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江戸時代。彼らと共に歩む捜査道
河童の噂 後日談
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「あのような結末になるとは思わなかったが……民は元気を取り戻し始めている。じきに噂話も掻き消えることだろう。」
いつもの席に座り、マカロンを食べる一郎さんは、そう発した。
「その……産女さんや牛鬼は……。」
「それが、妙なことに死体などなくてな。魔物は死体が消えるなどの噂は本当だったのか。」
世にはま摩訶不思議なものばかりだな、一郎さんは感心している。
言葉を発しないため二人きりだと思われるだろうけれど、きちんと玉藻前もいる。……のだが、マカロンをたべることに集中しているのか、黙々としている。
「ねぇ……玉藻前、どうして町の人たちは体調崩したの?」
「……。」
これ話しかけてもダメなやつかしら、と半ば諦めかけていると、洗濯をした着物に毒がついたからだと答えてくれた。
「えっ……?」
「まぁ、玉が言いたいのは、川に毒が流れていて、その毒が着物に染み込みそれを着た一家が身体を壊した、ということだ。」
「一度、源頭までいったが、そこでやつらに追いかけられたのは苦い思い出だがな。」
マカロンをきれいにたべきった玉藻前は、会話をする気になったらしい。
「そういえば。なぜあんなところにいた、阿呆!」
あ、と一郎さんを見れば、そう言えばと一郎さんにも言われる。
「どうやらわしたちの考えが甘かったようだな……まさか山まで追いかけて来るとは。
はは!さすがは店主殿だ!」
「途中で言っていたあのこ、とやらも教えてもらおう。」
目が笑っていない二人を後ろ目に、私はスタートダッシュを切ったのだった。
その後捕まり、事情を説明し、しばらく二人に甘えられたのは、また別のお話し。
いつもの席に座り、マカロンを食べる一郎さんは、そう発した。
「その……産女さんや牛鬼は……。」
「それが、妙なことに死体などなくてな。魔物は死体が消えるなどの噂は本当だったのか。」
世にはま摩訶不思議なものばかりだな、一郎さんは感心している。
言葉を発しないため二人きりだと思われるだろうけれど、きちんと玉藻前もいる。……のだが、マカロンをたべることに集中しているのか、黙々としている。
「ねぇ……玉藻前、どうして町の人たちは体調崩したの?」
「……。」
これ話しかけてもダメなやつかしら、と半ば諦めかけていると、洗濯をした着物に毒がついたからだと答えてくれた。
「えっ……?」
「まぁ、玉が言いたいのは、川に毒が流れていて、その毒が着物に染み込みそれを着た一家が身体を壊した、ということだ。」
「一度、源頭までいったが、そこでやつらに追いかけられたのは苦い思い出だがな。」
マカロンをきれいにたべきった玉藻前は、会話をする気になったらしい。
「そういえば。なぜあんなところにいた、阿呆!」
あ、と一郎さんを見れば、そう言えばと一郎さんにも言われる。
「どうやらわしたちの考えが甘かったようだな……まさか山まで追いかけて来るとは。
はは!さすがは店主殿だ!」
「途中で言っていたあのこ、とやらも教えてもらおう。」
目が笑っていない二人を後ろ目に、私はスタートダッシュを切ったのだった。
その後捕まり、事情を説明し、しばらく二人に甘えられたのは、また別のお話し。
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