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第3章 トリック・オア・トリート!
Ver.2/第24話
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「まーけちゃったー! おにーさんたち強いんだね! すっごい楽しかったから、お礼にコレあげる!」
魔女の異空間から町に戻ってくると、〈いたずらゴースト〉に出迎えられた。
この子たちにとっては、遊びの範疇だったらしい。
『EXクエスト/トリック・オア・トリート! をクリアしました』
『報酬として、コウモリの使い魔を手に入れました』
予想通りの報酬を手に入れることができ、女性陣は大喜びである。
「やった! かわいいぃぃぃ!!」
早速インベントリから取り出し、自分の周囲を飛び回らせるアヤネ。その表情は緩み切っており、現実世界であったならよだれが垂れていることだろう。
しかし、それを非難できる者はいなかった。
ブリキのおもちゃみたいにパタパタとした動きのコウモリは、ずんぐりむっくりのフォルムで、ハムスターに羽が生えている雰囲気もある。
消耗品という扱いではなく、アクセサリーに近いだろう。
見ていると、自分の周囲を不規則に動き回り、時折、体のあちこちに止まっては休んでいる。マリーやズキンなどとは違い、声を発することはないようだが、とにかく仕草が愛くるしい。
「これは、アヤネじゃなくてもかわいいって思っちゃうな」
チップも手に乗せたコウモリを指先でつつきながら、ぷにっとした感触を楽しんでいる。
「んふふー。エリザベスちゃんかしら、ジュリアンちゃんかしら」
ミコトも、アヤネほどではないが顔をほころばしながら名前を考えていた。
「手紙の受け渡しができて、アラームの設定ができる。運営からのお知らせも、メニューを経由しなくてもこれから見ることができるのか。んで? 使い魔を持っているフレンドに対して、30文字以内の伝言をやり取りできるか。なかなか便利そうだな」
ハルマだけはすでに多くのNPCを引き連れていることもあり、他の者に比べると淡白なものである。
8人で固まって使い魔のコウモリを愛でて和んでいたのだが、それに気づいた周囲のプレイヤーも何人かやってきて、どうやって手に入れたのか、どうやって魔女に勝ったのかと、質問攻めにされることになり、ちょっとした騒ぎになってしまった。ハルマなどは、普段から他のプレイヤーとの交流が極端に少ないこともあり、どぎまぎしていたのだが、そこはスズコとチップの高コミュ力の天然スキルを持っている者が上手いこと対処してくれた。
「やあ、すごいですね。あれにもう勝っちゃうなんて」
しばらくすると、見覚えのある人物が声をかけてきた。
「あ! テスタプラスさん! お久しぶりっす。ひとりでいるって、珍しいですね」
「久しぶり、チップ君。さっきまで8人そろってたんだけどね。ひとり用事で抜けちゃったから、イベントの情報収集をしてたところだよ。しかし、豪華なメンバーだねえ。魔王が2人に、モカさんを倒した勇者までいるなんて。これだけのメンバーなら、勝てるのも納得か」
そう告げるテスタプラスもまた、魔王プレイヤーのひとりであり、前回イベントでモカと同様、1敗しかしなかった人物である。
ただ、彼はパーティプレーを専門にするため、戦闘回数がモカに劣り、勝率では3位であった。
「いやー。たまたまっすよ。何せ、うちの隠し玉はトリッキーなもので」
チップは、ちらりとハルマに視線を送る。
「へえ。チップ君がそういうってことは、なかなか面白いプレーをするんだろうね」
ハルマが、あのハルマであるとまでは気づいていないようだが、もしかしたら、チップからすでに伝わっているのかもしれない。しかし、そのことを口にはしなかった。
そうしていると、有名プレイヤーが集まっていると騒ぎになってしまったらしく、EXクエストと関係のないところで人が集まり出してしまったので、イベントの情報交換もほどほどに退散することになるのだった。
後日談となるが、ハルマ達の情報によって、魔女の使ってきたコウモリは魅了系のスキルで支配権を奪い取ることができることが広まり、更に、〈傀儡〉のような特殊なスキルを使う必要はなく、イベントで集めていたお菓子をコウモリに与えることで同様の効果があることが判明した。
これにより、多くのプレイヤーが魔女を撃退することができ、コウモリの使い魔を持つプレイヤーで溢れることになるのだった。
魔女の異空間から町に戻ってくると、〈いたずらゴースト〉に出迎えられた。
この子たちにとっては、遊びの範疇だったらしい。
『EXクエスト/トリック・オア・トリート! をクリアしました』
『報酬として、コウモリの使い魔を手に入れました』
予想通りの報酬を手に入れることができ、女性陣は大喜びである。
「やった! かわいいぃぃぃ!!」
早速インベントリから取り出し、自分の周囲を飛び回らせるアヤネ。その表情は緩み切っており、現実世界であったならよだれが垂れていることだろう。
しかし、それを非難できる者はいなかった。
ブリキのおもちゃみたいにパタパタとした動きのコウモリは、ずんぐりむっくりのフォルムで、ハムスターに羽が生えている雰囲気もある。
消耗品という扱いではなく、アクセサリーに近いだろう。
見ていると、自分の周囲を不規則に動き回り、時折、体のあちこちに止まっては休んでいる。マリーやズキンなどとは違い、声を発することはないようだが、とにかく仕草が愛くるしい。
「これは、アヤネじゃなくてもかわいいって思っちゃうな」
チップも手に乗せたコウモリを指先でつつきながら、ぷにっとした感触を楽しんでいる。
「んふふー。エリザベスちゃんかしら、ジュリアンちゃんかしら」
ミコトも、アヤネほどではないが顔をほころばしながら名前を考えていた。
「手紙の受け渡しができて、アラームの設定ができる。運営からのお知らせも、メニューを経由しなくてもこれから見ることができるのか。んで? 使い魔を持っているフレンドに対して、30文字以内の伝言をやり取りできるか。なかなか便利そうだな」
ハルマだけはすでに多くのNPCを引き連れていることもあり、他の者に比べると淡白なものである。
8人で固まって使い魔のコウモリを愛でて和んでいたのだが、それに気づいた周囲のプレイヤーも何人かやってきて、どうやって手に入れたのか、どうやって魔女に勝ったのかと、質問攻めにされることになり、ちょっとした騒ぎになってしまった。ハルマなどは、普段から他のプレイヤーとの交流が極端に少ないこともあり、どぎまぎしていたのだが、そこはスズコとチップの高コミュ力の天然スキルを持っている者が上手いこと対処してくれた。
「やあ、すごいですね。あれにもう勝っちゃうなんて」
しばらくすると、見覚えのある人物が声をかけてきた。
「あ! テスタプラスさん! お久しぶりっす。ひとりでいるって、珍しいですね」
「久しぶり、チップ君。さっきまで8人そろってたんだけどね。ひとり用事で抜けちゃったから、イベントの情報収集をしてたところだよ。しかし、豪華なメンバーだねえ。魔王が2人に、モカさんを倒した勇者までいるなんて。これだけのメンバーなら、勝てるのも納得か」
そう告げるテスタプラスもまた、魔王プレイヤーのひとりであり、前回イベントでモカと同様、1敗しかしなかった人物である。
ただ、彼はパーティプレーを専門にするため、戦闘回数がモカに劣り、勝率では3位であった。
「いやー。たまたまっすよ。何せ、うちの隠し玉はトリッキーなもので」
チップは、ちらりとハルマに視線を送る。
「へえ。チップ君がそういうってことは、なかなか面白いプレーをするんだろうね」
ハルマが、あのハルマであるとまでは気づいていないようだが、もしかしたら、チップからすでに伝わっているのかもしれない。しかし、そのことを口にはしなかった。
そうしていると、有名プレイヤーが集まっていると騒ぎになってしまったらしく、EXクエストと関係のないところで人が集まり出してしまったので、イベントの情報交換もほどほどに退散することになるのだった。
後日談となるが、ハルマ達の情報によって、魔女の使ってきたコウモリは魅了系のスキルで支配権を奪い取ることができることが広まり、更に、〈傀儡〉のような特殊なスキルを使う必要はなく、イベントで集めていたお菓子をコウモリに与えることで同様の効果があることが判明した。
これにより、多くのプレイヤーが魔女を撃退することができ、コウモリの使い魔を持つプレイヤーで溢れることになるのだった。
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