二度目の人生は異世界で溺愛されています

クラウス【 2 】

　大神殿に着いての日々は、目まぐるしく過ぎていった。国から出たことが無かった俺にとって、新鮮な毎日だった。

　ただ、やはり俺の髪と瞳の色　さらに闇魔法も相まって、多数に遠巻きに見られていることは知っていたが別に危害を加えられるわけではない。
　もともと人の機敏に対してあまり気にしない方なので、気分は良くないがあまり考えないようにしていた。


　
　ある日、周囲の雰囲気が変わった気がした。時折、こちらを見て眉を顰めながら噂をする者の数があきらかに減った。

　不思議に感じていたら，数日後同僚に話しかけられてわかった。同僚は、自分が国へ帰った時に治療士をしている兄に伝えてあげたいので、闇魔法を教えてくれないかと頼んできた。
　闇魔法について習いたいなんて珍しいなとビックリしていたら、聖女様が闇魔法の治療への有効性を広めていることを聞いた。

　さらに聖女様は前の世界では黒髪黒目な上、聖女様の国はほぼその色合いだったと。


　俺は嬉しかった。大神殿に来て、気にしていなかったとはいえ、多数の人たちからの反応には気が滅入っていたし、闇魔法に対してそのような効果があることも初めて知った。

　聖女様自身から闇魔法について聞いてみたかったが、俺は数多いる護衛の中の1人。
　聖女様自体がアプローチが好きではないことは、上位精霊が現れて怒っていったことで広まっていたので、こちらから話しかけられる雰囲気ではない。
　諦めかけていた頃、聖女様の方から何度か話しかけてくれた。

　話をしてみて思ったことは、俺が国で苦手だった女たちと全然違っていた。
こちらを値踏みするような視線は無いし、対応も優しい。俺の話に優しく頷いてくれたり、闇魔法について一緒に話してくれる。

　気が付いたら聖女様に本気で惚れていた。

　だが、俺からアプローチは出来ないし、やり方もわからない。
　そんな日々を送っていた時、聖女様から手紙が届いた。

　初めは嘘だろうと思ったが、読んでいくと本当らしい。嬉しくて、まだ信じられなくて、何度も何度も手紙を読み返していたら、南の大国の皇太子から手紙が届いた。

　手紙には、聖女様から手紙が届いた人物に送ったこと。まだ手紙を送った者以外には聖女様からの手紙や今の手紙のことを知られたくないこと。急ぎ男だけで話し合いたいこと。が書かれていて仕事が抜けられ無い時には、こちらを使ってくれという書類まで入っていた。

　俺はどんな話し合いになるのかと思いながら、指定された時間に待ち合わせ場所へ向かった。