二度目の人生は異世界で溺愛されています

ルーカス

　聖女様から手紙が来て驚いた。

　庭園をお1人で散歩されていたこともそうだし、護衛の1人である私のことを認識してくれていることに驚いた。

　聖女様に初めて会った日のことをよく覚えている。白銀の髪に黄金の瞳。圧倒的な美貌。
　目にした時に同じ人間かと思うくらい美しかった。

　護衛していると聖女様の性格も少し伺えるが、この世界の女性たちとは全く違っていた。

　女性でさらに地位が高いと、気位が高いというか高圧的だ。

　また平民の女性でも、少ない女性として様々なことが優遇されるのでやはり傲慢さが目につく。






　私は東に位置する小国の第5王子だが
兄妹の中で1人だけ、国の王族に現れる特徴の淡い金髪では無かった。
　幸い顔立ちが陛下である父上によく似ていたので、不貞の子といった最悪の勘違いはされなかったが私の焦茶の髪と目が残念に思われていたのは知っていた。

　さらにすぐ下に珍しく初めての姫である妹が生まれたこともあって、城での私の存在感は薄かった。

　妹は周りから甘やかされて育ち、妹は可愛かったが、すぐ上の兄で妹からしたら我儘を言いやすかったのか、かなり我儘に振り回された。


　成長し、国の学園に入学した年に婚約者が出来たが相手の侯爵令嬢は私の王族の特徴が現れていない平凡な髪や瞳の色が不満なようだった。
　面と向かって「あなたを正室にするのはあなたが一応王子だからよ」と言われた事もある。
　また、長年妹に振り回されてきた為、相手の出方を伺う姿勢がついてしまったのか、婚約者からは男らしくないといつも令嬢の側室候補の男性と比べられた。
（王族は一夫一妻制度をとることが多いが　貴族は女性が少ない為　跡取りを女性にしている貴族の場合、婿が複数いる。ルーカスは第5王子のため　卒業後は侯爵家を継ぐ令嬢の正室にという形で婚約が結ばれた）

　さらに卒業間近になって、側室候補の令息との間に妊娠が発覚し私は婚約破棄を陛下に希望した。

　高位貴族の正室になれなくても軍に所属して、生涯騎士として国に尽くして生きれば良いと考えた。


　身分が下位の貴族女性や平民の女性も勧められたが、やはり話してみると妹や元婚約者を彷彿とさせてしまい私から断った。

　卒業後騎士として勤務していた私だが
聖女様が降臨し、中央の大神殿で騎士を募集しているとの知らせを聞いた。

　国では第一王子の兄上が王太子として立派に政務をこなしているし他に兄妹もいる。
　さらに城にいると、相変わらず姫である妹に定期的に我儘や八つ当たりをされていたので私は中央の大神殿に行くのも良いかと思い希望した。



　初めて聖女様に会ってから、側で護衛していて思ったのが聖女様はこの世界の女性と全く違うということだ。
　男は自分の言うことを聞いて当然、私は特別といった考え方が無いのだ。

　男性と女性が同じくらいの割合の世界の記憶があり、男性からアプローチされた経験が無かったと　困惑されながら多数のアプローチに苦労されている様子を見て心からこの方を護りたいと思った。

　優しい聖女様が苦労されないようにしたかったが私は護衛の1人に過ぎない。　　　
　周りからの熱視線に疲れてる聖女様が心配だったが、ただの護衛の私が周りのアプローチを蹴散らすわけにもいかないので高位精霊のリリー様が周りに対して怒られた際はホッとした。


　聖女様を御守りする日々に幸せを感じていた私だが、ブンガ国から祖国に要請されている内容を知り、王族特有の髪色をしていない為に送り返されるかもしれないが祖国のためにブンガ国に行かなければいけないかと決意していた矢先、予想していなかった聖女様からの手紙に私は驚愕するのだった。