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第8章 聖獣の門

Ver.2/第56話

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 ハロウィンイベントが終わってひと月も経たない内に、新イベントはやってきた。今回も、ハロウィンイベントのように各自が自由なタイミングで参加できる内容である。

 第1回イベントの〈ゴブリン軍の進撃〉は準備期間は長かったものの、本編とも呼べる大規模防衛戦は3日間に集中していた。この3日間に参加できなかったプレイヤーからは不満の声も出ていたので、それに配慮したのか、今回のイベントはクリスマスまで続く長期イベントとなっている。

 ダンジョン探索イベント〈聖獣の門〉開催。
 現在、一定数のプレイヤーが進んでいる24のエリア全体に、トータル3000のダンジョンが出現。そのダンジョンにはフィールドの至る所に出現してる門から入ることで挑戦が可能となる。
 門には、銅、銀、金、プラチナの4種類があり、順に難易度が上がっていく。門には何度でも挑戦できるが、1日に2つ配布される〈聖獣の門のカギ〉を使用しなければならないため、上限はある。そのため、毎日コツコツ消化しても良いし、後でまとめて消化しても良い。
 門の出現する場所は変わらないが、ひとつの門に挑戦できるのは1パーティに限られ、誰かが攻略に成功しても、続けて挑戦することが可能だ。つまり、誰かが攻略中でなければ、いつでも挑戦可能というわけである。
 ダンジョンを攻略すると、難易度によって枚数は異なるが、タロットカードの破片を入手でき、同じ種類の破片を3枚そろえると1枚のタロットカードが組み上がる。さらに、22種類の大アルカナをそろえると何かが起こるらしい。もちろん、同じ場所を続けて攻略しても、報酬のタロットカードは入手できない。
 また、これとは別に、虹と呼ばれる門も稀に出現する。こちらは、出現場所はランダムで、一定時間が経過すると消えてしまう。
 虹の門に難易度はなく、1つのダンジョンに22種類全てのタロットカードが隠されているボーナスダンジョンだ。ただし、これはパーティ共通ではなく、見つけた者だけが入手できるので、なるべく少人数で探索した方が良いだろう。
 門にはどの種類にも制限時間があるので、虹の門を見つけたからと欲張って探し続けると、時間切れで報酬なしということにもなりかねない。
 各ダンジョンの報酬とは別に、全体報酬が今回も用意されている。
 全てのダンジョンの攻略率によって、最大4つまでイベント装備を獲得できる。こちらは、〈ゴブリン軍の進撃〉の時の全体報酬と、ハロウィンイベントの仮装衣装を合わせたものの中から選ぶことができるようだ。
 攻略情報の出回っているダンジョンばかりに集中すると、全体報酬がもらえないという仕組みだ。

 ハルマはルールをざっくり読むと、どうしたものかと考え込む。
 ダンジョンの中身にもいくつか種類が存在し、戦闘に不向きなプレイヤーだから高難易度のダンジョンには挑めない、ということもないようだ。
 探索型。
 殲滅型。
 潜入型。
 攻城型。
 納品型。
 と、あり、戦闘向けのダンジョンは殲滅型と攻城型の2種類しかない。
「一番俺向きなのは、当然納品型だよな。探索や潜入もいけるかな? ただ、入るまではどのタイプのダンジョンなのかわからないのがネックなんだよねえ」
 マリーやズキンに視線を向けながら検討する。
「とりあえず、タロットカードそろえると何がもらえるのか気になるから、一組はそろえたいよなー」
 そうやって、のんびりとイベントは始まったのだった。
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