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第6章 癒しの水を求めて
Ver.2/第45話
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「ふー。完勝!」
ものの数十秒で終わった戦闘に、満足しながらハルマは逃げていったジャアクビーの後姿を見送る。
捨て台詞くらいはあるかと思ったが、ジャアクビーロードが倒された途端、それこそ蜂の巣を突いたように騒がしく撤退してしまったのだ。
「おっと?」
ジャアクビー達からは何もなかったが、アナウンスが表示された。
『スキル〈電光石火〉を取得しました』
『スキルの発動時間が5%短縮される』
『魔法の発動時間が25%短縮される』
『風属性と火属性の威力が5%上昇』
『スロウ無効を取得しました』
【取得条件/単独で、かつ、同格以上でありBランク以上のエリアボスもしくはクエストボスとの初回戦闘時、30秒以内に撃破】
「おおう……。この感じ、何となく久しぶりだな」
ソロ討伐と条件が付いているが、NPCを含めるとフルメンバーのパーティと同じ8人での討伐なのである。これ以上仲間が増えたらどうなるのかと、それはそれで楽しみであるのだが、気まずさは増すばかりだ。
「それにしても、発動速度が短縮されるのは何となくわかるけど、何で風と火属性の威力が上がるんだ?」
しばらく首を傾げていたが、〈電光石火〉という文字を見てピンときた。
「雷って、風属性の分類だし、石火って、確か火打石の火のことだよな? それでか? ずいぶん無理やりだな」
それもそのはずである。
このスキルを作った人物でさえ、取得するプレイヤーが現れるとは思わずに用意しているものなのだ。いわば、悪ふざけの類で考えているのだから、こじつけで付け足したものも反映されてしまっているのだ。
「まあ、俺にとっては好都合だから、ありがたく使わせてもらうかな」
ハルマはスキルの確認を終えると、視線を長老樹に向ける。
「さて。本題の〈癒しの水〉は、っと」
「ハルマ様。それでしたら、あの中っす」
辺りを見回しながら探していると、ニノエが教えてくれた。
指さす方を見てみると、奥にちょっとした丘があり、地下に伸びているらしい階段があることがわかった。
「地下水、なのかな?」
ジャアクビー達は完全に姿を消してしまったので邪魔者もいない。早速、向かうことにした。
地下へと伸びる階段はしっかりした石造りで、その昔、ダークエルフが整備したものらしい。
地下の洞くつは深くなかったが、緩やかに奥へと続いていた。
道中は誰が用意したのかわからないが、松明の明かりで照らされている。
しばらく進み、最奥の扉を開けると、なんとも毒々しい色の泉があった。
「い? これが〈癒しの水〉なの?」
緑色の液体は、どちらかと言えば汚染水の雰囲気だ。
「なんてことを……。どうやらジャアクビー達に汚されたみたいっす。くー。これじゃあ、使い物にならないっす」
「えー!? どうにかならないのか? これが目当てで来たんだぞ?」
「いやー。私の知識じゃ、どうにもならないっす。里に戻れば、誰かわかると思うっすけど……。どうっすかねえ?」
ニノエとふたりで頭を抱えていると、トワネが割って入ってきた。
「これは……。ハルマ殿。この水はジャアクビーに直接汚されたわけではなく、長老樹の力が弱まっているのが原因だと思います。なので、弱った長老樹に活力を戻してあげれば、自然と復活するはずですよ」
さすがは風の大陸の森の守り神である。
トワネの言葉に、なるほどと頷くハルマだった。
ものの数十秒で終わった戦闘に、満足しながらハルマは逃げていったジャアクビーの後姿を見送る。
捨て台詞くらいはあるかと思ったが、ジャアクビーロードが倒された途端、それこそ蜂の巣を突いたように騒がしく撤退してしまったのだ。
「おっと?」
ジャアクビー達からは何もなかったが、アナウンスが表示された。
『スキル〈電光石火〉を取得しました』
『スキルの発動時間が5%短縮される』
『魔法の発動時間が25%短縮される』
『風属性と火属性の威力が5%上昇』
『スロウ無効を取得しました』
【取得条件/単独で、かつ、同格以上でありBランク以上のエリアボスもしくはクエストボスとの初回戦闘時、30秒以内に撃破】
「おおう……。この感じ、何となく久しぶりだな」
ソロ討伐と条件が付いているが、NPCを含めるとフルメンバーのパーティと同じ8人での討伐なのである。これ以上仲間が増えたらどうなるのかと、それはそれで楽しみであるのだが、気まずさは増すばかりだ。
「それにしても、発動速度が短縮されるのは何となくわかるけど、何で風と火属性の威力が上がるんだ?」
しばらく首を傾げていたが、〈電光石火〉という文字を見てピンときた。
「雷って、風属性の分類だし、石火って、確か火打石の火のことだよな? それでか? ずいぶん無理やりだな」
それもそのはずである。
このスキルを作った人物でさえ、取得するプレイヤーが現れるとは思わずに用意しているものなのだ。いわば、悪ふざけの類で考えているのだから、こじつけで付け足したものも反映されてしまっているのだ。
「まあ、俺にとっては好都合だから、ありがたく使わせてもらうかな」
ハルマはスキルの確認を終えると、視線を長老樹に向ける。
「さて。本題の〈癒しの水〉は、っと」
「ハルマ様。それでしたら、あの中っす」
辺りを見回しながら探していると、ニノエが教えてくれた。
指さす方を見てみると、奥にちょっとした丘があり、地下に伸びているらしい階段があることがわかった。
「地下水、なのかな?」
ジャアクビー達は完全に姿を消してしまったので邪魔者もいない。早速、向かうことにした。
地下へと伸びる階段はしっかりした石造りで、その昔、ダークエルフが整備したものらしい。
地下の洞くつは深くなかったが、緩やかに奥へと続いていた。
道中は誰が用意したのかわからないが、松明の明かりで照らされている。
しばらく進み、最奥の扉を開けると、なんとも毒々しい色の泉があった。
「い? これが〈癒しの水〉なの?」
緑色の液体は、どちらかと言えば汚染水の雰囲気だ。
「なんてことを……。どうやらジャアクビー達に汚されたみたいっす。くー。これじゃあ、使い物にならないっす」
「えー!? どうにかならないのか? これが目当てで来たんだぞ?」
「いやー。私の知識じゃ、どうにもならないっす。里に戻れば、誰かわかると思うっすけど……。どうっすかねえ?」
ニノエとふたりで頭を抱えていると、トワネが割って入ってきた。
「これは……。ハルマ殿。この水はジャアクビーに直接汚されたわけではなく、長老樹の力が弱まっているのが原因だと思います。なので、弱った長老樹に活力を戻してあげれば、自然と復活するはずですよ」
さすがは風の大陸の森の守り神である。
トワネの言葉に、なるほどと頷くハルマだった。
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