179 / 276
第10章 孵化
Ver.2/第80話
しおりを挟む
シャムの育成に精を出したいのは山々だったが、新年を迎えると何かと忙しくなっていた。
〈魔王イベント〉の予選は2月中旬から3月上旬にかけて行われ、3月中旬に本イベントの予定である。
間の悪いことに、予選の時期が学年末テストに重なってしまっている。
〈聖獣の門〉の時も、タロットカードの収集が遅れた原因がイベント前半と期末テストが重なったせいだったのである。
ハルマとしては、魔王に選ばれる気はさらさらないのだが、これに参加しないと魔王への挑戦権も得られない。それに、今度こそチップ達のサポートに回れると思っていただけに、どうしたものかと悩んでいたのだ。
そこで出た結論が、早めに試験勉強を始めるという実にシンプルな答えだった。そもそもチップと違い、普段から勉強はやっている。シュンのように成績優秀というわけでもないが、小言は回避できるラインを保っていた。
学校から帰る時間を少し遅らせ、図書館で勉強して学年末テストへの対策を整えている時だった。
図書館の本棚に向かい、並んでいる参考書をパラパラとチェックしていると、ふとゲームのことを思い出していた。
MPポーションの作り方を探していた時、図書館で時間を費やしたのと今の状況がダブったせいだ。
刹那、あの時の記憶が蘇り、奇妙な感覚になっていた。
何かが引っかかる。
幸い、あの時読んでいた本の種類は少なかったこともあり、引っかかりの正体はすぐに判明させることができていた。
「そういえば、図書館にあったモンスター図鑑って、テイムモンスターと種族が同じじゃなかったか?」
周囲を見回し、数人の生徒が静かに読書や勉強をしているのを確認すると、そっとスマホを取り出していた。
開いたのはGreenhorn-onlineの公式サイトである。
そこには、サービス開始前から公開されているモンスターの紹介ページがある。そして、そのモンスターと図書館のモンスター図鑑で紹介されてるモンスターは同じものだった。
「やっぱり、そうだ。系統だけで見ると22種類いる。レア系はないとしても、偶然じゃないよな?」
この頃になると、タロットカードの大アルカナ22種類、全部の種族が判明していた。レアモンスターに関しても、まだ完全とはいえないまでも、それなりに判明している。
そう思って検索をかけてみると、ハルマと同じことに気づいているプレイヤーがチラホラいたらしく、SNS等に感想が書き込まれていた。
しかし、ハルマの考えにまで達している者は見つからなかった。
「確か、あのモンスター図鑑、サイトの紹介よりも詳しく書いてあったよな? 育成のヒント、ないかなあ?」
こうなると、当然、勉強どころではなくなっていた。
そそくさと帰り支度を終わらせると、急いで家路につくのだった。
〈魔王イベント〉の予選は2月中旬から3月上旬にかけて行われ、3月中旬に本イベントの予定である。
間の悪いことに、予選の時期が学年末テストに重なってしまっている。
〈聖獣の門〉の時も、タロットカードの収集が遅れた原因がイベント前半と期末テストが重なったせいだったのである。
ハルマとしては、魔王に選ばれる気はさらさらないのだが、これに参加しないと魔王への挑戦権も得られない。それに、今度こそチップ達のサポートに回れると思っていただけに、どうしたものかと悩んでいたのだ。
そこで出た結論が、早めに試験勉強を始めるという実にシンプルな答えだった。そもそもチップと違い、普段から勉強はやっている。シュンのように成績優秀というわけでもないが、小言は回避できるラインを保っていた。
学校から帰る時間を少し遅らせ、図書館で勉強して学年末テストへの対策を整えている時だった。
図書館の本棚に向かい、並んでいる参考書をパラパラとチェックしていると、ふとゲームのことを思い出していた。
MPポーションの作り方を探していた時、図書館で時間を費やしたのと今の状況がダブったせいだ。
刹那、あの時の記憶が蘇り、奇妙な感覚になっていた。
何かが引っかかる。
幸い、あの時読んでいた本の種類は少なかったこともあり、引っかかりの正体はすぐに判明させることができていた。
「そういえば、図書館にあったモンスター図鑑って、テイムモンスターと種族が同じじゃなかったか?」
周囲を見回し、数人の生徒が静かに読書や勉強をしているのを確認すると、そっとスマホを取り出していた。
開いたのはGreenhorn-onlineの公式サイトである。
そこには、サービス開始前から公開されているモンスターの紹介ページがある。そして、そのモンスターと図書館のモンスター図鑑で紹介されてるモンスターは同じものだった。
「やっぱり、そうだ。系統だけで見ると22種類いる。レア系はないとしても、偶然じゃないよな?」
この頃になると、タロットカードの大アルカナ22種類、全部の種族が判明していた。レアモンスターに関しても、まだ完全とはいえないまでも、それなりに判明している。
そう思って検索をかけてみると、ハルマと同じことに気づいているプレイヤーがチラホラいたらしく、SNS等に感想が書き込まれていた。
しかし、ハルマの考えにまで達している者は見つからなかった。
「確か、あのモンスター図鑑、サイトの紹介よりも詳しく書いてあったよな? 育成のヒント、ないかなあ?」
こうなると、当然、勉強どころではなくなっていた。
そそくさと帰り支度を終わらせると、急いで家路につくのだった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。


【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる