248 / 276
第5章 光の導き
Ver.3/第53話
しおりを挟む
「あー、いたいた。ハル君、連れてきたよ」
サエラ達に物件を案内し、調整が必要なところに手を加えていると、今度はスズコがやって来た。
ミコトとゴリも一緒なのはいつも通りだが、今日は、新顔もふたりいた。
「やっほー、ハル坊。来たよ」
ひとりは、スズコとミコトの同期であるナツキ。こちらは初期からプレーしているのだが、リアルが忙しく、月に2~3度しかインしないため、9カ月経っているのにユキチと同じくらいしか育っていない。むしろ、ユキチに追い越されているほどである。
ただ、この春からは時間に余裕ができるらしく、本格的に参戦することになったため、つい先日フレンド登録を行っていた。
「どうもっす! お邪魔するっす」
完全な新顔であるのは、今年スズコ達の通う大学に入学したノジローだ。
会うのは初めてだが、フレンド登録だけは専用サイトを介して行っていた。
「お!? ついにゴリさんにも後輩ができたんですね。先輩風吹かせてますか!?」
挨拶を終えると、ユキチが愉快気に告げていた。
「いやー。ゴリ先輩は、どちらかといえば、防波堤ならぬ防風堤っすよ。心躍る冒険が待ってるって触れ込みで入ったのに、これっすから」
「何言ってるのよ!? 我ら探検部の活動は未知なる世界を冒険することよ? 毎日、冒険楽しんでるでしょうが」
「いや、そうっすけど……。夏はダイビングにキャンプ、冬は雪山登山、四季折々の世界を堪能しながら、見識を広げ、親睦を深めるって話だったじゃないっすか」
「失礼ね。嘘はひとつもついてないわよ? 昨日も冬山登山したじゃない」
「それ、知恵と力が封じられし遺跡までの移動っすよね!? ただのレベリングっすよね!?」
「おかげでレベル上がったでしょ?」
「上がったっすけどお……」
「諦めろ、ノジロー。スズコの魔の手からは逃れられないんだ。楽しんだ方が賢明だぞ?」
胡乱な目つきでスズコを見つめるノジローに、ナツキが諭す。実のところ、ナツキもスズコに言いくるめられて始めた口である。
とはいえ、騙されて探検部に入ったような部分はあっても、元々ノジローもGreenhorn-onlineに興味はあったため、以前からハードウェアは所持しており、嫌々ながら参加しているわけではないようだ。
スズコ達のパーティとサエラ達のパーティも挨拶が終わり、ナツキとノジローの拠点も決まった。
なんだかんだ言いながら、ナツキとノジローの拠点を造るために必要な素材は、スズコが全て提供しているのだ。
「ここの住人も、増えたわねえ」
今回の増員で、プレイヤーの住人だけでも15人になっていた。
グダ達も誘ってみたのだが、彼らはモヤシと意気投合したため、モヤシの作る村を拠点にする予定らしい。
「スズねえ。今のところ、他に知り合いが来る予定はないよね?」
「ん? そうだね。ノジロー以外、新入生捕まえられてないから、今のところは、これ以上増える予定はないかな」
「了解です。サエラさん達も、知り合いを呼びたい時は早めに言ってくださいね。人数に上限あるので」
「んー。わたし達も、これ以上知り合いは呼ばないかな? わたし、人間関係で失敗したから今のプレースタイルになったところあるから……。このくらいが心地いいかも」
「あー、なるほど。増やし過ぎるのも問題あるかもですね。わかりました。俺も、これ以上はなるべく増やさない方向でやっていきますね」
「ああ、でも、あんまり気にし過ぎないでね。ハルマ君の村なんだから」
「ハハハ。了解です」
「さて、じゃあ、メインイベントが終わったことだし、行こうか」
村の拡張に関する話が終わったところで、スズコが切り出した。
実は、スズコがこの日やって来たのは、ナツキとノジローの拠点を登録することだけが目的ではなかったのである。
「あれ? もしかして、これからどこか出かけるの?」
もう少し世間話でも続けたそうだったサエラだったが、急な展開に声をかける。
「ああ。実は、前々から探してるものがあって、スズねえが心当たりがあるっていうので、連れて行ってもらうことになってるんですよ」
「そうなんだ」
「ええ。ハル君が、テント系のレシピ探してるっていうから、オンソンを案内するの。あそこのエリアボス、ハル君とは相性良くなさそうだから」
「闇の大陸のオンソンか……。ねえ? わたしも行ったことないから、一緒に行ってもいいかな? 3人は、この後みんな用事があるらしくて、ちょうど手が空いてたのよね」
「え!? いいの? こちらこそ、ぜひお願い。ナツキとノジローじゃ、ちょっとレベルが足らないから、連れて行くわけにもいかなくて、不安だったのよね。もしかしたらハル君が瞬殺しちゃうかもしれないけど、心強いわ」
こうして、ハルマ、スズコパーティの3人、サエラという5人組で出発することになるのだった。
サエラ達に物件を案内し、調整が必要なところに手を加えていると、今度はスズコがやって来た。
ミコトとゴリも一緒なのはいつも通りだが、今日は、新顔もふたりいた。
「やっほー、ハル坊。来たよ」
ひとりは、スズコとミコトの同期であるナツキ。こちらは初期からプレーしているのだが、リアルが忙しく、月に2~3度しかインしないため、9カ月経っているのにユキチと同じくらいしか育っていない。むしろ、ユキチに追い越されているほどである。
ただ、この春からは時間に余裕ができるらしく、本格的に参戦することになったため、つい先日フレンド登録を行っていた。
「どうもっす! お邪魔するっす」
完全な新顔であるのは、今年スズコ達の通う大学に入学したノジローだ。
会うのは初めてだが、フレンド登録だけは専用サイトを介して行っていた。
「お!? ついにゴリさんにも後輩ができたんですね。先輩風吹かせてますか!?」
挨拶を終えると、ユキチが愉快気に告げていた。
「いやー。ゴリ先輩は、どちらかといえば、防波堤ならぬ防風堤っすよ。心躍る冒険が待ってるって触れ込みで入ったのに、これっすから」
「何言ってるのよ!? 我ら探検部の活動は未知なる世界を冒険することよ? 毎日、冒険楽しんでるでしょうが」
「いや、そうっすけど……。夏はダイビングにキャンプ、冬は雪山登山、四季折々の世界を堪能しながら、見識を広げ、親睦を深めるって話だったじゃないっすか」
「失礼ね。嘘はひとつもついてないわよ? 昨日も冬山登山したじゃない」
「それ、知恵と力が封じられし遺跡までの移動っすよね!? ただのレベリングっすよね!?」
「おかげでレベル上がったでしょ?」
「上がったっすけどお……」
「諦めろ、ノジロー。スズコの魔の手からは逃れられないんだ。楽しんだ方が賢明だぞ?」
胡乱な目つきでスズコを見つめるノジローに、ナツキが諭す。実のところ、ナツキもスズコに言いくるめられて始めた口である。
とはいえ、騙されて探検部に入ったような部分はあっても、元々ノジローもGreenhorn-onlineに興味はあったため、以前からハードウェアは所持しており、嫌々ながら参加しているわけではないようだ。
スズコ達のパーティとサエラ達のパーティも挨拶が終わり、ナツキとノジローの拠点も決まった。
なんだかんだ言いながら、ナツキとノジローの拠点を造るために必要な素材は、スズコが全て提供しているのだ。
「ここの住人も、増えたわねえ」
今回の増員で、プレイヤーの住人だけでも15人になっていた。
グダ達も誘ってみたのだが、彼らはモヤシと意気投合したため、モヤシの作る村を拠点にする予定らしい。
「スズねえ。今のところ、他に知り合いが来る予定はないよね?」
「ん? そうだね。ノジロー以外、新入生捕まえられてないから、今のところは、これ以上増える予定はないかな」
「了解です。サエラさん達も、知り合いを呼びたい時は早めに言ってくださいね。人数に上限あるので」
「んー。わたし達も、これ以上知り合いは呼ばないかな? わたし、人間関係で失敗したから今のプレースタイルになったところあるから……。このくらいが心地いいかも」
「あー、なるほど。増やし過ぎるのも問題あるかもですね。わかりました。俺も、これ以上はなるべく増やさない方向でやっていきますね」
「ああ、でも、あんまり気にし過ぎないでね。ハルマ君の村なんだから」
「ハハハ。了解です」
「さて、じゃあ、メインイベントが終わったことだし、行こうか」
村の拡張に関する話が終わったところで、スズコが切り出した。
実は、スズコがこの日やって来たのは、ナツキとノジローの拠点を登録することだけが目的ではなかったのである。
「あれ? もしかして、これからどこか出かけるの?」
もう少し世間話でも続けたそうだったサエラだったが、急な展開に声をかける。
「ああ。実は、前々から探してるものがあって、スズねえが心当たりがあるっていうので、連れて行ってもらうことになってるんですよ」
「そうなんだ」
「ええ。ハル君が、テント系のレシピ探してるっていうから、オンソンを案内するの。あそこのエリアボス、ハル君とは相性良くなさそうだから」
「闇の大陸のオンソンか……。ねえ? わたしも行ったことないから、一緒に行ってもいいかな? 3人は、この後みんな用事があるらしくて、ちょうど手が空いてたのよね」
「え!? いいの? こちらこそ、ぜひお願い。ナツキとノジローじゃ、ちょっとレベルが足らないから、連れて行くわけにもいかなくて、不安だったのよね。もしかしたらハル君が瞬殺しちゃうかもしれないけど、心強いわ」
こうして、ハルマ、スズコパーティの3人、サエラという5人組で出発することになるのだった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
高校では誰とも関わらず平穏に過ごしたい陰キャぼっち、美少女たちのせいで実はハイスペックなことが発覚して成りあがってしまう
電脳ピエロ
恋愛
中学時代の経験から、五十嵐 純二は高校では誰とも関わらず陰キャぼっちとして学校生活を送りたいと思っていた。
そのため入学試験でも実力を隠し、最底辺としてスタートした高校生活。
しかし純二の周りには彼の実力隠しを疑う同級生の美少女や、真の実力を知る謎の美人教師など、平穏を脅かす存在が現れ始め……。
「俺は絶対に平穏な高校生活を守り抜く」
そんな純二の願いも虚しく、彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて純二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
実力を隠して平穏に過ごしたい実はハイスペックな陰キャぼっち VS 彼の真の実力を暴きたい美少女たち。
彼らの心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
陽キャグループを追放されたので、ひとりで気ままに大学生活を送ることにしたんだが……なぜか、ぼっちになってから毎日美女たちが話しかけてくる。
電脳ピエロ
恋愛
藤堂 薫は大学で共に行動している陽キャグループの男子2人、大熊 快児と蜂羽 強太から理不尽に追い出されてしまう。
ひとりで気ままに大学生活を送ることを決める薫だったが、薫が以前関わっていた陽キャグループの女子2人、七瀬 瑠奈と宮波 美緒は男子2人が理不尽に薫を追放した事実を知り、彼らと縁を切って薫と積極的に関わろうとしてくる。
しかも、なぜか今まで関わりのなかった同じ大学の美女たちが寄ってくるようになり……。
薫を上手く追放したはずなのにグループの女子全員から縁を切られる性格最悪な男子2人。彼らは瑠奈や美緒を呼び戻そうとするがことごとく無視され、それからも散々な目にあって行くことになる。
やがて自分たちが女子たちと関われていたのは薫のおかげだと気が付き、グループに戻ってくれと言うがもう遅い。薫は居心地のいいグループで楽しく大学生活を送っているのだから。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる