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第5章 光の導き

Ver.3/第53話

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「あー、いたいた。ハル君、連れてきたよ」
 サエラ達に物件を案内し、調整が必要なところに手を加えていると、今度はスズコがやって来た。
 ミコトとゴリも一緒なのはいつも通りだが、今日は、新顔もふたりいた。
「やっほー、ハル坊。来たよ」
 ひとりは、スズコとミコトの同期であるナツキ。こちらは初期からプレーしているのだが、リアルが忙しく、月に2~3度しかインしないため、9カ月経っているのにユキチと同じくらいしか育っていない。むしろ、ユキチに追い越されているほどである。
 ただ、この春からは時間に余裕ができるらしく、本格的に参戦することになったため、つい先日フレンド登録を行っていた。
「どうもっす! お邪魔するっす」
 完全な新顔であるのは、今年スズコ達の通う大学に入学したノジローだ。
 会うのは初めてだが、フレンド登録だけは専用サイトを介して行っていた。
「お!? ついにゴリさんにも後輩ができたんですね。先輩風吹かせてますか!?」
 挨拶を終えると、ユキチが愉快気に告げていた。
「いやー。ゴリ先輩は、どちらかといえば、防波堤ならぬ防風堤っすよ。心躍る冒険が待ってるって触れ込みで入ったのに、これっすから」
「何言ってるのよ!? 我ら探検部の活動は未知なる世界を冒険することよ? 毎日、冒険楽しんでるでしょうが」
「いや、そうっすけど……。夏はダイビングにキャンプ、冬は雪山登山、四季折々の世界を堪能しながら、見識を広げ、親睦を深めるって話だったじゃないっすか」
「失礼ね。嘘はひとつもついてないわよ? 昨日も冬山登山したじゃない」
「それ、知恵と力が封じられし遺跡までの移動っすよね!? ただのレベリングっすよね!?」
「おかげでレベル上がったでしょ?」
「上がったっすけどお……」
「諦めろ、ノジロー。スズコの魔の手からは逃れられないんだ。楽しんだ方が賢明だぞ?」
 胡乱な目つきでスズコを見つめるノジローに、ナツキが諭す。実のところ、ナツキもスズコに言いくるめられて始めた口である。
 とはいえ、騙されて探検部に入ったような部分はあっても、元々ノジローもGreenhorn-onlineに興味はあったため、以前からハードウェアは所持しており、嫌々ながら参加しているわけではないようだ。
 スズコ達のパーティとサエラ達のパーティも挨拶が終わり、ナツキとノジローの拠点も決まった。
 なんだかんだ言いながら、ナツキとノジローの拠点を造るために必要な素材は、スズコが全て提供しているのだ。
「ここの住人も、増えたわねえ」
 今回の増員で、プレイヤーの住人だけでも15人になっていた。
 グダ達も誘ってみたのだが、彼らはモヤシと意気投合したため、モヤシの作る村を拠点にする予定らしい。
「スズねえ。今のところ、他に知り合いが来る予定はないよね?」
「ん? そうだね。ノジロー以外、新入生捕まえられてないから、今のところは、これ以上増える予定はないかな」
「了解です。サエラさん達も、知り合いを呼びたい時は早めに言ってくださいね。人数に上限あるので」
「んー。わたし達も、これ以上知り合いは呼ばないかな? わたし、人間関係で失敗したから今のプレースタイルになったところあるから……。このくらいが心地いいかも」 
「あー、なるほど。増やし過ぎるのも問題あるかもですね。わかりました。俺も、これ以上はなるべく増やさない方向でやっていきますね」
「ああ、でも、あんまり気にし過ぎないでね。ハルマ君の村なんだから」
「ハハハ。了解です」
「さて、じゃあ、メインイベントが終わったことだし、行こうか」
 村の拡張に関する話が終わったところで、スズコが切り出した。
 実は、スズコがこの日やって来たのは、ナツキとノジローの拠点を登録することだけが目的ではなかったのである。
「あれ? もしかして、これからどこか出かけるの?」
 もう少し世間話でも続けたそうだったサエラだったが、急な展開に声をかける。
「ああ。実は、前々から探してるものがあって、スズねえが心当たりがあるっていうので、連れて行ってもらうことになってるんですよ」
「そうなんだ」
「ええ。ハル君が、テント系のレシピ探してるっていうから、オンソンを案内するの。あそこのエリアボス、ハル君とは相性良くなさそうだから」
「闇の大陸のオンソンか……。ねえ? わたしも行ったことないから、一緒に行ってもいいかな? 3人は、この後みんな用事があるらしくて、ちょうど手が空いてたのよね」
「え!? いいの? こちらこそ、ぜひお願い。ナツキとノジローじゃ、ちょっとレベルが足らないから、連れて行くわけにもいかなくて、不安だったのよね。もしかしたらハル君が瞬殺しちゃうかもしれないけど、心強いわ」
 こうして、ハルマ、スズコパーティの3人、サエラという5人組で出発することになるのだった。
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