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3章

25.アニキ・・・・・・!!

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「この人です」
「へぇ、、美人だな。確かに」

あれ?後ろにもう一人・・・・・・。
助け・・・・・・?いやでも、服装的に山賊チック・・・。
・・・・・・まさかもう一人の人が仲間を呼んできたんじゃ?僕はみるみるうちに血の気が引いてくらくらしてきた。

「おい、大丈夫か?」

背の高い方の人が片手で僕を支える。
顔は真上の太陽のせいで下からじゃ逆光で見えない。


「ちっ、痛ぇなぁ・・・・・・。どこに――あ、、」
「フーン、、お前ら・・・・・・そう言うことか」
「おい、どうし――ヒエッ!!」

さっきの二人が草陰から出てきて、僕を支えてくれてる人を見るなり僕よりも真っ青――いや、真っ青を通り越して真紫になっている。

「オイ、悪かったな。こいつらが・・・ほれ」

そう言って背の高い人は着ていた上着を僕にかけてくれた。・・・・・・そうだ、僕裸だったんだ・・・。
今更ながら思い出して恥ずかしくなる。

「テイ、こいつを安全なとこへ。・・・そんで、お前らはここで――屍でも晒しとけ」


・・・・・・アニキ・・・・・・・・・・・!!
そう言いたくなるほどイケボで背の高い人は言った。
僕がぽーっと惚けていると――。


ん?遠くで僕を呼んでる声がする・・・・・・。



「ナナーーーーーーーっ!!」

はっ!!ランっ・・・・・・・・・!!

「ちっ、誰か来たな・・・・・・。テイ」
「はいっ!プルルルルッ プルルルルッ プルーフ」
「助けか?」

僕がコクコクと頷くと、背の高い人は僕の頭をわしゃわしゃして「良かったな」とそう言ってテイと呼ばれてた人と、僕を襲った二人を連れて走り去っていった。

テイさんが何かの鳴き真似みたいなのしてた・・・なんだったんだろう・・・・・・・・・。あ、お礼言ってないや。



僕はホッとして上着の中は裸なのに座り込んでしまった。お尻とかに砂がつくけど、、腰が抜けちゃって動けないんだもん!!

「ナナ!!」
「あ、、ラン・・・・・・」
「ごめんねっごめんねっ!!ナナぁっ!!」

ランは僕を見つけると駆け寄って僕を抱き締めた。
・・・・・・泣いてる?

「俺の、、俺のせいだぁ!ナナぁっ!!」
「大丈夫。大丈夫だから、ね?ほぉら、泣かないの」
「だってぇ、、、ごめんなさいっ、ごめん、、」

僕は震える背中を摩ってランが落ち着くのを待った。・・・・・・王子様って強いようで弱いよね・・・。それに泣いてるときは可愛いげあって――ランはもともと可愛いんだけどね~?



落ち着いてきたみたいだ。

「リューが教えてくれたんだけど・・・・・・あれ、、いない?あのね、白いリューが――綺麗なお兄さんのリューがナナの場所を教えてくれたんだけど・・・・・・」

綺麗なお兄さん?のリュー?

「・・・・・・あ、あれっ!?」

ランは何かを見つけたようでそちらに走っていく。
僕もなんとか立てるようになった腰を上げて、ゆっくりとついていく・・・・・・ん?誰か、倒れて――。


「ナナ!!リュー!!リューがっ!!」

そこに倒れていたのは確かに綺麗なお兄さん。淡く白に近いほどのグレーの髪。肌は僕よりも白いんじゃってほど色白で、目許の朱が綺麗で妖艷な雰囲気もある。伏せている睫毛は長い。服装は・・・白いチャイナ服?の平安京バージョンみたいな感じで、服装も全部が白い。
あとは頬にある草みたいなタトゥー。
いや、あれはタトゥーなのかな・・・・・・?
でもランはその美青年をリューと呼んでいる。

「・・・・・・ラン、、リューなの?」
「うん!・・・・・・リューの変身のお陰で理性が戻ったの・・・。でもなんで?」

ランは僕と合流するまでの話を教えてくれた。
リューと合流したときのこと。でもランがなんでバローに乗れたとか、理性を失ってたとか、そんな話は少しうやむやだったけど・・・・・・。

でも――。


「リューを連れて、、とりあえず帰ろっか」

ランも険しい顔をしていたけどコクンと頷いた。
疲れちゃったし、あとは戻ってからだなぁ・・・・・・。
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