235 / 276
第4章 不落魔王ここにあり
Ver.3/第40話
しおりを挟む
ハンゾウとピインが増えたことで、シャムの上に全員乗るには少々手狭になってきた。そこで、道中はズキンがカラスになって、ハルマの肩の上で待機することになった。
コナに揺られるモカを先頭に、〈大魔王イベント〉の中間発表のことを話しながら移動していく。
ユキチは、ハルマとモカの両方に出て欲しいと思っているようだが、モカもあまり興味はないようだった。
この辺は、出会った頃から変わらず、最強を目指すというよりも、ただただ思う存分暴れられればそれで良いというスタンスであるらしい。
「ぼくが聞いた話だと、森の中じゃなくて草原に出るらしいよ?」
ウィンドレッドを抜けギャズエルに到着すると、ユキチに教えられる。
「あ!? そうなんだ? ピインが森の中にいたから、イースター・バニーも同じかと思ってたわ。そう言えば、新規プレイヤー向けなんだから、見晴らしの悪い場所に配置するはずないか……」
転移オーブを使っての移動ではなかったため、ギャズエルに入っても込み合っている雰囲気はなかった。
それでも時折、新規プレイヤーと思しき集団が、エリアボスを抜けて来ては歓喜の声を上げている。
そういった集団の邪魔にならないように、そそくさと移動を再開させ、エリア中央に広がる草原地帯を目指すことになった。
「じゃあ、手分けして探そうか?」
草原地帯に到着すると、ユキチから提案される。
「オッケー。あ、でも、どうしよう? パーティ組んだままでいいのかな?」
ハルマもモカも単独行動には慣れている。ユキチも基本はソロプレイヤーであるものの、ふたりと比べるとまだまだの部分も多い。
ただ、今回パーティを組んでいるのは、ユキチの借りているテイムモンスターが騎乗できるタイプではなかったため、トワネに乗る権限を与えることが目的だった。
ハルマの仲間を分散して動かすにも限度がある。基本的にハルマの付属品に近い扱いであるため、離れすぎると瞬間移動でハルマの所まで戻ってきてしまうのだ。
「そっか。トワネちゃんに乗って探すとなると、ハル君からあんまり離れられないのか……。この辺のモンスターなら、ぼくひとりでも大丈夫だろうけど、念のために解散して、サポキャラとサポモン出しておこうか。ふたりと違って、普通にイースターエッグも集めたいし」
ユキチのレベルは、すでにハルマと同じ31にまで上がっている。しかし、スキルや装備品は初心者の域を出ていないため、戦闘力という意味では頼りなさが残っているのだ。
そのため、現在、ユキチが主に行っていることは金策であった。
手持ちの所持金でもそれなりの装備品をそろえられるのだが、出回っている中級装備は飛ばして、上級装備を狙っているため、効果の低い部位は初期装備のままなのだ。しかし、そういった部分を上手く補助してくれるのがサポートNPCであり、サポートモンスターであった。
こうして3人別行動となって、広い草原地帯を捜索することになった。
コナに揺られるモカを先頭に、〈大魔王イベント〉の中間発表のことを話しながら移動していく。
ユキチは、ハルマとモカの両方に出て欲しいと思っているようだが、モカもあまり興味はないようだった。
この辺は、出会った頃から変わらず、最強を目指すというよりも、ただただ思う存分暴れられればそれで良いというスタンスであるらしい。
「ぼくが聞いた話だと、森の中じゃなくて草原に出るらしいよ?」
ウィンドレッドを抜けギャズエルに到着すると、ユキチに教えられる。
「あ!? そうなんだ? ピインが森の中にいたから、イースター・バニーも同じかと思ってたわ。そう言えば、新規プレイヤー向けなんだから、見晴らしの悪い場所に配置するはずないか……」
転移オーブを使っての移動ではなかったため、ギャズエルに入っても込み合っている雰囲気はなかった。
それでも時折、新規プレイヤーと思しき集団が、エリアボスを抜けて来ては歓喜の声を上げている。
そういった集団の邪魔にならないように、そそくさと移動を再開させ、エリア中央に広がる草原地帯を目指すことになった。
「じゃあ、手分けして探そうか?」
草原地帯に到着すると、ユキチから提案される。
「オッケー。あ、でも、どうしよう? パーティ組んだままでいいのかな?」
ハルマもモカも単独行動には慣れている。ユキチも基本はソロプレイヤーであるものの、ふたりと比べるとまだまだの部分も多い。
ただ、今回パーティを組んでいるのは、ユキチの借りているテイムモンスターが騎乗できるタイプではなかったため、トワネに乗る権限を与えることが目的だった。
ハルマの仲間を分散して動かすにも限度がある。基本的にハルマの付属品に近い扱いであるため、離れすぎると瞬間移動でハルマの所まで戻ってきてしまうのだ。
「そっか。トワネちゃんに乗って探すとなると、ハル君からあんまり離れられないのか……。この辺のモンスターなら、ぼくひとりでも大丈夫だろうけど、念のために解散して、サポキャラとサポモン出しておこうか。ふたりと違って、普通にイースターエッグも集めたいし」
ユキチのレベルは、すでにハルマと同じ31にまで上がっている。しかし、スキルや装備品は初心者の域を出ていないため、戦闘力という意味では頼りなさが残っているのだ。
そのため、現在、ユキチが主に行っていることは金策であった。
手持ちの所持金でもそれなりの装備品をそろえられるのだが、出回っている中級装備は飛ばして、上級装備を狙っているため、効果の低い部位は初期装備のままなのだ。しかし、そういった部分を上手く補助してくれるのがサポートNPCであり、サポートモンスターであった。
こうして3人別行動となって、広い草原地帯を捜索することになった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。


【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる