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第9章 ゴブリン軍の進撃
Ver.1/第65話
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城門の〈修復〉に必要なものをそろえるのは、さほど時間はかからなかった。
これには防衛戦が始まる直前に取得できた、〈よくばり職人〉のスキルによって作業時間が半分に短縮される効果の影響が大きかった。
デッドリミットまで5分と迫る中、ハルマは急いでモカと合流する。
「お待たせしました! 仕掛けはどうでしたか?」
結界装置の近くで、あんぐりと口を開けて呆然としているモカに声をかける。
「ん! ああ! これなら問題なさそう」
苦笑いするモカの視線の先には、ハルマの設置したトラップに次から次にはまっていくゴブリンの姿があった。
イベントサーバー内では基本、通常のアイテムは使えない。しかし、スキルを使うためのアイテムであれば例外だった。ただ、こういったスキルを取得しているプレイヤーは多くなかったらしく、イベント中に活用されているのを見る機会は滅多になかった。
ハルマも、使えることは知っていたので準備だけはしていたのだが、大勢のプレイヤーが行き交う戦場にトラップを仕掛けて回る意味を見いだせず、インベントリに仕舞いっ放しだったのである。
「俺のINTが低いせいでHP削り切れないかと思いましたけど、さすがに中級魔法になるとホブゴブリンくらいまでならいけるもんですね」
ハルマが主に設置したトラップは、魔法陣トラップだった。
作った魔法陣トラップの札に、使用者が使える魔法を封じて、任意の場所に設置するタイプだ。範囲内に敵が侵入したら自動で発動するトラップである。当然、使用者の使える魔法の威力に応じて効果にも差が出る。ただ、高威力の魔法を封じられると強い反面、DEXによって発動率が上下するため、不発に終わることの方が多くなるだろう。
その点、ハルマの魔法の威力は低いが、DEXが高いおかげでほぼ100%発動している。
ハルマの使える魔法といったらドレインしかないのだが、〈魔力錬成〉というスキルをMPポーションを作っている時に覚え、中級魔法が使えるようになっていた。戦闘以外のところで魔法使用回数がトリガーのスキルを取得しているところも、ハルマらしいといえばハルマらしい。
そういうわけで、壊れた城門から真っ直ぐに結界装置へと進んでくるゴブリン達は面白いように罠にかかり、HPをドレインされていく。ドレインだけではHPをゼロにはできないので、結界装置の周辺だけは別のトラップを敷き詰めてあった。
まきびしと呼ばれるトラップである。
古典的でひとつひとつの威力も小さいのだが、HPをほぼ吸いつくされた相手であれば、わずかなダメージでも致命傷だった。
まきびしの利点はダメージ量よりは効果時間の長さにあった。
魔法陣トラップは1回発動してしまうと消滅してしまうのに対し、まきびしトラップは設置から30分は持続してくれるのである。
「っていうか。ハルちゃん。案外えぐいことできるんだね……。こんなゴブリンホイホイ、即席で作れるなんて……」
「こ、こんな使い方できるの、ゴブリン達のAIが単純だからですよ。城門からここまで、真っ直ぐ攻め込んでくるだけですから」
モカにえぐいと評され、客観的に状況を眺めてみると、確かに酷い惨状だったため、視線を空に向けながら言い訳すると、気を取り直してモカに視線を向ける。
「と、とにかく。トラップを仕掛け直しますので、それが終わったら城門に向かいましょう!」
「そ、そうだね。もう時間もないから、パパッとやっちゃって!」
こうしてイベントは、本当の佳境を迎えることになるのだった。
これには防衛戦が始まる直前に取得できた、〈よくばり職人〉のスキルによって作業時間が半分に短縮される効果の影響が大きかった。
デッドリミットまで5分と迫る中、ハルマは急いでモカと合流する。
「お待たせしました! 仕掛けはどうでしたか?」
結界装置の近くで、あんぐりと口を開けて呆然としているモカに声をかける。
「ん! ああ! これなら問題なさそう」
苦笑いするモカの視線の先には、ハルマの設置したトラップに次から次にはまっていくゴブリンの姿があった。
イベントサーバー内では基本、通常のアイテムは使えない。しかし、スキルを使うためのアイテムであれば例外だった。ただ、こういったスキルを取得しているプレイヤーは多くなかったらしく、イベント中に活用されているのを見る機会は滅多になかった。
ハルマも、使えることは知っていたので準備だけはしていたのだが、大勢のプレイヤーが行き交う戦場にトラップを仕掛けて回る意味を見いだせず、インベントリに仕舞いっ放しだったのである。
「俺のINTが低いせいでHP削り切れないかと思いましたけど、さすがに中級魔法になるとホブゴブリンくらいまでならいけるもんですね」
ハルマが主に設置したトラップは、魔法陣トラップだった。
作った魔法陣トラップの札に、使用者が使える魔法を封じて、任意の場所に設置するタイプだ。範囲内に敵が侵入したら自動で発動するトラップである。当然、使用者の使える魔法の威力に応じて効果にも差が出る。ただ、高威力の魔法を封じられると強い反面、DEXによって発動率が上下するため、不発に終わることの方が多くなるだろう。
その点、ハルマの魔法の威力は低いが、DEXが高いおかげでほぼ100%発動している。
ハルマの使える魔法といったらドレインしかないのだが、〈魔力錬成〉というスキルをMPポーションを作っている時に覚え、中級魔法が使えるようになっていた。戦闘以外のところで魔法使用回数がトリガーのスキルを取得しているところも、ハルマらしいといえばハルマらしい。
そういうわけで、壊れた城門から真っ直ぐに結界装置へと進んでくるゴブリン達は面白いように罠にかかり、HPをドレインされていく。ドレインだけではHPをゼロにはできないので、結界装置の周辺だけは別のトラップを敷き詰めてあった。
まきびしと呼ばれるトラップである。
古典的でひとつひとつの威力も小さいのだが、HPをほぼ吸いつくされた相手であれば、わずかなダメージでも致命傷だった。
まきびしの利点はダメージ量よりは効果時間の長さにあった。
魔法陣トラップは1回発動してしまうと消滅してしまうのに対し、まきびしトラップは設置から30分は持続してくれるのである。
「っていうか。ハルちゃん。案外えぐいことできるんだね……。こんなゴブリンホイホイ、即席で作れるなんて……」
「こ、こんな使い方できるの、ゴブリン達のAIが単純だからですよ。城門からここまで、真っ直ぐ攻め込んでくるだけですから」
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「と、とにかく。トラップを仕掛け直しますので、それが終わったら城門に向かいましょう!」
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