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第6章 癒しの水を求めて
Ver.2/第43話
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「これ、かぶるだけで良いんだよな?」
インベントリから取り出した狼の〈覆面〉をかぶると、見た目がワーウルフへと変化した。これでSTRはDEXと同じ数値に跳ね上がり、他のステータスは半減される。つまり、今のハルマのSTRは1000を超えているわけだ。
ただ、この状態で戦闘を行うにはリスクが高すぎる。何しろ、ただでさえ低いステータスがSTR以外半減している上にDEXも下がっているので、ガード率が100%に届かないのだ。1発でも攻撃が当たれば大ダメージを与えられるだろうが、博打にもほどがある。
〈覆面〉は全種類用意しているが、こういう状況でもない限り使う機会はあまりなさそうである。
「よし。これならSTRの心配はないだろ」
初めて使ったスキルであったが、思った以上に違和感はなかった。
「あははははは! ハルマが狼男になっちゃったー」
マリーだけはハルマの変化を楽しんでいるようで笑い転げているが……。
グッと滑車を握り締めると、意を決して宙に飛び出す。
自分の体重がなくなったことを一瞬感じると、ガツンとした衝撃が伝わってきた、気がした。滑車はロープを伝って緩やかな傾斜を降りていく。
シュルシュルシュルと森の木々の間を抜けていくのを感じながら、徐々にスピードを上げるが、終着点の手前で下り切り、最後は減速しながら対面のやぐらへと見事に到達したのだった。
「ふー。ちょっと緊張するな。でも、次からは楽しめそうだ」
〈覆面〉を解除すると、再びトワネに頼んで地上に降りる。ここは、すでに魔王の手下だったモンスターたちのテリトリーであるので、慎重になる。
目指す長老樹はすぐにわかった。目的のものは長老樹ではなく〈癒しの水〉なのだが、向かうべきシンボルとしては違いはない。
ここに入るまでは周囲の巨木に邪魔され見ることができなかったのだが、入ってしまえば木々は少なく、今まで以上に間隔が広く生えている上に、あまり背が高くなかった。
おかげで、中央にそびえる長老樹は、シンボルタワー的な趣で大きな枝葉を存分に伸ばしていた。
しかし……。
「なんだか、あの木、つかれてる感じするね」
マリーの言葉の通り、長老樹に生える葉は青々とした生命力に溢れた感じはなく、赤茶けたものばかりが目立ったのである。
「モンスターが居座ってる影響だろうな」
「たぶん、そうっすね。私が子どもの頃は、ここに入るだけで森の恵みを感じられたくらいっすから」
結界の中はモンスターが徘徊している様子はなく、静かなものだった。
それでも、ハルマ達一行はゆっくりと長老樹を目指して移動する。いつボス戦に突入するかわからないので、準備も怠らない。
とはいえ、今回の作戦はすでに決まっていた。
「あそこっすね」
長老樹の根元まで進むと、周囲は開けており、祭壇があったのであろう残骸があった。
「あれは……。ジャアクビー?」
広場を飛び回り、長老樹からせっせと養分を吸い出し、どこかに運んでいるのは見覚えのあるモンスターだった。
蜂型のモンスターは、トワネと出会った時に戦ったボスである。あの時は3匹しかいなかった上に、ラフのおかげで運よく倒すことができたが、本来はこのレベル帯のエリアに出現するモンスターだったということだ。
「ここに巣食っていたのはアイツ等でしたか……。これだけの数がいるとなると、クイーンはいないと思いますが、キングかロードがいるかもしれません。気をつけてください」
トワネも追われていた身であるので、何かしら因縁があるのかもしれない。
「良し! じゃあ皆、手筈通り、よろしくな」
ハルマは小声で仲間達に指示を出すと、祭壇のあった広場へと躍り出た。
インベントリから取り出した狼の〈覆面〉をかぶると、見た目がワーウルフへと変化した。これでSTRはDEXと同じ数値に跳ね上がり、他のステータスは半減される。つまり、今のハルマのSTRは1000を超えているわけだ。
ただ、この状態で戦闘を行うにはリスクが高すぎる。何しろ、ただでさえ低いステータスがSTR以外半減している上にDEXも下がっているので、ガード率が100%に届かないのだ。1発でも攻撃が当たれば大ダメージを与えられるだろうが、博打にもほどがある。
〈覆面〉は全種類用意しているが、こういう状況でもない限り使う機会はあまりなさそうである。
「よし。これならSTRの心配はないだろ」
初めて使ったスキルであったが、思った以上に違和感はなかった。
「あははははは! ハルマが狼男になっちゃったー」
マリーだけはハルマの変化を楽しんでいるようで笑い転げているが……。
グッと滑車を握り締めると、意を決して宙に飛び出す。
自分の体重がなくなったことを一瞬感じると、ガツンとした衝撃が伝わってきた、気がした。滑車はロープを伝って緩やかな傾斜を降りていく。
シュルシュルシュルと森の木々の間を抜けていくのを感じながら、徐々にスピードを上げるが、終着点の手前で下り切り、最後は減速しながら対面のやぐらへと見事に到達したのだった。
「ふー。ちょっと緊張するな。でも、次からは楽しめそうだ」
〈覆面〉を解除すると、再びトワネに頼んで地上に降りる。ここは、すでに魔王の手下だったモンスターたちのテリトリーであるので、慎重になる。
目指す長老樹はすぐにわかった。目的のものは長老樹ではなく〈癒しの水〉なのだが、向かうべきシンボルとしては違いはない。
ここに入るまでは周囲の巨木に邪魔され見ることができなかったのだが、入ってしまえば木々は少なく、今まで以上に間隔が広く生えている上に、あまり背が高くなかった。
おかげで、中央にそびえる長老樹は、シンボルタワー的な趣で大きな枝葉を存分に伸ばしていた。
しかし……。
「なんだか、あの木、つかれてる感じするね」
マリーの言葉の通り、長老樹に生える葉は青々とした生命力に溢れた感じはなく、赤茶けたものばかりが目立ったのである。
「モンスターが居座ってる影響だろうな」
「たぶん、そうっすね。私が子どもの頃は、ここに入るだけで森の恵みを感じられたくらいっすから」
結界の中はモンスターが徘徊している様子はなく、静かなものだった。
それでも、ハルマ達一行はゆっくりと長老樹を目指して移動する。いつボス戦に突入するかわからないので、準備も怠らない。
とはいえ、今回の作戦はすでに決まっていた。
「あそこっすね」
長老樹の根元まで進むと、周囲は開けており、祭壇があったのであろう残骸があった。
「あれは……。ジャアクビー?」
広場を飛び回り、長老樹からせっせと養分を吸い出し、どこかに運んでいるのは見覚えのあるモンスターだった。
蜂型のモンスターは、トワネと出会った時に戦ったボスである。あの時は3匹しかいなかった上に、ラフのおかげで運よく倒すことができたが、本来はこのレベル帯のエリアに出現するモンスターだったということだ。
「ここに巣食っていたのはアイツ等でしたか……。これだけの数がいるとなると、クイーンはいないと思いますが、キングかロードがいるかもしれません。気をつけてください」
トワネも追われていた身であるので、何かしら因縁があるのかもしれない。
「良し! じゃあ皆、手筈通り、よろしくな」
ハルマは小声で仲間達に指示を出すと、祭壇のあった広場へと躍り出た。
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