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第6章 雨降りの迷宮
Ver.1/第42話
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マリーのイタズラによるハプニングはあったものの、それ以降は何事もなく奥へと進んでいた。
「ん?」
先頭を歩いていたチップが、異変に気づく。
「天井が、なくなったね」
隣のシュンも、同じタイミングで視線を上げていた。その先には、途切れた天井の上に曇天が広がり、雨が降り注いでいる。
「雨降りの迷宮って言う割に、雨の要素がないと思ったら、ようやくか」
「ってことは、ボスが近いんじゃない?」
雨が降っているとはいっても、プレイヤーに影響は基本ない。一部の火属性モンスターがポップしなくなったり、雨の時にしかポップしないモンスターがいたりといった影響はあるが、戦闘中にまでは影響が出ないのである。
そのため、雨具といったアイテムもなく、服に湿ったエフェクトが出るものの、すぐに乾いてくれる上に濡れた感覚もなかった。
天井がなくなり、雨が降り始めてからもやることに変わりはなく、頻繁に仕掛けられているトラップを解除しては、時折出てくるモンスターを討伐して、徐々に奥へと進んで行く。
そうやって、最奥であろう扉の前の、広くなった空間で待ち構えていたモンスターと遭遇した。
「モンスターがちょっと強くなったくらいだな。やっぱり、このダンジョンの肝は、トラップ回避と解除のスキルなんだろうな。さて、おそらくこの扉の向こうがボス部屋だろうね」
襲ってきたモンスターをあっさり撃退して、チップは周囲の安全を確かめる。
新たにポップする気配もなく、ハルマもホッと息を吐き出し小休止となった。
道中、魔法を使う機会もあまりなく、非戦闘時間も長かったため自動回復で間に合っていたが、ボス戦ではそうもいかないだろうからとアヤネにMPポーションをわけておく。
「サンキュ。ホント、ハル君のMPポーションは性能高いわね。出回ってるやつ買うのがバカらしくなっちゃう」
「嬉しいねぇ。そう言ってもらえると生産職選んだ甲斐もあるよ」
今回は、MPポーションだけでなく、HP回復用のポーションも多めに持参している。ジャアクビーの時のようにケチる必要もないので、状況次第では回復役にも回れる。何より、頼れる仲間がいることで安心感もあった。
「さて、じゃあ、この先はマリー、ラフのことを頼む」
さすがに、ボス部屋にまでトラップが仕掛けられていることはないだろうと、担当を元に戻し、マリーに戦闘中の指示を出しておく。
「準備はいいか? 行くぞ」
チップの言葉に続いて、全員が動き出していた。
「どんなボスだろうね」
チップに続いて扉を抜けたシュンが、おっとりと口にする。
「ダンジョン内のモンスターの強さからすると、そんなに強くないんじゃない? それでも4人しかいないから、8人前提のボスだったらキツイかも? って、今さらだけど、マリーちゃんとラフちゃんって、パーティメンバーに含まれるの?」
パーティは最大8人まで組める。ただし、人数が多いほど獲得経験値だけでなく、スキル取得に必要なカウントも減るため、常に8人で行動するプレイヤーは滅多にいない。
「マリーもラフも含まれないと思う。俺の装備品に近い扱いなんじゃないかな? そもそもラフは、マリーがいなかったらこんなに使い勝手良く参加させられないからね」
「マリーちゃん、カワイイだけでもじゅうぶんなのに、すごいのね」
「えへへー。マリー、すごいんだよ。でも、ラフもすごいんだよ!」
最初の出会いこそ警戒されたアヤネだったが、このダンジョンの中でだいぶ打ち解けたみたいである。
「まったく、ボス戦だっていうのに緊張感のない。そろそろ出る頃だぞ」
扉を抜けた先は、闘技場のような広場だった。天井はなく、雨が降り続けている。全員が雨に打たれながら中央付近まで進んだところで奥の扉が開かれ、重たい足音が響き始めた。
ズシンズシンと足音が近寄ってきて、ついにその姿を見せる。
「ん?」
先頭を歩いていたチップが、異変に気づく。
「天井が、なくなったね」
隣のシュンも、同じタイミングで視線を上げていた。その先には、途切れた天井の上に曇天が広がり、雨が降り注いでいる。
「雨降りの迷宮って言う割に、雨の要素がないと思ったら、ようやくか」
「ってことは、ボスが近いんじゃない?」
雨が降っているとはいっても、プレイヤーに影響は基本ない。一部の火属性モンスターがポップしなくなったり、雨の時にしかポップしないモンスターがいたりといった影響はあるが、戦闘中にまでは影響が出ないのである。
そのため、雨具といったアイテムもなく、服に湿ったエフェクトが出るものの、すぐに乾いてくれる上に濡れた感覚もなかった。
天井がなくなり、雨が降り始めてからもやることに変わりはなく、頻繁に仕掛けられているトラップを解除しては、時折出てくるモンスターを討伐して、徐々に奥へと進んで行く。
そうやって、最奥であろう扉の前の、広くなった空間で待ち構えていたモンスターと遭遇した。
「モンスターがちょっと強くなったくらいだな。やっぱり、このダンジョンの肝は、トラップ回避と解除のスキルなんだろうな。さて、おそらくこの扉の向こうがボス部屋だろうね」
襲ってきたモンスターをあっさり撃退して、チップは周囲の安全を確かめる。
新たにポップする気配もなく、ハルマもホッと息を吐き出し小休止となった。
道中、魔法を使う機会もあまりなく、非戦闘時間も長かったため自動回復で間に合っていたが、ボス戦ではそうもいかないだろうからとアヤネにMPポーションをわけておく。
「サンキュ。ホント、ハル君のMPポーションは性能高いわね。出回ってるやつ買うのがバカらしくなっちゃう」
「嬉しいねぇ。そう言ってもらえると生産職選んだ甲斐もあるよ」
今回は、MPポーションだけでなく、HP回復用のポーションも多めに持参している。ジャアクビーの時のようにケチる必要もないので、状況次第では回復役にも回れる。何より、頼れる仲間がいることで安心感もあった。
「さて、じゃあ、この先はマリー、ラフのことを頼む」
さすがに、ボス部屋にまでトラップが仕掛けられていることはないだろうと、担当を元に戻し、マリーに戦闘中の指示を出しておく。
「準備はいいか? 行くぞ」
チップの言葉に続いて、全員が動き出していた。
「どんなボスだろうね」
チップに続いて扉を抜けたシュンが、おっとりと口にする。
「ダンジョン内のモンスターの強さからすると、そんなに強くないんじゃない? それでも4人しかいないから、8人前提のボスだったらキツイかも? って、今さらだけど、マリーちゃんとラフちゃんって、パーティメンバーに含まれるの?」
パーティは最大8人まで組める。ただし、人数が多いほど獲得経験値だけでなく、スキル取得に必要なカウントも減るため、常に8人で行動するプレイヤーは滅多にいない。
「マリーもラフも含まれないと思う。俺の装備品に近い扱いなんじゃないかな? そもそもラフは、マリーがいなかったらこんなに使い勝手良く参加させられないからね」
「マリーちゃん、カワイイだけでもじゅうぶんなのに、すごいのね」
「えへへー。マリー、すごいんだよ。でも、ラフもすごいんだよ!」
最初の出会いこそ警戒されたアヤネだったが、このダンジョンの中でだいぶ打ち解けたみたいである。
「まったく、ボス戦だっていうのに緊張感のない。そろそろ出る頃だぞ」
扉を抜けた先は、闘技場のような広場だった。天井はなく、雨が降り続けている。全員が雨に打たれながら中央付近まで進んだところで奥の扉が開かれ、重たい足音が響き始めた。
ズシンズシンと足音が近寄ってきて、ついにその姿を見せる。
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