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3章

5.トカゲさんと子羊さん

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「ナナさん?あ、、」

悶えていた僕はソヨノの驚いた声でリューの顔色に赤みが差しているのに気がついた。あの薬の小瓶はいつの間にか消えていた。

「リュー!?」
「・・・・・・・・・ぅっ・・・ぁ・・・・・・ナナ、、さん?」
「リュー!!・・・良かった!!大丈夫!?気持ち悪くない?」

リューは何度かパチパチと目を瞬かせると、パッと見開いた。そしてキョロキョロする。

「ソヨノ・・・ありがとう!!」
「え・・・・・・・・・はい・・・・・・」

ソヨノは照れたように笑った。
僕はリューをむぎゅ~っ!!ってする。良かった!!良かった!!

「・・・・・・あ、のっナナさん?あのあとどうなったんですか?僕が倒れちゃったあと」

僕は牢から脱出するまでのことを話した。リューは真剣に聞いていて、時々険しい顔をしては考えていた。

「・・・・・・リュー?神様が言ってたんだけど・・・どうしたの?何で倒れちゃったのか・・・・・・教えてくれない?」
「・・・・・・はい」
「ナナさん。僕は買い出しに行ってきますね?食料とか多めに買ってきます」
「ありがとう・・・・・・」

ソヨノに気を使わせちゃったかな?そう言ってソヨノはまた出掛けていった。ほんとに有り難い。


「・・・・・・妖力切れです。僕の故郷は現にあります・・・と言っても山奥の竹林に囲まれた村です。もともと、現の僕らの種族は――いえ、足立の家は竜族の末裔なんです・・・・・・」
「竜族?」
「はい、竜族は古来から未来予知の能力を受け継いできました。僕が案内人となったのも僕のお姉ちゃんが竜族の巫女だったからです。『この世界に現れる希望の光、神の平原にて』これが、お姉ちゃんが予知したものです」
「・・・・・・・・・それで、妖力切れって?」
「竜族は・・・いえ、現の人間以外の種族はみんな山奥の霊泉の妖力を主として生活しています。もちろん妖力は常にあるので、現以外の国でも生活出来ていたのですが、、突然その妖力が涸渇したのです」

・・・・・・え?

そのあとのリューの話もを要約すると――。
現のリューたちは霊泉の妖力を原動としていて、もちろん他の国にも妖力はあるから今までのリューは大丈夫だった。でも牢で急に妖力が無くなった。
考えられるのは、あの牢に――王宮に変な仕掛けがあったか、霊泉に何かあったか。

と言うことだった。


「霊泉に何かあったとは考えにくいです。・・・何かあればお姉ちゃんがテレパシーで教えてくれますから」
「じゃあ、王宮に?」
「そう考えるのが妥当かと・・・しかし、今も少しずつ妖力が減っているんです・・・・・・。この姿のままではまたご迷惑をおかけするので――」

そう言うとリューは襟元に手を入れて、首にかけていたペンダントを取り出した。
そう言えば、礼服から着替えさせるときにちらっと見えたなぁ。青の中にちかちかと朱が散ってような・・・すごく綺麗で、パワーストーンみたいな石だった。

「――――――!」

リューが何か呪文みたいなのを唱えた。
すると、しゅーっって音がしてリューが消えた。・・・消えた!?いや、よく見たら絨毯の上に白い蛇がいた。あれ?足がある・・・トカゲ?

《ご迷惑をおかけするのでこの姿でいますね》
「えっ・・・・・・リュー!?」
《はい。竜族はイアリアトカゲとも言いまして・・・へへこの姿の方が一般的なんです。僕は直系なので、人型にもなれる稀少種なんですよ?》

おっとー・・・・・・レアなモンスターさんでした。
でも・・・蛇みたいなつるっとした体とちろちろした四つの小さな足が何とも可愛い!!


「ただいま、戻り――」

ドサッ

「おかえり~・・・・・・どうしたの?」

ソヨノが帰ってきたらしい。ソヨノを振りかえると荷物を落としちゃったようで急いで拾っていた。
でも拾えてないのあるよ?

「い、いえ・・・・・・。リューさん・・・は?」

ソヨノがリューを指差して首を傾げた。心なしかソヨノの顔色が悪い気がする。
可愛いケモ耳もぺたっ~ってなってふるふるしてるような・・・・・・可愛い。じゃなかった。

「うん。リューだよ?」
「・・・・・・そ、そうですか・・・」

ソヨノは荷物を積んで馬車に乗り込むと端に座った。
しかも体育座り。

「・・・・・・どうしたの?」
「僕、蛇、苦手・・・・・・っ。す、すみ・・・・・・ダイジョブです!!最後まで、お、お送り、、しましますからっ」

あ、・・・なんかごめんね?
リュー も僕の方に寄ってきてぺこぺこ頭を下げてた。
う~ん・・・震えるソヨノもぺこぺこリューもどっちも可愛い!!
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