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一章 出会いと魔女の本領発揮『憤怒』

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家にあげたはいいが、問題は身だしなみだった。最悪それはいいの、しかし体臭だけは見過ごせない。なんの魔法か、魔法なのだけど、部屋のなかに匂いはつかないけどすれ違ったときなんか嫌なのよね、きついのよ。
「あっ、お風呂にいれるの忘れてたわ。」
ということでザッバーンと音を立てみずを大きな湯船にため、炎で暖める。このテント30人入ってもまた余裕ある大きさのお風呂つきってすごいわよね。
(いい温度になったわ。)
「さぁ、杖、家、出番よ。彼らを強制的にお風呂にいれて。私運べないもの。」
しかし、ピクリとも物音はしない。
「か弱い乙女を助けてくれないのねこの杖は……なんてひどい杖なの~♪」
がたっ。
目の前の石鹸が動く。
「……ねぇうそよね、嘘といって。」
数十分の格闘のすえ、私は羞恥心を投げ出した。




『~♪~~♪』
「……?」
聞いたこともない旋律が微かに聞こえる。仲間たちはぐっすりと寝ているが、対価とはなにかと考えているうちに目が覚めてしまった。彼女は何者なのか。
(名前をしらないな……そういえば、まだファルークという私の名を彼女に告げていなかったな。)
なんの歌か、彼女をもっとしりたいと起き上がろうとしたとき、からだが宙に浮くのを感じた。
(!?)
『ほぉら、扉を開いて~~貴方たちは彼らを綺麗に洗うのよ、服は洗濯籠へ、着替えたちは~バスタオルと一緒よ!』
その声につられるまま、私たちは大きな浴槽のある部屋へと連れられた。彼女はどこにいるのだろうか、声だけが家に響く。
「うぐっ……っう……」
意識があるからか、服を剥かれ丁寧に洗われているがついうめいてしまう。他の奴らは静かに眠っているというのに。一応警備の心得のある男たちなんだが……?すぐに着替えなのだろうか、動きやすく着心地がよい服を着せられ、部屋に戻された。いつのまにか丁寧に寝台を低くしたような(布団)ものが人数分置かれている。
『さぁ、ゆっくりお眠りなさい。』
優しく、布団へと戻された。するとまた、同じような旋律が聞こえてくる。隣の部屋の奴らがおなじめにあっているのだろう。
(人間技じゃないな……。)
考えることはあるべきなのだろう、しかしからだが限界を向かえているようで、この寝台のようなもののにからだが沈んでいってしまった。


ちゅん、ちゅん。鳥のような音が耳にふれる。
(朝になったのか……?)
「おいっ、無事かっ……!」
追っては、と素早く状態を起こせば、カサリとかけた布が落ちる。それをみて昨日のことを思い出した。
「そう、か……昨日の女性に我々は助けられて……。」
そのとき、とても香ばしい香りが鼻を掠めた。正体がわからず悶々としたまま部屋をでると、大広間のような、一番最初のへやで彼女が机に座りなにかを食べていた。
「あら……おはようございます。肉じゃが、貴方も食べます?」
「いいのか……?」
「ええ、食欲があればですけど……。」
「あっ、ああ……貰えるならばありがたく貰おう。差し出がましいとは思うが、あいつらのぶんもできたら……。」
「……ええ、少し目をつぶっていただければ。」
(昨日の魔術を使うのだろうか。)
おとなしく目を閉じれば、すぐに開けていいと言われる。すると、彼女は両手で大きな器を抱えていた。なかには、ニクジャガとやらがぎっしりつまっていた。いつのまにか机の上には他の料理もある。
「こうなると思って、作っておいたんです。」
(魔術については隠しているのか……?)
一口二口と食べ進めながら考える。
うまいなこれ。
「そうだ、いまさらだが私はファルーク。とある事情で別の国を目指している。貴方は……。」
「私のことはお好きに。(というか関わりたくないわ絶対逃亡者というか国追われてるタイプのイケメンよ直感がそう叫んでるわ!!)」
彼女が心のなかで叫んでるとは露しらず、私は好きに呼べと言われ戸惑っていた。恩人をなんと呼べばいいのだろう。こんなに美しく……危険な女神のような女性を。良く聞けば、人により魔女やら女神やらと言われるらしい。
「ならば、私も女神殿と呼ばせて貰おう。」
「貴方もそっち側なのね……まともな人がいないわこの世界……いえ、こっちの話です。」
凛とし、かつ艶やかな声は耳障りがとても良く気を緩めれば絡み付く蛇のようだ。
「それで……早めにしっておきたい。部下たち……仲間たちを早く安心させるためにも。」
彼女は一瞬うつむいたかと思えば、こちらに美しいそのかんばせをむけ微笑んだ。
「貴方が、生きのびることですよ。生き延びて彼らを導くこと。貴方にしかできません。」
耳を疑った。このかたは本当に女神かもしれない。私に生きろと、導けと言うのか。その力があると、見抜いて、予言をしているのか。胸の動悸が激しい。顔も暑い気がする。
「すこしみなと話してくる。……感謝する。」
早足に立ち去る私に振り返ることなど、できるはずもない。



「いや対価どうしようと思ったわ本当に……よかったわ、あれ納得してくれてよかったわ!!ドラマって最高よね!この世界に来る前にたくさんみといてよかったわ!!困ったときは台詞引用!これ大切よね!」
対価を聞かれたとき、焦りに焦りまくった。内心で。みた感じなんか死にかけたって感じだったから、ない脳をフル回転させて過去の視聴したドラマの台詞が口から思わずでちゃったのよね。
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