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第4章 不落魔王ここにあり
Ver.3/第49話
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「ふわぁああ……」
マリーがあんぐり口を開け、見上げながら声がこぼれた。
長老樹の時と違い、古老樹の再生には水が必要なかった。
不思議な肥料を使い終えると、すぐに効果が現れ、周囲に変化が起こり始める。
「こりゃ、また……」
メキメキと木のしなる音が響き、古老樹のしな垂れていた枝が活力を取り戻すのを眺め、モカも嘆息と共に声を漏らす。
淀んだ色合いの樹皮も鮮やかさを取り戻すと、枝の先の方から蕾が膨らみ始めたかと思ったら、ポンという音が聞こえてくるほどの速度で花が開き始めていた。
単発だった炸裂音も、すぐにいくつも連なり始め、数千発の花火が打ち上がっているかのような大音響となっていた。
そして、しばらくそのまま待っていると、不意に静寂に包まれた。
「すごい……」
誰がつぶやいたのかもわからなかった。もしかしたら、全員が口にしていたのかもしれない。
見上げた古老樹に、満開の花びらが咲き誇っているからだ。
『EXクエスト/古老樹の再生をクリアしました』
『報酬として、不思議なサクランボを手に入れました』
「ふぁ?」
突然のアナウンスに驚いたのは、ハルマだけではなかった。
「何、これ?」
ユキチも思わぬ報酬にびっくりしている。
「なになに? 神聖な桜の古老樹から採れる生命力に満ちた桜桃。食べると、HPかMPにのみ振り直し自由なステータスポイントを3得る? え!?」
モカがテキストを読み上げると、その場の全員が「え!?」と、固まっていた。
「ナニコレ! ナニコレ! やだ、怖い!」
想像以上にレアなアイテムに、サエラはキャラ崩壊気味に狼狽えてしまう。
しかし、彼女の反応に、冷ややかな目を向ける者はいなかった。さすがに、初心者であっても、これが異常なアイテムであることが理解できたからだ。
ステータスポイントが増えるだけでも、レベルアップに近い効果があるというのに、それが限定的とはいえ自由に振り替えられるとあっては、思考が追いつかなくなるのも無理はなかった。
「ま、まあ、たった3ポイントですから……」
ステータス上では誤差みたいな範囲であることが、唯一の救いであろう。
「そ、そうですね」
「いやー。それにしても、こんなアイテムあるとは……。もしかしたら、これから先、こういうアイテム増えるのかな?」
サエラが少し落ち着いたところで、ユキチが考察する。
「そうね。そうかもね。20から30ポイントくらいは、相手に合わせて微調整できる幅を用意してくれる可能性はあるかも……。それにしても、出会ってからちょっとの間に、ハルマさんには驚かされ過ぎですよ。心臓に悪い」
サエラの言葉に、周囲は大きく頷いていた。
「あ? え? あ、あははははは……」
そんなつもりは毛頭ないのだが、心当たりがあるせいで、頭をかきながら笑うことしかできないのだった。
マリーがあんぐり口を開け、見上げながら声がこぼれた。
長老樹の時と違い、古老樹の再生には水が必要なかった。
不思議な肥料を使い終えると、すぐに効果が現れ、周囲に変化が起こり始める。
「こりゃ、また……」
メキメキと木のしなる音が響き、古老樹のしな垂れていた枝が活力を取り戻すのを眺め、モカも嘆息と共に声を漏らす。
淀んだ色合いの樹皮も鮮やかさを取り戻すと、枝の先の方から蕾が膨らみ始めたかと思ったら、ポンという音が聞こえてくるほどの速度で花が開き始めていた。
単発だった炸裂音も、すぐにいくつも連なり始め、数千発の花火が打ち上がっているかのような大音響となっていた。
そして、しばらくそのまま待っていると、不意に静寂に包まれた。
「すごい……」
誰がつぶやいたのかもわからなかった。もしかしたら、全員が口にしていたのかもしれない。
見上げた古老樹に、満開の花びらが咲き誇っているからだ。
『EXクエスト/古老樹の再生をクリアしました』
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「ふぁ?」
突然のアナウンスに驚いたのは、ハルマだけではなかった。
「何、これ?」
ユキチも思わぬ報酬にびっくりしている。
「なになに? 神聖な桜の古老樹から採れる生命力に満ちた桜桃。食べると、HPかMPにのみ振り直し自由なステータスポイントを3得る? え!?」
モカがテキストを読み上げると、その場の全員が「え!?」と、固まっていた。
「ナニコレ! ナニコレ! やだ、怖い!」
想像以上にレアなアイテムに、サエラはキャラ崩壊気味に狼狽えてしまう。
しかし、彼女の反応に、冷ややかな目を向ける者はいなかった。さすがに、初心者であっても、これが異常なアイテムであることが理解できたからだ。
ステータスポイントが増えるだけでも、レベルアップに近い効果があるというのに、それが限定的とはいえ自由に振り替えられるとあっては、思考が追いつかなくなるのも無理はなかった。
「ま、まあ、たった3ポイントですから……」
ステータス上では誤差みたいな範囲であることが、唯一の救いであろう。
「そ、そうですね」
「いやー。それにしても、こんなアイテムあるとは……。もしかしたら、これから先、こういうアイテム増えるのかな?」
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「そうね。そうかもね。20から30ポイントくらいは、相手に合わせて微調整できる幅を用意してくれる可能性はあるかも……。それにしても、出会ってからちょっとの間に、ハルマさんには驚かされ過ぎですよ。心臓に悪い」
サエラの言葉に、周囲は大きく頷いていた。
「あ? え? あ、あははははは……」
そんなつもりは毛頭ないのだが、心当たりがあるせいで、頭をかきながら笑うことしかできないのだった。
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