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第12章 魔王城への挑戦 後編
Ver.1/第95話
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不落魔王などという大層な二つ名が付けられていることも、勝手に過大評価されていることも知らず、ハルマはノリノリで魔王のロールプレーを楽しんでいた。
最初の内は、自分の策略がハマるかの不安もあったが、来ない方が良いと忠告したにもかかわらず、なぜか毎回やってきた魔法職のプレイヤーでも問題なくMPを枯渇させることができたことで、徐々に安心感を得るようになっていた。
最悪、ラフやズキンも投入することになるかもしれないからと、苦肉の策で部屋中にカモフラージュのぬいぐるみや人形を大量に置いたのだが、それだけではユララが浮いてしまう。
言葉の通り、ユララだけ浮かんでいるのも奇妙なので、マリーにポルターガイストを使わせ、飾ってあるぬいぐるみや人形で遊ばせることで誤魔化しているのだ。
状態異常を引き起こすアイテムは存在するため、念のためにユララに〈加護の霧雨〉を使ってもらって、初手で状態異常にされることはケアしている。
こうやって姑息とも思える手法で、相手が物理攻撃しかできない状況を作ることさえできれば、みっともない結果に終わることはないのではないかと考えたのだ。
実は、もっと念には念を入れて、魔王の間を暗闇にして、自分は〈心眼〉のスキルで得た暗闇無効を活かして戦うことも計画していたのだが、それは運営からNGが出されてしまった。
想定外の申請だったらしく、技術的な対応が間に合わず、中継に映らなくなってしまうので止めて欲しいと平謝りされてしまったのである。
そこで無理を通せる高校生が、そうそういるはずもない。
それでも、ハルマの優位性は、本人が思っているよりはるかに飛び抜けていた。
何しろ、ダメージを受けない上に、ドレインで相手のステータスを奪いながらカウンター用の一撃の準備までできるのだ。
そうとも知らず、相手は一心不乱に攻撃してきてくれた。
前衛職が使うフルプレート装備の中からスカルヘルムを見つけた時、ハルマは今回のイベントを、魔王のロールプレーをして楽しむ方針が固まった。
二刀流が似合う魔王は、どんな感じにしようかと考えるだけで、ワクワクすることができたのだ。山羊のような悪魔のツノは、前回イベントの全体報酬にあったもので、追加でもらえた特権を活かして交換していた。
結果、上手いこと暗黒剣士タイプの魔王を演じることができたと思っている。
何より、このインパクトのある姿が知れ渡ることで、普段のハルマとの差に気づく者はまずいないだろう。
ラフとズキンの手を借りることなく、無事にイベントを終えることができそうなのも、大きな成果であった。
最後の3人組は、今までと違い、動きは常人のそれではなかったが、システムによって完全にガードしてくれるハルマの敵ではなかった。
武闘家タイプのプレイヤーの猛烈な連打に合わせて俊敏に撃ち込まれる片手剣の連撃、ふたりの攻撃の合間に打ち込まれる両手剣の強烈な一撃。それら全てが鍛錬によって身につけられた技であることに感動を覚えながら、一番間近で見学していたのだが、何をやっても届かない攻めに絶望的な差を覚えてしまったのか、少しずつ連携に乱れが生じ始める。
そうなると、相手の心が折れない内に終わらせるべきだとハルマも動き出す。
とはいっても、初歩のスキルである、前方扇状に斬撃を飛ばす切り払いに、ドレインで溜めたダメージを上乗せして放つだけである。
「ふん! もう諦めたか! 我が前に現れたことが過ちだったとわからせてくれよう! 〈ダメージリバース〉〈切り払い〉」
ハルマの放った一撃で消失していく3人組に向かい、ハルマは最後まで魔王らしく「ふわーっはっはっは!」と、笑い声を上げて送り届けると、魔王イベントは大盛況のうちに終わりを迎えるのだった。
最初の内は、自分の策略がハマるかの不安もあったが、来ない方が良いと忠告したにもかかわらず、なぜか毎回やってきた魔法職のプレイヤーでも問題なくMPを枯渇させることができたことで、徐々に安心感を得るようになっていた。
最悪、ラフやズキンも投入することになるかもしれないからと、苦肉の策で部屋中にカモフラージュのぬいぐるみや人形を大量に置いたのだが、それだけではユララが浮いてしまう。
言葉の通り、ユララだけ浮かんでいるのも奇妙なので、マリーにポルターガイストを使わせ、飾ってあるぬいぐるみや人形で遊ばせることで誤魔化しているのだ。
状態異常を引き起こすアイテムは存在するため、念のためにユララに〈加護の霧雨〉を使ってもらって、初手で状態異常にされることはケアしている。
こうやって姑息とも思える手法で、相手が物理攻撃しかできない状況を作ることさえできれば、みっともない結果に終わることはないのではないかと考えたのだ。
実は、もっと念には念を入れて、魔王の間を暗闇にして、自分は〈心眼〉のスキルで得た暗闇無効を活かして戦うことも計画していたのだが、それは運営からNGが出されてしまった。
想定外の申請だったらしく、技術的な対応が間に合わず、中継に映らなくなってしまうので止めて欲しいと平謝りされてしまったのである。
そこで無理を通せる高校生が、そうそういるはずもない。
それでも、ハルマの優位性は、本人が思っているよりはるかに飛び抜けていた。
何しろ、ダメージを受けない上に、ドレインで相手のステータスを奪いながらカウンター用の一撃の準備までできるのだ。
そうとも知らず、相手は一心不乱に攻撃してきてくれた。
前衛職が使うフルプレート装備の中からスカルヘルムを見つけた時、ハルマは今回のイベントを、魔王のロールプレーをして楽しむ方針が固まった。
二刀流が似合う魔王は、どんな感じにしようかと考えるだけで、ワクワクすることができたのだ。山羊のような悪魔のツノは、前回イベントの全体報酬にあったもので、追加でもらえた特権を活かして交換していた。
結果、上手いこと暗黒剣士タイプの魔王を演じることができたと思っている。
何より、このインパクトのある姿が知れ渡ることで、普段のハルマとの差に気づく者はまずいないだろう。
ラフとズキンの手を借りることなく、無事にイベントを終えることができそうなのも、大きな成果であった。
最後の3人組は、今までと違い、動きは常人のそれではなかったが、システムによって完全にガードしてくれるハルマの敵ではなかった。
武闘家タイプのプレイヤーの猛烈な連打に合わせて俊敏に撃ち込まれる片手剣の連撃、ふたりの攻撃の合間に打ち込まれる両手剣の強烈な一撃。それら全てが鍛錬によって身につけられた技であることに感動を覚えながら、一番間近で見学していたのだが、何をやっても届かない攻めに絶望的な差を覚えてしまったのか、少しずつ連携に乱れが生じ始める。
そうなると、相手の心が折れない内に終わらせるべきだとハルマも動き出す。
とはいっても、初歩のスキルである、前方扇状に斬撃を飛ばす切り払いに、ドレインで溜めたダメージを上乗せして放つだけである。
「ふん! もう諦めたか! 我が前に現れたことが過ちだったとわからせてくれよう! 〈ダメージリバース〉〈切り払い〉」
ハルマの放った一撃で消失していく3人組に向かい、ハルマは最後まで魔王らしく「ふわーっはっはっは!」と、笑い声を上げて送り届けると、魔王イベントは大盛況のうちに終わりを迎えるのだった。
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