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第一章:皇帝と寵姫の秘密。

魔力は祝福と呪詛、心は熱愛と憎悪。

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いつも通り私もパターンで勉学するけど…
今日は珍しく魔法学もあった。

だからルイが部屋に戻ってくるまでと。
魔法学も復習する中、私の場合。
なぜか、少ないとしてもだった。

やっぱり…
難しい…

私は何回も授業の記録を、読み返す。

【魔法学-基礎-】

そもそも魔法の源は自然界の万物から力を。
受けたまわるからこそ凡ゆる事象も、その源へ。

源は己の血に宿る力である。

生きとし生ける凡ゆる生物が産まれた時。
様々な加護も受けた命と等しい力。
それが魔力である。

魔力は血の中に全て加護と共に備わる力。
加護に対してたたえる事で得る事象を。
すなわち、魔法となってあらわれる。
すなわち、汝の主と共に行使される。

加護と別になる自然界の場合。
干渉する為には汝の主と別へ。
己の魔力と共にたたえ、受けたまわる事を。

そして祝福として成立するからこそ…
すなわち、魔法となってあらわれる。
すなわち、汝の主と別に行使される。

だが、万物からの祝福は呪詛と等しい力である。
己の血から奪われる力こそ命である。

故に正しき祝福の為、自然界の様々な加護を。
還すべき力、たたえるべき汝の主を。
正しく理解し、たたえ、願い、全ては源へ。

すなわち、汝の命は魔力である。
すなわち、汝の魔力が魔法である。

【魔法学-基礎終了-】

読み終えて私は再度、考える。

確か講師の人も基礎の理解を。
私の場合、それ以上は教えて貰えない。

理解してなければ…
魔法構築は危険と?
だからルイからも私へ。

魔法学は基礎のみ。
理解してないなら危険のみ。
だから教えるなと?

言われてるらしいけど…
基礎すら私には難しいし?
やっぱり判らない…
だから構築も教えて貰えない。

ルイの理由も私の為、すぐ意味は判る。
危険なら、そう…
あの優しいルイなら私へ?
教える筈もないし?

尚更、目すら閉じる。

血にある力と?
命が魔法で、魔力と?

でも私には…

そんな時。
カチリッとドアの鍵が聞こえた。
すぐ私も目を開けるとルイが部屋へ。

気付いてソファから立ち上がる。
だけど私は一応、そのまま動かなかった。

「ルカ、戻ったよ。
だが…
何か、あったのか?」

すぐ心配そうに近付いてくるルイの姿を。
私も見ながら…

「ルイ?
魔法学の基礎なのに…
どうしよう。
判らないと?
何度も考えてるけど?
やっぱり、私は頭が悪いよ!!」

最後だけ強調して言うと私を、見たまま…
ルイは少し驚いた様子へ。

でも、すぐ優しく笑うと私の頭を。
撫でながら…

「今日の魔法学か?
まぁ、これはルカに限らないからね。
でも充分、ルカは頭が良いのだよ?
帝国民ならば同じ事。
だからルカ?
そんなに心配する必要はない。」

そう言うとルイは私を、軽々と抱き上げて…
いつもと同じ様に優しく笑った。

私には、それすら判らない。
どうにか…

「ル、ルイ?
私に限らないと?
えぇ!?
でも基礎なのに…」

言えば察した様子でルイは私へ。

「ふむ、ルカに判り易く言うとか?
帝国民ならば日常生活でもだが。
魔力は当然、そしてルカの場合。
普段から自然に使ってるのだよ?
だから余計、判らない感覚のみ。
少し思い出せば、ルカも判る筈。
移動も含め装置はあるが。
あれすら魔力なくして動かない。
だが、ルカは気にせず。
魔力の制御を、意図的になど…
考えてないだろう?」

私は素直に驚く。

そう、あれだって魔力を!?
でも普通に…
私だって、そうでしょう?

「それは、そうだけど…
ルイ?
基礎だと自然の?
えっと血の中にと?
たたえる事もしてないのに…」

思い出しながら私が言うけど…
それにもルイは、すぐだった。
優しく笑うと抱き上げたまま…

「ルカ?
俺が魔力の制御も出来るのだよ?
だからルカが、わざわざ魔法を。
意図して使う事もないが。
簡単に俺から教えてあげよう。」

言ってから再度、ソファに私を。
座らせてから魔法学基礎の記録を。
ルイはテーブルに置いたのを。
浮かせると読みながら…

「ふむ。
確かに基礎ではある。
そうだなぁ…
ルカに判り易く言うとだ。
つまり、産まれた時点になる。
命には必ず、魔力を。
大小違いはある中で持ってるのだよ。」

産まれた時点で魔力を。
大小違いはあると?

そのまま私も素直にルイを。
見ながら話も良く聞こうとする。

ルイも私の事を、見て優しく笑いながら…

「ルカは素直で良い子だ。
魔法学の続きだね?
産まれた時点で持つ魔力には、それぞれの加護…
つまり、人それぞれ違うのと同じだが。
どんな自然界の力を、加護を。
受けて産まれたか。
その最初から受けた加護の事を。
ルカに例えるならば、ルカの主になる。
産まれ持った主の存在へ。
そしてルカにとっての、汝の主だ。
その主がルカの為、魔力を。
常に授け与えてるのだよ。」

私が普段から使う魔力も?

最初から…
えっと、それが主と。
私の汝の主になると。

その主から魔力を。
常に主が私へ。
授け与えてくれてるから…
普段から使えてると。

僅かに私は、そこでだった。
だから判った事を、ルイへ。

「ルイ!?
それは、えっと…
普段から使ってる魔力も私へ。
与えてくれてる自然界の主になると!!
だから汝の主を、でしょう!?
たたえるの意味は感謝になるし?
そのたたえる事で魔法へ!?」

ルイも頷きながら優しく笑う。

「やはり、ルカは頭も良いなぁ。
その通りだよ。
だからこそ、主をたたえる事を。
そうする事で初めて成立するのが…
汝の主から今度は魔法とした形へ。
ルカが使う魔法になるからこそ…
全ての源、魔力として源もルカへ。
つまり、命と魔力は切り離せないのだ。」

少し私も判った事が嬉しくなる。
尚更、笑いながら思った事を。

「ルイ!!
魔力の源は主にあると。
それが産まれた時。
人それぞれ違うのでしょう!?
少し判ってきたよ!!
まだ私の主が判らない感覚だけど?
それでもたたえる事、受け 賜たまわる事。
その意味は判った!!」

言うとルイも嬉しそうに笑う。

「あぁ、そうだよ、ルカ。
だが、その理解は簡単でもない。
そして理解が正しくなければ…
ルカに危険なのだよ。
だから焦らず、ゆっくりだろう?
普段、誰でも当然に使うからこそ…
己の主すら判らなくなるが。
既に産まれた時点、ルカにも主は魔力を。
しっかり授け与えてる。
でなければ、魔力なども一切、使えないのだ。
特に帝国民は産まれた時から余計にか?
当然に魔力を、使って生活するからね。
源に関して判り難いだけの事。
まぁ、理解すら出来ない者も多い理由だな?」

私も凄く納得もした。

いつも使ってる魔力すら深く考えないし?
帝国のは全て魔力で動かすから…
皆も難しいと!?

でもルイは凄く理解してるからこそ!!

私も嬉しくて笑って思うばかり。

だからこそ、ルイは皇帝へ!!
一番、判ってるから最強と?
それだけ凄いと?

今のも私へ、判り易くだし!?
やっぱりルイは優しいだけじゃない!!

「ルイ!!
私にも判り易くと?
あんな僅かで教えてくれるのも?
やっぱりルイが一番、凄い!!
絶対、最強より最高の皇帝だよ!?
それにルイの言う通り、でしょう?
ちゃんと正しく理解する事。
一番、重要な事まで…
魔力は使うのも好きじゃないけど。
私も頑張るよ!!」

私は笑いながら言うと。
少しルイは不思議そうな顔もしたけど?

でも、すぐ優しく笑いながらだった。

「あぁ、確かにルカ?
魔力は最低限で充分…
そして本当に良い子だよ。
俺も充分、ルカの為、頑張れるが。
魔法学に関しても最低限で良いからね?
既に得てるルカの資格だけでも判る事。
魔法学ならば、俺が充分、理解してる。
同時になぁ…
俺はルカの事もか?
俺の大切な唯一、愛してるルカを。
俺の皇妃へとなるのだから…
守るのは当然の事だろう?」

言ってきたルイの意味は私でも判る。
嬉しいのもあるけど…

私は笑いながらルイへ。

「それでもだよ!!
私が出来る事を、ルイへ。
頑張って少しでも役に立ちたいし?
ルイばかりには、しないからね!!」

少しルイも笑うと私へ。

「ならば、ルカしかだよ?
俺の願いは叶えられないなぁ…」

私しか!?

「ルイの!?
それは…」

慌てて言うとルイは、すぐ私を。
抱き寄せてからだった。

「ルカ?
何度も言った筈だよ?
俺の妃、俺だけの唯一。
俺だけの愛する皇妃へ。
そして俺の子を。
ルカにだけ望んでると…」

耳元で囁かれた私でも、すぐ思い出す。
何度も聞いた事。
なぜか、一気に恥ずかしくもなる。

そんな中でルイは、また私を。
軽々と抱き上げてベッドへ。
意味にも気付くけど…

「ルカ?
また今夜も美しいなぁ…
そして、凄く似合ってるよ?」

私も意味には判る。
でもルイすら変わらず…

いつもの様にルイから快楽を。
与えられるばかりへ。

そのまま私はルイに抱かれたまま…
安心して眠ってしまった。

**************************

一方、ルイ。

通常業務を、熟す中。
一応、魔力制御も考えルカへ。

魔法学も組み込んだが。
やはり…
なぜ、ルカは魔力の源を。
使うのも好きじゃないと?

相手に合わせるだけ…
本来ならば、ルカの魔力は高過ぎる程。
にも関わらず。

あれでは自ら…
つまり、ルカからだろう?
己の主を、魔力を。
使う事すら避ける意味になるが。

ふと空中庭園の事を。
俺は思い出す。

あれすらルカの場合。
空中庭園は特殊だからこそ…
確かに無意識に魔力を。
草花も反応したのみ。

魔法より単純だな。
魔力の集め過ぎには変わりない上で?
構築すら理解もないまま…

まぁ、ルカに魔法学は必要ない。
常に俺が居るから尚更だな。

魔力も、頭脳も、高過ぎるのだから…

そこで逆に愚か者の存在を。
思い出して確認の為、一度、宙にある書類を。
纏めながら今日の直属側近へ。

「サーエル、ザレス、ムハン。
独房の様子と、チアント国は?」

すぐ三人共、反応して俺の側へ。
頭も下げるとサーエルがだった。

「はい、陛下。
独房に関しては指示通りのまま…
現状、変わっておりません。
まだ生きて居ます。
チアント国の貿易も全く問題ありません。
陛下の指摘通り、反乱分子の動きを。
更に属国でも暗号は陛下の解読にて…
捕縛も出来ました。
クリスタ国すら厳重に監視下へ。」

俺は冷笑したまま…

「愚か者の中でも下らない理由だったか?
今すぐ見せしめにもなぁ…
せめて生きてる間は常に苦痛のみ。
充分、味わって貰うが。
あんな鳩すら既にだぞ?
俺の調教された大鷹の餌へ。
しかも暗号程度、俺には余裕だ。
一番の目的、例の二人は?」

聞いた時、今度は三人共、複雑な顔へ。
視線も合わせたのも、すぐ気付くが。

三人共に頭すら下げてから、またサーエルだった。

「はい、陛下。
その件に、つきまして大変、申し訳ございません。
私も含め処分は、全て陛下の判断へ。
ですが、クリスタ国にて目的の者、二名。
未だ発見は出来てません。
捕縛前に自害した者の中も探しましたが。
そして逆に動きすら全くないまま…
連絡手段すらない現状へ。
私には、なぜか判りません。」

内容も含め現状把握した俺も、再度。
一応、確認する。

「ふむ、現状は判った。
まだ処分はしないが、確認もしようか。
つまり、クリスタ国内の動きも変化なしと?
また発見も含め二名のみ。
他の洗い出しは?」

すぐサーエルも…

「はい、陛下。
クリスタ国内に関してならば…
その通りです。
関与した属国は陛下の予測通り。
洗い出しも終わってます。
ですが、他国へ。
逃亡した痕跡も見つからないのです。」

聞いてから考える為、目を閉じた。
すぐ予測しながら俺も言う。

「ふむ。
恐らく、クリスタ国も避けた動きを。
捕縛した一人は情報の為、殺処分したが。
映像で名前は判らんとしても…
首謀側は二人組でも、一人は明らかな特徴を。
黒髮と黒い瞳だった。
もう約8年前か?
最後まで全員、抵抗したからなぁ…
元ドラルーク国は、既に開発地区へ。
帝国からしたら有益な場所へ。
元ドラルーク国の生き残りならば…
首謀者側での頭脳役だろう。
だとしたら、またチアント国か。
更に連絡手段もないからこそ…
今は二人で行動してる筈。」

もう思い出すだけで、俺は溜息も出た。

全くチアント国は最初からだが。
煩わしいばかりか?
国益も鉱脈が主流だ。

他にも価値があるとして…

「ならば、仕方ない。
もうチアント国へ。
帝国空軍、第三部隊を。
待機させろ。
監視も含め今のままだが。
長引かせたくないからなぁ?」

言った瞬間、側近三人共、驚いたが。
またサーエルも動揺しながら…

「へ、陛下?
空軍第三部隊を、待機状態へ?
ですが、動かす日時も…
まだ不明な状態へ。
既に決定で、動かしますか?」

意味は判るが、俺も普段通り…
冷笑した。

「いや、待機段階で、約2日のみ。
首謀の二人は元ドラルーク国と。
クリスタ国の者だ。
すぐ意味に気付く筈。
だからこそ、今度は属国ではない他国へ。
必ず痕跡も残す。
チアント国も今まで通りだが。
他国になれば、帝国から手配するのみ。
率先して帝国へと、協力もするぞ?」

そう…
まさに、このアルデバード帝国を。

敵にするぐらいならば…
他国は首謀者側を、差し出すからなぁ?

側近三人共、理解した様子へ。
無言で頷くと、すぐ動くのも見て居た。

そもそも…
俺から、愛してるルカを?

狙う愚か者など…
絶対、俺は逃さないぞ!?

捕らえてからも、すぐ殺さん!!

死ぬより苦しい後悔を。
その中で最後を。
俺の溜飲が下がるまでなぁ…

それからルイも、また切り替えて通常業務へ。
戻ってからも早く終わらせ…
やはり、ルカの元へ。

そしてルイは、ようやく、ルカの無垢な心と美しい姿。
また同時に愛してるからこそ…

唯一の存在が、ルカだけも本心でもある。

だからこそルイは、ルカへ。
危害だけは絶対、許せない冷帝へ。
簡単になれるのだった。
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