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3章

7.天使王子

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歩いても歩いても前は砂漠。後ろも砂漠。
もうどこから来たかなんて忘れちゃったよ・・・。暑いし、暑いし、暑いし、暑い・・・・・・。

グラジェットに歩きだして3時間くらい・・・・・・?
ちゃんと水分補給しながら歩いてます。
あれから何度か『祈り』を使ってるんだけど、何も起きない。成功したのはこの水筒くらいかな?水が永久に減らないんだって。すごいけど・・・・・・問題は暑さだよ。

「リュー~!!」
《暑いですね・・・・・・》

リューも暑さにやられて僕のウエストポーチのサイドポケットに入ってる。動かなくてもやっぱり暑いのは変わらないと言うことだ。
・・・・・・当たり前か。


ヤバイ・・・・・・くらくらしてきた――。

《ナナさん!!》

ん、分かってるよ・・・・・・お水飲むよ・・・。

でも僕のお腹はお水でたぷんたぷんしてる。
これ以上飲めない。


あ、、・・・・・・・・・倒れる。

《――――!!》


くらくらした視界と汗ばんだ顔に砂が張り付いているのは分かる。リューが何か言ってるけど僕はこのとき既に意識を手放してた。













暗い・・・・・・。



暑い・・・・・・ん?涼しい?




頬に当たる風が汗ばんで湿った、重い体に優しい。
少し意識が戻ってきた・・・・・・?


「・・・・・・ねぇ、お姉さん!!お姉さん!!・・・・・・どうしよう。護衛さん!お姉さん、意識無いよぉ~どうしたらいい?え、あっ!うん!・・・・・・お姉さん、ごめんね。今俺のお家に連れてってあげるから。あれ?あ、この子はお姉さんのペットかなぁ?よろしくね~」


ぼやけた視界に天使が見えた気がした・・・・・・。
僕はお姉さんじゃないよー?僕は男だからお兄さんだよ~?・・・・・でも、僕死ぬんだぁ・・・・・・。
僕は再び意識を手放した。










《ナナさん!!ナナさん!!》
「わぁ、トカゲさんお話しできるんだぁ・・・俺ともお話しして~?あっ!お姉さん、目が覚めたんだね!!」

ん?・・・・・・天使・・・ここは天国かぁ・・・・・・。

「今、お医者さん呼んでくるからっ!」

そう言うと天使はタッタッと走って行ってしまった。
天国ってアラビア風なんだね~。

《ナナさん!!良かった・・・・・・》
「あれ?リューも死んじゃったの・・・?」
《・・・・・・はい?》
「ここって、天国ってところだよね?アラビア風で驚いた~。でも死んじゃったら制覇ってどうしたらいいの?」
《ナナさん・・・・・・僕らはまだ生きてます》

え?

「こっちこっち~!!・・・お姉さ~んっお医者さん連れてきた!!トカゲさんも診てもらう?」

さっきの天使が白衣のおじいを連れて、駆け寄ってきた。日に焼けた肌、ぱっちりと開いた大きな目、金色の髪がくるくるしてて愛らしい。
その少年は淡い緑の瞳で、僕ににっこりと笑いかける。・・・・・・やばい、、マジ天使だわぁ。

「お姉さん?」
「あ、えっと・・・・・・僕、男だよ?」
「え?」

その子は顔中で驚いたように表情を変えた。ぱっと目を見開いたかと思うと、ふんわりと笑顔になった。

「じゃあ、お兄さんだねっ!!・・・・・・どこか痛いところある?一応、お顔についてた砂とかは払っておいたよ。あと荷物はここ」

そう言って、僕が寝かされていたベッドの枕元を指差す。ウエストポーチと靴が置かれていた。

「ありがとう・・・・・・、っ」
「あ、まだ頭とか痛いかも?どれくらい倒れてたのかは分からないけど、多分日射病。落ち着くまでは数日休んでた方が良いだろうって、ね?」
「あ、はい。・・・全て言われてしまいましたな。ははっ。私は医者です。私の見解では数日は安静にした方がよろしいでしょう・・・・・・。では失礼致します」

おじいちゃん先生は頭を軽く下げると部屋を出ていった。優しそうなおじいさんだなぁ。僕は一度立ち上がって頭を下げた。
・・・・・・・やっぱり頭痛くて、またベッドに座り込んじゃったけど・・・ベッドがふかふかで気持ちいいし。


「俺はラン・ラ・グラジェット。
グラジェットの第37王子だよ~。突然なんだけど・・・俺、お兄さんのこと好き!!俺のものになって?」

王子様・・・・・・?え、俺のもの?え?
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