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第3章 兎追いし
Ver.3/第33話
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光の大陸カサロストイ地方。
ハロウィンイベントの時に、チップとスズコのパーティに加え、モカも合わせて8人で探索したエリアである。当時は難易度の高いエリアであったため、行き交うプレイヤーも少なかったが、それは今でも大きく変わっていなかった。
このエリアに入れるプレイヤーは大幅に増加しているのだが、ロシャロカ同様、テイムモンスターの育成には不向きなためである。
また、イベントでイースターエッグを探すにしても、もっと手軽に探せるエリアを選択する者が多いのだろう。
「ハロウィンの時みたいに、素材集めながらイースターエッグ探すとするか」
あの時は頼れる仲間とパーティを組んでいたが、今回はひとりである。
しかし、あの時でもラフ、ズキン、ヤタジャオースと戦力には困っていなかったというのに、ニノエ、シャム、ハンゾウと、更に戦力は増えているため、いざ戦闘になったとしても、そうそう困るようなことにはならないであろう。
ズキン、ニノエに加えて、ハンゾウも加わったことで、パッと見、NPCだらけの集団とは気づかれない。
ハンゾウの服装はまだ専用のものは準備できていなかったので、ハルマの魔王バージョンをそのままコピーしている。それでも、このコスプレをしている者は以前にも増して多くなっているので、取り立てて目立つこともないだろう。
今回は、イースターエッグの回収も目的のひとつであるため、トワネにもシャムにも乗らず、徒歩で移動することにしていた。
「ハルマ。良い天気だねえ」
「そうだなー」
「こんなに気持ちの良い空の下を、再び歩ける日が来るとは思っていませんでしたから、体がないことが残念でなりません」
「ヤタジャオースみたいに、依代にした体も動かせたら良かったんですけどね」
「ヤタジャオース様は、邪竜とはいっても、もともと神に近い存在ですからね。魂が持つエネルギーが桁外れなのですよ」
マリーはいつも通り、誰の目も気にせず、実際、ハルマの身内以外に気づかれることもないため、勝手気ままに動き回っては、時折誰かれ構わず話しかける。今ではこれにエルシアも参加するようになり、本格的にソロプレイヤーらしい寡黙さとはかけ離れていた。
とはいえ、ハルマがソロプレーを選択したのは、他人に気を使って遊ぶのが嫌だっただけなので、気を使う必要のないNPC達に囲まれ、賑やかに過ごすのは嫌いではなかった。
こうして気ままに散策しながら、フィールドのあちこちで見つかるイースターエッグを回収して、中身を確認しては素材集めのための森に向かっていた。
イースターエッグから出てくるアイテムは、ほとんどがポーションやMPポーションばかりであった。しかも、ハルマが作るものよりも性能の低いものばかりである。それでも、新規プレイヤーであれば、こういった消費アイテムがタダで手に入るのは嬉しいことだろう。
「さて、ユキチちゃんの家はアヤネがプレゼントしたいって話だったから素材は任せて大丈夫だろ? 25人増やせるから、ユキチちゃん含めて、5人くらい枠を残しておけばいいかな? 後の20人分ってなると、とりあえず5軒分は素材を確保しておきたいか……?」
今までの経験上、だいたい4人家族での移住希望者が多いからだ。
森に到着し、〈発見〉のスキルを活用して素材の採取に専念する。イースターエッグは、道中の傾向から優先的に回収する必要はなさそうだと判断してのことだった。
素材の採取に関しては、ベテランである。
ハルマは慣れた動きで次から次に森の中に点在する採取ポイントを見つけては、素材を集めていた。
モンスターのポップも〈発見〉のスキルで感知できることもあり、順調に作業は進んでいたのだが、そこで、奇妙なものを見つけていた。
「ん? ウサギ?」
ウサギ型のモンスターもいるが、モンスターの反応ではない。
野生のウサギも時折、見かけることがあるのだが、それとも違う。
何しろ、上品なジャケットを着こなしている上に、〈発見〉のスキルに反応があったのだ。
「何だ、ありゃ? イースター・バニーなんか出るって、告知にあったか? それとも、誰かのテイムモンスターか? にしては、回りに他のプレイヤーの反応ないけどな?」
森の木々に遮られた、見通しが悪い中、ジッとウサギを見つめていると、ウサギの方もハルマに気づいたらしく、ピタリと動きを止めて見つめ返してきた。
そこでお互い、コテリと首を傾げたタイミングのことだった。
「おっと、クエストか!?」
『クエスト/兎にも角にも鬼ごっこ』
『クエストクリア条件/捕獲に成功すること(相手にタッチができれば条件を満たしたと見做します)』
【クエスト達成報酬/????】
見慣れたフォーマットのクエスト発生テキストが表示された。イースターイベントの隠しクエストだろうか? と、ハルマはひとつのアイテムを準備してから、クエスト受注の選択を行うのだった。
ハロウィンイベントの時に、チップとスズコのパーティに加え、モカも合わせて8人で探索したエリアである。当時は難易度の高いエリアであったため、行き交うプレイヤーも少なかったが、それは今でも大きく変わっていなかった。
このエリアに入れるプレイヤーは大幅に増加しているのだが、ロシャロカ同様、テイムモンスターの育成には不向きなためである。
また、イベントでイースターエッグを探すにしても、もっと手軽に探せるエリアを選択する者が多いのだろう。
「ハロウィンの時みたいに、素材集めながらイースターエッグ探すとするか」
あの時は頼れる仲間とパーティを組んでいたが、今回はひとりである。
しかし、あの時でもラフ、ズキン、ヤタジャオースと戦力には困っていなかったというのに、ニノエ、シャム、ハンゾウと、更に戦力は増えているため、いざ戦闘になったとしても、そうそう困るようなことにはならないであろう。
ズキン、ニノエに加えて、ハンゾウも加わったことで、パッと見、NPCだらけの集団とは気づかれない。
ハンゾウの服装はまだ専用のものは準備できていなかったので、ハルマの魔王バージョンをそのままコピーしている。それでも、このコスプレをしている者は以前にも増して多くなっているので、取り立てて目立つこともないだろう。
今回は、イースターエッグの回収も目的のひとつであるため、トワネにもシャムにも乗らず、徒歩で移動することにしていた。
「ハルマ。良い天気だねえ」
「そうだなー」
「こんなに気持ちの良い空の下を、再び歩ける日が来るとは思っていませんでしたから、体がないことが残念でなりません」
「ヤタジャオースみたいに、依代にした体も動かせたら良かったんですけどね」
「ヤタジャオース様は、邪竜とはいっても、もともと神に近い存在ですからね。魂が持つエネルギーが桁外れなのですよ」
マリーはいつも通り、誰の目も気にせず、実際、ハルマの身内以外に気づかれることもないため、勝手気ままに動き回っては、時折誰かれ構わず話しかける。今ではこれにエルシアも参加するようになり、本格的にソロプレイヤーらしい寡黙さとはかけ離れていた。
とはいえ、ハルマがソロプレーを選択したのは、他人に気を使って遊ぶのが嫌だっただけなので、気を使う必要のないNPC達に囲まれ、賑やかに過ごすのは嫌いではなかった。
こうして気ままに散策しながら、フィールドのあちこちで見つかるイースターエッグを回収して、中身を確認しては素材集めのための森に向かっていた。
イースターエッグから出てくるアイテムは、ほとんどがポーションやMPポーションばかりであった。しかも、ハルマが作るものよりも性能の低いものばかりである。それでも、新規プレイヤーであれば、こういった消費アイテムがタダで手に入るのは嬉しいことだろう。
「さて、ユキチちゃんの家はアヤネがプレゼントしたいって話だったから素材は任せて大丈夫だろ? 25人増やせるから、ユキチちゃん含めて、5人くらい枠を残しておけばいいかな? 後の20人分ってなると、とりあえず5軒分は素材を確保しておきたいか……?」
今までの経験上、だいたい4人家族での移住希望者が多いからだ。
森に到着し、〈発見〉のスキルを活用して素材の採取に専念する。イースターエッグは、道中の傾向から優先的に回収する必要はなさそうだと判断してのことだった。
素材の採取に関しては、ベテランである。
ハルマは慣れた動きで次から次に森の中に点在する採取ポイントを見つけては、素材を集めていた。
モンスターのポップも〈発見〉のスキルで感知できることもあり、順調に作業は進んでいたのだが、そこで、奇妙なものを見つけていた。
「ん? ウサギ?」
ウサギ型のモンスターもいるが、モンスターの反応ではない。
野生のウサギも時折、見かけることがあるのだが、それとも違う。
何しろ、上品なジャケットを着こなしている上に、〈発見〉のスキルに反応があったのだ。
「何だ、ありゃ? イースター・バニーなんか出るって、告知にあったか? それとも、誰かのテイムモンスターか? にしては、回りに他のプレイヤーの反応ないけどな?」
森の木々に遮られた、見通しが悪い中、ジッとウサギを見つめていると、ウサギの方もハルマに気づいたらしく、ピタリと動きを止めて見つめ返してきた。
そこでお互い、コテリと首を傾げたタイミングのことだった。
「おっと、クエストか!?」
『クエスト/兎にも角にも鬼ごっこ』
『クエストクリア条件/捕獲に成功すること(相手にタッチができれば条件を満たしたと見做します)』
【クエスト達成報酬/????】
見慣れたフォーマットのクエスト発生テキストが表示された。イースターイベントの隠しクエストだろうか? と、ハルマはひとつのアイテムを準備してから、クエスト受注の選択を行うのだった。
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