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第8章 聖獣の門
Ver.2/第60話
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必死に足を動かすが、AGIが低いため思うように進まない。それでも、初期の頃に比べたらだいぶ早くなったので、鈍足というほどでもない。ただ、鈍いわけではないのだが、夢の中で必死に何かから逃げようとしているのに、全然進めない感覚に似たもどかしさがあった。
ベアートラップで動きを止めた警備モンスターの目から発せられるライトの範囲ギリギリのスペースを通らなければならない時は、ヒヤヒヤしながら駆け抜ける。
時には移動しながらトラップを仕掛けなければならないポイントもあり、一発勝負の緊張感に冷や汗が流れる思いだった。
「ふー。何とか、ここまでは来れたな」
制限時間は半分残っているが、宝物庫までは後一息というところである。
しかし、その一息が遠かった。
物理的に遠いわけではなく、警備モンスターの動きのパターンに隙がないのだ。トラップで足止めするにも地形的に半分も届かない。
どれだけ〈離れ技〉が優秀なスキルであっても、見えない場所には仕掛けられないのだ。
故に、ハルマが魔王城を設計した時、魔王の間を見晴らしの良い高所にして、全体を視認できるようにしたのである。
「次の安全地帯まで進めればクリアしたも同然なんだけどなあ」
そこまでのルートに、警備マシンは7体も配置されているのだ。
この場所から3体は足止めが狙えるが、うち1体はタイミングが悪いと通路にライトが照らされたまま固定されてしまう危険性もあるため、実質2体しか止められそうになかった。
「ここまで来たからには攻略したいもんなー」
マップに目を向けてはモンスターの動きを確認し、壁から顔を出しては進行ルートのモンスターの動きを視認する。ここまで進んできた感覚と照らし合わせると、タイミングはシビアだが、いけると感じていた。
「まずは、ここの2体」
ベアートラップを仕掛け、発動することを信じて走り出す。
時々忘れるのだが、トラップは発動しないことの方が普通なのだ。
それでも、自分のDEXを信じて動かないと間に合わないのである。
「あれが奥に向かったタイミングで、次のトラップ」
ブツブツと脳内に組み立てた計画を実行していく。
そうやって3体、4体と警備モンスターをすり抜け、警備範囲の繋ぎ目である難所へとたどり着いた。
ここでもたつくと、抜けてきた警備モンスターが戻ってきてしまう。
しかも、急いで先に進もうとすると、最後の1体にトラップを仕掛ける間もなくかち合ってしまうのだ。
トラップの効果が切れる恐怖に耐えながら、この先にいる警備モンスターが次のポイントに移動するのを待たなければならない。
ジリジリとした焦燥感に襲われながら待っていたのだが、ここまでで積もり積もった小さな誤差が、大きな誤差となって現れてしまう。
「まずい! もう動き出した」
背後の警備モンスターの足を捕えていたベアートラップが消失し、こちらに向かって移動を始めてしまったのだ。ほんの数秒の差であるが、決断が迫られた。
「行くしかねえ!」
ずんずん迫ってくる警備モンスターをかわせる自信などないので、先に進むしか選択肢はなかったのだ。
走り出す。
追いかけてきていた警備モンスターは決められた範囲までしか進まないため、途中で踵を返すが、今度は進行方向に2体の警備モンスターが迫ってきている。
この2体の足止めは難しくない。
ハルマは走りながら2つのベアートラップを仕掛け、そのまま走り抜ける。
しかし、そこまで進んで頭を抱えていた。
「うがー! 次のを止めるタイミングがわからねぇ!」
このまま進んでしまうと、丁字路を曲がったところで出会い頭に衝突してしまう。それではトラップを仕掛ける余裕もない。それならば、角を曲がる前に待てばいいとなるのだが、そうすると、今度は今トラップで足止めしている2体の警備モンスターが動き出してしまうのだ。
ハルマは一か八か、インベントリからアイテムを取り出すと、スピードを緩めることなく丁字路を曲がる決断を下すのだった。
ベアートラップで動きを止めた警備モンスターの目から発せられるライトの範囲ギリギリのスペースを通らなければならない時は、ヒヤヒヤしながら駆け抜ける。
時には移動しながらトラップを仕掛けなければならないポイントもあり、一発勝負の緊張感に冷や汗が流れる思いだった。
「ふー。何とか、ここまでは来れたな」
制限時間は半分残っているが、宝物庫までは後一息というところである。
しかし、その一息が遠かった。
物理的に遠いわけではなく、警備モンスターの動きのパターンに隙がないのだ。トラップで足止めするにも地形的に半分も届かない。
どれだけ〈離れ技〉が優秀なスキルであっても、見えない場所には仕掛けられないのだ。
故に、ハルマが魔王城を設計した時、魔王の間を見晴らしの良い高所にして、全体を視認できるようにしたのである。
「次の安全地帯まで進めればクリアしたも同然なんだけどなあ」
そこまでのルートに、警備マシンは7体も配置されているのだ。
この場所から3体は足止めが狙えるが、うち1体はタイミングが悪いと通路にライトが照らされたまま固定されてしまう危険性もあるため、実質2体しか止められそうになかった。
「ここまで来たからには攻略したいもんなー」
マップに目を向けてはモンスターの動きを確認し、壁から顔を出しては進行ルートのモンスターの動きを視認する。ここまで進んできた感覚と照らし合わせると、タイミングはシビアだが、いけると感じていた。
「まずは、ここの2体」
ベアートラップを仕掛け、発動することを信じて走り出す。
時々忘れるのだが、トラップは発動しないことの方が普通なのだ。
それでも、自分のDEXを信じて動かないと間に合わないのである。
「あれが奥に向かったタイミングで、次のトラップ」
ブツブツと脳内に組み立てた計画を実行していく。
そうやって3体、4体と警備モンスターをすり抜け、警備範囲の繋ぎ目である難所へとたどり着いた。
ここでもたつくと、抜けてきた警備モンスターが戻ってきてしまう。
しかも、急いで先に進もうとすると、最後の1体にトラップを仕掛ける間もなくかち合ってしまうのだ。
トラップの効果が切れる恐怖に耐えながら、この先にいる警備モンスターが次のポイントに移動するのを待たなければならない。
ジリジリとした焦燥感に襲われながら待っていたのだが、ここまでで積もり積もった小さな誤差が、大きな誤差となって現れてしまう。
「まずい! もう動き出した」
背後の警備モンスターの足を捕えていたベアートラップが消失し、こちらに向かって移動を始めてしまったのだ。ほんの数秒の差であるが、決断が迫られた。
「行くしかねえ!」
ずんずん迫ってくる警備モンスターをかわせる自信などないので、先に進むしか選択肢はなかったのだ。
走り出す。
追いかけてきていた警備モンスターは決められた範囲までしか進まないため、途中で踵を返すが、今度は進行方向に2体の警備モンスターが迫ってきている。
この2体の足止めは難しくない。
ハルマは走りながら2つのベアートラップを仕掛け、そのまま走り抜ける。
しかし、そこまで進んで頭を抱えていた。
「うがー! 次のを止めるタイミングがわからねぇ!」
このまま進んでしまうと、丁字路を曲がったところで出会い頭に衝突してしまう。それではトラップを仕掛ける余裕もない。それならば、角を曲がる前に待てばいいとなるのだが、そうすると、今度は今トラップで足止めしている2体の警備モンスターが動き出してしまうのだ。
ハルマは一か八か、インベントリからアイテムを取り出すと、スピードを緩めることなく丁字路を曲がる決断を下すのだった。
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