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第4章 不落魔王ここにあり
Ver.3/第39話
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行き先は、ウィンドレッドの隣のエリア、ギャズエルに決まった。
とはいえ、イースター・バニーがどこで出るかは不明な点も多いため、転移せずにスタンプの村から直接移動することになった。
「ぼくも早く騎乗できるテイムモンスター欲しいなあ」
モカが相棒のティラノビーストのコナに騎乗し、ハルマもヒュージシャドースライムのシャムに乗り込んだところで、ユキチが羨ましそうにつぶやいた。
「ハハハ。こればかりは運だからね。でも、タロットカード集めは順調なんだろ?」
ユキチ用にトワネを用意しながら問いかける。
「そうだけどお……。ハル君がトワネちゃん手に入れたの、ゲーム始めて1週間くらいだったんでしょ? ぼくが始めて、もう2週間以上だよ? 改めてハル君のエグさが分かってきたよ」
ユキチの思わぬ反応に微苦笑を浮かべるしかない。確かに、2週間というタイミングでの話となると、レベルに関しては今のユキチの方がはるかに成長しているが、トワネどころか、ズキンまで居座り始めた時期である。
加えて言えば、NPCだけでなく、MPポーションの作製も軌道に乗り、スタンプの村の開拓も終わっている頃だ。
「それは……、たまたまだから……。ところで、モカさんは始めて2週間くらいって、どんなプレーしてたんですか?」
我ながら規格外だと自覚できるようになっているため、話を逸らす。
「んー? うち? その頃はたぶん、エリアボスに戦いを挑んでは死にまくってたかな? あ、いや、ちょうど初めてエリアボス倒した頃だね。懐かしいなー。これから向かう関所のボスだよ」
「「え!? 意外」」
「そお? うち、ゲームってあんまりやってこなかったから、勝手がわからなくてね。レベルの概念もよくわからない内から、とにかく全力で暴れたくて、エリアボスに戦いを挑みに行ったわけよ。そりゃ、当然、勝てるはずもないんだけど。負けても負けても同じエリアボスにだけ挑戦し続けてたら、何か色々スキル覚えて……。その時だっけな? 〈デュラハン〉覚えたの。違うか? エリアボスに勝った時に取得したんだっけ? それも違うか? あの頃に取ったのは取ったんだけどな。どのタイミングだったっけな?」
「え? ちょっと待ってください。その話ぶりだと、ゲーム始めて最初に戦ったのが、エリアボス?」
「そうだよ? っていうか、エリアボスに勝つまで、レベルが上がるシステム知らなかったもん」
「は!? え? レベル1で、エリアボスに勝ったってことですか!? ここのエリアボスって、まあまあ強い方だったはずじゃ?」
疑問に対する答えを聞いて、更に疑問が生じたのはユキチも同様だった。
「いやー、勝てちゃうもんだよねえ。にゃっはっはっは。ああ、でも、レベルを上げると強くなるってわかってからは、ちゃんとレベル上げもやってるよ? まあ、本腰を入れてレベリングするのは苦手だけど」
モカの屈託のない笑顔を見つめ、ユキチは死んだ魚のような目になっていた。
ハルマも、モカのことを非常識扱いできない自覚があるため、下手に慰めることもできず「な、なんか……、ごめん」と、視線を逸らしながら告げることしかできないのだった。
とはいえ、イースター・バニーがどこで出るかは不明な点も多いため、転移せずにスタンプの村から直接移動することになった。
「ぼくも早く騎乗できるテイムモンスター欲しいなあ」
モカが相棒のティラノビーストのコナに騎乗し、ハルマもヒュージシャドースライムのシャムに乗り込んだところで、ユキチが羨ましそうにつぶやいた。
「ハハハ。こればかりは運だからね。でも、タロットカード集めは順調なんだろ?」
ユキチ用にトワネを用意しながら問いかける。
「そうだけどお……。ハル君がトワネちゃん手に入れたの、ゲーム始めて1週間くらいだったんでしょ? ぼくが始めて、もう2週間以上だよ? 改めてハル君のエグさが分かってきたよ」
ユキチの思わぬ反応に微苦笑を浮かべるしかない。確かに、2週間というタイミングでの話となると、レベルに関しては今のユキチの方がはるかに成長しているが、トワネどころか、ズキンまで居座り始めた時期である。
加えて言えば、NPCだけでなく、MPポーションの作製も軌道に乗り、スタンプの村の開拓も終わっている頃だ。
「それは……、たまたまだから……。ところで、モカさんは始めて2週間くらいって、どんなプレーしてたんですか?」
我ながら規格外だと自覚できるようになっているため、話を逸らす。
「んー? うち? その頃はたぶん、エリアボスに戦いを挑んでは死にまくってたかな? あ、いや、ちょうど初めてエリアボス倒した頃だね。懐かしいなー。これから向かう関所のボスだよ」
「「え!? 意外」」
「そお? うち、ゲームってあんまりやってこなかったから、勝手がわからなくてね。レベルの概念もよくわからない内から、とにかく全力で暴れたくて、エリアボスに戦いを挑みに行ったわけよ。そりゃ、当然、勝てるはずもないんだけど。負けても負けても同じエリアボスにだけ挑戦し続けてたら、何か色々スキル覚えて……。その時だっけな? 〈デュラハン〉覚えたの。違うか? エリアボスに勝った時に取得したんだっけ? それも違うか? あの頃に取ったのは取ったんだけどな。どのタイミングだったっけな?」
「え? ちょっと待ってください。その話ぶりだと、ゲーム始めて最初に戦ったのが、エリアボス?」
「そうだよ? っていうか、エリアボスに勝つまで、レベルが上がるシステム知らなかったもん」
「は!? え? レベル1で、エリアボスに勝ったってことですか!? ここのエリアボスって、まあまあ強い方だったはずじゃ?」
疑問に対する答えを聞いて、更に疑問が生じたのはユキチも同様だった。
「いやー、勝てちゃうもんだよねえ。にゃっはっはっは。ああ、でも、レベルを上げると強くなるってわかってからは、ちゃんとレベル上げもやってるよ? まあ、本腰を入れてレベリングするのは苦手だけど」
モカの屈託のない笑顔を見つめ、ユキチは死んだ魚のような目になっていた。
ハルマも、モカのことを非常識扱いできない自覚があるため、下手に慰めることもできず「な、なんか……、ごめん」と、視線を逸らしながら告げることしかできないのだった。
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