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第2章 生と死と
Ver.2/第9話
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「〈調合〉系のレシピは、売ってるものは粗方買ってるはずだから、今あるレシピに該当しそうなものはないよなー」
〈調合〉スキルのレシピ一覧をスクロールさせながら、ひとつずつ確認していく。
やはり、ポーションかMPポーション以外では、目的のものは作れそうな気配がなかった。
「図書館の本も、初歩的な解説しか載ってなかったから、アレンジレシピはなかったはず……」
MPポーションの作り方を調べた時にお世話になった図書館の本であるが、新しい知識を期待できるものではなくなってしまっている。
レシピを一通り確認した後に、持っている素材も確認していく。
やはり、HPかMPを回復できるような水系素材は所持していなかった。
「うーん。HPとMPを同時に回復できるアイテム、かあ……」
そんな便利なアイテムがあれば、耳に入ってこないはずがない。特に、情報の早いチップが黙っているはずがなかった。
そうやって、素材にこだわらず、所持しているアイテムを全て見ていくと、ふと手が止まった。
「これは、確か、HPもMPも同時に回復してくれる、なあ……?」
目に留まったのは〈ゴブリン軍の進撃〉の報酬で手に入れていた、蘇生薬〈天冥の霊水〉であった。
『天冥の霊水/死んだ者を生き返らせる秘薬。蘇生時にHPを50%、MPを20%回復させる』
しかし、イベントの報酬になるようなアイテムである。レシピを持っているはずもなかった。
……が、気になることを思いついた。
「こういうアイテムを〈贋作〉でコピーした場合、どうなるんだ?」
コピーの条件に、レシピの有無はなかったはずである。
気になったら、ものは試しでやってみるのがハルマであった。
早速、天冥の霊水を指定して〈贋作〉を発動させてみる。
「え!?」
自分でやっておいて自分で驚くのも妙な話だが、思いがけない結果になっていた。
「だいぶ劣化版だけど、コピーできた……な」
目を丸くしていると、見慣れたアナウンスが表示された。
『天冥の霊水のレシピを覚えました』
「は!? え!?」
コピーを作れたということは、素材が揃っていたということである。そして、作ったという事実に変わりはないため、レシピも獲得できたということらしい。
急いで獲得したレシピを確認する。
「けっこう普通の素材使うんだな……。アルヒ草、マギアのつぼみ、水系素材と……、百厄の薬? ああ! チップ達と行った雨降りの迷宮のボスドロップか!」
名前からして万能薬かと思ったのだが、素材アイテムのため単独では使い道がなく、酒と表記されているからには水系素材なのかと思いきや、水系素材としても使えず、インベントリの中で眠り続けていたものだった。
「これは……。思わぬレシピを手に入れちゃったなあ……」
さて、どうしようかと顎に手を当て、何を見るでもなく天井を見上げるハルマだった。
〈調合〉スキルのレシピ一覧をスクロールさせながら、ひとつずつ確認していく。
やはり、ポーションかMPポーション以外では、目的のものは作れそうな気配がなかった。
「図書館の本も、初歩的な解説しか載ってなかったから、アレンジレシピはなかったはず……」
MPポーションの作り方を調べた時にお世話になった図書館の本であるが、新しい知識を期待できるものではなくなってしまっている。
レシピを一通り確認した後に、持っている素材も確認していく。
やはり、HPかMPを回復できるような水系素材は所持していなかった。
「うーん。HPとMPを同時に回復できるアイテム、かあ……」
そんな便利なアイテムがあれば、耳に入ってこないはずがない。特に、情報の早いチップが黙っているはずがなかった。
そうやって、素材にこだわらず、所持しているアイテムを全て見ていくと、ふと手が止まった。
「これは、確か、HPもMPも同時に回復してくれる、なあ……?」
目に留まったのは〈ゴブリン軍の進撃〉の報酬で手に入れていた、蘇生薬〈天冥の霊水〉であった。
『天冥の霊水/死んだ者を生き返らせる秘薬。蘇生時にHPを50%、MPを20%回復させる』
しかし、イベントの報酬になるようなアイテムである。レシピを持っているはずもなかった。
……が、気になることを思いついた。
「こういうアイテムを〈贋作〉でコピーした場合、どうなるんだ?」
コピーの条件に、レシピの有無はなかったはずである。
気になったら、ものは試しでやってみるのがハルマであった。
早速、天冥の霊水を指定して〈贋作〉を発動させてみる。
「え!?」
自分でやっておいて自分で驚くのも妙な話だが、思いがけない結果になっていた。
「だいぶ劣化版だけど、コピーできた……な」
目を丸くしていると、見慣れたアナウンスが表示された。
『天冥の霊水のレシピを覚えました』
「は!? え!?」
コピーを作れたということは、素材が揃っていたということである。そして、作ったという事実に変わりはないため、レシピも獲得できたということらしい。
急いで獲得したレシピを確認する。
「けっこう普通の素材使うんだな……。アルヒ草、マギアのつぼみ、水系素材と……、百厄の薬? ああ! チップ達と行った雨降りの迷宮のボスドロップか!」
名前からして万能薬かと思ったのだが、素材アイテムのため単独では使い道がなく、酒と表記されているからには水系素材なのかと思いきや、水系素材としても使えず、インベントリの中で眠り続けていたものだった。
「これは……。思わぬレシピを手に入れちゃったなあ……」
さて、どうしようかと顎に手を当て、何を見るでもなく天井を見上げるハルマだった。
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