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【本編】1章 四重奏
3.新曲レコーディング
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「「「「おはようございます!よろしくお願いします」」」」
スタジオに入って、今回のプロデューサーさんやスタジオの管理さんに挨拶をして回る。皆さんイイ人だから俺らが行くとにこにこして迎えてくれる。
「はーい、よろしくー」
「本日もquartetteをよろしくお願い致します」
「いやいや、こちらこそ。入鹿君には僕の娘の件もあるからねー格安でスタジオ提供しちゃう」
「・・・ありがとうございます。その件はもう―」
「いやー、紗栄子が『入鹿さんてー』ってずーっと言ってるんだよね~。すっかりお気に入りみたいだよ。また頼んだよ~。入鹿君になら安心してうちの娘も嫁に出せるってもんだ!はっはっはっ」
このスタジオを管理してる村谷さん。入鹿さんと話をしてる・・・・・・。娘がなんとかとか嫁がなんとか・・・。入鹿さん······?まさか、浮気?
······そんなわけないか。
今は仕事に集中しないとと俺は頬を軽く両手で叩いた。
挨拶が終わったら、俺と蒼空君は第2スタジオに。
隆生とみっきーは第1スタジオ。
「ハル君、ソラ君、練習はしてきたかなー?」
「はい!もちろんです!」
「頑張ったっ。えへん」
俺らの担当は三島さん。・・・なんか毎回子供扱いされるんだよなー。まぁ、未成年だし子供だけど。
「じゃあ、今日も楽しくとっていきましょー」
思わずエイエイオーという三島さんの掛け声で、俺と蒼空君は右腕を高く挙げた。
その他のスタッフさんたちからも笑いが起こる。
・・・入鹿さんがくれる仕事は全部すごく楽しい。どこもイイ人ばっかりで、こんなに楽しくて大丈夫なのかなって心配になる。こんな楽しい時間、すぐ終わっちゃうんじゃないかって。
『・・・・・・泣いてしまったそんな日には
少しだけ気分あげて 辛いことなんて忘れよう
ハイなテンションMaxで
始まりの時だ 声をあげよう
ほら海賊船も僕らを恐れて
進路変えて逃げていく
そして君には 翡翠色の海を
たくさんの冒険をプレゼントするから
うつ向かないでよ don't worry
今、作り出す 明日からがプロローグ
僕らはずっと君の幸せ願ってるよ
ね? だから笑って
君の微笑みで僕らを、癒して、満たして
二人の冒険は始まったばかり、遠慮なんていらない
さあ、おいで
僕らは君の幸せ願ってる
君の幸せが僕の幸せ 君の笑顔が大好きだから
約束しよう 手を取って
また会おう いつか、また』
「「お疲れ様でした!」」
「お疲れ様。まだミツキとタカは終わってないんだ。ハルとソラは少し待っててくれる?近くに喫茶店があったはずだからそこで」
俺たちが録り終って第1スタジオに向かうと入鹿さんが俺たちに気づいてシッと人指し指を立てて、静かにそう言った。
「分かった。どれくらいかかりそ?」
「んー、あと30分は確実にかかるね。お昼も先にそこで食べちゃって良いからね。領収書控えといてくれる?事務所宛でね」
「うん。了解です」
「お疲れ様」
入鹿さんはポンッと俺の頭を撫でて戻っていった。
・・・好き。入鹿さんはいつもカッコ良くて、優しくて、ほんとに好き・・・・・・。
「ハル、行こ」
「あ・・・うん!」
「ハル、またイルカさんのこと考えてたね。ぽわって顔してるから分かる。蒼空だってハルのこと好きなのに・・・むぅ」
「はは、ありがと。俺も蒼空君のこと好きだよ」
「むぅ・・・。···········違うもん」
「なんか言った?」
「なんでもない。ま、いっか。何食べる?」
「?んー、俺は・・・軽くていいかな。入鹿さんもみっきーも隆生も食べてないし、先に食べてるのもね」
「じゃあ、サンドイッチ一つ頼む。二人で食べよ?半分こ。それなら待ってる間お腹空かない」
「うん!」
確かにそれなら待ってられるしいいね!それに、前にみんなを待って食べなかったら入鹿さんに凄く怒られちゃったし・・・。きっとそれなら怒られないよね!
俺たちは入鹿さんに言われた通り近くの喫茶店へ。
入ってすぐの窓側の席に座る。丁度お昼頃だからか、お店の席はほとんど埋まっていた。もう少し遅かったら座れなかったかもね。
窓からさっきまで俺たちがいたスタジオが見えた。
雨が降りそうな天気。・・・降らないといいけど。
「サンドイッチ一つ。あとイチゴミルク」
「あ、俺は珈琲で」
「サンドイッチをお一つ、イチゴミルクをお一つ、珈琲をお一つですねっ」
「はい」
「少々お待ちくださいっ・・・」
注文を聞きに来た店員のお姉さんが顔を赤らめて注文表を持っていく。・・・蒼空君可愛いもんなー。ずっと蒼空君の顔見て注文とってたし。
「あのお姉さん、ハルのこと見てたよ」
「へ?」
「ハル。男女とか関係なく好かれる顔してるから」
「いや、さっきのは蒼空君見てたと思うけど」
「ハルの顔を注視出来なくてボクの顔見てたの。チラチラ見てたでしょ。あのお姉さん」
あー、そう言われれば確かに?
時々目があって、すぐ逸らされてたから・・・まぁチラチラとは見られてたな。
「・・・・・・妬ける」
「え?」
「何でもなーい。
あ、タバコおじさんからLIME・・・・・・終わったからこっち来るみたい。イルカさんは用があるって遅れて来る」
「タバコおじさんって・・・・・・」
蒼空君は隆生のことを何かにつけておじさんと呼ぶ。まぁ、俺もいくら年上でもあんなんに『さん』づけなんて出来ないし、俺が言えたことじゃないけど。
「ボクたちはこのあと練習。入鹿さんは外回り?3時までに事務所行けばいい。ゆっくり出来る・・・良かった」
「そうだね。入鹿さん、外回りっていつも何してるんだろ・・・・・・そりゃ、俺たちのために仕事貰ってきてくれるんだけどさ。・・・昨日なんて帰ってきたの夜中だよ?ちょっと頑張りすぎかなって思う・・・」
「・・・そっか。それはボクも頑張りすぎって思う」
「・・・うん。凄く心配」
スタジオに入って、今回のプロデューサーさんやスタジオの管理さんに挨拶をして回る。皆さんイイ人だから俺らが行くとにこにこして迎えてくれる。
「はーい、よろしくー」
「本日もquartetteをよろしくお願い致します」
「いやいや、こちらこそ。入鹿君には僕の娘の件もあるからねー格安でスタジオ提供しちゃう」
「・・・ありがとうございます。その件はもう―」
「いやー、紗栄子が『入鹿さんてー』ってずーっと言ってるんだよね~。すっかりお気に入りみたいだよ。また頼んだよ~。入鹿君になら安心してうちの娘も嫁に出せるってもんだ!はっはっはっ」
このスタジオを管理してる村谷さん。入鹿さんと話をしてる・・・・・・。娘がなんとかとか嫁がなんとか・・・。入鹿さん······?まさか、浮気?
······そんなわけないか。
今は仕事に集中しないとと俺は頬を軽く両手で叩いた。
挨拶が終わったら、俺と蒼空君は第2スタジオに。
隆生とみっきーは第1スタジオ。
「ハル君、ソラ君、練習はしてきたかなー?」
「はい!もちろんです!」
「頑張ったっ。えへん」
俺らの担当は三島さん。・・・なんか毎回子供扱いされるんだよなー。まぁ、未成年だし子供だけど。
「じゃあ、今日も楽しくとっていきましょー」
思わずエイエイオーという三島さんの掛け声で、俺と蒼空君は右腕を高く挙げた。
その他のスタッフさんたちからも笑いが起こる。
・・・入鹿さんがくれる仕事は全部すごく楽しい。どこもイイ人ばっかりで、こんなに楽しくて大丈夫なのかなって心配になる。こんな楽しい時間、すぐ終わっちゃうんじゃないかって。
『・・・・・・泣いてしまったそんな日には
少しだけ気分あげて 辛いことなんて忘れよう
ハイなテンションMaxで
始まりの時だ 声をあげよう
ほら海賊船も僕らを恐れて
進路変えて逃げていく
そして君には 翡翠色の海を
たくさんの冒険をプレゼントするから
うつ向かないでよ don't worry
今、作り出す 明日からがプロローグ
僕らはずっと君の幸せ願ってるよ
ね? だから笑って
君の微笑みで僕らを、癒して、満たして
二人の冒険は始まったばかり、遠慮なんていらない
さあ、おいで
僕らは君の幸せ願ってる
君の幸せが僕の幸せ 君の笑顔が大好きだから
約束しよう 手を取って
また会おう いつか、また』
「「お疲れ様でした!」」
「お疲れ様。まだミツキとタカは終わってないんだ。ハルとソラは少し待っててくれる?近くに喫茶店があったはずだからそこで」
俺たちが録り終って第1スタジオに向かうと入鹿さんが俺たちに気づいてシッと人指し指を立てて、静かにそう言った。
「分かった。どれくらいかかりそ?」
「んー、あと30分は確実にかかるね。お昼も先にそこで食べちゃって良いからね。領収書控えといてくれる?事務所宛でね」
「うん。了解です」
「お疲れ様」
入鹿さんはポンッと俺の頭を撫でて戻っていった。
・・・好き。入鹿さんはいつもカッコ良くて、優しくて、ほんとに好き・・・・・・。
「ハル、行こ」
「あ・・・うん!」
「ハル、またイルカさんのこと考えてたね。ぽわって顔してるから分かる。蒼空だってハルのこと好きなのに・・・むぅ」
「はは、ありがと。俺も蒼空君のこと好きだよ」
「むぅ・・・。···········違うもん」
「なんか言った?」
「なんでもない。ま、いっか。何食べる?」
「?んー、俺は・・・軽くていいかな。入鹿さんもみっきーも隆生も食べてないし、先に食べてるのもね」
「じゃあ、サンドイッチ一つ頼む。二人で食べよ?半分こ。それなら待ってる間お腹空かない」
「うん!」
確かにそれなら待ってられるしいいね!それに、前にみんなを待って食べなかったら入鹿さんに凄く怒られちゃったし・・・。きっとそれなら怒られないよね!
俺たちは入鹿さんに言われた通り近くの喫茶店へ。
入ってすぐの窓側の席に座る。丁度お昼頃だからか、お店の席はほとんど埋まっていた。もう少し遅かったら座れなかったかもね。
窓からさっきまで俺たちがいたスタジオが見えた。
雨が降りそうな天気。・・・降らないといいけど。
「サンドイッチ一つ。あとイチゴミルク」
「あ、俺は珈琲で」
「サンドイッチをお一つ、イチゴミルクをお一つ、珈琲をお一つですねっ」
「はい」
「少々お待ちくださいっ・・・」
注文を聞きに来た店員のお姉さんが顔を赤らめて注文表を持っていく。・・・蒼空君可愛いもんなー。ずっと蒼空君の顔見て注文とってたし。
「あのお姉さん、ハルのこと見てたよ」
「へ?」
「ハル。男女とか関係なく好かれる顔してるから」
「いや、さっきのは蒼空君見てたと思うけど」
「ハルの顔を注視出来なくてボクの顔見てたの。チラチラ見てたでしょ。あのお姉さん」
あー、そう言われれば確かに?
時々目があって、すぐ逸らされてたから・・・まぁチラチラとは見られてたな。
「・・・・・・妬ける」
「え?」
「何でもなーい。
あ、タバコおじさんからLIME・・・・・・終わったからこっち来るみたい。イルカさんは用があるって遅れて来る」
「タバコおじさんって・・・・・・」
蒼空君は隆生のことを何かにつけておじさんと呼ぶ。まぁ、俺もいくら年上でもあんなんに『さん』づけなんて出来ないし、俺が言えたことじゃないけど。
「ボクたちはこのあと練習。入鹿さんは外回り?3時までに事務所行けばいい。ゆっくり出来る・・・良かった」
「そうだね。入鹿さん、外回りっていつも何してるんだろ・・・・・・そりゃ、俺たちのために仕事貰ってきてくれるんだけどさ。・・・昨日なんて帰ってきたの夜中だよ?ちょっと頑張りすぎかなって思う・・・」
「・・・そっか。それはボクも頑張りすぎって思う」
「・・・うん。凄く心配」
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