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第9章 ゴブリン軍の進撃
Ver.1/第63話
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「んで? 何からやったらいいんだね?」
大きな胸をぷるんと揺らしながら、モカは聞いてきた。
日頃ズキンで耐性がついていなかったら、危なかったかもしれない。
「とりあえず、城門を壊してみますか」
いたって真面目な答えだったのだが、さすがのモカからも「は?」という反応が返ってくる。
「い、いや! 城門のレシピなんて知らないから、大工スキルで調べてみないとわからないんですよ! それには、壊すのがセオリーなんです!」
慌てて補足する。〈大きな木づち〉を使って建材や家具を壊した時、新しくレシピを覚えることがあったのだ。城門も扉のカテゴリーに入るだろうから、もしかしたらすでに知っているレシピからアレンジさせることで、派生して作れるようになるかもしれないが、アレンジは手探りのため時間がかかる。
「なんだ。そういうことか。それにしても、〈大工〉なんてスキルあったのね。やっぱり残って正解だった。でも、そろって城門に行っちゃうと結界装置が無防備になっちゃうか。仕方ない。うちは残って見張り番しとく。ってか、ハルちゃんはひとりで大丈夫なの? 見たところ弓しか装備してないみたいだけど」
ニヒヒと笑うモカに対して、ハルマは調子が狂うなと思わされる。もちろん、いつもは自分が回りの調子を狂わしていることには気づいていない。
「ああ。俺なら大丈夫です。何せ、カラス使いなんで」
そう言うと、肩のズキンはカラスらしくカァーと鳴いてみせた。許可を出していないプレイヤーの前では、喋らないように頼んでいるためだ。
壊れた城門の所に行くまでに〈大きな木づち〉を準備しておいたが、結論から言えば必要なかった。
『EXスキル〈修復〉を取得しました』
『〈鍛冶〉〈木工〉〈裁縫〉で作られた家具、建築物の〈修復〉ができる。ただし、〈修復〉したアイテムが再び壊れると、完全に破壊され、〈修復〉はできない』
【取得条件/〈鍛冶〉〈木工〉〈裁縫〉のいずれかの職人で、ランクが〈一人前〉に到達し、かつ、壊れた城門に触れる】
「思ってた以上に簡単だったな」
拍子抜けしたが、このEXスキルをハルマ以外の誰かが取得しているかというと、誰もいなかった。
それもそのはずだ。
何せ城門が壊されるほどの激しい戦いの中に飛び込む生産職など、まずいない。しかも、ここは防衛結界の外に位置するため、壊された後も近寄ろうとは普通思わないのだ。
イベントが終わったと思い込んだことでプレイヤーが激減していなければ、ゴブリンの軍勢の勢力が弱まることもなく、次から次に進撃していることだろう。
しかし、ここで思わぬ事態に陥る。
「い!?」
ハルマが〈修復〉のスキルを取得した直後、明らかにゴブリンのポップが増えたのである。視線を更に遠くに向ければ、まだ到達するまで距離はあるものの、簡単には対処できそうな数ではないこともわかった。
「〈修復〉したら、すぐ壊すぞってことかよ……」
どうするべきかと悩んでいる間もなく、アナウンスが追加で表示された。
『〈修復〉のスキルを取得したプレイヤーの出現により、公式イベント〈ゴブリン軍の進撃〉に新たなルールが追加されました。城門を〈修復〉しても、イベントの残り時間が30分に満たない場合〈修復〉は失敗となります』
イベント終了まで、残り45分を切っていた。
大きな胸をぷるんと揺らしながら、モカは聞いてきた。
日頃ズキンで耐性がついていなかったら、危なかったかもしれない。
「とりあえず、城門を壊してみますか」
いたって真面目な答えだったのだが、さすがのモカからも「は?」という反応が返ってくる。
「い、いや! 城門のレシピなんて知らないから、大工スキルで調べてみないとわからないんですよ! それには、壊すのがセオリーなんです!」
慌てて補足する。〈大きな木づち〉を使って建材や家具を壊した時、新しくレシピを覚えることがあったのだ。城門も扉のカテゴリーに入るだろうから、もしかしたらすでに知っているレシピからアレンジさせることで、派生して作れるようになるかもしれないが、アレンジは手探りのため時間がかかる。
「なんだ。そういうことか。それにしても、〈大工〉なんてスキルあったのね。やっぱり残って正解だった。でも、そろって城門に行っちゃうと結界装置が無防備になっちゃうか。仕方ない。うちは残って見張り番しとく。ってか、ハルちゃんはひとりで大丈夫なの? 見たところ弓しか装備してないみたいだけど」
ニヒヒと笑うモカに対して、ハルマは調子が狂うなと思わされる。もちろん、いつもは自分が回りの調子を狂わしていることには気づいていない。
「ああ。俺なら大丈夫です。何せ、カラス使いなんで」
そう言うと、肩のズキンはカラスらしくカァーと鳴いてみせた。許可を出していないプレイヤーの前では、喋らないように頼んでいるためだ。
壊れた城門の所に行くまでに〈大きな木づち〉を準備しておいたが、結論から言えば必要なかった。
『EXスキル〈修復〉を取得しました』
『〈鍛冶〉〈木工〉〈裁縫〉で作られた家具、建築物の〈修復〉ができる。ただし、〈修復〉したアイテムが再び壊れると、完全に破壊され、〈修復〉はできない』
【取得条件/〈鍛冶〉〈木工〉〈裁縫〉のいずれかの職人で、ランクが〈一人前〉に到達し、かつ、壊れた城門に触れる】
「思ってた以上に簡単だったな」
拍子抜けしたが、このEXスキルをハルマ以外の誰かが取得しているかというと、誰もいなかった。
それもそのはずだ。
何せ城門が壊されるほどの激しい戦いの中に飛び込む生産職など、まずいない。しかも、ここは防衛結界の外に位置するため、壊された後も近寄ろうとは普通思わないのだ。
イベントが終わったと思い込んだことでプレイヤーが激減していなければ、ゴブリンの軍勢の勢力が弱まることもなく、次から次に進撃していることだろう。
しかし、ここで思わぬ事態に陥る。
「い!?」
ハルマが〈修復〉のスキルを取得した直後、明らかにゴブリンのポップが増えたのである。視線を更に遠くに向ければ、まだ到達するまで距離はあるものの、簡単には対処できそうな数ではないこともわかった。
「〈修復〉したら、すぐ壊すぞってことかよ……」
どうするべきかと悩んでいる間もなく、アナウンスが追加で表示された。
『〈修復〉のスキルを取得したプレイヤーの出現により、公式イベント〈ゴブリン軍の進撃〉に新たなルールが追加されました。城門を〈修復〉しても、イベントの残り時間が30分に満たない場合〈修復〉は失敗となります』
イベント終了まで、残り45分を切っていた。
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