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第一章:深い闇からも必ず。
10.判らない言動でも安心を、未来の為でも思いを。
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桂さんは私を抱き上げたまま移動する中。
すぐ塀へ向かう感じで暗くて…
余り見えなくてもだった。
既に簡易的なロープで作ってあるのか?
梯子っぽいのを私も見た。
そのまま桂さんはアッサリと。
私も一緒に、それを登って壁を超えた。
そして、すぐ数人が居るのにも私は気配でも気付いたが。
真っ先に聞こえた声だけで私は驚いた。
「桂さん!!
無事で。
それに春香さんもだ!!
良かった、間に合った!!」
数人が近付く中で一人が嬉しそうに言ってきた。
桂さんも少し笑うと数人を。
先に見渡してから言うのも私は聞いてた。
「あぁ、私は問題ない。
それに春香も無事だよ。
皆のお陰だ。
だが、ここで長居は無用。
すぐ藩邸へ。
全て予定通り。
このまま皆も動いて戻ろう。」
そう言うと桂さんも、また早く走って…
でも皆も一斉に動き出しながらもだった。
更に私へ何人も言ってきた。
「春香さん、良かった。
新撰組みてぇな危ねぇ場所へ…
頭、あ、いや、高杉さんだな?
凄く心配してた。」
「桂さんが単身で、だったから…
俺達も二人が無事で良かった。
話すのは初めてだけど?
俺達は知ってるよ、春香さんの事。」
「春香さんは未来からだろ?
俺達は奇兵隊で訓練場ばっかで会ってねぇが。
話は充分、高杉さんからも聞いてるからな?
もう心配ねぇよ!!」
「悪いな、春香さんに俺達も名乗りてぇが?
かなり人数も多いんだよ。
いきなり驚かせたくもねぇから。
それでも春香さんの話だけは聞いてたんだ。
だったら尚更なぁ?」
「桂さんなら、きっとだと思ってたが。
春香さんも無事で本当に良かったぞ?
かし、いや、高杉さんの事なぁ?
すぐ動いた。
凄く春香さんの心配もだった!!」
それぞれが暗くてハッキリと顔は判らなくても声は充分。
私にも聞こえてきて、もう驚くばかりだった。
どうにか私も言う。
「皆が?
高杉さんも…
それに坂本さん達以外にと…
更に?」
「春香?
私も言っただろう?
既に皆が春香の為。
必死で助けたくて動いたのだよ?
もう大丈夫、安心しなさい。」
すぐ桂さんの声も聞こえた。
だから私も桂さんを見ると少し笑ってるのだけは見えた。
私は桂さんに抱えられたまま移動する中。
それぞれが更に人数も増えたり、減ったりと移動して…
動いてる様子も私には気配で判って驚くが。
どうにか私も考える。
こんなに?
多い人達が…
私の為?
んな事まで、したのかぁ!?
私みてぇな異物に…
んな馬鹿な!?
どうしてだよ!?
んな事すら危ねぇだろ!?
皆も危ねぇ筈なのに!?
でも、どうして…
何も言えないまま私は考えるが判らなかった。
複雑な感覚ばかりする。
「まだ春香は判らないのだろう?
徐々にだよ?
そうして春香も判るのだからね。
だが、皆は既に春香を知ってるんだ。
それに後、少しで藩邸に着く。
必ず晋作も春香を待ってる。」
桂さんの声が聞こえて、すぐだった。
僅かに最初、私が居た大きな平屋も見えて…
多分、藩邸って場所だと思うが。
その入り口で本当に高杉さんが立ってた。
更に数人が既に居たのも私には見えたが。
あれは坂本さんかぁ!?
それに武市さんも居る!?
暗くてハッキリ見える前、真っ先に大きな声が聞こえた。
「春香!!
無事だな!?
そして小五郎もだぞ!!
良くやった!!」
高杉さんの声、内容にだった。
どうしても私は驚く。
そのまま桂さんも藩邸だろう場所へ近付いて見れば…
凄く嬉しそうに高杉さんが居た。
私と桂さんへ笑ってるのも判って思う。
高杉さんも…
私を?
桂さんは私を降ろしながら高杉さんへ向いた。
「あぁ、晋作、どうにかな。
まさか新撰組の土方君がだと。
私も全く思ってなかったが…
この通り春香も無事だ。」
そう言うのも聞いた私も、すぐ桂さんを。
見ると少し笑ってるのが判る。
でも高杉さんの声が…
「それに関してだがなぁ。
既に俺も坂本達から聞いたぞ?
俺からすりゃ…
もう信じられねぇ感覚しかねぇが。
だが、小五郎が言うならば…
やはり、か?」
明らかに変わった高杉さんの声に気付いた私は…
すぐ、また高杉さんを見ると凄く複雑な顔をしてた。
高杉さん?
どした?
しかも今…
声まで明らかに…
高杉さんの複雑な顔には私も全く判らない。
少し考え様とする前。
「春香さんや!!
ワシもじゃき!!
武市も居るがの?
まっこと無事でよかと!!」
すぐ坂本さんが笑って大きく言ってきた。
そこで私も改めて坂本さんの方を。
更に後ろから武市さんと…
ありゃ、確か…
あの時かぁ?
名前は知らねぇが。
でも警戒っつうより…
何だぁ?
無愛想って奴かぁ?
咄嗟に知らない男性が居る事で私は少し警戒度を。
高めるが、すぐ武市さんが言ってきた。
「春香さん。
この者に関しては心配ない。
私の事は既に知ってるだろうが。
この者は私の弟子になる。」
少し笑って言った内容にも、また私は驚きながら見る。
弟子だぁ!?
つまり、そりゃ…
武市さんは…
ありゃ、何つうんだ!?
何の流儀か知らねぇが。
指導担当みてぇにと?
んな事まで、してんのかよ!?
強いぐれぇ判ってたが。
今も、かぁ?
サラッと言いやがったがなぁ、おい!!
私が思ってると少しだけ後ろに居た男性が動いた。
武市さんに聞いてたが、どうしても警戒はする。
でも僅か武市さんの横で、すぐ止まるのも見た。
「俺は『岡田以蔵』だ。
話した事は、ない。
でも春香さんの事なら話も知ってる。
警戒は解いてくれ。
武市先生からも注意を受けてる。
それに危害もしない。」
一応、私も警戒度を下げながら思う。
んん?
武市先生だぁ!?
だから…
それでかぁ!?
私も思い出す。
あの部屋に一緒に居た事を。
少し下を向いて考える。
私みてぇなのに…
皆が?
協力してかよ。
んな危ねぇ事まで…
「本当に…
桂さんだけでもねぇで。
皆が私を。」
信じられねぇのに…
こん感覚すら判んねぇ。
でも、こんだけはと思って私も顔を上げた。
それから皆を見て少し笑って言う。
「皆で助けてくれたんだろ!?
悪りぃな、こん感覚すら曖昧だがなぁ?
多分、嬉しいってかぁ?
でも皆が優しいんだって事ぐれぇ判っから!!
だから、ありがと!!」
皆が僅かに驚いた顔はしたが、すぐ笑顔になるのもだった。
私は見てた事で逆に、他の言葉が浮かばなかったが。
「そうだよ、春香。
まだ、その感覚すら判らなくても…
徐々にも知っていく事も多い。
私は春香にだ。
そうして笑って居ても欲しいのだよ?」
桂さんが少し笑いながら私に言ってきた。
それに不思議な感覚だけある私は…
ふと桂さんの言葉も思い出す。
『私は消えない。
私は傷付けない。
私は痛くしない。』
その言葉を。
急に嬉しくなって私は桂さんに抱き付く。
「な、えっ!?
ま、いや、春香!?
待っ、はる…
いや、また!?
そっ…
駄目だと!?」
「あはははっ!!
桂さんなら嘘も言わねぇよなぁ!?
それに多分?
桂さんも変わらねぇのかぁ!!」
「は、春香!?
待て、いや、待ってくれ!?
この場には…
だが、どう…
それは!?」
桂さんの焦る声も変わってなかった。
余計に私は嬉しくて笑って言う。
「あははは!!
んなの気にすんなって言ったろ?
私は、私だぞ!!
桂さんも、桂さんなぁ!!」
「いや、そうでもな…
この状況だと!?
私が、か!?
まっ、いや、春香にも!?
前に言っただろう!?
忘れてるのか?
今は離れ…」
んん?
前に言った?
「あぁ、前にもかぁ?
めっちゃ焦ってたなぁ!!
安易にすんなってかぁ?
でも安易に、してねぇし?
違うぞぉ!!」
ただ私は嬉しくて桂さんにだったが。
「何を!?
いや、そうじゃ!?
春香?
意味が違う!?
やはりか?
判って、ない!?
いや、それより…
今は…
尚更、私が!?
待ってくれ、春香!!
落ち着いて…
いや、私もか!?
だが!!」
余りにも慌てた様子の桂さんを。
私も気付いたが、更に声も、そう…
少し不思議に思いながら離れた時。
桂さんは僅かに離れて目を閉じた。
更に首を横に振った。
なぜか、そのままで言ってきた。
「やはり…
これは春香?
判ってないのもだがな?
いや、だが、これも…
私が!!
既に覚悟も、してたな?
それに春香も、なぜ…
今は更に?
皆も居るだろう!?
尚更、駄目なのだ!!」
いつもと違う変な桂さんの言葉で私も皆を見ると。
全員が凄く驚いた顔のまま無言状態になってた。
んん?
どしたぁ?
私には全く判らない。
だから皆にも、そのまま言う。
「全員、んな驚いた顔だが?
何か変だったかぁ?
別に嬉しきゃ普通だろ?」
更に全員が驚いた顔になるが。
高杉さんだけ、いきなり首を横に振った。
それから複雑な顔で私を見て聞いてきた。
「春香に…
これは一応、聞きたいが良いか?
春香は、だな?
小五郎を、か?
その…
どう思ってる?」
んん?
桂さんを?
どうって…
私も考えながら、また桂さんを見るが。
なぜか桂さんは目すら閉じたまま状態…
一応、見ながら言う。
「桂さんかぁ?
そりゃ、私みてぇなのにも優しいし?
痛くして、こねぇのも判るし?
他の皆へも、だろ?
頑張ってんし?
私より当たり前に強いからなぁ。
嘘も言わねぇし?
ずっと変わんねぇんだろ?」
「あ、いや…
ちょ、待て、春香?
そうじゃなくてだな?
まさかだが…
これもか!?
嘘だろ、おい!?
気付いてねぇのか!?」
高杉さんの声で私も見るが更に考える。
不思議に思いながら、そのまま高杉さんにも言う。
「んん?
高杉さん、そりゃ…
何だぁ?
私が気付いてねぇってかぁ?
いや、私は嘘も言ってねぇぞ。
何も間違えてねぇだろ?」
また高杉さんは凄く驚いた顔になると。
真っ先に桂さんの方を見たのに私も気付いた。
だから、また私も桂さんを見れば…
首を横に振って深呼吸してた。
同じ様に桂さんは大きく言った。
「晋作…
まさに、そう!!
春香は、だ!!
私も真っ先に注意したが!?
判ってないのだぞ?
最初の時点でな!!
私は覚悟を?
した程!!
更に私が!?
ならば問題ない!!
どうにか、これも…
教えるのみ!!」
そこで桂さんは目を開けたが複雑な顔で更に…
高杉さんへだった。
「晋作にも…
ようやく判ったか?
私は無責任な事も出来ん!!
いや…
しない!!」
私はサッパリ判らなかったが。
高杉さんは複雑な顔で無言になった。
んん?
高杉さんも?
どった?
桂さんもスゲェ大声で…
そのまま私も考えてると今度は坂本さんが動いた。
すぐ気配も含めて気付くが。
なぜか桂さんと私の間に入ると目を閉じた。
それから大きく言ってきた。
「もうワシが聞いちゃるぞ!!
春香さんに、やけんど?
桂さんの事が好き言う事で思うちょって!?
ワシャええか?
信じちゅう事なら判っちゅうが。
もう共になってもええ思うちゅうぐらいかや?
桂さんに決まっちゅうのかを知りたいんじゃが!?」
んん!?
何だって、おい?
方言で判んねぇ部分が…
何が知りたいって?
どうにか私は言う。
「坂本さん?
ちっと方言がだなぁ…
誰か翻訳してくれねぇかぁ?
んん?
そりゃ…
つまり?
桂さんの事かぁ?
好きかを聞きてぇって意味?」
坂本さんは複雑な顔で目を開けて再度、言った。
「そうや!!
春香さんも、やろう?
桂さんの事ちや!?」
あぁ、んだよ!!
そう言う意味かぁ?
私は笑って坂本さんに言う。
「んなの当たり前だろ!!
別に桂さんだけじゃねぇよ?
そりゃ、坂本さんもだぞ!!
めっちゃ良い人だし?
高杉さんもなぁ!!
ちっと子供っぽいが。
見てて面白いし?
桂さんと高杉さんは飽きねぇなぁ、おい!!
まだ武市さんとは、あんま?
話せてねぇから判んねぇが?
でも私みてぇなのを助けるぐれぇだからなぁ。
充分、良い人なんだろ!!
まぁ、岡田さんは全く話してねぇから…
まだ判らんが。」
そう言うと全員が、また驚いた顔になった。
それを見て、私は間違えたかと思う。
だから聞いてきた坂本さんへ。
「ありゃ?
どったの、坂本さん。
何か私は間違えたかぁ?
坂本さんも面白いし?
話してるだけでも充分、好きだぞ?」
また坂本さんが目を閉じて叫んだ。
「いかん!!
判っちょらん!!
こがにも可愛い女子が!?
ワシだって、もっと話したいけどええ?
そうやないぜよ!!
どうすりゃええがよ、桂さん!?
相当ぞ!!」
そのままで私は驚いた。
判ってねぇだと!?
またかぁ!!
何がだ、おい!?
そこで桂さんが動いたのに気付いて私が見ると…
今度は門を背にしたまま、目を閉じた。
そして大きく言った。
「坂本君!!
だから私も…
さっき言った、だろう!?
既に覚悟してると!!
私が!!
間違わなければ!!
一切、問題ない!!」
んん?
桂さんが?
いや、間違えねぇし?
変わんねぇんだろ?
「もう充分だろう、龍馬?
それに桂さんも…
今は藩邸内で春香さんも含めるが。
皆も休むべきだろう。
だが、私すら桂さんに何を言えば良いか…」
武市さんが複雑な顔で言ってきたが。
更に高杉さんもだった。
「小五郎…
これは俺も…
心配とも違うが。
本当に気を付けねぇと…
もう俺から見てるとだがなぁ。
既に小五郎の方が、だぞ?」
でも桂さんは無言で目を閉じたまま…
なぜか頷くだけだった。
それから一応、私も含めて全員が。
藩邸へと入った。
**************************
一方、桂小五郎。
私の場合は西本願寺の内部で新撰組を。
皆は土方を含めた新撰組を。
だとしたら全ての状況確認は必要になる。
だが今は春香を、だろうな。
優先しなければ…
だから藩邸に入ってから、それぞれ…
すぐ目だけ変えてから見る。
気付いた様子で、すぐ同じで目だけ変えた。
充分、意味は判る。
それから皆は晋作が連れて行くのも見た。
部屋も判ってる。
だから前から使わせてる部屋へと。
私は春香を連れて向かう。
部屋に入ってから素早く布団を敷く。
春香も少し何か考えてる様だが。
無事な姿にも嬉しくなる。
それに今は…
「春香も今夜は疲れてるだろう?
そのまま休むと良い。」
普段通りの口調で優しく言うと…
春香は少し首だけを横に振った。
「桂さん…
皆は?」
違和感に気付くが、少し考える。
一応、安心させる為に普段通り優しく言う。
「春香が心配する事は何もないよ?
それに皆も今夜は藩邸で休むからね。
また朝には皆と会えるから…」
「違う!!」
急に春香が大きく言ってきた。
更に目を閉じて、また首を横に振る。
そんな春香が目を開けた時だった。
私は余りにも悲しい…
春香の顔を見た。
そんな顔を、なぜ?
普段と様子も違う程度ぐらいしか判らない。
そのまま少し近付いてから聞く。
「春香?
どう、したのだ?
何が。」
だが、春香は下を向いて小さく僅かのみ。
「起きたら…
私が寝たら…
桂さんは…
消えねぇよな?
皆も…
いや、違う。
桂さんは嘘を言わねぇし…」
すぐ意味に気付いた。
まさか祖母の?
それから、ずっと春香は一人でか!?
もう不安のみでは、ないだろう!?
明らかに、これは…
だから私は春香の頭を撫でながら…
極力、優しく『同じ事』を言った。
「大丈夫だよ、春香。
私は消えない。
私は傷付けない。
私は痛くしない。
そして春香が寝てもだよ?
誰も消えない。
私は何度でも守る、助ける。
もう既に言ってるだろう?」
そこで春香は少しだけ笑ってから頷くのを見た。
また部屋で着替える様子にも気付く。
すぐ私も部屋から出るが。
あれ程ならば…
少し考えてから一応と思って言う。
「春香。
明日の朝は賑やかになりそうだ。
安心して休みなさい。」
春香が私を見るのも判ったが。
嬉しそうに笑いながら言うのも聞いた。
「んだな!!
坂本さん達も居んだろ!?
だったら、きっとだなぁ!!
桂さんも絶対、嘘も言わねぇって判んぞ!!」
こんなにも純粋な女子を。
今すら美しいだけでは、ない!!
春香は優しいから己よりも常に周りへばかり…
皆の事まで考えて動く程。
それなのに、あんな事を!?
何も判らない幼子へ!!
目の前に居る優しい春香が、されてた事を。
思い出せば怒りが湧くばかりだが。
今は違う!!
この場では春香が生きて居るのだ!!
そう思い、どうにか怒りを抑え付けた。
「そうだな。
春香は…
もう痛くない。
だから安心して、ゆっくり休みなさい。」
言ってから襖を閉めて皆が居る部屋へ向かう。
歩きながら春香の状況も含め纏める。
考えれば尚更、やはり…
どうしても怒りが湧き上がる。
沖田から渡された荷物も持って皆が居る部屋へ。
入った時、真っ先に晋作と目が合う。
すぐ気付くが、晋作の驚いた顔も見た。
「小五郎?
春香は…
もう既に部屋へと休ませた筈。
だが、一体、何が…」
怒りを抑えながら…
「あぁ、勿論。
春香ならば部屋に居る。
だがな、晋作…
やはり私は、これ程の怒りを。
抑え付ける事すら難しい…
確かに…
皆との話より優先して春香を休ませた。
それでも…
もう判る事だけで余計にだ!
私は想像も出来るからこそ。
なぜ春香に、あんな事を!?
あの顔ならば尚更だろう!!
絶対に私は許せん!!
春香は何も悪くないのにかぁ!!」
途中から私は怒りが抑えられなかった。
それでも冷静にと目を閉じるが。
すぐ春香の悲しい顔が浮かぶ。
同時に錯乱した時。
聞いた春香の声で充分、判った。
すぐ怒りばかりが湧き上がる。
もう、そのまま怒鳴る。
「なぜだぁ!!
なぜ、そんな事が出来る!?
あんなにも悲しい顔の春香を。
私は初めて見た!!
春香が泣かない理由すらだろう!?
本当ならば春香も泣いてた筈!!
あんな悲しい顔で、泣き叫ぶ幼子を。
しかも全て、判らぬ中で更にとかぁ!!
なぜ春香ばかり傷付ける!?
あんな僅かな言葉すら春香は…
もう不安どころではない!!
完全に怯えてる事すら簡単に判る筈!!
春香の顔だけで充分だ!!
それに唯一の祖母が、何も判らぬまま…
消えたからこそ、春香には尚更だろう!?
幼過ぎて春香は、命すら判らないのにかぁ!!
それすら簡単に判る筈。
そして判らないまま!?
常に不安と恐怖しかないだと!?
あんな様子ならば春香も最初は…
必死に泣き叫びながら助けを求めてた筈!!
私も聞いたのだ!!
助けてと!!
誰かと!!
そんな泣き叫んでる幼子の春香を。
なぜ!!
あれ程に痛め付け続けられるのだぁ!!」
もう私には想像するだけだった。
あの春香を傷付ける者達の方が全く判らない。
「小五郎!!
落ち着けぇ!!
先に全ての情報を、だろうがぁ!!」
晋作の声で目を開けて見るが。
すぐ意味にも判る。
それから私も息を吐き出して切り替える。
その場に居る皆も、僅かに動揺してる事も判るが。
どうにか考えながら言う。
「あぁ…
そうだな、皆へもだ。
すまない。
だが、絶対に私は、あんな未来へと…
しない為にこそ尚更、今は冷静に、だろう。」
「そうだ、小五郎。
春香が笑う未来は俺達が、だぞ?
俺すら怒りは充分、あるんだ…」
僅かに晋作が睨んだ事も気付くが。
先に沖田君からの荷物を出して置いた。
どうしても新撰組の事を考えれば…
複雑な気分にもなるが。
春香の為と、冷静に考える。
私も沖田とは会ったが、実際に用意までした土方。
あの様子ならば…
頭の中で纏める。
そのまま皆と同じ様に座ってから再度。
目だけ見ると、それぞれが無言で頷いた。
「まずは晋作。
既に坂本君達からも聞いてる様だが。
恐らく春香に関してならば…
新撰組でも保護の為、動く。
流石に全員とまでは言えないがな。
それでも私は反応も見てた。」
そこで一度、荷物の方へ手を添えた。
「少なくても、この荷物。
春香の食後に飲ませる薬と文らしい。
既に用意までして私へと渡してきた程。
渡してきた相手は沖田君だが。
正確に言うならば、これは土方君からになる。
そして一番、春香の事を考えたのも土方君だろう。
でなければ西本願寺へ侵入時でもだ。
私でも気付いたが、わざと春香の居る飛雲閣。
その付近だけ手薄。
更に実力者すら誰も居ない状態へは、ならない。」
「まだ桂さんには言ってないが。
私達を意図して逃したのも土方なのだ。」
武市の声で私は少し驚いて確認のみ聞く。
「意図して逃しただと?
武市君、それすら土方君が、わざとか?」
武市は複雑な顔をしながら答えた。
「そうとしか私は思えない。
確かに龍馬も含めれば土方が動くと判ってたが。
それでも明らかに新撰組の部隊長を含め多かったのだ。
恐らく土方が、だろう。
屯所である西本願寺。
そこから実力者を、わざと動かして手薄へ。
つまり土方は最初からだ。
西本願寺へと、誰か来る事は判ってた筈。
だからこそ私達へ実力者を集めて出させ、春香さんを。
更に沖田のみを残して荷物も含め、全て渡したのだろう。」
何だと!?
だが、それだと…
「そうなら武市君達も危険だった筈。
どうやって…」
驚きながら私が言うと坂本が笑いながら答えた。
「ワシらにじゃ!!
途中は危なかったけんどの?
やけんど新撰組の動きまで土方さんが、わざとやろ。
気付いて部隊の動き自体も変えたんちや!!
そのまま捕まえる事も出来た筈じゃがな。
それもせざったん。
やけんど、土方さん一人でワシらの前に来たんやぞ?
更に春香さんの為や言うたんや!!
そがな土方さんがワシらに言うてきた!!
志は変えんが、そがな未来は望んじょらんと。
それにワシも驚いたぞ?
こりゃ春香さんと約束かも判らんがなぁ?
土方さんが、言うたんやぞ!!
そがな土方さんが最後まで生きる代わりがとやろうが。
春香さんが言うたそうやぞ!!
そん代わりに春香さんがするんは『幸福』を探す為。
生きる言うたようぜよ!?
そんで歴史にはないき、今は捕まえんと。
やき逃がすって、土方さんが言うてきたんやぞ!?
じゃからワシらも逃げられたんよ。」
それを聞いて信じられない気分しかなかったが。
「桂さんに私からも補足するならばだ。
土方は全て独断だとも言ってきた。
そして春香さんを、だろう。
何も悪くないと。
だからこそ、あんな未来は許せる筈もないとだった。
更に嘘も言わない春香さんの場合まで。
あの土方が言ってきたのだよ。
流石に私も春香さんと多く話してないから判らないが。
都合の悪い事だけ沈黙、無言をするとな。
あの新撰組がだぞ?
私すらも信じられない程だった。」
武市の言った事に驚きながらも、すぐ私でも判る。
確かに春香は嘘を何よりも嫌う。
また言わない代わりにと視線すら逸らす。
更に目も閉じて言わなくなるが。
そんな事まで土方は見抜いたのか!!
私も渡された荷物を見ながら言う。
「そこまでして春香の為のみ…
しかも土方君は薬まで調合して用意までさせて居た。
沖田君も、この荷物を渡す時だ。
持ってた刀まで置いて私へ直接、渡して来た程。
まだ私も中の文は読んでないが。
だが…」
なぜ、そこまで春香の為?
僅か二日のみ。
しかも監禁もせず、土方が?
食事の世話まで…
ふと沖田が言った事を思い出す。
『土方さんの方が博学』と?
更に沖田の様子も思い出す。
そこで私は嫌な予感がした。
今の話ならば、これが春香の薬は明確。
だとしても…
土方は私の知らない事にまでか!?
春香の事で更に気付いたとしたら…
「小五郎?
どうした、また…
俺すら確かに今の話は信じられない気分だが。
明らかに春香への薬と処方だろ?」
その声で私は晋作を見るが、思い出す事もあった。
更に嫌な予感が強くなって焦りが。
考えながらも、そのまま言う。
「確かに春香の薬だろう。
それでもだ、晋作。
既に私は嫌な予感しか…
だが、まだ言ってなかった事もある。
これを渡したのは沖田君だと言ったろう?
その沖田君が、だぞ?
更に私へと言った言葉だ!!
予想外だった私へと『春香を頼む』だぞ?
それを言っただけでもないのだ!!
これを渡す時の様子も、意味も、あれ程ならば…
恐らく春香が、過去の一部を思い出した事でだ。
また錯乱したのも判った。
私の前ですら、あれ程ならば…
春香の思い出した、違う過去の一部になる。
もう沖田君の言葉、その意味すら変わる!?
晋作も考えてみろ!?
あの沖田君が叫ぶ様にだぞ!?
『言ってしまった事に』と。
『俺すら見てられない程』と。
『志が異なっても俺すら決して望まない』と。
全て土方君が気付いて、どうにかしたと私は聞いた!!
そして沖田君は、薬は食後。
『内容を読んだら処分してくれ』とだった!!
ならば薬に関しての文では、ないだろう?
春香が誰かへ真実を、言った場合だ!!
その時に春香が、された記憶を言ったからこそ…
あの土方君も含め、二人は…
それを見て、気付いた事を、だろう?
だから新撰組の中で、あれ程の危険までして春香を!?」
すぐ全員が驚いた顔に変わるのも気付いたが。
急いで私は荷物を開ければ、真っ先に見える文が判った。
嫌な予感もしながら、すぐ内容を読む。
余りにも、その内容がだった。
信じられない事で、そのまま私は目を閉じる。
「な、に…
こんな事…
ずっと、しかも己の子を?
そ…」
「小五郎!?
すぐ文を寄越せ!!」
声がした方へ、文を渡すが。
その内容を、私は何度も思い出す。
更に春香が普段から言う言葉の意味も判る。
なぜ…
そんな事が出来るのだ!?
春香が錯乱して言った言葉も、姿も!!
二人は見たからこそだろう?
新撰組でならば僅かでもだ!!
もし命令違反が見つかれば命はない。
にも関わらず。
あの土方と沖田が!!
命の危険までした理由。
こんな未来は望まないとの意味も。
そして春香が言う理由すら判った事で、もう…
目を閉じたまま誰にでもなく叫んだ。
「ふざけるなぁ!!
己の子を!?
何が、どう『失敗作』だと言えるのだぁ!?
しかも『要らない』だと!?
春香が誰かへ言えば監禁して更に!?
気分次第で殴るのみ!?
もう、どうかしてる!!
こんな事を、ずっとならば…
もう命どころでもないだろうがぁ!!
常に『春香の存在』までを!?
そんな事を否定され続ければ!!
春香が言う意味すら全て変わるだろうがぁ!!
もう命でなく、ただの螺子だと言う理由。
だからかぁ!!
いつも春香が己を機械の螺子と?
何も変わらないと?
誰も困らないと?
こんな事を更に続けたからこそ春香は!!
生きる意味もないと?
死ぬ意味もないと?
何の価値もないと?
そう言う理由でとかぁ!!」
「小五郎!!
一度、落ち着けぇ!!」
晋作の声で、どうにか目を開けるが。
逆に晋作は目を閉じてた。
だが、そのまま無言で部屋の壁を殴り付けた。
既に怒りを抑え付けてる事も判るが。
それでも目を開けないまま言ってきた。
「小五郎…
もう俺すらなぁ…
完全に許せねぇとしか言えん。
しかも今から変える為!!
動いてもだが。
春香が未来からでも、だぞ!?
その春香が生きてた未来すら俺達がした事も…
含まれた先にあるんだぁ!!
そんな未来へ間違えた俺自身すら許せねぇんだよ!!
だが、ならば…
どこで!!
何を間違えたか、だろう!?
それを探さなければ…
この国は終わるのではない!!
狂っていくだけだぁ!!」
意味にも充分、判る。
必死に感情を抑え付ける。
また私も息を吐き出してから言う。
「あぁ、その通りだな、晋作…
もう終わりどころではない。
ただ、狂った国になるのみ!!
だがな、晋作。
一つ、私は気になる事もある。」
その場、皆も文は読んだ様子だった。
それぞれ複雑な顔もしてるが、視線に気付いた。
「これも春香が良く言う事でもある。
それは『世界も同じ』だとな。
春香が良く言うだろう?
この国に限らないと。
世界でも同じ事だと。
人間の本質は欲しかないと。
だとしたら…」
私は坂本へ視線を向けた。
気付いた様子も判る。
「坂本君、一つ。
春香へ試して欲しい事がある。」
明らかに驚いた顔の坂本がだった。
「桂さん?
ワシか?
試すじゃと!?」
「そう、これは恐らく…
坂本君が適任だろう。
春香の場合。
いくら判り易くてもだ。
意図的にならば歴史に関して避けようとはする。
だが、他国の事に関してならばだ。
影響が少ないと判断するだろう。
私が知ってる限りだが。
恐らく春香は教養に関して充分。
これは漢字を含めた部分以外でも判る。
春香自身、歴史が嫌いだと言ってても。
会ってもない薩摩の名前すら簡単に出したろう?
そして武術などでも私や晋作の動き。
僅かに見ただけでも分析までして我流へとする程。
明らかに学も、多くあるのだ。
そして坂本君の場合。
まだ動きも含めて一切、春香に見られてない。
更に他国と一番、交流もある。
ならば坂本君が判る範囲で構わない。
春香に朝餉の時。
一度、他国の言葉を混ぜて会話してくれないか?」
坂本が考える様子をしたが。
「そりゃ、ええけんど。
ワシか…
そげな知っちゅう事もなかと?
桂さんが、どぎゃんして…」
私も僅かに考える。
「判り易く言うならば…
なぜか春香は、坂本君を警戒しないのだよ。
この時代ならば、私と最初。
真っ先に坂本君も、だろう?
同時に春香と会ってる事。
それも影響してるだろうが。
この場で唯一。
友好的に警戒を解くのも、坂本君だろう。
そして春香は嘘を言わない。
ならば他国の言葉を混ぜれば、更に判る事もある筈。
流石に、理由まで判らないが。
何かの糸口にはなる可能性。
また私の気になる事も含まれる。
既に他国が、この時代でも何か裏に居たら…
春香が言う言葉にある他国の欲とは、何だ?
最悪、既に利用されてる意味にもなる。」
そこで坂本が考える様子もするが、先に武市だった。
「龍馬…
これは私も桂さんの意見に一番だと思える。」
視線だけで武市を見れば目を閉じたまま…
だが、僅かに殺気すら漏れてるのに気付く。
「この中で私が僅かに出来る事は少ないが…
龍馬、もう…
こんな事は私すら完全に許せないだけでしかない。
必ず春香さんから何か糸口を。
見つけなければ駄目だ。
やらねばならない事も多い。
だが、こんな未来になるならば…
もう国が残っても…
そこで平和に暮らす者達が!!
居なければ意味すらない!!」
言ってから武市は目を開けて坂本を明らかに見た。
そこで坂本も目を変えて言うのを聞いた。
「武市…
判っちゅうよ。
春香さんも、やろ?
ワシがやっちゃる。」
私は皆を再度、見る。
それぞれ目を変えて意味も判った。
少し息を吐き出してから言う。
「一応、春香にもだが。
朝には皆と会えるとも既に安心させる為。
私からも言ってある。
その文は…
もう内容は充分、理解した。
すぐ処分する。」
そう言うと岡田が動き渡してきた。
既に文を見るだけで怒りが湧く。
春香は螺子ではない!!
生きて居る人間だぞ!?
それに己の子すら不要と!?
どうして失敗作だと言える!?
ふざけるな!!
だが、今の春香は一人でもない!!
私も必ずと言った!!
あんなにも優しい春香を、私が絶対!!
どうにか怒りを抑え付けた。
「小五郎。
もう春香に言ってたのか?」
文を見ながらも、やはり私は春香の心配ばかりだったが。
晋作の言葉に、そのままで答える。
「あぁ、あの時すらだった。
さっき春香が、私へ言ったのだよ。
ただ、私は春香を優先して、休ませる為。
寝かせる様に、しただけにも関わらず。
そこで私が見た理由でもあるか。
だから春香に安心させる為、先に言ったのだ。
あんなにも悲しい顔で…
下を向いて僅か小さくしか言えず。
そんな春香が言った事で判った。
春香が起きた時。
正確に言えば春香が寝てる間になるが。
寝たら私が消えないかと。
寝たら皆もと。
そう、言った。
恐らく唯一の祖母が亡くなった時。
春香は寝てたのだろう。
そして祖母は事故だと。
既に私は聞いてたから…
その春香が、新撰組の屯所で私へ。
言ってた言葉も同じなのだ。
もう居ないと。
いきなり消えたと。
楽しい時間は、いきなり消えると。
そう言って居た。
すぐ私でも判った事。
そんな春香が、いつも一人に拘る理由もな。
強さに拘る理由、誰も信じないと言う理由。
全てが判らず、迷うのも…
もう春香からすれば当然だろう?」
「小五郎…
既に春香の事だが…」
晋作を見れず、春香の理由に判れば尚更だった。
目を閉じて春香を考えれば、すぐ判る。
だから続けた。
「春香は何も悪くない。
それなのに…
あり得ない程の痛みと苦しみしかない中。
春香が、あれだけ信じる祖母ならば…
本当に春香を、必死で守って居た筈。
それすら判らぬまま、いきなり失えば尚更。
もう春香は命より、心が、だろう?
晋作も聞いた、俊介と言う者が気付いて…
その者すら幼い中でも、必死に春香を考えたのだ。
だが、大人相手に一人では勝てないからこそ。
己の親や大人まで説得して動き、ようやく…
春香の命だけ、救えたが…
身体の傷は治る、それでも心の傷は…
まだ判らぬ未来でも狂うだけではない。
必ず変えられる筈。
その未来でも、あの春香を、必死に助けた『俊介』がだ。
証明までしてる。
俊介も含めるが、その周りに居る大人側は正しいとな。
ならばこそ…」
私にも僅かな希望が残る未来!!
今は判らなくてもだ!!
そこで目を開けて晋作を見て断言する。
「私は必ず春香を助ける!!
そして正しい未来の為に最善をだ!!」
驚いた様子の晋作だったが。
少ししてから、なぜか笑いを耐える様子へ。
「いや、確かに…
小五郎の言う通り。
俊介と言う者が居るのだからな?
全てが狂ってないが。
だが、小五郎…
まさか…
気付いて、ないのか?
勿論、未来の為でもあるがなぁ?
もう完全に、だろ。」
少し驚きながら皆を見れば似た様に少し笑ってた。
私が気付いてない!?
だが、未来の為ならば尚更…
そんな中、真っ先に坂本が凄く笑いながら言ってきた。
「これは桂さんも、本気やろ!?
げに気付いちょらんのか?
まぁ、そうやがな。
これも未来の為やけんど?
やけんど、それはちっくと違うろ?
これは凄いろう!!
まっこと可愛いき良う判るぞ!!
春香さん、やろう?」
更に武市まで少し笑って…
「確かに桂さんは間違えてないがな。
今の発言ならば、もう…
だが、気付いてないと…
これだと、もう…
桂さんも春香さんを、笑えないだろう。
正しい未来の為、私達も動く事は当然だが。
これは私も…」
私は判らず、すぐ晋作を見るが。
いきなり晋作は爆笑した。
「あはははははっ!!
もう俺は笑うぞ、小五郎!?
気付いてないだと?
くっ、あははははははっ!!
その理由だがなぁ?
未来の為もあるが。
完全に春香の為!!
だろうがぁ?
それを気付いてねぇと?
言ってて恥ずかしくねぇのか!?
無自覚は春香で充分だぞ?
あはははははははっ!!
もう間違いそうだな、おい!!
春香の為?
くっ、あの小五郎がなぁ…
あはははははっ!!」
その言葉で私は気付く。
すぐ慌てて大きく言う。
「ち、違う!!
そう言う意味では…
さっきのは未来の事でだ!?」
「小五郎!!
もう既に遅いだろ?
あはははははははっ!!
あんなに断言してんだぞ?
それで春香にかぁ?
何を教えるって?
くっ。
これだと小五郎が…
あははははははっ!!
絶対に負けるな。
しっかり責任は取れよ?」
すぐ晋作の意味に気付く。
もう私は動揺する。
「何を!?
晋作!?
私は…」
「わはははははっ。
もうワシも、いかん!?
耐えられん!!
桂さんが?
あの春香さんを、やろう?
やけんど、責任も取るがよぞ?
ちゃんと最後までちや?
じゃが…
もう羨ましいだけやぞ!!
あんなまっこと可愛い女子!!
居んきなぁ…
春香さんは、そいなさんな。
ワシも判る!!」
坂本まで!?
「まぁ、私も知ってるが。
桂さんは無責任な人でもない。
ならば春香さんも問題は…
くっ。
いや、もう流石に私でも…
何も言えないだろうか?」
すぐ武市も笑いを耐えてる様子で言ってくる上に…
岡田すら既に下を向いて耐えてるのに判る。
違う意味もあって私は目を閉じて叫んだ。
「私は絶対に間違えない!!
それに、しない!!
一切、問題ない!!」
それでも皆の笑う声も聞くが。
ふと春香を思い出した事もあった。
尚更、そのまま、また無言のみを選んだ。
確かに春香は美しい上に…
優しい事も充分、判ってる。
更に嘘も一切、言わない純粋な事も。
だが、未来へ戻るかもしれないのにか!?
駄目だろう!?
しばらく、その場が収まるのを待ってから皆も客間へ。
私は文を燃やして処分してから、やはり春香の事を。
考えてしまうのもあって結局、仮眠程度にした。
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※素敵なイラストはXeriel〈@Xeri_la〉様に作成して頂いたものです。
※著作権はXeriel様にあり、無断使用・無断転載はお控えください。
すぐ塀へ向かう感じで暗くて…
余り見えなくてもだった。
既に簡易的なロープで作ってあるのか?
梯子っぽいのを私も見た。
そのまま桂さんはアッサリと。
私も一緒に、それを登って壁を超えた。
そして、すぐ数人が居るのにも私は気配でも気付いたが。
真っ先に聞こえた声だけで私は驚いた。
「桂さん!!
無事で。
それに春香さんもだ!!
良かった、間に合った!!」
数人が近付く中で一人が嬉しそうに言ってきた。
桂さんも少し笑うと数人を。
先に見渡してから言うのも私は聞いてた。
「あぁ、私は問題ない。
それに春香も無事だよ。
皆のお陰だ。
だが、ここで長居は無用。
すぐ藩邸へ。
全て予定通り。
このまま皆も動いて戻ろう。」
そう言うと桂さんも、また早く走って…
でも皆も一斉に動き出しながらもだった。
更に私へ何人も言ってきた。
「春香さん、良かった。
新撰組みてぇな危ねぇ場所へ…
頭、あ、いや、高杉さんだな?
凄く心配してた。」
「桂さんが単身で、だったから…
俺達も二人が無事で良かった。
話すのは初めてだけど?
俺達は知ってるよ、春香さんの事。」
「春香さんは未来からだろ?
俺達は奇兵隊で訓練場ばっかで会ってねぇが。
話は充分、高杉さんからも聞いてるからな?
もう心配ねぇよ!!」
「悪いな、春香さんに俺達も名乗りてぇが?
かなり人数も多いんだよ。
いきなり驚かせたくもねぇから。
それでも春香さんの話だけは聞いてたんだ。
だったら尚更なぁ?」
「桂さんなら、きっとだと思ってたが。
春香さんも無事で本当に良かったぞ?
かし、いや、高杉さんの事なぁ?
すぐ動いた。
凄く春香さんの心配もだった!!」
それぞれが暗くてハッキリと顔は判らなくても声は充分。
私にも聞こえてきて、もう驚くばかりだった。
どうにか私も言う。
「皆が?
高杉さんも…
それに坂本さん達以外にと…
更に?」
「春香?
私も言っただろう?
既に皆が春香の為。
必死で助けたくて動いたのだよ?
もう大丈夫、安心しなさい。」
すぐ桂さんの声も聞こえた。
だから私も桂さんを見ると少し笑ってるのだけは見えた。
私は桂さんに抱えられたまま移動する中。
それぞれが更に人数も増えたり、減ったりと移動して…
動いてる様子も私には気配で判って驚くが。
どうにか私も考える。
こんなに?
多い人達が…
私の為?
んな事まで、したのかぁ!?
私みてぇな異物に…
んな馬鹿な!?
どうしてだよ!?
んな事すら危ねぇだろ!?
皆も危ねぇ筈なのに!?
でも、どうして…
何も言えないまま私は考えるが判らなかった。
複雑な感覚ばかりする。
「まだ春香は判らないのだろう?
徐々にだよ?
そうして春香も判るのだからね。
だが、皆は既に春香を知ってるんだ。
それに後、少しで藩邸に着く。
必ず晋作も春香を待ってる。」
桂さんの声が聞こえて、すぐだった。
僅かに最初、私が居た大きな平屋も見えて…
多分、藩邸って場所だと思うが。
その入り口で本当に高杉さんが立ってた。
更に数人が既に居たのも私には見えたが。
あれは坂本さんかぁ!?
それに武市さんも居る!?
暗くてハッキリ見える前、真っ先に大きな声が聞こえた。
「春香!!
無事だな!?
そして小五郎もだぞ!!
良くやった!!」
高杉さんの声、内容にだった。
どうしても私は驚く。
そのまま桂さんも藩邸だろう場所へ近付いて見れば…
凄く嬉しそうに高杉さんが居た。
私と桂さんへ笑ってるのも判って思う。
高杉さんも…
私を?
桂さんは私を降ろしながら高杉さんへ向いた。
「あぁ、晋作、どうにかな。
まさか新撰組の土方君がだと。
私も全く思ってなかったが…
この通り春香も無事だ。」
そう言うのも聞いた私も、すぐ桂さんを。
見ると少し笑ってるのが判る。
でも高杉さんの声が…
「それに関してだがなぁ。
既に俺も坂本達から聞いたぞ?
俺からすりゃ…
もう信じられねぇ感覚しかねぇが。
だが、小五郎が言うならば…
やはり、か?」
明らかに変わった高杉さんの声に気付いた私は…
すぐ、また高杉さんを見ると凄く複雑な顔をしてた。
高杉さん?
どした?
しかも今…
声まで明らかに…
高杉さんの複雑な顔には私も全く判らない。
少し考え様とする前。
「春香さんや!!
ワシもじゃき!!
武市も居るがの?
まっこと無事でよかと!!」
すぐ坂本さんが笑って大きく言ってきた。
そこで私も改めて坂本さんの方を。
更に後ろから武市さんと…
ありゃ、確か…
あの時かぁ?
名前は知らねぇが。
でも警戒っつうより…
何だぁ?
無愛想って奴かぁ?
咄嗟に知らない男性が居る事で私は少し警戒度を。
高めるが、すぐ武市さんが言ってきた。
「春香さん。
この者に関しては心配ない。
私の事は既に知ってるだろうが。
この者は私の弟子になる。」
少し笑って言った内容にも、また私は驚きながら見る。
弟子だぁ!?
つまり、そりゃ…
武市さんは…
ありゃ、何つうんだ!?
何の流儀か知らねぇが。
指導担当みてぇにと?
んな事まで、してんのかよ!?
強いぐれぇ判ってたが。
今も、かぁ?
サラッと言いやがったがなぁ、おい!!
私が思ってると少しだけ後ろに居た男性が動いた。
武市さんに聞いてたが、どうしても警戒はする。
でも僅か武市さんの横で、すぐ止まるのも見た。
「俺は『岡田以蔵』だ。
話した事は、ない。
でも春香さんの事なら話も知ってる。
警戒は解いてくれ。
武市先生からも注意を受けてる。
それに危害もしない。」
一応、私も警戒度を下げながら思う。
んん?
武市先生だぁ!?
だから…
それでかぁ!?
私も思い出す。
あの部屋に一緒に居た事を。
少し下を向いて考える。
私みてぇなのに…
皆が?
協力してかよ。
んな危ねぇ事まで…
「本当に…
桂さんだけでもねぇで。
皆が私を。」
信じられねぇのに…
こん感覚すら判んねぇ。
でも、こんだけはと思って私も顔を上げた。
それから皆を見て少し笑って言う。
「皆で助けてくれたんだろ!?
悪りぃな、こん感覚すら曖昧だがなぁ?
多分、嬉しいってかぁ?
でも皆が優しいんだって事ぐれぇ判っから!!
だから、ありがと!!」
皆が僅かに驚いた顔はしたが、すぐ笑顔になるのもだった。
私は見てた事で逆に、他の言葉が浮かばなかったが。
「そうだよ、春香。
まだ、その感覚すら判らなくても…
徐々にも知っていく事も多い。
私は春香にだ。
そうして笑って居ても欲しいのだよ?」
桂さんが少し笑いながら私に言ってきた。
それに不思議な感覚だけある私は…
ふと桂さんの言葉も思い出す。
『私は消えない。
私は傷付けない。
私は痛くしない。』
その言葉を。
急に嬉しくなって私は桂さんに抱き付く。
「な、えっ!?
ま、いや、春香!?
待っ、はる…
いや、また!?
そっ…
駄目だと!?」
「あはははっ!!
桂さんなら嘘も言わねぇよなぁ!?
それに多分?
桂さんも変わらねぇのかぁ!!」
「は、春香!?
待て、いや、待ってくれ!?
この場には…
だが、どう…
それは!?」
桂さんの焦る声も変わってなかった。
余計に私は嬉しくて笑って言う。
「あははは!!
んなの気にすんなって言ったろ?
私は、私だぞ!!
桂さんも、桂さんなぁ!!」
「いや、そうでもな…
この状況だと!?
私が、か!?
まっ、いや、春香にも!?
前に言っただろう!?
忘れてるのか?
今は離れ…」
んん?
前に言った?
「あぁ、前にもかぁ?
めっちゃ焦ってたなぁ!!
安易にすんなってかぁ?
でも安易に、してねぇし?
違うぞぉ!!」
ただ私は嬉しくて桂さんにだったが。
「何を!?
いや、そうじゃ!?
春香?
意味が違う!?
やはりか?
判って、ない!?
いや、それより…
今は…
尚更、私が!?
待ってくれ、春香!!
落ち着いて…
いや、私もか!?
だが!!」
余りにも慌てた様子の桂さんを。
私も気付いたが、更に声も、そう…
少し不思議に思いながら離れた時。
桂さんは僅かに離れて目を閉じた。
更に首を横に振った。
なぜか、そのままで言ってきた。
「やはり…
これは春香?
判ってないのもだがな?
いや、だが、これも…
私が!!
既に覚悟も、してたな?
それに春香も、なぜ…
今は更に?
皆も居るだろう!?
尚更、駄目なのだ!!」
いつもと違う変な桂さんの言葉で私も皆を見ると。
全員が凄く驚いた顔のまま無言状態になってた。
んん?
どしたぁ?
私には全く判らない。
だから皆にも、そのまま言う。
「全員、んな驚いた顔だが?
何か変だったかぁ?
別に嬉しきゃ普通だろ?」
更に全員が驚いた顔になるが。
高杉さんだけ、いきなり首を横に振った。
それから複雑な顔で私を見て聞いてきた。
「春香に…
これは一応、聞きたいが良いか?
春香は、だな?
小五郎を、か?
その…
どう思ってる?」
んん?
桂さんを?
どうって…
私も考えながら、また桂さんを見るが。
なぜか桂さんは目すら閉じたまま状態…
一応、見ながら言う。
「桂さんかぁ?
そりゃ、私みてぇなのにも優しいし?
痛くして、こねぇのも判るし?
他の皆へも、だろ?
頑張ってんし?
私より当たり前に強いからなぁ。
嘘も言わねぇし?
ずっと変わんねぇんだろ?」
「あ、いや…
ちょ、待て、春香?
そうじゃなくてだな?
まさかだが…
これもか!?
嘘だろ、おい!?
気付いてねぇのか!?」
高杉さんの声で私も見るが更に考える。
不思議に思いながら、そのまま高杉さんにも言う。
「んん?
高杉さん、そりゃ…
何だぁ?
私が気付いてねぇってかぁ?
いや、私は嘘も言ってねぇぞ。
何も間違えてねぇだろ?」
また高杉さんは凄く驚いた顔になると。
真っ先に桂さんの方を見たのに私も気付いた。
だから、また私も桂さんを見れば…
首を横に振って深呼吸してた。
同じ様に桂さんは大きく言った。
「晋作…
まさに、そう!!
春香は、だ!!
私も真っ先に注意したが!?
判ってないのだぞ?
最初の時点でな!!
私は覚悟を?
した程!!
更に私が!?
ならば問題ない!!
どうにか、これも…
教えるのみ!!」
そこで桂さんは目を開けたが複雑な顔で更に…
高杉さんへだった。
「晋作にも…
ようやく判ったか?
私は無責任な事も出来ん!!
いや…
しない!!」
私はサッパリ判らなかったが。
高杉さんは複雑な顔で無言になった。
んん?
高杉さんも?
どった?
桂さんもスゲェ大声で…
そのまま私も考えてると今度は坂本さんが動いた。
すぐ気配も含めて気付くが。
なぜか桂さんと私の間に入ると目を閉じた。
それから大きく言ってきた。
「もうワシが聞いちゃるぞ!!
春香さんに、やけんど?
桂さんの事が好き言う事で思うちょって!?
ワシャええか?
信じちゅう事なら判っちゅうが。
もう共になってもええ思うちゅうぐらいかや?
桂さんに決まっちゅうのかを知りたいんじゃが!?」
んん!?
何だって、おい?
方言で判んねぇ部分が…
何が知りたいって?
どうにか私は言う。
「坂本さん?
ちっと方言がだなぁ…
誰か翻訳してくれねぇかぁ?
んん?
そりゃ…
つまり?
桂さんの事かぁ?
好きかを聞きてぇって意味?」
坂本さんは複雑な顔で目を開けて再度、言った。
「そうや!!
春香さんも、やろう?
桂さんの事ちや!?」
あぁ、んだよ!!
そう言う意味かぁ?
私は笑って坂本さんに言う。
「んなの当たり前だろ!!
別に桂さんだけじゃねぇよ?
そりゃ、坂本さんもだぞ!!
めっちゃ良い人だし?
高杉さんもなぁ!!
ちっと子供っぽいが。
見てて面白いし?
桂さんと高杉さんは飽きねぇなぁ、おい!!
まだ武市さんとは、あんま?
話せてねぇから判んねぇが?
でも私みてぇなのを助けるぐれぇだからなぁ。
充分、良い人なんだろ!!
まぁ、岡田さんは全く話してねぇから…
まだ判らんが。」
そう言うと全員が、また驚いた顔になった。
それを見て、私は間違えたかと思う。
だから聞いてきた坂本さんへ。
「ありゃ?
どったの、坂本さん。
何か私は間違えたかぁ?
坂本さんも面白いし?
話してるだけでも充分、好きだぞ?」
また坂本さんが目を閉じて叫んだ。
「いかん!!
判っちょらん!!
こがにも可愛い女子が!?
ワシだって、もっと話したいけどええ?
そうやないぜよ!!
どうすりゃええがよ、桂さん!?
相当ぞ!!」
そのままで私は驚いた。
判ってねぇだと!?
またかぁ!!
何がだ、おい!?
そこで桂さんが動いたのに気付いて私が見ると…
今度は門を背にしたまま、目を閉じた。
そして大きく言った。
「坂本君!!
だから私も…
さっき言った、だろう!?
既に覚悟してると!!
私が!!
間違わなければ!!
一切、問題ない!!」
んん?
桂さんが?
いや、間違えねぇし?
変わんねぇんだろ?
「もう充分だろう、龍馬?
それに桂さんも…
今は藩邸内で春香さんも含めるが。
皆も休むべきだろう。
だが、私すら桂さんに何を言えば良いか…」
武市さんが複雑な顔で言ってきたが。
更に高杉さんもだった。
「小五郎…
これは俺も…
心配とも違うが。
本当に気を付けねぇと…
もう俺から見てるとだがなぁ。
既に小五郎の方が、だぞ?」
でも桂さんは無言で目を閉じたまま…
なぜか頷くだけだった。
それから一応、私も含めて全員が。
藩邸へと入った。
**************************
一方、桂小五郎。
私の場合は西本願寺の内部で新撰組を。
皆は土方を含めた新撰組を。
だとしたら全ての状況確認は必要になる。
だが今は春香を、だろうな。
優先しなければ…
だから藩邸に入ってから、それぞれ…
すぐ目だけ変えてから見る。
気付いた様子で、すぐ同じで目だけ変えた。
充分、意味は判る。
それから皆は晋作が連れて行くのも見た。
部屋も判ってる。
だから前から使わせてる部屋へと。
私は春香を連れて向かう。
部屋に入ってから素早く布団を敷く。
春香も少し何か考えてる様だが。
無事な姿にも嬉しくなる。
それに今は…
「春香も今夜は疲れてるだろう?
そのまま休むと良い。」
普段通りの口調で優しく言うと…
春香は少し首だけを横に振った。
「桂さん…
皆は?」
違和感に気付くが、少し考える。
一応、安心させる為に普段通り優しく言う。
「春香が心配する事は何もないよ?
それに皆も今夜は藩邸で休むからね。
また朝には皆と会えるから…」
「違う!!」
急に春香が大きく言ってきた。
更に目を閉じて、また首を横に振る。
そんな春香が目を開けた時だった。
私は余りにも悲しい…
春香の顔を見た。
そんな顔を、なぜ?
普段と様子も違う程度ぐらいしか判らない。
そのまま少し近付いてから聞く。
「春香?
どう、したのだ?
何が。」
だが、春香は下を向いて小さく僅かのみ。
「起きたら…
私が寝たら…
桂さんは…
消えねぇよな?
皆も…
いや、違う。
桂さんは嘘を言わねぇし…」
すぐ意味に気付いた。
まさか祖母の?
それから、ずっと春香は一人でか!?
もう不安のみでは、ないだろう!?
明らかに、これは…
だから私は春香の頭を撫でながら…
極力、優しく『同じ事』を言った。
「大丈夫だよ、春香。
私は消えない。
私は傷付けない。
私は痛くしない。
そして春香が寝てもだよ?
誰も消えない。
私は何度でも守る、助ける。
もう既に言ってるだろう?」
そこで春香は少しだけ笑ってから頷くのを見た。
また部屋で着替える様子にも気付く。
すぐ私も部屋から出るが。
あれ程ならば…
少し考えてから一応と思って言う。
「春香。
明日の朝は賑やかになりそうだ。
安心して休みなさい。」
春香が私を見るのも判ったが。
嬉しそうに笑いながら言うのも聞いた。
「んだな!!
坂本さん達も居んだろ!?
だったら、きっとだなぁ!!
桂さんも絶対、嘘も言わねぇって判んぞ!!」
こんなにも純粋な女子を。
今すら美しいだけでは、ない!!
春香は優しいから己よりも常に周りへばかり…
皆の事まで考えて動く程。
それなのに、あんな事を!?
何も判らない幼子へ!!
目の前に居る優しい春香が、されてた事を。
思い出せば怒りが湧くばかりだが。
今は違う!!
この場では春香が生きて居るのだ!!
そう思い、どうにか怒りを抑え付けた。
「そうだな。
春香は…
もう痛くない。
だから安心して、ゆっくり休みなさい。」
言ってから襖を閉めて皆が居る部屋へ向かう。
歩きながら春香の状況も含め纏める。
考えれば尚更、やはり…
どうしても怒りが湧き上がる。
沖田から渡された荷物も持って皆が居る部屋へ。
入った時、真っ先に晋作と目が合う。
すぐ気付くが、晋作の驚いた顔も見た。
「小五郎?
春香は…
もう既に部屋へと休ませた筈。
だが、一体、何が…」
怒りを抑えながら…
「あぁ、勿論。
春香ならば部屋に居る。
だがな、晋作…
やはり私は、これ程の怒りを。
抑え付ける事すら難しい…
確かに…
皆との話より優先して春香を休ませた。
それでも…
もう判る事だけで余計にだ!
私は想像も出来るからこそ。
なぜ春香に、あんな事を!?
あの顔ならば尚更だろう!!
絶対に私は許せん!!
春香は何も悪くないのにかぁ!!」
途中から私は怒りが抑えられなかった。
それでも冷静にと目を閉じるが。
すぐ春香の悲しい顔が浮かぶ。
同時に錯乱した時。
聞いた春香の声で充分、判った。
すぐ怒りばかりが湧き上がる。
もう、そのまま怒鳴る。
「なぜだぁ!!
なぜ、そんな事が出来る!?
あんなにも悲しい顔の春香を。
私は初めて見た!!
春香が泣かない理由すらだろう!?
本当ならば春香も泣いてた筈!!
あんな悲しい顔で、泣き叫ぶ幼子を。
しかも全て、判らぬ中で更にとかぁ!!
なぜ春香ばかり傷付ける!?
あんな僅かな言葉すら春香は…
もう不安どころではない!!
完全に怯えてる事すら簡単に判る筈!!
春香の顔だけで充分だ!!
それに唯一の祖母が、何も判らぬまま…
消えたからこそ、春香には尚更だろう!?
幼過ぎて春香は、命すら判らないのにかぁ!!
それすら簡単に判る筈。
そして判らないまま!?
常に不安と恐怖しかないだと!?
あんな様子ならば春香も最初は…
必死に泣き叫びながら助けを求めてた筈!!
私も聞いたのだ!!
助けてと!!
誰かと!!
そんな泣き叫んでる幼子の春香を。
なぜ!!
あれ程に痛め付け続けられるのだぁ!!」
もう私には想像するだけだった。
あの春香を傷付ける者達の方が全く判らない。
「小五郎!!
落ち着けぇ!!
先に全ての情報を、だろうがぁ!!」
晋作の声で目を開けて見るが。
すぐ意味にも判る。
それから私も息を吐き出して切り替える。
その場に居る皆も、僅かに動揺してる事も判るが。
どうにか考えながら言う。
「あぁ…
そうだな、皆へもだ。
すまない。
だが、絶対に私は、あんな未来へと…
しない為にこそ尚更、今は冷静に、だろう。」
「そうだ、小五郎。
春香が笑う未来は俺達が、だぞ?
俺すら怒りは充分、あるんだ…」
僅かに晋作が睨んだ事も気付くが。
先に沖田君からの荷物を出して置いた。
どうしても新撰組の事を考えれば…
複雑な気分にもなるが。
春香の為と、冷静に考える。
私も沖田とは会ったが、実際に用意までした土方。
あの様子ならば…
頭の中で纏める。
そのまま皆と同じ様に座ってから再度。
目だけ見ると、それぞれが無言で頷いた。
「まずは晋作。
既に坂本君達からも聞いてる様だが。
恐らく春香に関してならば…
新撰組でも保護の為、動く。
流石に全員とまでは言えないがな。
それでも私は反応も見てた。」
そこで一度、荷物の方へ手を添えた。
「少なくても、この荷物。
春香の食後に飲ませる薬と文らしい。
既に用意までして私へと渡してきた程。
渡してきた相手は沖田君だが。
正確に言うならば、これは土方君からになる。
そして一番、春香の事を考えたのも土方君だろう。
でなければ西本願寺へ侵入時でもだ。
私でも気付いたが、わざと春香の居る飛雲閣。
その付近だけ手薄。
更に実力者すら誰も居ない状態へは、ならない。」
「まだ桂さんには言ってないが。
私達を意図して逃したのも土方なのだ。」
武市の声で私は少し驚いて確認のみ聞く。
「意図して逃しただと?
武市君、それすら土方君が、わざとか?」
武市は複雑な顔をしながら答えた。
「そうとしか私は思えない。
確かに龍馬も含めれば土方が動くと判ってたが。
それでも明らかに新撰組の部隊長を含め多かったのだ。
恐らく土方が、だろう。
屯所である西本願寺。
そこから実力者を、わざと動かして手薄へ。
つまり土方は最初からだ。
西本願寺へと、誰か来る事は判ってた筈。
だからこそ私達へ実力者を集めて出させ、春香さんを。
更に沖田のみを残して荷物も含め、全て渡したのだろう。」
何だと!?
だが、それだと…
「そうなら武市君達も危険だった筈。
どうやって…」
驚きながら私が言うと坂本が笑いながら答えた。
「ワシらにじゃ!!
途中は危なかったけんどの?
やけんど新撰組の動きまで土方さんが、わざとやろ。
気付いて部隊の動き自体も変えたんちや!!
そのまま捕まえる事も出来た筈じゃがな。
それもせざったん。
やけんど、土方さん一人でワシらの前に来たんやぞ?
更に春香さんの為や言うたんや!!
そがな土方さんがワシらに言うてきた!!
志は変えんが、そがな未来は望んじょらんと。
それにワシも驚いたぞ?
こりゃ春香さんと約束かも判らんがなぁ?
土方さんが、言うたんやぞ!!
そがな土方さんが最後まで生きる代わりがとやろうが。
春香さんが言うたそうやぞ!!
そん代わりに春香さんがするんは『幸福』を探す為。
生きる言うたようぜよ!?
そんで歴史にはないき、今は捕まえんと。
やき逃がすって、土方さんが言うてきたんやぞ!?
じゃからワシらも逃げられたんよ。」
それを聞いて信じられない気分しかなかったが。
「桂さんに私からも補足するならばだ。
土方は全て独断だとも言ってきた。
そして春香さんを、だろう。
何も悪くないと。
だからこそ、あんな未来は許せる筈もないとだった。
更に嘘も言わない春香さんの場合まで。
あの土方が言ってきたのだよ。
流石に私も春香さんと多く話してないから判らないが。
都合の悪い事だけ沈黙、無言をするとな。
あの新撰組がだぞ?
私すらも信じられない程だった。」
武市の言った事に驚きながらも、すぐ私でも判る。
確かに春香は嘘を何よりも嫌う。
また言わない代わりにと視線すら逸らす。
更に目も閉じて言わなくなるが。
そんな事まで土方は見抜いたのか!!
私も渡された荷物を見ながら言う。
「そこまでして春香の為のみ…
しかも土方君は薬まで調合して用意までさせて居た。
沖田君も、この荷物を渡す時だ。
持ってた刀まで置いて私へ直接、渡して来た程。
まだ私も中の文は読んでないが。
だが…」
なぜ、そこまで春香の為?
僅か二日のみ。
しかも監禁もせず、土方が?
食事の世話まで…
ふと沖田が言った事を思い出す。
『土方さんの方が博学』と?
更に沖田の様子も思い出す。
そこで私は嫌な予感がした。
今の話ならば、これが春香の薬は明確。
だとしても…
土方は私の知らない事にまでか!?
春香の事で更に気付いたとしたら…
「小五郎?
どうした、また…
俺すら確かに今の話は信じられない気分だが。
明らかに春香への薬と処方だろ?」
その声で私は晋作を見るが、思い出す事もあった。
更に嫌な予感が強くなって焦りが。
考えながらも、そのまま言う。
「確かに春香の薬だろう。
それでもだ、晋作。
既に私は嫌な予感しか…
だが、まだ言ってなかった事もある。
これを渡したのは沖田君だと言ったろう?
その沖田君が、だぞ?
更に私へと言った言葉だ!!
予想外だった私へと『春香を頼む』だぞ?
それを言っただけでもないのだ!!
これを渡す時の様子も、意味も、あれ程ならば…
恐らく春香が、過去の一部を思い出した事でだ。
また錯乱したのも判った。
私の前ですら、あれ程ならば…
春香の思い出した、違う過去の一部になる。
もう沖田君の言葉、その意味すら変わる!?
晋作も考えてみろ!?
あの沖田君が叫ぶ様にだぞ!?
『言ってしまった事に』と。
『俺すら見てられない程』と。
『志が異なっても俺すら決して望まない』と。
全て土方君が気付いて、どうにかしたと私は聞いた!!
そして沖田君は、薬は食後。
『内容を読んだら処分してくれ』とだった!!
ならば薬に関しての文では、ないだろう?
春香が誰かへ真実を、言った場合だ!!
その時に春香が、された記憶を言ったからこそ…
あの土方君も含め、二人は…
それを見て、気付いた事を、だろう?
だから新撰組の中で、あれ程の危険までして春香を!?」
すぐ全員が驚いた顔に変わるのも気付いたが。
急いで私は荷物を開ければ、真っ先に見える文が判った。
嫌な予感もしながら、すぐ内容を読む。
余りにも、その内容がだった。
信じられない事で、そのまま私は目を閉じる。
「な、に…
こんな事…
ずっと、しかも己の子を?
そ…」
「小五郎!?
すぐ文を寄越せ!!」
声がした方へ、文を渡すが。
その内容を、私は何度も思い出す。
更に春香が普段から言う言葉の意味も判る。
なぜ…
そんな事が出来るのだ!?
春香が錯乱して言った言葉も、姿も!!
二人は見たからこそだろう?
新撰組でならば僅かでもだ!!
もし命令違反が見つかれば命はない。
にも関わらず。
あの土方と沖田が!!
命の危険までした理由。
こんな未来は望まないとの意味も。
そして春香が言う理由すら判った事で、もう…
目を閉じたまま誰にでもなく叫んだ。
「ふざけるなぁ!!
己の子を!?
何が、どう『失敗作』だと言えるのだぁ!?
しかも『要らない』だと!?
春香が誰かへ言えば監禁して更に!?
気分次第で殴るのみ!?
もう、どうかしてる!!
こんな事を、ずっとならば…
もう命どころでもないだろうがぁ!!
常に『春香の存在』までを!?
そんな事を否定され続ければ!!
春香が言う意味すら全て変わるだろうがぁ!!
もう命でなく、ただの螺子だと言う理由。
だからかぁ!!
いつも春香が己を機械の螺子と?
何も変わらないと?
誰も困らないと?
こんな事を更に続けたからこそ春香は!!
生きる意味もないと?
死ぬ意味もないと?
何の価値もないと?
そう言う理由でとかぁ!!」
「小五郎!!
一度、落ち着けぇ!!」
晋作の声で、どうにか目を開けるが。
逆に晋作は目を閉じてた。
だが、そのまま無言で部屋の壁を殴り付けた。
既に怒りを抑え付けてる事も判るが。
それでも目を開けないまま言ってきた。
「小五郎…
もう俺すらなぁ…
完全に許せねぇとしか言えん。
しかも今から変える為!!
動いてもだが。
春香が未来からでも、だぞ!?
その春香が生きてた未来すら俺達がした事も…
含まれた先にあるんだぁ!!
そんな未来へ間違えた俺自身すら許せねぇんだよ!!
だが、ならば…
どこで!!
何を間違えたか、だろう!?
それを探さなければ…
この国は終わるのではない!!
狂っていくだけだぁ!!」
意味にも充分、判る。
必死に感情を抑え付ける。
また私も息を吐き出してから言う。
「あぁ、その通りだな、晋作…
もう終わりどころではない。
ただ、狂った国になるのみ!!
だがな、晋作。
一つ、私は気になる事もある。」
その場、皆も文は読んだ様子だった。
それぞれ複雑な顔もしてるが、視線に気付いた。
「これも春香が良く言う事でもある。
それは『世界も同じ』だとな。
春香が良く言うだろう?
この国に限らないと。
世界でも同じ事だと。
人間の本質は欲しかないと。
だとしたら…」
私は坂本へ視線を向けた。
気付いた様子も判る。
「坂本君、一つ。
春香へ試して欲しい事がある。」
明らかに驚いた顔の坂本がだった。
「桂さん?
ワシか?
試すじゃと!?」
「そう、これは恐らく…
坂本君が適任だろう。
春香の場合。
いくら判り易くてもだ。
意図的にならば歴史に関して避けようとはする。
だが、他国の事に関してならばだ。
影響が少ないと判断するだろう。
私が知ってる限りだが。
恐らく春香は教養に関して充分。
これは漢字を含めた部分以外でも判る。
春香自身、歴史が嫌いだと言ってても。
会ってもない薩摩の名前すら簡単に出したろう?
そして武術などでも私や晋作の動き。
僅かに見ただけでも分析までして我流へとする程。
明らかに学も、多くあるのだ。
そして坂本君の場合。
まだ動きも含めて一切、春香に見られてない。
更に他国と一番、交流もある。
ならば坂本君が判る範囲で構わない。
春香に朝餉の時。
一度、他国の言葉を混ぜて会話してくれないか?」
坂本が考える様子をしたが。
「そりゃ、ええけんど。
ワシか…
そげな知っちゅう事もなかと?
桂さんが、どぎゃんして…」
私も僅かに考える。
「判り易く言うならば…
なぜか春香は、坂本君を警戒しないのだよ。
この時代ならば、私と最初。
真っ先に坂本君も、だろう?
同時に春香と会ってる事。
それも影響してるだろうが。
この場で唯一。
友好的に警戒を解くのも、坂本君だろう。
そして春香は嘘を言わない。
ならば他国の言葉を混ぜれば、更に判る事もある筈。
流石に、理由まで判らないが。
何かの糸口にはなる可能性。
また私の気になる事も含まれる。
既に他国が、この時代でも何か裏に居たら…
春香が言う言葉にある他国の欲とは、何だ?
最悪、既に利用されてる意味にもなる。」
そこで坂本が考える様子もするが、先に武市だった。
「龍馬…
これは私も桂さんの意見に一番だと思える。」
視線だけで武市を見れば目を閉じたまま…
だが、僅かに殺気すら漏れてるのに気付く。
「この中で私が僅かに出来る事は少ないが…
龍馬、もう…
こんな事は私すら完全に許せないだけでしかない。
必ず春香さんから何か糸口を。
見つけなければ駄目だ。
やらねばならない事も多い。
だが、こんな未来になるならば…
もう国が残っても…
そこで平和に暮らす者達が!!
居なければ意味すらない!!」
言ってから武市は目を開けて坂本を明らかに見た。
そこで坂本も目を変えて言うのを聞いた。
「武市…
判っちゅうよ。
春香さんも、やろ?
ワシがやっちゃる。」
私は皆を再度、見る。
それぞれ目を変えて意味も判った。
少し息を吐き出してから言う。
「一応、春香にもだが。
朝には皆と会えるとも既に安心させる為。
私からも言ってある。
その文は…
もう内容は充分、理解した。
すぐ処分する。」
そう言うと岡田が動き渡してきた。
既に文を見るだけで怒りが湧く。
春香は螺子ではない!!
生きて居る人間だぞ!?
それに己の子すら不要と!?
どうして失敗作だと言える!?
ふざけるな!!
だが、今の春香は一人でもない!!
私も必ずと言った!!
あんなにも優しい春香を、私が絶対!!
どうにか怒りを抑え付けた。
「小五郎。
もう春香に言ってたのか?」
文を見ながらも、やはり私は春香の心配ばかりだったが。
晋作の言葉に、そのままで答える。
「あぁ、あの時すらだった。
さっき春香が、私へ言ったのだよ。
ただ、私は春香を優先して、休ませる為。
寝かせる様に、しただけにも関わらず。
そこで私が見た理由でもあるか。
だから春香に安心させる為、先に言ったのだ。
あんなにも悲しい顔で…
下を向いて僅か小さくしか言えず。
そんな春香が言った事で判った。
春香が起きた時。
正確に言えば春香が寝てる間になるが。
寝たら私が消えないかと。
寝たら皆もと。
そう、言った。
恐らく唯一の祖母が亡くなった時。
春香は寝てたのだろう。
そして祖母は事故だと。
既に私は聞いてたから…
その春香が、新撰組の屯所で私へ。
言ってた言葉も同じなのだ。
もう居ないと。
いきなり消えたと。
楽しい時間は、いきなり消えると。
そう言って居た。
すぐ私でも判った事。
そんな春香が、いつも一人に拘る理由もな。
強さに拘る理由、誰も信じないと言う理由。
全てが判らず、迷うのも…
もう春香からすれば当然だろう?」
「小五郎…
既に春香の事だが…」
晋作を見れず、春香の理由に判れば尚更だった。
目を閉じて春香を考えれば、すぐ判る。
だから続けた。
「春香は何も悪くない。
それなのに…
あり得ない程の痛みと苦しみしかない中。
春香が、あれだけ信じる祖母ならば…
本当に春香を、必死で守って居た筈。
それすら判らぬまま、いきなり失えば尚更。
もう春香は命より、心が、だろう?
晋作も聞いた、俊介と言う者が気付いて…
その者すら幼い中でも、必死に春香を考えたのだ。
だが、大人相手に一人では勝てないからこそ。
己の親や大人まで説得して動き、ようやく…
春香の命だけ、救えたが…
身体の傷は治る、それでも心の傷は…
まだ判らぬ未来でも狂うだけではない。
必ず変えられる筈。
その未来でも、あの春香を、必死に助けた『俊介』がだ。
証明までしてる。
俊介も含めるが、その周りに居る大人側は正しいとな。
ならばこそ…」
私にも僅かな希望が残る未来!!
今は判らなくてもだ!!
そこで目を開けて晋作を見て断言する。
「私は必ず春香を助ける!!
そして正しい未来の為に最善をだ!!」
驚いた様子の晋作だったが。
少ししてから、なぜか笑いを耐える様子へ。
「いや、確かに…
小五郎の言う通り。
俊介と言う者が居るのだからな?
全てが狂ってないが。
だが、小五郎…
まさか…
気付いて、ないのか?
勿論、未来の為でもあるがなぁ?
もう完全に、だろ。」
少し驚きながら皆を見れば似た様に少し笑ってた。
私が気付いてない!?
だが、未来の為ならば尚更…
そんな中、真っ先に坂本が凄く笑いながら言ってきた。
「これは桂さんも、本気やろ!?
げに気付いちょらんのか?
まぁ、そうやがな。
これも未来の為やけんど?
やけんど、それはちっくと違うろ?
これは凄いろう!!
まっこと可愛いき良う判るぞ!!
春香さん、やろう?」
更に武市まで少し笑って…
「確かに桂さんは間違えてないがな。
今の発言ならば、もう…
だが、気付いてないと…
これだと、もう…
桂さんも春香さんを、笑えないだろう。
正しい未来の為、私達も動く事は当然だが。
これは私も…」
私は判らず、すぐ晋作を見るが。
いきなり晋作は爆笑した。
「あはははははっ!!
もう俺は笑うぞ、小五郎!?
気付いてないだと?
くっ、あははははははっ!!
その理由だがなぁ?
未来の為もあるが。
完全に春香の為!!
だろうがぁ?
それを気付いてねぇと?
言ってて恥ずかしくねぇのか!?
無自覚は春香で充分だぞ?
あはははははははっ!!
もう間違いそうだな、おい!!
春香の為?
くっ、あの小五郎がなぁ…
あはははははっ!!」
その言葉で私は気付く。
すぐ慌てて大きく言う。
「ち、違う!!
そう言う意味では…
さっきのは未来の事でだ!?」
「小五郎!!
もう既に遅いだろ?
あはははははははっ!!
あんなに断言してんだぞ?
それで春香にかぁ?
何を教えるって?
くっ。
これだと小五郎が…
あははははははっ!!
絶対に負けるな。
しっかり責任は取れよ?」
すぐ晋作の意味に気付く。
もう私は動揺する。
「何を!?
晋作!?
私は…」
「わはははははっ。
もうワシも、いかん!?
耐えられん!!
桂さんが?
あの春香さんを、やろう?
やけんど、責任も取るがよぞ?
ちゃんと最後までちや?
じゃが…
もう羨ましいだけやぞ!!
あんなまっこと可愛い女子!!
居んきなぁ…
春香さんは、そいなさんな。
ワシも判る!!」
坂本まで!?
「まぁ、私も知ってるが。
桂さんは無責任な人でもない。
ならば春香さんも問題は…
くっ。
いや、もう流石に私でも…
何も言えないだろうか?」
すぐ武市も笑いを耐えてる様子で言ってくる上に…
岡田すら既に下を向いて耐えてるのに判る。
違う意味もあって私は目を閉じて叫んだ。
「私は絶対に間違えない!!
それに、しない!!
一切、問題ない!!」
それでも皆の笑う声も聞くが。
ふと春香を思い出した事もあった。
尚更、そのまま、また無言のみを選んだ。
確かに春香は美しい上に…
優しい事も充分、判ってる。
更に嘘も一切、言わない純粋な事も。
だが、未来へ戻るかもしれないのにか!?
駄目だろう!?
しばらく、その場が収まるのを待ってから皆も客間へ。
私は文を燃やして処分してから、やはり春香の事を。
考えてしまうのもあって結局、仮眠程度にした。
**************************
※素敵なイラストはXeriel〈@Xeri_la〉様に作成して頂いたものです。
※著作権はXeriel様にあり、無断使用・無断転載はお控えください。
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