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一章 出会いと魔女の本領発揮『憤怒』

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騎士さんに誘拐された私は、ただいまお城の応接室にいます。なぜでしょう。騎士さんは少しの間待っていてくれといいどっかに行きました。なんで城にいるんですか私。
「……あ!お城ならお医者さまがいるかも!」
事情を聴こうと立ち上がり部屋を抜け出す。すると上の階で大きなもの音が聞こえた。それと共に、なんだか聞き覚えのある声も。
(というかこの声大工さんとかお医者さまの声じゃない!?あとイスハークくんの声もするわなんで!?)
ただの弟子の子供じゃなかったのと焦りながら階段を上る。
「声がするのは……この扉ね!なにがおこってるのかしら……。」
扉を開ければものすごく暑い空気が横切る。大工さんや騎士さん、お医者さま、そしてなぜかこの前あった旅人さん?がイスハークくんと対峙しており、その横には炎に包まれた真っ赤な大男がランプから出てきている。
(えっ……魔法のランプ……あ◯じん……。)
そしてそんな空気のなか私が入ったことにより全員がこちらをみた。
扉を開けることがしばらくトラウマになりそうだわ。


慌てて王座のある広間にファルーク王を避難させる。
「一応魔女殿は応接室にいる。」
「そうか。ありがとうヴィンス。
ファルーク王、ここなら戦いになったとしても、ある程度空間があるから安心していいよ。」
「助かる、アーサー殿。しかしイスハークの執着がここまで酷いとは……。私はなにをしたんだ?」
「ほんとデスヨネ、話を聞く限り追うまでする必要ありマス?」
4人で話をしていれば、足音が聞こえる。一人や二人ではない。大勢の足音。キィ、と音がなり扉が開く。
「ここにいたのか。」
大きな剣を右手に持ち、部下を引き連れたイスハークがここにいた。
「戻ってくるのが早かったな。」
余裕のあるように言うが、実際はない。
「ええ、ダニエル殿がそいつと共にいるのをみたと言うやつがいましてね。」
じろりとダニエルを睨む。ダニエルは目を左右に動かしながらてへっと言った。
「ファルーク王、仕方ない、逃げて。ここはダニエルが囮になるから。」
「えっ、ワタシですか……!?……あ、ハイ。やりますヨー……。」
一応ダニエルはヴィンスや俺と互角に戦える武力の持ち主だ。安心していいだろう。俺はファルーク王を引っ張り広間から出ようとする。しかし……。
「させるか……!……でてこい魔神!二つ目の願いだ!奴らを捕らえよ!!」
「……承知した。」
イスハークがランプのようなものを持ち擦れば、怪物がでてくる。それはイスハークに服従しているようで、俺たちを襲ってきた。
「っ……魔神とは……これか!!」
「まさか本当にいるナンテ……!?待ってクダサイワタシ死んじゃいますっテ!てか捕らえる前に焼き殺す気でショこの魔神ハ!」
「すまない!!私が来た時点で死なばもろともだと思ってくれ!」
「まぁ事情聞いてたからわかってたけどさぁ!!魔神すぐに出すと思わないだろ!?待ってまだ魔女さんいないんだけど!!?」
女性にこんな怪物をどうにかさせるのは心苦しいが、魔法的なのできるのは魔女さんしかいない。四人で叫びながら逃げればイスハークは狂ったようには、はははは!と笑う。そして魔神はひたすら火の玉を投げている。たまに左足をあげ右手を引き、思いっきり投げてくる(野球のピッチャー的な)。もう広間はボロボロになりかけている。というか火事も。
「誰か助けてクダサーーイ!!」

ガチャリ。

ダニエルの願いが通じたのか、扉が開いた。そこには、ゆっくりとした足並みで歩く彼女がいたのだった。




「精霊王!」
『ノックくらいせんかい……おねむのじかんやねん……』
「お嬢様が城へ誘拐され魔神と対峙しております!!」
『おい嘘やろ!?』
黒猫の姿のままあのこの布団で寝転んでいれば、ジェイ・ジャックが慌てたようすで、雑にドアを開けそう叫んだ。すぐさま時間を止めさせ、その空間に俺も入る。自分より下等な精霊なら能力に干渉できるんや。便利やろ精霊王って。だが、少し精霊王後からは弱まるため、変化をし続けられず、人の形に戻る。
「それで……なんでそんなことになってるのぉぉぉ!?」
「どうやら……ええ、そうですか。ご苦労。通信は切らずそのままで。
さきほど私の分身体にネックレスから抜け出し探らせたところ、アーサー王子の執務室の上に、資料があったようで、そこにはファルーク元王を探しに隣国の現王が追いかけ捕まえようとしているらしいです。」
「……え?え?なんであのこが魔神と対決してるんや?今の話に魔神もあのこも関係なくない?」
「どうやら、偶然にも、千年前に大罪を犯し、ランプに封印された悪魔を使役している人間がいるようで……。」
「あー……あいつかぁ……あいつなんか人間越えたいっていってしつこかったから魔人として封印したんよなぁ……。さすがに他の人間殺して生け贄にされたらたまったもんじゃなかったし……。」
そこで思い出す。
「あのランプ、七つ願い叶え終わったらあいつ自由になってまうで!?」
「……はぁ!?……いえ、でも書類には、代々伝わる話によると魔人はどうやら三つの願いを叶える、と言ってるようですが……。」
「あー……じゃああと四つは誰かが使ってもうたんやな。うーん……ってそんなこと言ってる場合やあらへん!あのこ助けんと!たしか炎の魔人よな!?シアンに連絡いれときぃ!!俺は先に行くで!!」
「ええ、かしこまりました。ネックレスに分身体を戻し、精霊王が来たタイミングで時間を動かし始めます。」
「頼んだでェ!!」
急いで城へと向かう。城は半壊状態で、炎に包まれかけていた。
「……あ、そういやぁあのこ結構強い魔術使えるのよな。でも歌わんと無理やしなぁ、
はずいよな……あ、デュエットええんやない?途中から混ざってくれるやろ。あのこなんの曲知ってたかな……。」
そんなことを考えながら、魔人の気配をたどる。そこは、大きな広間で、王座が佇んでいる。アーサーやヴィンスたちは、恐怖を顔ににじませていた。
「よし、ええで、時間戻してくれ!あのこの杖!ミュージック、スタート!!」
時は動き始めた。
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