魔王の右腕、何本までなら許される?

おとのり

文字の大きさ
上 下
256 / 276
第5章 光の導き

Ver.3/第61話

しおりを挟む
「わかりましたよ!」
 スズコ達の元にチャットが届くと、外にいた4人は急いでハルマの待つ小屋に駆けつけていた。

「どこにあったの!?」
 ほぼ同時に5人がそろったところで、開口一番スズコが声を上げた。
「あ、いや。別に隠されてなかったです。後、まだ途中なので、手伝ってもらえます?」
 狭いスペースに、ひとつだけ置かれていた小さなテーブルに乗せられていたのは、陶器の破片の山だった。
 その側には、いくつか破片が並べられ、文字が記されているのも見える。
「これって……。床に落ちてたやつ?」
 ミコトがハッとしながら、きょろきょろと周囲を見回した。破片は全部拾い切れておらず、あちこちに散乱したまま残っている物もある。
「そうなんですよ。ただの演出オブジェクトだと思ってたけど、素材は陶器っぽいのに、ジグソーパズルですね、これ。あちこち繋げてみたら、さっきのメモに関係しそうな文章が見つかりました」
 比較的大きな破片が繋がる部分があり、それがいくつか塊となって並べられている。それでも全体の3割といったところだろうか。まだまだ何を伝える文章なのか、はっきりとしない。
 何をするかが決まれば、行動に移るのは早かった。
 ただ、ゴリだけは「図体がデカくて邪魔」と、スズコに文句を言われ、泣く泣く外の捜索を再開することになってしまった。
 それでも、残った4人で手分けしてパズルを組み上げていくこと約20分。
 細かいところは残っているが、全体像を把握することはできるようになった。
「えーと? 朝日差す時、一番長い影が伸びる位置を起点とし、時計回りに言葉は並ぶ。何番目のテントであるかを理解したならば、イとロが何であるかわかるだろう。後は、イとロの間を塞ぐ岩を砕くのみ?」
 スズコが代表して読み上げるも、4人とも難しい顔になるだけだった。
「とりあえず、朝になるのを待たないと、かな?」
 サエラは窓を見上げ、星も見えない闇夜が広がっているのを確認する。ハルマがピースを見つけた時には太陽の光が薄っすら差し込んでいたが、再び日が昇るまではもうしばらくかかりそうであった。
 4人は小屋から出ると、まずはテントの数を数えることにした。
「わかったんですか?」
 周囲の捜索を続けていたゴリが、ハルマ達に気づき走り寄ってきた。スズコとミコトが残り説明することになり、残りのふたりでテントを数え始める。

「どうだった?」
「湖を囲むテントだと、26個ですかね? ここ以外にもありました?」
「いや。テントも小屋も、ここ以外にはなかったぞ。なんか、色んな動物のオブジェなら、あちこちにあったけど」
「あー。猫とか蟷螂とか、かわいいのが一杯あるよね」
「蟷螂もかわいい? まあ、いいわ。とりあえず、26個ってことは、シンプルにアルファベットでしょうね。うん。見えてきた」
「だね」
 しばらく待機していると、空が白んできた。この世界の1日は72分。夏至も冬至もないので、いつでも36分ごとに昼夜が入れ替わる。つまり、毎日同じところから陽が昇るわけだ。
 カルデラの淵はなだらかだが、朝日が昇る方角に1か所だけぴょこんと飛び出した場所がある。その影が湖を突っ切り、ハルマ達が待つ小屋の近くのテントを指し示した。
「あそこは『緑の本棚を置いてあるテント』だ。ってことは、イ-③はAってことね」
 26個あるテントのひとつひとつにアルファベットが振り分けられており、メモはそれを示していたと推理したわけだが、ずばり的中だったらしい。
 スズコの発言を皮切りに、メモに記されていたテントが何番目で、どのアルファベットなのかを把握していく。
「つまり? イがWHALEで、ロがFROGってことね」
 スズコのまとめを耳にして、今度はゴリが声を上げていた。
「先輩! クジラとカエルなら、あっちの崖に彫ってありましたよ」
 なぜだか大柄なゴリの姿が尻尾を振りまく健気な子犬に見えたのは、ハルマだけではなかっただろう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...