが、、、意識不明、、?
中田さんの報せを聞いてみっきーは隆生を呼びに行き、蒼空君は険しい表情で中田さんの話を聞いている。あの何事にも無表情でこなす蒼空君も青ざめて腕組みしている腕が少し震えている。
俺はただ呆然としていた。何を言われても何を言われているのか、まるで耳を通り抜けていくようだった。
······入鹿さんがっ、入鹿さんがっ、、っ。
「ハル!······落ち着け」
「···あ」
気づけば真剣に俺の顔を覗き込む隆生に肩を揺すられていた。みっきーも蒼空君の肩を抱いている。
「中田さん。周防はどこの病院に運ばれた?」
「叶中央病院です。今は叶プロデューサーが付き添って下さっているそうです!」
「···なるほどな。中田さん、叶プロデューサーに連絡とって下さい。今から向かいますって」
「でもみんなは-」
「だって、俺たちはいるかさんがマネしてるアイドルグループ“かるてっと”だから、ね。だから行かなくちゃー」
「······ボクも。ボクも行く」
「お、俺も!!」
中田さんは無言でうなづいた。
隆生がみっきーに車のキーを取ってくるよう言った。みっきーが駆け出した後、隆生に先導されて俺と蒼空君は急ぎ足で車に向かう。
······入鹿さん、、無事でいて············!
「······ハル」
【side】石見 蒼空
ボクの憧れ。
ハルはいつも明るくて、元気だ。
表情筋の無いボクとは違ってそんなとこまで動くのかと思うくらいコロコロと表情が変わる。
そんなハルのことがボクは大好き。
8ヶ月前。ハルがマネージャーのイルカさんと付き合うことになった。······ハッキリ言って悔しかった。
ボクの方が先にハルと出会ったのに。
ボクの方がハルのこと、大好きなのに······!
それでも納得するしかなくて。
イルカさんの傍にいるハルは凄く可愛い。それに笑顔がキラキラしてて、ほんとにイルカさんが好きなんだって痛感した。
だから、そんな嬉しそうなハルを見れるのがボクは嬉しい。ほんとに好きだから。ハルには笑ってて欲しい。
······たとえ、ボクの傍じゃなかったとしても。
今日はレコーディングの仕事があって、事務所の寮暮しのボクはイルカさんの運転する車に乗りハルの隣で曲を聴いてた。
······たった一つだけ叶えられるなら···。
·······ボクの願いはただ一つ。
ボクの傍で-。
······笑ってて欲しい。
スっと急に歌い出したハルの歌声に、感情がシンクロする。···ハルもなんだね···。大切な人に、笑ってて欲しいのは。
だからこそ。
「············むしょーにイラつく」
そのあと。
たかおとみっくんと合流した。
ボクとハル。たかおとみっくん。で別々のレコーディング。駐車場に集合してみんなでプロデューサーさんのところへ挨拶に行った。
たかおとみっくんのとこはどうか分からないけど、ボクたちをいつも支えてくれてるスタッフさんたちはみんな優しい人たち。
いつも面白い。
ちょっと子供扱いされるのが苦手だけど。
ボクもハルもすんなりとレコーディングを終え、2人の様子を見にイルカさんのとこに行くとまだ終わってなかったみたい。近くの喫茶店で待っててって。
事務所のお金だとあんま高いものはダメだから早く2人が終わんないかなー。きっとたかおが奢ってくれる。
「俺は・・・軽くていいかな。入鹿さんもみっきーも隆生も食べてないし、先に食べてるのもね」
そう言ったハルに合わせて2人でサンドイッチを半分こしようと提案した。ハルは優しくて意外と心配性なんだ。そんなハルにこれだけ心配かけてるイルカさんには絶対ハルを幸せにしないといけない義務がある。
あ、来た。
たかおとみっくんが喫茶店に入ってくる。
やっぱり大人セクシーって感じ。喫茶店がちょっとイケナイお店にも見えてくるのはきっとボクだけじゃない。
お金持ちのたかおのサイフの紐は緩い。
ちょっとおねだりすれば、理由によっては恵んでくれる。いいお財布。そういうとこは嫌いじゃない。
だってお金って大事だから。
そこへイルカさんからLIMEが来た。
ハルを送っていくよーにって。
ボクもついでに乗せてってくれるってたかおは言ったけど、事務所から歩いて10分の寮に住んでるボクはべつに送ってもらわなくてもいい。そう言ったのに子供扱いされた···。
イラッ。
ボクはあとから頼んだパフェをもぐもぐ。
イラついたから、たかおのピザトーストももぐもぐ。
あ、バレた。
たかおはボクのほっぺについてたクリームを舐めた。
······ボクのクリーム!!
ふざけるたかおが凄くキモい。
「タカちゃーん・・・・・・?」
そのとき天の声が聞こえた。
たかおがみっくんに怒られてる。ボクにちょっかい出したから。みっくんがちゃんと首輪を握っててくれるのがすごく有難い。
「そろそろ行かない?」
そう言ってハルはボクに紙ナプキンをくれた。
それからだった。
事務所に行ってボクとハル、みっくんがダンスの練習をしているとき-。
急に報せが入った。
入鹿さんが意識不明の重体。
何故か全身に震えが走った。
悲しいのか、怖いのか、それか······。
「········ボクも。ボクも行く」
あとからハルの震えた声がした。
·········。
ボクたちは走ってたかおの車に向かった。
着くと同時にみっくんが車のキーをたかおに投げる。
ロックが解除された。
ドアを開くとボクたちは急いで乗り込んだ。
叶中央病院。
叶プロデューサーの一族が経営している有名な病院。
よくテレビでCMも見る。
広い駐車場はほとんど埋まっててなかなか停められない。たかおも少し苛立っている。みっくんも焦ってるのか表情が険しい。
「たかお。ボクとハルだけ先に降ろして。
先に行って、病室とか聞いてくる。みっくんはたかおが事故らないように一緒にいてあげて」
「···分かった。ハルを任せた」
「俺たちもあとから行くからねー。
タカちゃんは任された!」
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