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第一章:深い闇からも必ず。
09.絶対に諦めない、だからこそ全て厭わない。
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土方さんが部屋から出てってから私は…
ずっと窓から外を。
ひたすらに見て思う。
おい、もう完全に夜だぞ!?
どうなってる!?
更に土方さんもだろ?
戻ってこねぇし?
でも坂本さん達が!!
んなの歴史にすら全く…
ねぇのにか!?
必死に私も考えるが何も判らなかった。
まさか!!
私か!?
異物のせいで…
もう歴史へと!?
私みてぇなのが居るから…
既に歴史へ!?
何か影響まで!?
でも…
どうする!?
どうにかしねぇと…
もし僅かでも、だろ!?
何か変わったら…
それこそ、もっと!?
んなの最悪だろ!?
でも…
どうして…
「春香さん。
安心して良いですよ。
土方さんも言ってたでしょう?」
一応、聞こえてた沖田さんの声で…
また私も振り向いて見るが。
同じ場所に居るのもだった。
沖田さんは、ずっと…
少しだけ離れた壁を背にして一切、動かず。
土方さんが出て行ってから何も変わってなかった。
私が何度、動いても圧倒的な早さで負けるばかり。
既に窓から見る事しか出来ない。
そんな沖田さんが少し笑ってる事も私には判って…
もう焦りながら…
「んな事よりもだぁ!!
このなんだと…」
そこで私も気付いて慌てて自分自身の口を。
手で塞ぐが、更に沖田さんは笑いながら言ってきた。
「あははは。
もう、本当に…
ですが、土方さんにも言われてませんか?
食事は食べる事も、でしょう?」
その言葉で既に置かれてある食事を。
少し私も見るが首を横に振る。
確かに…
土方さんも言ってたが。
また沖田さんを見る。
明らかに私を見てる事にも判る。
だから視線も逸らして無言を。
「あはは…
春香さんが嘘も言わない事も…
勿論ですが。
更に俺も充分、知ってますよ?
困った時は沈黙、無言を。
でしょう?」
また図星で私は目も閉じた。
「あはははは。
ずっと窓から離れない上に…
本当に、もう判り易い…
でも既に夜ですし?
今は食事ぐらい見逃しても良いですが。
俺でも一体、誰が来るか程度。
確認しますからね?」
んん?
誰がだぁ?
しかも確認と?
何だ、そりゃ。
私には疑問でしかなかった。
だから一応、私も目を開ける。
また私も沖田さんを見るが少し笑ってるだけ…
不思議に思いながら、そのまま聞いた。
「んん?
いや、何の話をかぁ?
してんだよ。
しかも沖田さんが?
つうか誰か、だぁ?
んだ、そりゃ?
確認とか…
私には全く判んねぇよ?」
でも、また沖田さんは笑いながら言ってきた。
「そうですねぇ。
俺もですが。
あの最初、春香さんに初めて会った時ですか?
その時に着てた着物。
それを準備した者に、でしょうか?」
すぐ私でも意味に気付いた。
まさか…
桂さんまで!?
私は我慢すら出来ず沖田さんを睨み付けて大きく言う。
「それだけは絶対に駄目だろうがぁ!!
今すら変なのにかぁ!!
私みてぇな異物のせいで…
もっと最悪にしか何ねぇ!!」
少し驚いた顔になった沖田さんも見たが。
私は許せない感覚が湧き上がるばかりだった。
あの桂さんは言ってたんだぞ?
私みてぇな螺子だけ、じゃねぇんだ!!
路地に居た多くの人達にすら、あんな複雑な顔で…
『今は僅かに助けてしまえば』と。
『だから余計、皆は避けるしか出来ない』って…
あんな事まで言ってんだぞ!?
だったら本当なら桂さんだって…
あんな皆をだろ!?
助けてぇからこそ、だろうがぁ!!
その為、あんな皆すら含めて必死に…
動いてるのにかよ!?
考えれば尚更だった。
私は怒りすら湧き上がってくる。
もう完全に沖田さんを睨んで怒鳴り付ける。
「ふざけんじゃねぇ!!
私みてぇな螺子にまで、あんなに…
他の皆すら助けてぇと!!
どうにかしようと、必死に動いてんのにかぁ!!
あんだけ優しいなら、絶対にだぁ!!
痛いどころじゃねぇぐれぇ判る!!
私みてぇな螺子如きまで真っ先にと…
んな代用品にすら、ならねぇんだぞ!?
この国には不可欠な存在なのを!!
充分、私ですら知ってるのにかぁ!!
何の為に新撰組が、あんだよ!!
完全に治安維持どころじゃねぇ上に…
ただ幕府から良い様に使われてるだけじゃねぇかぁ!!
自分達の都合が良い事しか言わねぇで…
更に隠して、誤魔化しながら、ずっと!!
本当に困った人達は一切、助けねぇ!!
んなクズ共が一度でも助けた事が、あんのかぁ!!
国が纏まる筈ねぇだろうがぁ!!
んな事、当たり前だぁ!!」
沖田さんが驚きながらだった。
「今…
俺達が使われてると…」
そんな事すら私には、もう…
全てが、どうでも良かった。
桂さんの時を思い出せば、すぐ判る事。
だから更に沖田さんを睨んで怒鳴った。
「んなの比べる価値すらねぇ!!
私みてぇな、ちっぽけな螺子にと…
あんなにも、だぞ?
どうでも良い異物を!!
真っ先にとなぁ!!
この時代では危ねぇからと!?
すぐ気付いたからかぁ?
だから私にすら最初っから…
ずっとだったのにかぁ!!
何も判んねぇ私に…
すぐ話し合いたいと言ってきた!!
すぐ自分から名乗ってきた!!
すぐ動き出した私すら止めてきた!!
すぐ危ないから駄目だと言ってきた!!
すぐ安全な場所へとも言ってきた!!
すぐ理解は出来なくもと私へ接してきた!!
そうやって何も判んねぇ私へと。
してきたのに…
新撰組は、どうだったんだよ!?
すぐ疑ってきた!!
すぐ名乗りもしねぇ!!
すぐ異国者だと決め付けた!!
更に、じゃねぇかぁ!!
すぐ私を気絶させてかよ?
すぐ拷問部屋みてぇな場所へかぁ?
すぐ尋問し出しただろうがぁ!!
何も判んねぇ私へと。
完全に真っ先にとだぞ?
攻撃してきたくせにかよ!?
私には途中から急に変わった事の方が…
今でも全く判んねぇぞ?」
沖田さんは複雑な顔になって首を横に振った。
目を閉じて言ってきた。
「それは…
春香さんの、言う通りです。
今更、何を言っても遅いと、俺も判ってます。
でも、これだけは言わせて下さい。」
何も言わずに睨む私に…
沖田さんは目を開けて大きく言ってきた。
「今の土方さんは春香さんの為!!
必死に動いてるのだと!!
俺の事は信じなくて良い!!
それでも土方さんすら知ったからこそです。
だから今すら土方さんは危険でも…
全て春香さんの為!!
動いてるんです!!」
その言葉に私は意表を突かれた。
思わず首を傾げて考える。
んん!?
何じゃ、また?
土方さんが?
危険だぁ?
いや…
坂本さん達だろ?
「んん、えっ?
いや、何つったぁ?
ちょっとストップな?
私も考えるが?
んん、いや…
やっぱ判んねぇし?」
その時、沖田さんが急にだった。
僅かに動いてから部屋にある出入り口を。
姿勢すら変えて刀まで手を。
添えて表情すら変えて見る様子までした。
私も見てたからこそ明らかに変わったのにだった。
どした、今度は…
不思議に私が思ってると…
「そう言う事で、でしたか。
沖田君?
だったら坂本君達の方も無事。
ならば時間も余りない。
このまま私は春香を連れて戻ります。」
すぐ私は気付いた。
この声は…
まさか!?
**************************
一方、桂小五郎。
時刻も含めて行動する中でもだった。
更に逃走経路の確保の為。
奇兵隊も配置させて動き出した。
そのまま単身で西本願寺の内部へ潜入する。
新撰組でも普通の団員相手。
全く問題すらない事も充分、判っていた。
足音すら立てず、迅速に動く中。
遭遇する団員は、すぐ気絶させるのみ。
だが、冷静に考えながら動く中でも気付く。
なぜ…
明らかに、これは変だろう?
なぜ巡回して警備へ回ってる者達すら少ない?
これでは一部だけ手薄になるだろう?
しかも、どの隊長すらとも遭遇しない?
遭遇する団員を。
簡単に気絶させながらも考える。
これは、なぜだ?
飛雲閣付近にだけ…
実力者も多い者すら誰も居ない状態。
わざと、なってるのか?
逆に、これだけ手薄だと妙にも…
それでも春香は飛雲閣に居る筈。
武市や岡田も含めて情報の精査したのだ。
間違ってないにも関わらず。
それなのに、なぜだ…
疑問に思いながらも迅速に飛雲閣へ向かう。
簡単に接近も出来て、更に気配を。
途中から消して動く時でだった。
「ふざけんじゃねぇ!!
私みてぇな螺子にまで、あんなに…
他の皆すら助けてぇと!!
どうにかしようと、必死に動いてんのにかぁ!!」
春香の怒鳴り声が聞こえた。
すぐ気配だけは消して急いで近付けば…
更に沖田の声を。
大きな声で言った言葉もだった。
そこで全ての謎も解ける。
春香が無事な事が判って少しだけ笑ってしまう…
会話の内容も聞き逃してなかった。
これは藩邸へ戻ってからも私が、だろう。
教えなければな。
春香は螺子では、ない!!
そして何も悪くないのだから…
だが、ここからが更に肝心だ!!
恐らく、ある!!
冷静に考える。
それから声を発した。
**************************
部屋に入ってきた桂さんを私は見た。
信じられない気分だけで何も言えなかった。
それなのに桂さんは私を見たのにも…
少し笑って私へと言ってきた。
「春香。
既に言った筈だろう?
私が守ると。
私が助けると。
私が必ず救い出すと。
そして私が必ずだともね?
誰にも春香を。
私は傷付けさせたり、しないよ?」
もう私は動揺する。
桂さんを見ながら、どうにか…
「な、ん…
桂さんが…
どうして?
何で、ここに…」
すぐ私は目を閉じた。
どうして!?
んな事したら…
桂さんが、だろ!?
危ねぇだけなのにかぁ!?
また私みてぇな異物にまで…
優しいから余計…
もっと、だろ!?
んなの桂さんすら絶対…
尚更、それは…
目を閉じたまま私は大きく言う。
「駄目だろうがぁ!?
桂さんが、ここに来たら!!
危ねぇどころじゃねぇのにかぁ!!
私みてぇな異物。
放置すべきなのに!!
だから忘れろって…
私も言った筈だぞ!!」
でも、すぐだった。
「春香、まずは落ち着きなさい。
そして私が春香を忘れる事。
それだけは絶対に、ないよ?」
普段通りの優しい口調で桂さんの声を。
私は聞いたが、すぐ首を横に振る。
どうして…
また桂さんが!!
そんな事…
絶対に駄目だ!?
それに私もだろ!?
誰も信じねぇ…
信じちゃ、いけねぇんだぁ!!
そう私は思って、そのまま無言を。
「春香は今にも、だろう?
信じられない事にと。
だから何も言わず。
でも、それなのに、なぜと。
また私の事で迷って、判らないのだろう?
心配してくれてる事なら、きっと。
私の方が判りそうだね。」
私は驚いて目を開ける。
すぐ桂さんを見れば少し笑ってるぐれぇ判るが。
でも判らない!!
桂さんが、どうして…
こんな場所まで…
絶対に桂さんに良くねぇ!!
だからこそ少し睨んで大きく言う。
「何でだよ!?
絶対、信じねぇぞ!?
私は信じちゃ駄目だ!!
それに、ここで死んでも…
問題ねぇ異物だってなぁ!?
でも桂さんは全く違うんだよ!!
詳しくは言えねぇが。
それでも私は…」
「春香、良く聞いて欲しい。
だから先に落ち着くんだ。」
私の言葉を。
自然と遮るが穏やかな口調のまま…
桂さんが言ってきた。
何も言えない私が見てると桂さんは…
また優しい声で言ってくる。
「私も春香を心配して居たが。
もう私だけでは、ないのだよ?
既に多くの者達が、春香をなのだ。
晋作や、坂本君も、武市君も。
春香を心配してた…
その春香を助けたくて皆が。
必死に春香の為だけにと、動いたのだよ。
そして恐らく、これは沖田君?
土方君も、だろう?
屯所内で、ここだけ…
わざと手薄にしてるのも判った。」
えっ!?
土方さんが!?
すぐ私は思い出す。
土方さんが言った言葉を。
『今夜で判る。
だから春香は、ここに居るんだ。』
あれの意味か!?
**************************
でも信じらない感覚しか私には、なかった。
僅かに言葉だけは零れた。
「そんな事…
どう、して…」
「春香さん。
少しだけ待って下さい。」
そこで沖田さんの声を私は聞いて止めた。
そして見てると刀を置いた。
更に部屋の隅へ行ってから何か大きめな袋っぽい?
物を手に取り出してからも沖田さんは無言で動いてた。
私には全く判らない。
だから見てるしかないが。
荷物は持ってるけど桂さんの方へ。
近付くのも見てた。
咄嗟に私は嫌な事も浮かんだ。
でも言おうとする前。
なぜか桂さんが先に私へ少し笑って言った。
「春香、大丈夫だよ。
沖田君はだ。
私にも、しない。
少し待って聞いて居れば判るよ?」
そんな桂さんの声、更に言葉を。
だから私は一応、警戒度だけ高めたまま…
沖田さんも見るが。
そんな沖田さんも桂さんへ近付くと。
荷物っぽいのを持ったまま複雑な顔で言った。
「貴方の察した通りです。
ですが、まさか…
貴方だったとは…
本当に俺すら思ってませんでした。
そして真っ先に春香さんを?」
そこで初めて私でも桂さんがだった。
笑顔とも違う複雑な顔になったのも見た。
判らないのもあるが、一応。
私も動かないで見てると桂さんも口調だけ…
「あぁ、そうだ。
沖田総司君?
さっき春香の声を。
私も聞いて居たがな…
全て、そのままだ。
私も最初、驚いた事ではあったがね。
だが、言葉は充分、判った。
だからこそ、すぐだ。
私は真っ先に対話を。
優先させたのみ。
そして話せば春香の場合。
すぐだった。
すぐ判ったのも、ある。
確かに不可思議な現象でも、あったがな…
それすら春香が、だ。
何も判ってない事にもだった…
僅かで私も充分。
だからこそ尚更、安全な場所へ。
当然、だろう?」
桂さんの口調が違う?
そんな沖田さんも複雑な顔で…
私には判らないが。
「では春香さんを、やはり…
桂さんなら…
既に判ってますよね?
俺達ですら僅かで充分過ぎた…
もう俺だけでなく土方さんは…
尚更です。
俺すら、こんな事は…
絶対に許せないと思いましたが。
こんな事は土方さんすら、すぐでした。
そのまま言います。
『もう、どちらの志にある先。
どっちも望んでねぇぐれぇ判る』と。
『尚更そんな未来だけは間違ってる』と。
だから『春香を保護した者すらだ』とも…
断言した程、俺達も含めて、でした。
それだけは決して、しない事を。
どちらにしても同じだと。
保護した者すら、その中で最善を。
そして俺達すら知った事、その目指す先も最善を。
だからこそ『そのまま渡せ』と、俺へ。
すぐ言いました。
土方さんが動くからこそ…
その代わりに俺が、でした。
そして春香を保護した者へ。
俺は今夜、既に準備してあった、これを。
春香さんの為に動く者へ。
一緒に渡す為だけ…
全て土方さんからです。」
そう言うと沖田さんは荷物っぽいのを。
桂さんへ渡す様子も私は見てるしか出来ない。
でも二人共が複雑な顔で私には判らないが。
「今夜、春香さんの為、動いて来る者へ。
一緒に、これも渡す事まで土方さんが事前に…
俺よりも土方さんの方が博学。
だから食事の後、この薬をと。
更に内容を読んだら処分してくれと。
それだけ、でした。
坂本さん達も必ず土方さんが動かします。
だから今すら無事でしょう。」
「沖田君、まさか…
それでは土方君が危ないだろう!?
そんな事まで、したのか!?」
今度は明らかに驚いた顔の桂さんが言ったが。
更に沖田さんは顔まで下を向いてからだった。
「そうです!!
これを知ってるのは俺だけ…
でも俺すら、あんな姿は!!
もう…
見てられなかった!!
痛々しいどころでもない!!
あんな事を、耐えられる筈もない!!
春香さんは何も悪くない!!
なぜ…
そんな事、俺すら望ましい先なのに!!
それに俺すら、ならば…
あの土方さんは尚更に決まってる!!
恐らく内容も土方さんが気付いた事を。
最初の食事ですら真っ先に土方さんが、です。
気付いて、すぐ薬も調合して…
その対処法も含め中にある筈。
そして、これは土方さんに限らない!!
俺だって絶対に、あんな先は嫌です!!」
大きい声が途中から丸で叫ぶ様に沖田さんが言ったが。
そこで桂さんが僅かに表情を。
更に低い声を出して…
「まさか…
思い出させた、のか?
ならば春香は…」
沖田さんは下を向いたまま…
でも首を横に振るのも私は見てた。
「はい…
最初ではないですが。
俺も見て、聞きました。
恐らく…
言ってしまった事に、でしょう。
もう俺すら見てられない程に…
それすら土方さんが気付いて、どうにか。
ですが今は時間も、ありません。
だから全ての詳細は中に…
土方さんが準備して…
せめて、この時代…
春香さんと接触したならば必ず。
先すら考えるだろうと。
例え今!!
志が異なっても…
俺すら決して望まない!!
あんな事を。
する側が、どうか、しているのに!!
俺すら、そうだと判る事を!!
これから先でも…
土方さんも、俺も、更に先へ。
その為のみ。
土方さんも動くでしょう。
ならば変えるのみ!!
だから今は春香さんを。」
そこで、ようやく沖田さんは顔を上げた。
「絶対に頼みますよ?
俺すら桂さんは本当に予測外だった。
もう尚更…」
そこで更に桂さんの目だけが変わった。
沖田さんを見て言った事には気付くが。
「充分、判ってる事。
今からの言葉を土方君にも伝えてくれ。
『春香には私の全て厭わない』と。
『必ず私が、するのみだ』と。
意味は判る筈。」
沖田さんは少し笑うぐらいで桂さんへ。
荷物っぽいのも渡した。
そんな全ての、やり取りを。
私も見てた、そして聞いても居たのだが…
全く判らない。
ようやく桂さんが私を見るのにも気付いたが。
少しだけ笑いながら私へと言ってきた。
「春香。
もう大丈夫だから…
皆の場所へ一緒に戻ろう?」
でも、そこで私は迷う。
**************************
私には全く判らない。
それに土方さんの事も思い出す…
尚更、判らなくて私は叫んだ。
「だから…
違うって言ってんだろうがぁ!!
また勝手に決めてんじゃねぇよ!!
土方さんも、どうしてだ!!
しかも沖田さんだって…
んな桂さんまで…
どう考えても変だろ!?
だって…
私でも知ってんのにかぁ!?
対立してる筈だぞ!?
なのに…」
「確かに春香の言う通り。
歴史では、だろう?
だが、春香は知らないのだよ。」
桂さんが、また私の言葉を。
更に言ってきた内容にもだった。
知らねぇだと!?
私が!?
でも歴史だって…
それに私は…
もう何も判らなくて私は桂さんを。
ただ見てると…
「春香は今、迷ってるのだろう?
そして判らないのだろう?」
優しく笑いながら言ってきた桂さんに。
動揺しかなかった。
私は何も言ってないのに!?
どうして!!
だから、そのまま私も言う。
「それは…
でも…
駄目だってぇの!?
私は要らねぇ螺子だ!!
桂さんにも、土方さんにも。
この時代なら尚更!!
必要だって私程度でも…
それなのに私は…」
「違う!!」
大きな桂さんの声で遮られて私は止まるが。
「春香、落ち着いて聞きなさい?
この時代だからなど。
既に関係ないのだよ?
それすら春香は気付いてないのだ。」
私が気付いてねぇだと!?
一体、桂さんは…
何を!?
でも桂さんは普段の口調で私にと…
優しく言ってくる。
「いつも春香は己を螺子だと言うが。
それすらも全く違うのだ。
春香は今、この場ですら生きて居る。
命が判らないまま…
常に春香自身が耐えてただけ…
そして春香は何も悪くないのだよ。
悪いのは大人側であり、春香は何も悪くない。
それなのに春香の方がなど。
完全に間違えてる。」
私は僅かに思い出す。
でも、それなら…
だから桂さんも睨んだ。
どうにか首だけ横に振る。
信じねぇ…
私は誰も信じちゃ駄目だぁ!!
「私も春香に出会ったのは…
確かに、いきなりだったが。
もし、春香の時代に居たならば。
また私は春香の為、春香を助ける。
春香が傷付かぬ様にと…
春香が辛かった時。
誰も助けなかった事。
それすら間違えてるのだ。
今の時代ならば私が必ず守ると。
既に言ったろう?
今は戻れるか、確かに判らない元の時代。
その時代に戻ってもだ。
春香が傷付かぬ国へと…
私が、してみせよう?
私が、どちらでも守れる様に。」
私は驚きながら桂さんを見る。
何だと!?
んな事…
それでも桂さんは変わらないのを。
少し笑ってるのも私は見て、優しく言ってくる。
「春香?
今の時代、確かに対立はある。
けれど皆が願うのは…
春香が居た未来だ。
その時代に春香の様な者が居ない国を。
痛い事、辛い事、ない様にと。
皆が笑って暮らす世の為。
だからこそ今、この時代では皆が。
それぞれの志を。
持って良くする為、動いてる。
そして私も含め多くが、既に春香を知った。
ならばこそだよ?
春香の様に苦しまない未来を。
その為に全力でだ。」
もう我慢が出来ずに私も大きく言う。
「いくら桂さんでもだぞ!?
んな事、絶対、無理だぁ!!
決して変わらねぇ…
桂さんは知らねぇからこそ言える!!
私も変わらねぇんだ…
もう私は…
誰も信じねぇ!!
誰も愛さねぇ!!
前にも言ったろうがぁ!!
絶対、世の中はなぁ。
人間の欲しかねぇんだよ!!」
もう私は目を閉じる。
でも桂さんの声が…
「春香が今でも唯一、信じてる亡き祖母も。
春香の幸せを、だろう?
『幸福』を願い続けて居るのだよ。
それは今でも、だと思うが?」
普通に言ってきた桂さんの言葉を。
もう私は…
「な、えっ?
お婆ちゃんが?
でも…」
すぐ私は思い出す。
もう頭すら抱えて叫ぶ。
「違う!!
お婆ちゃんは居ない!!
お婆ちゃんは、いきなり…
あんなに優しい!!
あんなに私を!!
でも、もう居ないんだ!!
いきなり消えた…
楽しい時間は、いきなり消える!!
だったら私は最初から…
望まねぇ!!
信じねぇ!!
愛さねぇ!!
一人が…
幸福すら判んねぇ…
願った事すらねぇんだぁ!!」
急に抱き締められる感覚に私は…
すぐ違う事も思い出す。
咄嗟に逃げようと…
「や、はなっ。
やだ、もう…
私は…」
「春香、大丈夫だ。
私は消えない。
私は傷付けない。
私は痛くしない。
そして今は、落ち着くんだ。」
声で桂さんに私も気付いて、そのまま動けない。
「私は春香を傷付けない。
そして春香が本当に恐れてるのは…
痛みでは、ないのだよ。
また祖母と同じ様に失う事を。
居なくなって一人になる事を。
恐れてるのだろう?
だからこそ春香自身が、もう…
恐いのだろう?」
私は、でも…
勝手に涙が零れる。
「それは…
だって…」
「春香?
その恐れは皆が持って…
常に生きて居るんだ。
いつも春香は己を螺子だと言うが。
全く違う、その意味でもある。
春香すら持って居る命だ。
祖母を失った時。
あの感覚、それは皆が恐れる事。
だから皆がだ、命だけは大切にと…
懸命に生きようとする。
今の春香が死んだら私は、そう…
とても恐い。
だからこそ私は、春香を守りたい。
春香を失うのが恐いからこそ。
春香を助ける。
そう、皆も同じ事なのだよ?
それが大事な命で、失えば終わる。
だから大切な仲間を。
春香の場合ならば…
これから春香が愛する者。
大切だと思う者。
その者達が笑って側に…
居て欲しいからこそ強く。
皆が頑張るのだ。
亡き祖母の願いすら同じ事。
春香が『幸福』の中で笑う事を。
願ってるのだよ。」
「あの、優しい…
お婆ちゃんが?
今も?」
そこで腕が緩まって桂さんの顔が見えた。
私の涙を、また同じ様に拭って…
少し笑いながら言ってくる。
「あぁ、そうだ。
だから一人を祖母は望まない。
春香が笑ってない。
だから春香に『幸福』が来るように願ってる。
残したのは『物』ではない。
これは祖母が残したのは春香への『思い』だ。
そして、それが『本当の願い』だよ。」
どうにか私は僅かに言う。
「でも…
んなの簡単に壊れる。
桂さんだって危ねぇ。
今すら…
私は何を。
誰も信じねぇ方が…
苦しくねぇぐれぇしか…」
それでも桂さんは変わらず。
優しく笑って…
「大丈夫だ、春香。
すぐには誰でも無理なのだ。
だから、春香は、そのままで良い。
いつも私が言うだろう?
徐々にとだ。
まだ春香は知らないだけ…
判らないと言うならば、それが判るまで私が必ずだ。
今の様に何度でも、救い出す。
そして何度でも守る、助ける。
既に春香にも、言っただろう?
だから春香も…
いきなり私の前からだ。
居なくならないでおくれ?」
どうにか私は頷く。
「それに春香?
今もだよ?
皆も春香の為。
土方君も春香にと…
何か言ったのではないか?」
ただ、もう私は驚くだけ…
僅かにしか言えない。
「な、んで…
桂さんは知らねぇ筈。
それを。」
また桂さんが笑うのを私は見る。
そして言ってくる。
「春香には判るかもしれないが。
この場に居る、沖田君もだよ?
春香を、心配したからこそ。
新撰組の中でも守ろうとだ。
それは土方君も同じだよ?」
その時、驚く私にと少しだけ笑いながら…
沖田さんがだった。
「春香さん…
見てれば俺でも、判るんですよ?
俺は春香さんが…
泣くのは見たくないと。
土方さんも同じ事。
だから難しいなら、桂さんの言う通り。
徐々に…
春香さんが笑う事を俺すら願いますよ。」
でも私は、なぜか沖田さんが泣きそうなのに…
無理に笑ってる様にも見えた。
だから、そのまま私も言う。
「沖田さん?
どうして…
そんな顔を?
笑ってねぇだろ?
んな泣きそうな顔すら…
さっきとも違うし?
何に…」
少し沖田さんは驚いた顔もしたのを私も見るが。
今度は複雑な顔で判らなかった。
そんな沖田さんが言ってきた。
「俺が泣いてる、ですか?
もし俺が泣いてる様に…
春香さんがです。
見えたなら、そうですねぇ。
本当は桂さんの言葉を信じたいのに…
春香さんが泣いて、困ってる様に見える。
だから俺は、そんなに泣いてる春香さんを。
見てると悲しくなるんですよ。」
その言葉で咄嗟に私が涙を拭うが。
「良いじゃないですか?
桂さんも言ってるでしょう?
誰だって悲しい時、苦しい時。
泣くのが普通です。
それに、また気付いてない。」
急に沖田さんに言われて見るが。
前に似た様な笑顔で言ってきた。
「泣いてる春香さんは見たくないですが。
桂さんと居ると、きっと安心するからこそ。
自然に涙すらも出る。
自然に笑うのも出来るって事です。
俺も、その方が春香さんには…
充分、似合うと思いますよ?」
そして、また桂さんを見れば変わってなかった。
少し笑ってるのも判って、私も少し笑う。
「そうだよ、春香?
沖田君の言う通りだろう?
春香は、春香だと。
いつも言ってただろう?」
もう、その言葉に私は、ただ…
嬉しくなるばかりだった。
**************************
それから桂さんは沖田さんを僅かに見た。
沖田さんも複雑な顔で頷くだけなのを。
私は二人共に見てたのもある。
だから少し笑って沖田さんに言う。
「沖田さん!!
んな顔は似合わねぇぞ!!
いつもみたいにかぁ?
笑っとけよ?
一応なぁ?
土方さんにも私は言っといたぞ?」
明らかに沖田さんは驚く顔をしたのに気付いた。
そのまま言ってくる。
「え、春香さんが…
土方さんに?
それを?」
素直に私は頷きながら沖田さんにも言う。
「そうだぞ?
ちゃんと土方さんにもだが。
普段から笑えってかぁ?
あんな顔ばっかしてっとなぁ?
めっちゃ損だって言ったし?
まんま言うがなぁ。
いっつも、あんな顔だとなぁ?
未来じゃ新撰組は危険人物の集団ってなぁ!!
歴史に残っちまうぞぉってかぁ。
でも土方さんはマジで笑うと…
雰囲気すら違うし?
ありゃ…
土方さんにも言ったが。
実は過保護!?
んで器用貧乏でかぁ?
しかも意外に、お人好しだろ?
んな顔してっから余計にだってなぁ!!」
また凄く沖田さんは驚いた顔のまま無言になった。
それを見て私は笑う。
「あはははっ!!
沖田さんにも言えんぞ?
私みてぇなのにかよ!!
放置しとけっつったのに…
結局、何だぁ?
後、土方さんは…
子守担当でも、してたんかぁ?
かなり強引だったが。
新手の拷問かと思ったし?
勝手に人の口に食事とかなぁ?
どんだけだよ!!
桂さんすらしねぇから!?」
沖田さんは無言のまま…
でも桂さんは、どうにか耐える様子でだった。
「ふっ、はは…
なるほど。
春香の食事で…
今度は土方君が?
もう私すら想像すると…
どうしても…
ははは…
笑ってしまうが。
あの土方君がと思うと…
余計に耐えるのが難しい。」
そんな桂さんを見て沖田さんも…
急に爆笑し出した。
「あはははははっ!!
確かに?
春香さんは判り易いから…
俺すら見てましたが…
あれは、もう…
あの土方さんが…
完全に子守を。
あははははははっ!!
更に最初から?
もう笑うだけ!?
あの土方さんすら?
そう、驚いて?
無言を?
あははははは!!
思い出すだけで…
あんな土方さんは…
なかなか…
見られない…
しかも…
あんなに焦って?
あははははははははっ!!
これは絶対、春香さんぐらいでしょう?」
んん?
私ぐらいって、何だぁ?
沖田さんが爆笑してるのは私でも充分、判るが。
不思議に思ってると、いきなり抱き上げられた。
驚いて見れば桂さんも笑ってた。
「さて、春香?
このまま戻るよ?
私が移動した方が早い。
既に皆も待ってるだろうからね。」
そのまま桂さんは僅かに沖田さんを。
見て一言のみ。
「沖田君、この場は任せます。」
そして私は抱き上げられたまま移動を。
確かに早いのも判るが、また私は思う。
「だから…
勝手に決めんじゃねぇっての!!」
そう私が言っても桂さんは全く変わらなかった。
そのまま私は判らないまま…
桂さんに運ばれる状態だった。
**************************
一方、土方歳三。
坂本達に関して最初から逃す行動も一応してたが。
明らかな誘導にも気付く。
部隊長を含めての全力相手する中。
三人すら厳しい動きだと判断は出来た。
そこで僅かに春香を思い出す。
あんな未来へなど。
絶対させねぇ!!
もう仕方ねぇ…
やはり。
「斎藤!!
五番隊も含めてだぁ!!
一度、屯所へ戻って増援を呼べ!!
総司も含めた一番隊、全員なぁ!!」
「土方さん!?
待ってくれよ、今が好気だろ!?
実力じゃ負けるが、でも全員じゃ…」
「武田!!
今の狙いは三人じゃねぇ!!
一人のみ。
坂本龍馬だ!!
言いたかねぇが。
今だと逆に隊長以外…
足手纏いにしか、何ねぇんだよ!!」
「土方さん。
せめて俺だけ残るべきでは?」
僅かに察した様子も気付く。
だが、斎藤の場合。
「もう斎藤すらだろ?
完全に武市のみ。
翻弄されんだぞ。
岡田が邪魔してっから尚更だが。
しかも既に罠くせぇ。
今だと屯所は隙だらけになる。
更に罠なら余計なぁ。」
そこで斎藤が考える様子をしたのも見た。
追加で言う。
「もし誘導されてんなら逆に何かあんぞ?
だったら一番隊を呼べ。
そして斎藤と武田は屯所の変化を探れ。
この場では俺が動けねぇ!!」
二人共が頷き動いたのも見る。
残るは…
「藤堂!!
突っ走んない!!
罠くせぇって言ってんだろうが!!
八番隊は逆側から周れ!!」
「な、土方さん!?
いや、確かに出過ぎちまったが!?
俺まで裏手か!!」
「罠ならば逆へ動くのみ!!
目的までは判らねぇが。
俺と真逆側から、攻めろ。」
「そりゃ、でも土方さんが。
三人同時に…」
藤堂の意味が判って怒鳴る。
「罠が判らねぇって言ってんだろうがぁ!!
俺が見極めてからだ!!
仲間は死なせたかねぇ。」
「仲間は…
それぐれぇ俺だって判ってる!!」
八番隊の全員が動く事も見た。
残るのは俺と十番隊のみ。
「原田!!
俺が出る。
だが、十番隊全員を守りながら待機しろ。」
「な、何言ってんだよ、土方さん!!
土方さんでも…
三人同時は無茶だぞ!?」
慌てながら言った原田を睨んで叫んだ。
「これは副長命令だぁ!!
それと最初から狙いは坂本のみ!!
だから、もう先に俺が探る!!」
「また一人で…
了解…」
意味も判るが。
原田は複雑な顔もした。
でも指示通り十番隊、全員を。
連れて僅か離れた場所へ移動した事も見てた。
そのまま三人の前へと向かう。
近付けば岡田が明らかに警戒度すら高めたのは判るが。
だが、坂本だけは不思議な顔までしたのも見た。
それに坂本が俺を見てる事も判る。
離れた団員達には聞かれない為。
一応、俺も意図して声は小さくと溜息を出してから言う。
「坂本…
それと武市、岡田もだ。
今だけは逃す。
既に春香の事を。
知ってるな?」
明らかに三人共、驚いた顔になるのも見たが。
坂本からだった。
「土方さんや?
まさか…
わざとしちゅうのか!?
やけんど春香さんは…」
また溜息を出してから睨み付けるが。
すぐ春香の錯乱した姿も思い出す。
「チッ。
俺が見てらんねぇのもある。
流石に誰かまで判らねぇが。
今頃は屯所に春香を、だろ?
誘導な事も判った。
総司にも言ってあるから全く問題ねぇ…
だが、坂本まで動いたのなら尚更。
この時代では春香の場合。
また危険すらかよ…
そして坂本。
他も含めるが、いくら志が異なろうとだ。
明らかに間違ってる事も充分、判ってんな?
俺は一切、あんな事…
望んでねぇぞ。」
すぐ坂本も言ってきた。
「当然ぞ!!
ワシだって、そがな未来は望んじょらんのや!!
春香さんは悪うないのに。
やけんど、そがな春香さんを。
ワシだって見たきこそちや!!
あんなのは見たくないに決まっちゅうやろ!?」
その言葉を聞いて確信した。
あの『春香を見た』からこそ出した答え!!
少し俺も笑う。
「あぁ、それなら充分、構わねぇよ。
俺達、新撰組でも志は曲げねぇがな?
俺すら知ったからこそ余計にか?
更に言うなら、これは俺の独断。
だがな、俺達の目指す先。
あんな未来にだけは、したかねぇ…
あんだけ判り易いんだ。
俺すら僅かで充分だったが。
本来の歴史でも『今』は、坂本龍馬を。
捕まえる事が違うぐれぇ判る。
だからこそ、この場は逃すのみ。
そんでも次は…
判ってんだろうな?」
僅かに坂本が複雑な顔をしたのも俺は見てた。
「土方さん…
そがな危ない事を。
やけんど春香さんは悪うないろう?
土方さんもや。
そがな事は違っけんよ?」
僅かに考えるが。
仲間達も思い出すからこそ、また睨んで言う。
「一応、意味は判るがな、坂本。
俺は死んでった仲間達が残した事を。
簡単に言うんじゃねぇ…
生きてる俺は最後まで足掻くだけだ。」
ふと春香の言葉も思い出した。
どうしても俺は耐えられず。
少し笑いながら、そのまま言う。
「俺が足掻いて死んでもな。
今なら充分な気分にも、なったか。
春香自身は全く判らねぇくせに…
笑って俺にだ。
直接、言いやがった。
あれには…
もう流石に俺すら笑うしかねぇよ。
俺の事を。
春香は生きてる間と限定だったが。
新選組の副長、土方歳三を。
絶対、忘れねぇと。
更にだった。
もし元の時代、未来に戻ってだ。
史実で俺に関してなぁ。
馬鹿な事が残ってるぐれぇならか?
見つけた瞬間に修正してやると、だぞ?
その時、俺が…
どんな気分になったと思ってんだ?
しかも春香自身は、全く無自覚で。
まぁ、嘘も言わねぇ春香の場合。
都合の悪い事だけ沈黙、無言をするがな。
それすら判り易かったぞ?」
三人共に驚いたのを見た。
余計に笑いを耐える方が難しいが。
少し笑いながら続けて言う。
「春香は何も悪くねぇんだ。
だからこそ、あんな未来…
俺すら許せる筈ねぇんだよ。
既に薬も、文も含め用意して渡す様に言ってある。
あんな事を続ければなぁ。
己の命すら判らねぇに決まってんだよ。
だが、これも春香自身が言った。
俺が生きて、足掻いて、仲間の為に生きるなら…
春香もだと。
生きて、足掻いて、『幸福』を探すとなぁ?
だったら尚更、俺は一切、曲げねぇ。
限界まで足掻いて生きてやる。」
三人共が驚いた顔のままだが。
坂本だけ急に首を横に振る。
それから俺を見てから笑いながら言ってきた。
「こりゃ、土方さんも?
まっこと可愛い春香さんやき!?
仕方ないけんど?
土方さんも、やろう?
やけんどな…
土方さんには悪いがやけんど。
春香さんを更に思うて動いた者が居るがぜよ?
やき勝てんぞ?」
俺すら意味が判って、また大きな溜息をした。
「馬鹿が!!
俺は新撰組だぞ?
そんな私情は無用だ。
今回のみ!!
次からは容赦しねぇ…
後、罠って事にしてある。
岡田なら暗器も含め持ってんな?
それをしたら、すぐ去れ。」
そこで武市と岡田が、すぐ動いた。
目眩しの為、煙幕や炸裂音。
様々な方法で俺も察して僅かに避けるが。
その場から去るのも気配で判った。
やはり準備してたか。
好都合だな。
「土方さん!?
無事かよ!!」
「あぁ、やはり罠だったな。
今すら誤魔化してんだ。
事前に他も仕掛けてやがんぞ。
判らねぇ罠なら尚更だ。
一度、引くぞ。」
「な、でも…」
違う意味も込めて、また溜息を出した。
一応、原田を見てから言う。
「問題ねぇよ。
今日は既に変だからな。
坂本だけじゃねぇのが証拠だ。
三人同時、しかけてんだぞ?
俺らなら問題ねぇが。
他の団員まで巻き込まれたら堪らん。」
「クソッ!!
確かに三人同時じゃ…
土方さんを入れても隊長だけに…」
原田が悔しそうに言った意味も判る。
俺も同じ、絶対に仲間を。
犠牲だけは、したかねぇのも本当だ!!
それから全員、集めてから屯所へ。
戻りながらも考える。
恐らく時間なら問題ねぇ筈。
総司が上手く春香を、してんだろうが。
だが、あの坂本の様子…
武市や岡田まで含めて、春香の為。
だからこそ坂本すら含めて動きを。
変えた事は充分、判る。
それでも、だろ?
違う者が最初に春香を。
にも関わらず既に接触済みだと?
しかも誘導側だぁ?
なら誰だよ!?
何度、考えても判らなかった。
あの三人共ならば確かに実力もだがな。
これだと尚更、春香にか?
この時代で、一体…
最初の着物から身分も、かなりだろ?
あるぐれぇ判るのに?
もう俺すら全く判らねぇぞ!?
そんな事を考えながら屯所へ戻れば、すぐだった。
「土方さん!?
やっぱ、そうだった!!
もう既にだぁ!!」
真っ先に走りながら門まで武田が…
大きな声で来るのを見た。
何だ?
随分、慌ててる様子だな?
「この馬鹿野郎!!
既に何がだ!?」
すぐ言う間に目の前で、また…
「土方さんが言ってたろ!?
罠かもってなぁ!?
だから屯所へ俺達に戻れって…
でも俺らが戻った時には、もう!?
遅かったんだよ!!
既に侵入者が入ってたんだ!!
どうにか総司が一人で対処してたみてぇで…
だから全員は気絶程度で済んでたがな!?
もう、あんな数なら!?
いくら総司でも一人じゃ無理だろ?
そっちへ増援したくても駄目で…
そんで連絡すら遅く、すまねぇ…」
そう言って僅かに下を向いたが。
すぐ意味に判って動揺した。
な…
手薄にしてたが、気絶だと!?
総司じゃねぇだろ!?
しかも、それなら…
わざと手加減までして春香のみを。
しかも屯所内で!!
「待て、武田!?
増援に関しては、もう良い!!
それでもだ、今、言っただろ?
気絶のみでもだ!!
何人が、やられた!?」
すぐ気配にも気付いたが武田の後ろを見た。
「土方さん、28人でした。
巡回での場所すら全員が不特定で…
俺も一緒に屯所へ戻って来ましたが。
もう既に…
相手が潜伏してる可能性もあって一応。
捜索して今は居ません。
ですが、申し訳ありません。
全て土方さんの懸念通りでした…
恐らく坂本達は囮です。」
普段は冷静な斎藤すら下を向いて言った。
流石に俺すら驚きを隠せなった。
まさか…
気絶のみで殺さず、しかも28人もか!?
それ程に実力差が!?
いくら隊長でなくてもだろ!!
本来ならば、その人数が確実に死んでた筈。
想像した事で俺は怒りが僅かに出た。
「クソがぁ!!
そんなのは下手したら仲間を。
一気に28人も!?
俺の判断でか…」
驚きながらも原田と藤堂が、それぞれ…
慌てる様子で、すぐ言ってきたのも見たが。
「違うだろ!?
土方さんすら、いっつも危ねぇのを。
一人で仲間ばっかじゃねぇか!?
さっきだって真っ先に罠の確認へ!?
その為だけで一人、既に危なかったのにか!?
わざと皆は避けさせて…
結局、あれすら罠だったじゃねぇかよ!?」
「そうだぞ!!
土方さんが言ったから俺だって…
あの離れた時すらだろ?
真っ先に罠も疑って言ってきたじゃねぇか!!
怪しいって土方さんが気付いたから俺にまで逆へ。
いつも俺らより危ねぇ事は仲間よりも先に…
土方さんが、すんじゃねぇか!!」
そんな様子で言ってくる二人共に…
でも俺は首を横に振る。
違う事も浮かんで俺は大きく言う。
「そんな事は当然だろうがぁ!!
俺は仲間が死んでく姿すら見たくねぇ!!
何の為、副長してんだぁ!!」
僅かに春香の泣き叫んだ姿も思い出す。
「ふざけんじゃねぇ!!
ずっと俺達が守りながらでも…
必死に志すらも、だろ!?
その為、皆すらしてんのにかぁ!!
もっと俺も、だろうがぁ?
全く足りてねぇ!!」
「土方さん、俺らも…
もっと強くなる!!
土方さんも言ってんだ。
俺らだって、もっとに決まってる!!」
そこで武田の声で見ると悔しそうな顔だった。
どうにか俺も息を吐き出す。
周りに居る隊長すら同じ顔に気付く。
「悪りぃ、皆も充分、判ってんよ。
今のは、らしくねぇな。」
その時、春香に言われた事を。
思い出して少し笑って言った。
「心配すんじゃねぇよ?
俺は新選組の副長、『 土方歳三』だ!!
生きて、足掻いて、必死に皆の分すらなぁ。
生きてるからこそ絶対、忘れねぇんだ。
これから先すら俺が、だぞ?
絶対に変えてやる!!」
皆が驚きながらも俺を見て少し笑うのも見れた。
あぁ、仲間も大事だ。
それに、あんな未来も知った俺なら尚更だろ?
最善を探すのみ。
「一応、総司を俺の部屋へ呼べ。
皆も交代でだ。
すぐ仕掛けてこねぇだろうが。
いざって時に動けねぇなら意味ねぇぞ?」
言って、すぐ皆は頷いて動き出すのも見る。
そのまま歩いて自室へ戻る。
少しすると僅かな気配を察した。
普段通りに言う。
「総司か、入って良いぞ。」
「はい、土方さん。」
襖が開いて総司も素早く入って閉めると、すぐ周りへ。
気配を探る動きに違和感も感じ取る。
「総司、簡潔に言え。
相手は誰だ?
しかも既に俺も聞いた事。
実力すら相当、だろ?」
だが、総司は更に警戒度すら高めたのに気付く。
気配まで探る事も一切、止めず。
俺を見ると、そのまま近付いてきた。
「土方さん、今から一度しか言いません。
でも尚更、重要な事すらあります。」
その総司が見せた姿で俺も気配を探る。
すぐ誰も居ない事に目だけ総司に向けた。
頷いてから総司は目を閉じた。
そのまま言ってきた。
「春香さんを。
これは未来から、この時代に来た瞬間からです。
最初から常に守ってるのは…
桂小五郎です。」
完全に動揺すら隠せなかった。
余りの予想外でも、どうにか必死に考える。
何だとぉ!?
あの桂小五郎か!!
長州の…
しかも、この時代に来た瞬間からと!?
つまり、もし、そうなら…
ずっと春香の存在すら隠し続けてたのか!?
だからこそ坂本達は、既にか!?
確かに土佐の坂本ならば長州とも…
更に実力なら高杉晋作と桂小五郎だ!!
あの二人が群を抜いてる。
だが、もし長州なら尚更だろ!?
幕府どころでも?
しかも『朝敵』として他にも多いんだぞ?
最初、あの楠を斬ったのは原田だろ?
新撰組と名前が変わる前だが。
その後すら長州は…
どうにか必死で考える中で総司が目を開けた。
「俺すら、そうでした。
完全に予想外な者で迷った程。
ですが、そんな桂さんが土方さんへ。
伝言もあります。」
伝言だと!?
わざわざ、俺へと残してったのか!?
また冷静になる為…
息を吐き出してから俺は総司を見る。
一度、総司も頷くと…
「はい、ですが土方さん。
俺は見てたからこそ判りました。
恐らく、この時代では…
今の春香さんが一番、信頼してる者。
それは、あの桂小五郎のみ。
そんな桂さんすら土方さんへ。
残した伝言。
今から、そのままで言います。
『春香には私の全て厭わない』と。
『必ず私が、するのみだ』と。
この二つのみ。
俺ですら意味に気付きます。
桂さんと俺では僅かでしたが…
俺は二人の言動で気付きました。
明らかに桂さんは、春香さんへ教えながらも安心を。
けれど春香さんの場合、警戒しながらも徐々にと。
そして桂さんは充分、春香さんを判ってるからこそです。
春香さんへは傷すら一切、付けない為にする言動のみ。
例え春香さんが無自覚でも、この時代ならば…
絶対に桂さんでしょう。」
総司の言った言葉もだが。
更に、その目で意味も充分、判った。
小さな溜息を出してから目を閉じた。
そのままで言う。
「なるほど。
理解してるからの動きを。
春香の場合、すぐには不可能だからな…
だが、明らかな問題すら多過ぎるぞ?
既に坂本達が動いてるのも俺は知った。
だったら、また土佐と長州、だろ?
場合によっては、更に…」
「土方さん。
もう一つ、俺からあります。
どうしても、これは調べる必要があると…
俺は確信してます。」
すぐ目を開けて総司を見た。
明らかに俺の言葉すら遮る様に言った総司だったが。
普段とも全く違う目も、声すら判る。
これは…
俺は冷静に考えながらも総司を見て言う。
「何かに、気付いたのか?」
そんな総司が普段とも全く違う目のまま…
「はい、俺は気付けた事ですが。
春香さんは気付いてません。
ですが俺には判ったこそ、です。」
意味に気付いた。
だから一切、聞き逃さないで総司を見てると…
総司すら視線も逸らさない。
「先に俺が春香さんから聞いた事を。
そのまま言いますよ?
『何の為に新撰組が、あんだよ』と。
『完全に治安維持どころじゃねぇ上に』と。
『ただ幕府から良い様に使われてるだけじゃねぇか』と。
あの春香さんは完全に気付いてませんが。
怒鳴って俺へと言った言葉です。
ならば嘘など…
土方さんにも判る筈です!!
絶対ないでしょう!?」
一瞬、信じられない気分にもなるが。
すぐ判る事だった。
あの春香は一切…
嘘を言わん!!
「それを本当に春香が言ったんだな!?
だったら、もう幕府が確実に黒だろうがぁ!!
春香は嘘だけ絶対、言わねぇ…
しかも怒鳴っただと?
つまり感情的になって言ったからこそ。
無自覚に言った言葉だろ。
だが、それを言うならば…
最初もか?
総司も居た筈だぞ。」
すぐ最初に春香の言った言動を思い出す。
総司も考える様子をした。
目を閉じて、そのまま思い出しながら言う。
「確か、真っ先に俺が聞いた質問だな?
すぐ春香は焦り出したが…
あの時すら…
『それをした結果を何も考えねぇ』と?
『もう単純に利用されてんじゃねぇかよ』とか?
そこで俺も聞いた…
『既に嘘も幕府がしてるからの事で』と。
そして口を塞いだ。
無自覚で言った事と当て嵌まる!!
もう俺と総司すら春香を知ってるんだ。
なら、もう…」
目を開けた。
もう単純に怒りが湧く。
「クソが!!
初めて会った時と全く同じだろ!?
つまり既に幕府が嘘を!!
そして新撰組を良い様に利用してるか!!」
そこで改めて総司を見る。
総司の普段と違う理由、これか!?
だが、まだ…
「総司、これは…
もう調べる上で全ての洗い出しだぁ…
だが、その前にか?
俺は春香の最後。
その言葉すら直には聞いてねぇ。
そして総司が嘘を言う意味も全くねぇ。
充分、判ってる事。
もしかしての可能性…
他にもある可能性だな。
総司が気付いてなくても良いが。
その時。
春香が言ってた事でか?
まぁ…
あの春香が怒鳴って言ったらしいから…
どんなに想像しても、これは…
総司が、か?
何か言ったから、だろ?」
すぐ怒鳴ってる春香は想像も簡単だったが。
流石に内容までは全く判らなかった。
だが、すぐ総司が複雑な顔になったのを俺も見た。
思わず頷きながら言う。
「いや、多分な?
総司に怒鳴った時点で…
まぁ、思い出したくねぇだろうが。」
そんな総司は、さっきともだった。
また違う微妙な顔になったのも見るが目を閉じた。
そのまま言ってきたが。
「土方さん?
俺は…
春香さんの言葉に、です。
全く言い返せませんでしたが…
これは、もう…
完全に土方さんが!!
原因でしょう?」
いきなり俺の名が出て驚く。
もう、そのまま言う。
「ちょっと待て、総司?
俺が、かよ!?
春香が俺にか?
また、何がだ!?」
総司は目を開けた。
だが、複雑な顔のまま言ってきた。
「土方さん…
本当に、そんな事を言ってます?
もう俺は何も言えませんでしたからね?
かなり衝撃的でした。
俺が気付いて、すぐ聞こうと思いましたが…
恐らく桂さんに触れて、でしょう。
俺は完全に睨まれて?
更に何も言えず。
春香さんに怒鳴られるのみ!!
土方さんがした事。
桂さんがした事。
それを、です!!」
俺がした事だぁ!?
しかも桂小五郎の時。
つまり最初に、した事でかよ?
更に春香が、完全に総司を睨んで?
思い出しながら総司を、また見てると…
総司は何も言わず、また目を閉じた。
そのまま俺も見てると、いきなり声真似まで…
「そのまま土方さんへ。
『私にすら最初っから…
ずっとだったのにかぁ!!
何も判んねぇ私に…
すぐ話し合いたいと言ってきた!!
すぐ自分から名乗ってきた!!
すぐ動き出した私すら止めてきた!!
すぐ危ないから駄目だと言ってきた!!
すぐ安全な場所へとも言ってきた!!
すぐ理解は出来なくもと私へ接してきた!!
そうやって何も判んねぇ私へと。
してきたのに…
新撰組は、どうだったんだよ!?
すぐ疑ってきた!!
すぐ名乗りもしねぇ!!
すぐ異国者だと決め付けた!!
更に、じゃねぇかぁ!!
すぐ私を気絶させてかよ?
すぐ拷問部屋みてぇな場所へかぁ?
すぐ尋問し出しただろうがぁ!!
何も判んねぇ私へと。
完全に真っ先にとだぞ?
攻撃してきたくせにかよ!?
私には途中から急に変わった事の方が…
今でも全く判んねぇぞ?』
はぁ…
以上です。
土方さん?
何か反論、出来ますか?」
そう言うと総司が微妙な顔で俺を。
明らかに見てるのも判ったが…
確かに、もう俺すら何も言えなかった。
そのまま総司を見ながら思い出す。
それは確かに…
俺が、か?
した、よな?
つまり桂小五郎の場合は…
春香より真っ先に名乗って?
攻撃すら一切せず…
話し合いを春香へ申し出てか?
更に安全な場所へ。
そして俺の時、かぁ!?
確かに名乗ったのも、総司からで…
しかも気絶させたのも、俺か!?
そのまま、気絶してる春香を屯所へ。
反論の余地すら無い俺は首を横に振る。
何も言わず総司を少し見て考えるが。
複雑な顔で、更に言ってきた。
「土方さん?
俺が何も言えない理由が、判りましたか?
しかも、ですよ?
『比べる価値すらねぇ!!』と?
そこまで言われましたが?
最初は俺でも、ない上に…
名乗ったのも、俺から!!
ですからね?
春香さんに嘘も言えない俺は、もう…
謝罪しか言えません!!」
「そ、それは…」
ふと俺も春香を思い出した。
だから総司から視線を逸らす。
そのまま沈黙、無言を。
「土方さん!!
それすら春香さんの、でしょう!?
わざと視線まで今、逸らしましたが?」
そして俺は目も閉じた。
一応、考える。
春香は己を螺子だの言うがなぁ。
もう、これは…
螺子どころじゃねぇぞぉ。
既に、土佐の坂本連中?
側に居るのは、長州の高杉と桂だろ?
更に新撰組の俺と総司、もし…
ここで薩摩が出たら…
とんでもない事に、なるだろ!?
だが、それよりも先に幕府の嘘…
確実にある筈。
俺達、新撰組を利用だぁ!?
そんな事は許せねぇ…
どうにか探るしかねぇが、方法は…
そのままで総司が色々、言いながら動いたが。
俺は目を閉じたまま、沈黙、無言を。
選びながらも全く違う事をだった。
考え続けてながらも…
常に避けるのみをした。
ずっと窓から外を。
ひたすらに見て思う。
おい、もう完全に夜だぞ!?
どうなってる!?
更に土方さんもだろ?
戻ってこねぇし?
でも坂本さん達が!!
んなの歴史にすら全く…
ねぇのにか!?
必死に私も考えるが何も判らなかった。
まさか!!
私か!?
異物のせいで…
もう歴史へと!?
私みてぇなのが居るから…
既に歴史へ!?
何か影響まで!?
でも…
どうする!?
どうにかしねぇと…
もし僅かでも、だろ!?
何か変わったら…
それこそ、もっと!?
んなの最悪だろ!?
でも…
どうして…
「春香さん。
安心して良いですよ。
土方さんも言ってたでしょう?」
一応、聞こえてた沖田さんの声で…
また私も振り向いて見るが。
同じ場所に居るのもだった。
沖田さんは、ずっと…
少しだけ離れた壁を背にして一切、動かず。
土方さんが出て行ってから何も変わってなかった。
私が何度、動いても圧倒的な早さで負けるばかり。
既に窓から見る事しか出来ない。
そんな沖田さんが少し笑ってる事も私には判って…
もう焦りながら…
「んな事よりもだぁ!!
このなんだと…」
そこで私も気付いて慌てて自分自身の口を。
手で塞ぐが、更に沖田さんは笑いながら言ってきた。
「あははは。
もう、本当に…
ですが、土方さんにも言われてませんか?
食事は食べる事も、でしょう?」
その言葉で既に置かれてある食事を。
少し私も見るが首を横に振る。
確かに…
土方さんも言ってたが。
また沖田さんを見る。
明らかに私を見てる事にも判る。
だから視線も逸らして無言を。
「あはは…
春香さんが嘘も言わない事も…
勿論ですが。
更に俺も充分、知ってますよ?
困った時は沈黙、無言を。
でしょう?」
また図星で私は目も閉じた。
「あはははは。
ずっと窓から離れない上に…
本当に、もう判り易い…
でも既に夜ですし?
今は食事ぐらい見逃しても良いですが。
俺でも一体、誰が来るか程度。
確認しますからね?」
んん?
誰がだぁ?
しかも確認と?
何だ、そりゃ。
私には疑問でしかなかった。
だから一応、私も目を開ける。
また私も沖田さんを見るが少し笑ってるだけ…
不思議に思いながら、そのまま聞いた。
「んん?
いや、何の話をかぁ?
してんだよ。
しかも沖田さんが?
つうか誰か、だぁ?
んだ、そりゃ?
確認とか…
私には全く判んねぇよ?」
でも、また沖田さんは笑いながら言ってきた。
「そうですねぇ。
俺もですが。
あの最初、春香さんに初めて会った時ですか?
その時に着てた着物。
それを準備した者に、でしょうか?」
すぐ私でも意味に気付いた。
まさか…
桂さんまで!?
私は我慢すら出来ず沖田さんを睨み付けて大きく言う。
「それだけは絶対に駄目だろうがぁ!!
今すら変なのにかぁ!!
私みてぇな異物のせいで…
もっと最悪にしか何ねぇ!!」
少し驚いた顔になった沖田さんも見たが。
私は許せない感覚が湧き上がるばかりだった。
あの桂さんは言ってたんだぞ?
私みてぇな螺子だけ、じゃねぇんだ!!
路地に居た多くの人達にすら、あんな複雑な顔で…
『今は僅かに助けてしまえば』と。
『だから余計、皆は避けるしか出来ない』って…
あんな事まで言ってんだぞ!?
だったら本当なら桂さんだって…
あんな皆をだろ!?
助けてぇからこそ、だろうがぁ!!
その為、あんな皆すら含めて必死に…
動いてるのにかよ!?
考えれば尚更だった。
私は怒りすら湧き上がってくる。
もう完全に沖田さんを睨んで怒鳴り付ける。
「ふざけんじゃねぇ!!
私みてぇな螺子にまで、あんなに…
他の皆すら助けてぇと!!
どうにかしようと、必死に動いてんのにかぁ!!
あんだけ優しいなら、絶対にだぁ!!
痛いどころじゃねぇぐれぇ判る!!
私みてぇな螺子如きまで真っ先にと…
んな代用品にすら、ならねぇんだぞ!?
この国には不可欠な存在なのを!!
充分、私ですら知ってるのにかぁ!!
何の為に新撰組が、あんだよ!!
完全に治安維持どころじゃねぇ上に…
ただ幕府から良い様に使われてるだけじゃねぇかぁ!!
自分達の都合が良い事しか言わねぇで…
更に隠して、誤魔化しながら、ずっと!!
本当に困った人達は一切、助けねぇ!!
んなクズ共が一度でも助けた事が、あんのかぁ!!
国が纏まる筈ねぇだろうがぁ!!
んな事、当たり前だぁ!!」
沖田さんが驚きながらだった。
「今…
俺達が使われてると…」
そんな事すら私には、もう…
全てが、どうでも良かった。
桂さんの時を思い出せば、すぐ判る事。
だから更に沖田さんを睨んで怒鳴った。
「んなの比べる価値すらねぇ!!
私みてぇな、ちっぽけな螺子にと…
あんなにも、だぞ?
どうでも良い異物を!!
真っ先にとなぁ!!
この時代では危ねぇからと!?
すぐ気付いたからかぁ?
だから私にすら最初っから…
ずっとだったのにかぁ!!
何も判んねぇ私に…
すぐ話し合いたいと言ってきた!!
すぐ自分から名乗ってきた!!
すぐ動き出した私すら止めてきた!!
すぐ危ないから駄目だと言ってきた!!
すぐ安全な場所へとも言ってきた!!
すぐ理解は出来なくもと私へ接してきた!!
そうやって何も判んねぇ私へと。
してきたのに…
新撰組は、どうだったんだよ!?
すぐ疑ってきた!!
すぐ名乗りもしねぇ!!
すぐ異国者だと決め付けた!!
更に、じゃねぇかぁ!!
すぐ私を気絶させてかよ?
すぐ拷問部屋みてぇな場所へかぁ?
すぐ尋問し出しただろうがぁ!!
何も判んねぇ私へと。
完全に真っ先にとだぞ?
攻撃してきたくせにかよ!?
私には途中から急に変わった事の方が…
今でも全く判んねぇぞ?」
沖田さんは複雑な顔になって首を横に振った。
目を閉じて言ってきた。
「それは…
春香さんの、言う通りです。
今更、何を言っても遅いと、俺も判ってます。
でも、これだけは言わせて下さい。」
何も言わずに睨む私に…
沖田さんは目を開けて大きく言ってきた。
「今の土方さんは春香さんの為!!
必死に動いてるのだと!!
俺の事は信じなくて良い!!
それでも土方さんすら知ったからこそです。
だから今すら土方さんは危険でも…
全て春香さんの為!!
動いてるんです!!」
その言葉に私は意表を突かれた。
思わず首を傾げて考える。
んん!?
何じゃ、また?
土方さんが?
危険だぁ?
いや…
坂本さん達だろ?
「んん、えっ?
いや、何つったぁ?
ちょっとストップな?
私も考えるが?
んん、いや…
やっぱ判んねぇし?」
その時、沖田さんが急にだった。
僅かに動いてから部屋にある出入り口を。
姿勢すら変えて刀まで手を。
添えて表情すら変えて見る様子までした。
私も見てたからこそ明らかに変わったのにだった。
どした、今度は…
不思議に私が思ってると…
「そう言う事で、でしたか。
沖田君?
だったら坂本君達の方も無事。
ならば時間も余りない。
このまま私は春香を連れて戻ります。」
すぐ私は気付いた。
この声は…
まさか!?
**************************
一方、桂小五郎。
時刻も含めて行動する中でもだった。
更に逃走経路の確保の為。
奇兵隊も配置させて動き出した。
そのまま単身で西本願寺の内部へ潜入する。
新撰組でも普通の団員相手。
全く問題すらない事も充分、判っていた。
足音すら立てず、迅速に動く中。
遭遇する団員は、すぐ気絶させるのみ。
だが、冷静に考えながら動く中でも気付く。
なぜ…
明らかに、これは変だろう?
なぜ巡回して警備へ回ってる者達すら少ない?
これでは一部だけ手薄になるだろう?
しかも、どの隊長すらとも遭遇しない?
遭遇する団員を。
簡単に気絶させながらも考える。
これは、なぜだ?
飛雲閣付近にだけ…
実力者も多い者すら誰も居ない状態。
わざと、なってるのか?
逆に、これだけ手薄だと妙にも…
それでも春香は飛雲閣に居る筈。
武市や岡田も含めて情報の精査したのだ。
間違ってないにも関わらず。
それなのに、なぜだ…
疑問に思いながらも迅速に飛雲閣へ向かう。
簡単に接近も出来て、更に気配を。
途中から消して動く時でだった。
「ふざけんじゃねぇ!!
私みてぇな螺子にまで、あんなに…
他の皆すら助けてぇと!!
どうにかしようと、必死に動いてんのにかぁ!!」
春香の怒鳴り声が聞こえた。
すぐ気配だけは消して急いで近付けば…
更に沖田の声を。
大きな声で言った言葉もだった。
そこで全ての謎も解ける。
春香が無事な事が判って少しだけ笑ってしまう…
会話の内容も聞き逃してなかった。
これは藩邸へ戻ってからも私が、だろう。
教えなければな。
春香は螺子では、ない!!
そして何も悪くないのだから…
だが、ここからが更に肝心だ!!
恐らく、ある!!
冷静に考える。
それから声を発した。
**************************
部屋に入ってきた桂さんを私は見た。
信じられない気分だけで何も言えなかった。
それなのに桂さんは私を見たのにも…
少し笑って私へと言ってきた。
「春香。
既に言った筈だろう?
私が守ると。
私が助けると。
私が必ず救い出すと。
そして私が必ずだともね?
誰にも春香を。
私は傷付けさせたり、しないよ?」
もう私は動揺する。
桂さんを見ながら、どうにか…
「な、ん…
桂さんが…
どうして?
何で、ここに…」
すぐ私は目を閉じた。
どうして!?
んな事したら…
桂さんが、だろ!?
危ねぇだけなのにかぁ!?
また私みてぇな異物にまで…
優しいから余計…
もっと、だろ!?
んなの桂さんすら絶対…
尚更、それは…
目を閉じたまま私は大きく言う。
「駄目だろうがぁ!?
桂さんが、ここに来たら!!
危ねぇどころじゃねぇのにかぁ!!
私みてぇな異物。
放置すべきなのに!!
だから忘れろって…
私も言った筈だぞ!!」
でも、すぐだった。
「春香、まずは落ち着きなさい。
そして私が春香を忘れる事。
それだけは絶対に、ないよ?」
普段通りの優しい口調で桂さんの声を。
私は聞いたが、すぐ首を横に振る。
どうして…
また桂さんが!!
そんな事…
絶対に駄目だ!?
それに私もだろ!?
誰も信じねぇ…
信じちゃ、いけねぇんだぁ!!
そう私は思って、そのまま無言を。
「春香は今にも、だろう?
信じられない事にと。
だから何も言わず。
でも、それなのに、なぜと。
また私の事で迷って、判らないのだろう?
心配してくれてる事なら、きっと。
私の方が判りそうだね。」
私は驚いて目を開ける。
すぐ桂さんを見れば少し笑ってるぐれぇ判るが。
でも判らない!!
桂さんが、どうして…
こんな場所まで…
絶対に桂さんに良くねぇ!!
だからこそ少し睨んで大きく言う。
「何でだよ!?
絶対、信じねぇぞ!?
私は信じちゃ駄目だ!!
それに、ここで死んでも…
問題ねぇ異物だってなぁ!?
でも桂さんは全く違うんだよ!!
詳しくは言えねぇが。
それでも私は…」
「春香、良く聞いて欲しい。
だから先に落ち着くんだ。」
私の言葉を。
自然と遮るが穏やかな口調のまま…
桂さんが言ってきた。
何も言えない私が見てると桂さんは…
また優しい声で言ってくる。
「私も春香を心配して居たが。
もう私だけでは、ないのだよ?
既に多くの者達が、春香をなのだ。
晋作や、坂本君も、武市君も。
春香を心配してた…
その春香を助けたくて皆が。
必死に春香の為だけにと、動いたのだよ。
そして恐らく、これは沖田君?
土方君も、だろう?
屯所内で、ここだけ…
わざと手薄にしてるのも判った。」
えっ!?
土方さんが!?
すぐ私は思い出す。
土方さんが言った言葉を。
『今夜で判る。
だから春香は、ここに居るんだ。』
あれの意味か!?
**************************
でも信じらない感覚しか私には、なかった。
僅かに言葉だけは零れた。
「そんな事…
どう、して…」
「春香さん。
少しだけ待って下さい。」
そこで沖田さんの声を私は聞いて止めた。
そして見てると刀を置いた。
更に部屋の隅へ行ってから何か大きめな袋っぽい?
物を手に取り出してからも沖田さんは無言で動いてた。
私には全く判らない。
だから見てるしかないが。
荷物は持ってるけど桂さんの方へ。
近付くのも見てた。
咄嗟に私は嫌な事も浮かんだ。
でも言おうとする前。
なぜか桂さんが先に私へ少し笑って言った。
「春香、大丈夫だよ。
沖田君はだ。
私にも、しない。
少し待って聞いて居れば判るよ?」
そんな桂さんの声、更に言葉を。
だから私は一応、警戒度だけ高めたまま…
沖田さんも見るが。
そんな沖田さんも桂さんへ近付くと。
荷物っぽいのを持ったまま複雑な顔で言った。
「貴方の察した通りです。
ですが、まさか…
貴方だったとは…
本当に俺すら思ってませんでした。
そして真っ先に春香さんを?」
そこで初めて私でも桂さんがだった。
笑顔とも違う複雑な顔になったのも見た。
判らないのもあるが、一応。
私も動かないで見てると桂さんも口調だけ…
「あぁ、そうだ。
沖田総司君?
さっき春香の声を。
私も聞いて居たがな…
全て、そのままだ。
私も最初、驚いた事ではあったがね。
だが、言葉は充分、判った。
だからこそ、すぐだ。
私は真っ先に対話を。
優先させたのみ。
そして話せば春香の場合。
すぐだった。
すぐ判ったのも、ある。
確かに不可思議な現象でも、あったがな…
それすら春香が、だ。
何も判ってない事にもだった…
僅かで私も充分。
だからこそ尚更、安全な場所へ。
当然、だろう?」
桂さんの口調が違う?
そんな沖田さんも複雑な顔で…
私には判らないが。
「では春香さんを、やはり…
桂さんなら…
既に判ってますよね?
俺達ですら僅かで充分過ぎた…
もう俺だけでなく土方さんは…
尚更です。
俺すら、こんな事は…
絶対に許せないと思いましたが。
こんな事は土方さんすら、すぐでした。
そのまま言います。
『もう、どちらの志にある先。
どっちも望んでねぇぐれぇ判る』と。
『尚更そんな未来だけは間違ってる』と。
だから『春香を保護した者すらだ』とも…
断言した程、俺達も含めて、でした。
それだけは決して、しない事を。
どちらにしても同じだと。
保護した者すら、その中で最善を。
そして俺達すら知った事、その目指す先も最善を。
だからこそ『そのまま渡せ』と、俺へ。
すぐ言いました。
土方さんが動くからこそ…
その代わりに俺が、でした。
そして春香を保護した者へ。
俺は今夜、既に準備してあった、これを。
春香さんの為に動く者へ。
一緒に渡す為だけ…
全て土方さんからです。」
そう言うと沖田さんは荷物っぽいのを。
桂さんへ渡す様子も私は見てるしか出来ない。
でも二人共が複雑な顔で私には判らないが。
「今夜、春香さんの為、動いて来る者へ。
一緒に、これも渡す事まで土方さんが事前に…
俺よりも土方さんの方が博学。
だから食事の後、この薬をと。
更に内容を読んだら処分してくれと。
それだけ、でした。
坂本さん達も必ず土方さんが動かします。
だから今すら無事でしょう。」
「沖田君、まさか…
それでは土方君が危ないだろう!?
そんな事まで、したのか!?」
今度は明らかに驚いた顔の桂さんが言ったが。
更に沖田さんは顔まで下を向いてからだった。
「そうです!!
これを知ってるのは俺だけ…
でも俺すら、あんな姿は!!
もう…
見てられなかった!!
痛々しいどころでもない!!
あんな事を、耐えられる筈もない!!
春香さんは何も悪くない!!
なぜ…
そんな事、俺すら望ましい先なのに!!
それに俺すら、ならば…
あの土方さんは尚更に決まってる!!
恐らく内容も土方さんが気付いた事を。
最初の食事ですら真っ先に土方さんが、です。
気付いて、すぐ薬も調合して…
その対処法も含め中にある筈。
そして、これは土方さんに限らない!!
俺だって絶対に、あんな先は嫌です!!」
大きい声が途中から丸で叫ぶ様に沖田さんが言ったが。
そこで桂さんが僅かに表情を。
更に低い声を出して…
「まさか…
思い出させた、のか?
ならば春香は…」
沖田さんは下を向いたまま…
でも首を横に振るのも私は見てた。
「はい…
最初ではないですが。
俺も見て、聞きました。
恐らく…
言ってしまった事に、でしょう。
もう俺すら見てられない程に…
それすら土方さんが気付いて、どうにか。
ですが今は時間も、ありません。
だから全ての詳細は中に…
土方さんが準備して…
せめて、この時代…
春香さんと接触したならば必ず。
先すら考えるだろうと。
例え今!!
志が異なっても…
俺すら決して望まない!!
あんな事を。
する側が、どうか、しているのに!!
俺すら、そうだと判る事を!!
これから先でも…
土方さんも、俺も、更に先へ。
その為のみ。
土方さんも動くでしょう。
ならば変えるのみ!!
だから今は春香さんを。」
そこで、ようやく沖田さんは顔を上げた。
「絶対に頼みますよ?
俺すら桂さんは本当に予測外だった。
もう尚更…」
そこで更に桂さんの目だけが変わった。
沖田さんを見て言った事には気付くが。
「充分、判ってる事。
今からの言葉を土方君にも伝えてくれ。
『春香には私の全て厭わない』と。
『必ず私が、するのみだ』と。
意味は判る筈。」
沖田さんは少し笑うぐらいで桂さんへ。
荷物っぽいのも渡した。
そんな全ての、やり取りを。
私も見てた、そして聞いても居たのだが…
全く判らない。
ようやく桂さんが私を見るのにも気付いたが。
少しだけ笑いながら私へと言ってきた。
「春香。
もう大丈夫だから…
皆の場所へ一緒に戻ろう?」
でも、そこで私は迷う。
**************************
私には全く判らない。
それに土方さんの事も思い出す…
尚更、判らなくて私は叫んだ。
「だから…
違うって言ってんだろうがぁ!!
また勝手に決めてんじゃねぇよ!!
土方さんも、どうしてだ!!
しかも沖田さんだって…
んな桂さんまで…
どう考えても変だろ!?
だって…
私でも知ってんのにかぁ!?
対立してる筈だぞ!?
なのに…」
「確かに春香の言う通り。
歴史では、だろう?
だが、春香は知らないのだよ。」
桂さんが、また私の言葉を。
更に言ってきた内容にもだった。
知らねぇだと!?
私が!?
でも歴史だって…
それに私は…
もう何も判らなくて私は桂さんを。
ただ見てると…
「春香は今、迷ってるのだろう?
そして判らないのだろう?」
優しく笑いながら言ってきた桂さんに。
動揺しかなかった。
私は何も言ってないのに!?
どうして!!
だから、そのまま私も言う。
「それは…
でも…
駄目だってぇの!?
私は要らねぇ螺子だ!!
桂さんにも、土方さんにも。
この時代なら尚更!!
必要だって私程度でも…
それなのに私は…」
「違う!!」
大きな桂さんの声で遮られて私は止まるが。
「春香、落ち着いて聞きなさい?
この時代だからなど。
既に関係ないのだよ?
それすら春香は気付いてないのだ。」
私が気付いてねぇだと!?
一体、桂さんは…
何を!?
でも桂さんは普段の口調で私にと…
優しく言ってくる。
「いつも春香は己を螺子だと言うが。
それすらも全く違うのだ。
春香は今、この場ですら生きて居る。
命が判らないまま…
常に春香自身が耐えてただけ…
そして春香は何も悪くないのだよ。
悪いのは大人側であり、春香は何も悪くない。
それなのに春香の方がなど。
完全に間違えてる。」
私は僅かに思い出す。
でも、それなら…
だから桂さんも睨んだ。
どうにか首だけ横に振る。
信じねぇ…
私は誰も信じちゃ駄目だぁ!!
「私も春香に出会ったのは…
確かに、いきなりだったが。
もし、春香の時代に居たならば。
また私は春香の為、春香を助ける。
春香が傷付かぬ様にと…
春香が辛かった時。
誰も助けなかった事。
それすら間違えてるのだ。
今の時代ならば私が必ず守ると。
既に言ったろう?
今は戻れるか、確かに判らない元の時代。
その時代に戻ってもだ。
春香が傷付かぬ国へと…
私が、してみせよう?
私が、どちらでも守れる様に。」
私は驚きながら桂さんを見る。
何だと!?
んな事…
それでも桂さんは変わらないのを。
少し笑ってるのも私は見て、優しく言ってくる。
「春香?
今の時代、確かに対立はある。
けれど皆が願うのは…
春香が居た未来だ。
その時代に春香の様な者が居ない国を。
痛い事、辛い事、ない様にと。
皆が笑って暮らす世の為。
だからこそ今、この時代では皆が。
それぞれの志を。
持って良くする為、動いてる。
そして私も含め多くが、既に春香を知った。
ならばこそだよ?
春香の様に苦しまない未来を。
その為に全力でだ。」
もう我慢が出来ずに私も大きく言う。
「いくら桂さんでもだぞ!?
んな事、絶対、無理だぁ!!
決して変わらねぇ…
桂さんは知らねぇからこそ言える!!
私も変わらねぇんだ…
もう私は…
誰も信じねぇ!!
誰も愛さねぇ!!
前にも言ったろうがぁ!!
絶対、世の中はなぁ。
人間の欲しかねぇんだよ!!」
もう私は目を閉じる。
でも桂さんの声が…
「春香が今でも唯一、信じてる亡き祖母も。
春香の幸せを、だろう?
『幸福』を願い続けて居るのだよ。
それは今でも、だと思うが?」
普通に言ってきた桂さんの言葉を。
もう私は…
「な、えっ?
お婆ちゃんが?
でも…」
すぐ私は思い出す。
もう頭すら抱えて叫ぶ。
「違う!!
お婆ちゃんは居ない!!
お婆ちゃんは、いきなり…
あんなに優しい!!
あんなに私を!!
でも、もう居ないんだ!!
いきなり消えた…
楽しい時間は、いきなり消える!!
だったら私は最初から…
望まねぇ!!
信じねぇ!!
愛さねぇ!!
一人が…
幸福すら判んねぇ…
願った事すらねぇんだぁ!!」
急に抱き締められる感覚に私は…
すぐ違う事も思い出す。
咄嗟に逃げようと…
「や、はなっ。
やだ、もう…
私は…」
「春香、大丈夫だ。
私は消えない。
私は傷付けない。
私は痛くしない。
そして今は、落ち着くんだ。」
声で桂さんに私も気付いて、そのまま動けない。
「私は春香を傷付けない。
そして春香が本当に恐れてるのは…
痛みでは、ないのだよ。
また祖母と同じ様に失う事を。
居なくなって一人になる事を。
恐れてるのだろう?
だからこそ春香自身が、もう…
恐いのだろう?」
私は、でも…
勝手に涙が零れる。
「それは…
だって…」
「春香?
その恐れは皆が持って…
常に生きて居るんだ。
いつも春香は己を螺子だと言うが。
全く違う、その意味でもある。
春香すら持って居る命だ。
祖母を失った時。
あの感覚、それは皆が恐れる事。
だから皆がだ、命だけは大切にと…
懸命に生きようとする。
今の春香が死んだら私は、そう…
とても恐い。
だからこそ私は、春香を守りたい。
春香を失うのが恐いからこそ。
春香を助ける。
そう、皆も同じ事なのだよ?
それが大事な命で、失えば終わる。
だから大切な仲間を。
春香の場合ならば…
これから春香が愛する者。
大切だと思う者。
その者達が笑って側に…
居て欲しいからこそ強く。
皆が頑張るのだ。
亡き祖母の願いすら同じ事。
春香が『幸福』の中で笑う事を。
願ってるのだよ。」
「あの、優しい…
お婆ちゃんが?
今も?」
そこで腕が緩まって桂さんの顔が見えた。
私の涙を、また同じ様に拭って…
少し笑いながら言ってくる。
「あぁ、そうだ。
だから一人を祖母は望まない。
春香が笑ってない。
だから春香に『幸福』が来るように願ってる。
残したのは『物』ではない。
これは祖母が残したのは春香への『思い』だ。
そして、それが『本当の願い』だよ。」
どうにか私は僅かに言う。
「でも…
んなの簡単に壊れる。
桂さんだって危ねぇ。
今すら…
私は何を。
誰も信じねぇ方が…
苦しくねぇぐれぇしか…」
それでも桂さんは変わらず。
優しく笑って…
「大丈夫だ、春香。
すぐには誰でも無理なのだ。
だから、春香は、そのままで良い。
いつも私が言うだろう?
徐々にとだ。
まだ春香は知らないだけ…
判らないと言うならば、それが判るまで私が必ずだ。
今の様に何度でも、救い出す。
そして何度でも守る、助ける。
既に春香にも、言っただろう?
だから春香も…
いきなり私の前からだ。
居なくならないでおくれ?」
どうにか私は頷く。
「それに春香?
今もだよ?
皆も春香の為。
土方君も春香にと…
何か言ったのではないか?」
ただ、もう私は驚くだけ…
僅かにしか言えない。
「な、んで…
桂さんは知らねぇ筈。
それを。」
また桂さんが笑うのを私は見る。
そして言ってくる。
「春香には判るかもしれないが。
この場に居る、沖田君もだよ?
春香を、心配したからこそ。
新撰組の中でも守ろうとだ。
それは土方君も同じだよ?」
その時、驚く私にと少しだけ笑いながら…
沖田さんがだった。
「春香さん…
見てれば俺でも、判るんですよ?
俺は春香さんが…
泣くのは見たくないと。
土方さんも同じ事。
だから難しいなら、桂さんの言う通り。
徐々に…
春香さんが笑う事を俺すら願いますよ。」
でも私は、なぜか沖田さんが泣きそうなのに…
無理に笑ってる様にも見えた。
だから、そのまま私も言う。
「沖田さん?
どうして…
そんな顔を?
笑ってねぇだろ?
んな泣きそうな顔すら…
さっきとも違うし?
何に…」
少し沖田さんは驚いた顔もしたのを私も見るが。
今度は複雑な顔で判らなかった。
そんな沖田さんが言ってきた。
「俺が泣いてる、ですか?
もし俺が泣いてる様に…
春香さんがです。
見えたなら、そうですねぇ。
本当は桂さんの言葉を信じたいのに…
春香さんが泣いて、困ってる様に見える。
だから俺は、そんなに泣いてる春香さんを。
見てると悲しくなるんですよ。」
その言葉で咄嗟に私が涙を拭うが。
「良いじゃないですか?
桂さんも言ってるでしょう?
誰だって悲しい時、苦しい時。
泣くのが普通です。
それに、また気付いてない。」
急に沖田さんに言われて見るが。
前に似た様な笑顔で言ってきた。
「泣いてる春香さんは見たくないですが。
桂さんと居ると、きっと安心するからこそ。
自然に涙すらも出る。
自然に笑うのも出来るって事です。
俺も、その方が春香さんには…
充分、似合うと思いますよ?」
そして、また桂さんを見れば変わってなかった。
少し笑ってるのも判って、私も少し笑う。
「そうだよ、春香?
沖田君の言う通りだろう?
春香は、春香だと。
いつも言ってただろう?」
もう、その言葉に私は、ただ…
嬉しくなるばかりだった。
**************************
それから桂さんは沖田さんを僅かに見た。
沖田さんも複雑な顔で頷くだけなのを。
私は二人共に見てたのもある。
だから少し笑って沖田さんに言う。
「沖田さん!!
んな顔は似合わねぇぞ!!
いつもみたいにかぁ?
笑っとけよ?
一応なぁ?
土方さんにも私は言っといたぞ?」
明らかに沖田さんは驚く顔をしたのに気付いた。
そのまま言ってくる。
「え、春香さんが…
土方さんに?
それを?」
素直に私は頷きながら沖田さんにも言う。
「そうだぞ?
ちゃんと土方さんにもだが。
普段から笑えってかぁ?
あんな顔ばっかしてっとなぁ?
めっちゃ損だって言ったし?
まんま言うがなぁ。
いっつも、あんな顔だとなぁ?
未来じゃ新撰組は危険人物の集団ってなぁ!!
歴史に残っちまうぞぉってかぁ。
でも土方さんはマジで笑うと…
雰囲気すら違うし?
ありゃ…
土方さんにも言ったが。
実は過保護!?
んで器用貧乏でかぁ?
しかも意外に、お人好しだろ?
んな顔してっから余計にだってなぁ!!」
また凄く沖田さんは驚いた顔のまま無言になった。
それを見て私は笑う。
「あはははっ!!
沖田さんにも言えんぞ?
私みてぇなのにかよ!!
放置しとけっつったのに…
結局、何だぁ?
後、土方さんは…
子守担当でも、してたんかぁ?
かなり強引だったが。
新手の拷問かと思ったし?
勝手に人の口に食事とかなぁ?
どんだけだよ!!
桂さんすらしねぇから!?」
沖田さんは無言のまま…
でも桂さんは、どうにか耐える様子でだった。
「ふっ、はは…
なるほど。
春香の食事で…
今度は土方君が?
もう私すら想像すると…
どうしても…
ははは…
笑ってしまうが。
あの土方君がと思うと…
余計に耐えるのが難しい。」
そんな桂さんを見て沖田さんも…
急に爆笑し出した。
「あはははははっ!!
確かに?
春香さんは判り易いから…
俺すら見てましたが…
あれは、もう…
あの土方さんが…
完全に子守を。
あははははははっ!!
更に最初から?
もう笑うだけ!?
あの土方さんすら?
そう、驚いて?
無言を?
あははははは!!
思い出すだけで…
あんな土方さんは…
なかなか…
見られない…
しかも…
あんなに焦って?
あははははははははっ!!
これは絶対、春香さんぐらいでしょう?」
んん?
私ぐらいって、何だぁ?
沖田さんが爆笑してるのは私でも充分、判るが。
不思議に思ってると、いきなり抱き上げられた。
驚いて見れば桂さんも笑ってた。
「さて、春香?
このまま戻るよ?
私が移動した方が早い。
既に皆も待ってるだろうからね。」
そのまま桂さんは僅かに沖田さんを。
見て一言のみ。
「沖田君、この場は任せます。」
そして私は抱き上げられたまま移動を。
確かに早いのも判るが、また私は思う。
「だから…
勝手に決めんじゃねぇっての!!」
そう私が言っても桂さんは全く変わらなかった。
そのまま私は判らないまま…
桂さんに運ばれる状態だった。
**************************
一方、土方歳三。
坂本達に関して最初から逃す行動も一応してたが。
明らかな誘導にも気付く。
部隊長を含めての全力相手する中。
三人すら厳しい動きだと判断は出来た。
そこで僅かに春香を思い出す。
あんな未来へなど。
絶対させねぇ!!
もう仕方ねぇ…
やはり。
「斎藤!!
五番隊も含めてだぁ!!
一度、屯所へ戻って増援を呼べ!!
総司も含めた一番隊、全員なぁ!!」
「土方さん!?
待ってくれよ、今が好気だろ!?
実力じゃ負けるが、でも全員じゃ…」
「武田!!
今の狙いは三人じゃねぇ!!
一人のみ。
坂本龍馬だ!!
言いたかねぇが。
今だと逆に隊長以外…
足手纏いにしか、何ねぇんだよ!!」
「土方さん。
せめて俺だけ残るべきでは?」
僅かに察した様子も気付く。
だが、斎藤の場合。
「もう斎藤すらだろ?
完全に武市のみ。
翻弄されんだぞ。
岡田が邪魔してっから尚更だが。
しかも既に罠くせぇ。
今だと屯所は隙だらけになる。
更に罠なら余計なぁ。」
そこで斎藤が考える様子をしたのも見た。
追加で言う。
「もし誘導されてんなら逆に何かあんぞ?
だったら一番隊を呼べ。
そして斎藤と武田は屯所の変化を探れ。
この場では俺が動けねぇ!!」
二人共が頷き動いたのも見る。
残るは…
「藤堂!!
突っ走んない!!
罠くせぇって言ってんだろうが!!
八番隊は逆側から周れ!!」
「な、土方さん!?
いや、確かに出過ぎちまったが!?
俺まで裏手か!!」
「罠ならば逆へ動くのみ!!
目的までは判らねぇが。
俺と真逆側から、攻めろ。」
「そりゃ、でも土方さんが。
三人同時に…」
藤堂の意味が判って怒鳴る。
「罠が判らねぇって言ってんだろうがぁ!!
俺が見極めてからだ!!
仲間は死なせたかねぇ。」
「仲間は…
それぐれぇ俺だって判ってる!!」
八番隊の全員が動く事も見た。
残るのは俺と十番隊のみ。
「原田!!
俺が出る。
だが、十番隊全員を守りながら待機しろ。」
「な、何言ってんだよ、土方さん!!
土方さんでも…
三人同時は無茶だぞ!?」
慌てながら言った原田を睨んで叫んだ。
「これは副長命令だぁ!!
それと最初から狙いは坂本のみ!!
だから、もう先に俺が探る!!」
「また一人で…
了解…」
意味も判るが。
原田は複雑な顔もした。
でも指示通り十番隊、全員を。
連れて僅か離れた場所へ移動した事も見てた。
そのまま三人の前へと向かう。
近付けば岡田が明らかに警戒度すら高めたのは判るが。
だが、坂本だけは不思議な顔までしたのも見た。
それに坂本が俺を見てる事も判る。
離れた団員達には聞かれない為。
一応、俺も意図して声は小さくと溜息を出してから言う。
「坂本…
それと武市、岡田もだ。
今だけは逃す。
既に春香の事を。
知ってるな?」
明らかに三人共、驚いた顔になるのも見たが。
坂本からだった。
「土方さんや?
まさか…
わざとしちゅうのか!?
やけんど春香さんは…」
また溜息を出してから睨み付けるが。
すぐ春香の錯乱した姿も思い出す。
「チッ。
俺が見てらんねぇのもある。
流石に誰かまで判らねぇが。
今頃は屯所に春香を、だろ?
誘導な事も判った。
総司にも言ってあるから全く問題ねぇ…
だが、坂本まで動いたのなら尚更。
この時代では春香の場合。
また危険すらかよ…
そして坂本。
他も含めるが、いくら志が異なろうとだ。
明らかに間違ってる事も充分、判ってんな?
俺は一切、あんな事…
望んでねぇぞ。」
すぐ坂本も言ってきた。
「当然ぞ!!
ワシだって、そがな未来は望んじょらんのや!!
春香さんは悪うないのに。
やけんど、そがな春香さんを。
ワシだって見たきこそちや!!
あんなのは見たくないに決まっちゅうやろ!?」
その言葉を聞いて確信した。
あの『春香を見た』からこそ出した答え!!
少し俺も笑う。
「あぁ、それなら充分、構わねぇよ。
俺達、新撰組でも志は曲げねぇがな?
俺すら知ったからこそ余計にか?
更に言うなら、これは俺の独断。
だがな、俺達の目指す先。
あんな未来にだけは、したかねぇ…
あんだけ判り易いんだ。
俺すら僅かで充分だったが。
本来の歴史でも『今』は、坂本龍馬を。
捕まえる事が違うぐれぇ判る。
だからこそ、この場は逃すのみ。
そんでも次は…
判ってんだろうな?」
僅かに坂本が複雑な顔をしたのも俺は見てた。
「土方さん…
そがな危ない事を。
やけんど春香さんは悪うないろう?
土方さんもや。
そがな事は違っけんよ?」
僅かに考えるが。
仲間達も思い出すからこそ、また睨んで言う。
「一応、意味は判るがな、坂本。
俺は死んでった仲間達が残した事を。
簡単に言うんじゃねぇ…
生きてる俺は最後まで足掻くだけだ。」
ふと春香の言葉も思い出した。
どうしても俺は耐えられず。
少し笑いながら、そのまま言う。
「俺が足掻いて死んでもな。
今なら充分な気分にも、なったか。
春香自身は全く判らねぇくせに…
笑って俺にだ。
直接、言いやがった。
あれには…
もう流石に俺すら笑うしかねぇよ。
俺の事を。
春香は生きてる間と限定だったが。
新選組の副長、土方歳三を。
絶対、忘れねぇと。
更にだった。
もし元の時代、未来に戻ってだ。
史実で俺に関してなぁ。
馬鹿な事が残ってるぐれぇならか?
見つけた瞬間に修正してやると、だぞ?
その時、俺が…
どんな気分になったと思ってんだ?
しかも春香自身は、全く無自覚で。
まぁ、嘘も言わねぇ春香の場合。
都合の悪い事だけ沈黙、無言をするがな。
それすら判り易かったぞ?」
三人共に驚いたのを見た。
余計に笑いを耐える方が難しいが。
少し笑いながら続けて言う。
「春香は何も悪くねぇんだ。
だからこそ、あんな未来…
俺すら許せる筈ねぇんだよ。
既に薬も、文も含め用意して渡す様に言ってある。
あんな事を続ければなぁ。
己の命すら判らねぇに決まってんだよ。
だが、これも春香自身が言った。
俺が生きて、足掻いて、仲間の為に生きるなら…
春香もだと。
生きて、足掻いて、『幸福』を探すとなぁ?
だったら尚更、俺は一切、曲げねぇ。
限界まで足掻いて生きてやる。」
三人共が驚いた顔のままだが。
坂本だけ急に首を横に振る。
それから俺を見てから笑いながら言ってきた。
「こりゃ、土方さんも?
まっこと可愛い春香さんやき!?
仕方ないけんど?
土方さんも、やろう?
やけんどな…
土方さんには悪いがやけんど。
春香さんを更に思うて動いた者が居るがぜよ?
やき勝てんぞ?」
俺すら意味が判って、また大きな溜息をした。
「馬鹿が!!
俺は新撰組だぞ?
そんな私情は無用だ。
今回のみ!!
次からは容赦しねぇ…
後、罠って事にしてある。
岡田なら暗器も含め持ってんな?
それをしたら、すぐ去れ。」
そこで武市と岡田が、すぐ動いた。
目眩しの為、煙幕や炸裂音。
様々な方法で俺も察して僅かに避けるが。
その場から去るのも気配で判った。
やはり準備してたか。
好都合だな。
「土方さん!?
無事かよ!!」
「あぁ、やはり罠だったな。
今すら誤魔化してんだ。
事前に他も仕掛けてやがんぞ。
判らねぇ罠なら尚更だ。
一度、引くぞ。」
「な、でも…」
違う意味も込めて、また溜息を出した。
一応、原田を見てから言う。
「問題ねぇよ。
今日は既に変だからな。
坂本だけじゃねぇのが証拠だ。
三人同時、しかけてんだぞ?
俺らなら問題ねぇが。
他の団員まで巻き込まれたら堪らん。」
「クソッ!!
確かに三人同時じゃ…
土方さんを入れても隊長だけに…」
原田が悔しそうに言った意味も判る。
俺も同じ、絶対に仲間を。
犠牲だけは、したかねぇのも本当だ!!
それから全員、集めてから屯所へ。
戻りながらも考える。
恐らく時間なら問題ねぇ筈。
総司が上手く春香を、してんだろうが。
だが、あの坂本の様子…
武市や岡田まで含めて、春香の為。
だからこそ坂本すら含めて動きを。
変えた事は充分、判る。
それでも、だろ?
違う者が最初に春香を。
にも関わらず既に接触済みだと?
しかも誘導側だぁ?
なら誰だよ!?
何度、考えても判らなかった。
あの三人共ならば確かに実力もだがな。
これだと尚更、春香にか?
この時代で、一体…
最初の着物から身分も、かなりだろ?
あるぐれぇ判るのに?
もう俺すら全く判らねぇぞ!?
そんな事を考えながら屯所へ戻れば、すぐだった。
「土方さん!?
やっぱ、そうだった!!
もう既にだぁ!!」
真っ先に走りながら門まで武田が…
大きな声で来るのを見た。
何だ?
随分、慌ててる様子だな?
「この馬鹿野郎!!
既に何がだ!?」
すぐ言う間に目の前で、また…
「土方さんが言ってたろ!?
罠かもってなぁ!?
だから屯所へ俺達に戻れって…
でも俺らが戻った時には、もう!?
遅かったんだよ!!
既に侵入者が入ってたんだ!!
どうにか総司が一人で対処してたみてぇで…
だから全員は気絶程度で済んでたがな!?
もう、あんな数なら!?
いくら総司でも一人じゃ無理だろ?
そっちへ増援したくても駄目で…
そんで連絡すら遅く、すまねぇ…」
そう言って僅かに下を向いたが。
すぐ意味に判って動揺した。
な…
手薄にしてたが、気絶だと!?
総司じゃねぇだろ!?
しかも、それなら…
わざと手加減までして春香のみを。
しかも屯所内で!!
「待て、武田!?
増援に関しては、もう良い!!
それでもだ、今、言っただろ?
気絶のみでもだ!!
何人が、やられた!?」
すぐ気配にも気付いたが武田の後ろを見た。
「土方さん、28人でした。
巡回での場所すら全員が不特定で…
俺も一緒に屯所へ戻って来ましたが。
もう既に…
相手が潜伏してる可能性もあって一応。
捜索して今は居ません。
ですが、申し訳ありません。
全て土方さんの懸念通りでした…
恐らく坂本達は囮です。」
普段は冷静な斎藤すら下を向いて言った。
流石に俺すら驚きを隠せなった。
まさか…
気絶のみで殺さず、しかも28人もか!?
それ程に実力差が!?
いくら隊長でなくてもだろ!!
本来ならば、その人数が確実に死んでた筈。
想像した事で俺は怒りが僅かに出た。
「クソがぁ!!
そんなのは下手したら仲間を。
一気に28人も!?
俺の判断でか…」
驚きながらも原田と藤堂が、それぞれ…
慌てる様子で、すぐ言ってきたのも見たが。
「違うだろ!?
土方さんすら、いっつも危ねぇのを。
一人で仲間ばっかじゃねぇか!?
さっきだって真っ先に罠の確認へ!?
その為だけで一人、既に危なかったのにか!?
わざと皆は避けさせて…
結局、あれすら罠だったじゃねぇかよ!?」
「そうだぞ!!
土方さんが言ったから俺だって…
あの離れた時すらだろ?
真っ先に罠も疑って言ってきたじゃねぇか!!
怪しいって土方さんが気付いたから俺にまで逆へ。
いつも俺らより危ねぇ事は仲間よりも先に…
土方さんが、すんじゃねぇか!!」
そんな様子で言ってくる二人共に…
でも俺は首を横に振る。
違う事も浮かんで俺は大きく言う。
「そんな事は当然だろうがぁ!!
俺は仲間が死んでく姿すら見たくねぇ!!
何の為、副長してんだぁ!!」
僅かに春香の泣き叫んだ姿も思い出す。
「ふざけんじゃねぇ!!
ずっと俺達が守りながらでも…
必死に志すらも、だろ!?
その為、皆すらしてんのにかぁ!!
もっと俺も、だろうがぁ?
全く足りてねぇ!!」
「土方さん、俺らも…
もっと強くなる!!
土方さんも言ってんだ。
俺らだって、もっとに決まってる!!」
そこで武田の声で見ると悔しそうな顔だった。
どうにか俺も息を吐き出す。
周りに居る隊長すら同じ顔に気付く。
「悪りぃ、皆も充分、判ってんよ。
今のは、らしくねぇな。」
その時、春香に言われた事を。
思い出して少し笑って言った。
「心配すんじゃねぇよ?
俺は新選組の副長、『 土方歳三』だ!!
生きて、足掻いて、必死に皆の分すらなぁ。
生きてるからこそ絶対、忘れねぇんだ。
これから先すら俺が、だぞ?
絶対に変えてやる!!」
皆が驚きながらも俺を見て少し笑うのも見れた。
あぁ、仲間も大事だ。
それに、あんな未来も知った俺なら尚更だろ?
最善を探すのみ。
「一応、総司を俺の部屋へ呼べ。
皆も交代でだ。
すぐ仕掛けてこねぇだろうが。
いざって時に動けねぇなら意味ねぇぞ?」
言って、すぐ皆は頷いて動き出すのも見る。
そのまま歩いて自室へ戻る。
少しすると僅かな気配を察した。
普段通りに言う。
「総司か、入って良いぞ。」
「はい、土方さん。」
襖が開いて総司も素早く入って閉めると、すぐ周りへ。
気配を探る動きに違和感も感じ取る。
「総司、簡潔に言え。
相手は誰だ?
しかも既に俺も聞いた事。
実力すら相当、だろ?」
だが、総司は更に警戒度すら高めたのに気付く。
気配まで探る事も一切、止めず。
俺を見ると、そのまま近付いてきた。
「土方さん、今から一度しか言いません。
でも尚更、重要な事すらあります。」
その総司が見せた姿で俺も気配を探る。
すぐ誰も居ない事に目だけ総司に向けた。
頷いてから総司は目を閉じた。
そのまま言ってきた。
「春香さんを。
これは未来から、この時代に来た瞬間からです。
最初から常に守ってるのは…
桂小五郎です。」
完全に動揺すら隠せなかった。
余りの予想外でも、どうにか必死に考える。
何だとぉ!?
あの桂小五郎か!!
長州の…
しかも、この時代に来た瞬間からと!?
つまり、もし、そうなら…
ずっと春香の存在すら隠し続けてたのか!?
だからこそ坂本達は、既にか!?
確かに土佐の坂本ならば長州とも…
更に実力なら高杉晋作と桂小五郎だ!!
あの二人が群を抜いてる。
だが、もし長州なら尚更だろ!?
幕府どころでも?
しかも『朝敵』として他にも多いんだぞ?
最初、あの楠を斬ったのは原田だろ?
新撰組と名前が変わる前だが。
その後すら長州は…
どうにか必死で考える中で総司が目を開けた。
「俺すら、そうでした。
完全に予想外な者で迷った程。
ですが、そんな桂さんが土方さんへ。
伝言もあります。」
伝言だと!?
わざわざ、俺へと残してったのか!?
また冷静になる為…
息を吐き出してから俺は総司を見る。
一度、総司も頷くと…
「はい、ですが土方さん。
俺は見てたからこそ判りました。
恐らく、この時代では…
今の春香さんが一番、信頼してる者。
それは、あの桂小五郎のみ。
そんな桂さんすら土方さんへ。
残した伝言。
今から、そのままで言います。
『春香には私の全て厭わない』と。
『必ず私が、するのみだ』と。
この二つのみ。
俺ですら意味に気付きます。
桂さんと俺では僅かでしたが…
俺は二人の言動で気付きました。
明らかに桂さんは、春香さんへ教えながらも安心を。
けれど春香さんの場合、警戒しながらも徐々にと。
そして桂さんは充分、春香さんを判ってるからこそです。
春香さんへは傷すら一切、付けない為にする言動のみ。
例え春香さんが無自覚でも、この時代ならば…
絶対に桂さんでしょう。」
総司の言った言葉もだが。
更に、その目で意味も充分、判った。
小さな溜息を出してから目を閉じた。
そのままで言う。
「なるほど。
理解してるからの動きを。
春香の場合、すぐには不可能だからな…
だが、明らかな問題すら多過ぎるぞ?
既に坂本達が動いてるのも俺は知った。
だったら、また土佐と長州、だろ?
場合によっては、更に…」
「土方さん。
もう一つ、俺からあります。
どうしても、これは調べる必要があると…
俺は確信してます。」
すぐ目を開けて総司を見た。
明らかに俺の言葉すら遮る様に言った総司だったが。
普段とも全く違う目も、声すら判る。
これは…
俺は冷静に考えながらも総司を見て言う。
「何かに、気付いたのか?」
そんな総司が普段とも全く違う目のまま…
「はい、俺は気付けた事ですが。
春香さんは気付いてません。
ですが俺には判ったこそ、です。」
意味に気付いた。
だから一切、聞き逃さないで総司を見てると…
総司すら視線も逸らさない。
「先に俺が春香さんから聞いた事を。
そのまま言いますよ?
『何の為に新撰組が、あんだよ』と。
『完全に治安維持どころじゃねぇ上に』と。
『ただ幕府から良い様に使われてるだけじゃねぇか』と。
あの春香さんは完全に気付いてませんが。
怒鳴って俺へと言った言葉です。
ならば嘘など…
土方さんにも判る筈です!!
絶対ないでしょう!?」
一瞬、信じられない気分にもなるが。
すぐ判る事だった。
あの春香は一切…
嘘を言わん!!
「それを本当に春香が言ったんだな!?
だったら、もう幕府が確実に黒だろうがぁ!!
春香は嘘だけ絶対、言わねぇ…
しかも怒鳴っただと?
つまり感情的になって言ったからこそ。
無自覚に言った言葉だろ。
だが、それを言うならば…
最初もか?
総司も居た筈だぞ。」
すぐ最初に春香の言った言動を思い出す。
総司も考える様子をした。
目を閉じて、そのまま思い出しながら言う。
「確か、真っ先に俺が聞いた質問だな?
すぐ春香は焦り出したが…
あの時すら…
『それをした結果を何も考えねぇ』と?
『もう単純に利用されてんじゃねぇかよ』とか?
そこで俺も聞いた…
『既に嘘も幕府がしてるからの事で』と。
そして口を塞いだ。
無自覚で言った事と当て嵌まる!!
もう俺と総司すら春香を知ってるんだ。
なら、もう…」
目を開けた。
もう単純に怒りが湧く。
「クソが!!
初めて会った時と全く同じだろ!?
つまり既に幕府が嘘を!!
そして新撰組を良い様に利用してるか!!」
そこで改めて総司を見る。
総司の普段と違う理由、これか!?
だが、まだ…
「総司、これは…
もう調べる上で全ての洗い出しだぁ…
だが、その前にか?
俺は春香の最後。
その言葉すら直には聞いてねぇ。
そして総司が嘘を言う意味も全くねぇ。
充分、判ってる事。
もしかしての可能性…
他にもある可能性だな。
総司が気付いてなくても良いが。
その時。
春香が言ってた事でか?
まぁ…
あの春香が怒鳴って言ったらしいから…
どんなに想像しても、これは…
総司が、か?
何か言ったから、だろ?」
すぐ怒鳴ってる春香は想像も簡単だったが。
流石に内容までは全く判らなかった。
だが、すぐ総司が複雑な顔になったのを俺も見た。
思わず頷きながら言う。
「いや、多分な?
総司に怒鳴った時点で…
まぁ、思い出したくねぇだろうが。」
そんな総司は、さっきともだった。
また違う微妙な顔になったのも見るが目を閉じた。
そのまま言ってきたが。
「土方さん?
俺は…
春香さんの言葉に、です。
全く言い返せませんでしたが…
これは、もう…
完全に土方さんが!!
原因でしょう?」
いきなり俺の名が出て驚く。
もう、そのまま言う。
「ちょっと待て、総司?
俺が、かよ!?
春香が俺にか?
また、何がだ!?」
総司は目を開けた。
だが、複雑な顔のまま言ってきた。
「土方さん…
本当に、そんな事を言ってます?
もう俺は何も言えませんでしたからね?
かなり衝撃的でした。
俺が気付いて、すぐ聞こうと思いましたが…
恐らく桂さんに触れて、でしょう。
俺は完全に睨まれて?
更に何も言えず。
春香さんに怒鳴られるのみ!!
土方さんがした事。
桂さんがした事。
それを、です!!」
俺がした事だぁ!?
しかも桂小五郎の時。
つまり最初に、した事でかよ?
更に春香が、完全に総司を睨んで?
思い出しながら総司を、また見てると…
総司は何も言わず、また目を閉じた。
そのまま俺も見てると、いきなり声真似まで…
「そのまま土方さんへ。
『私にすら最初っから…
ずっとだったのにかぁ!!
何も判んねぇ私に…
すぐ話し合いたいと言ってきた!!
すぐ自分から名乗ってきた!!
すぐ動き出した私すら止めてきた!!
すぐ危ないから駄目だと言ってきた!!
すぐ安全な場所へとも言ってきた!!
すぐ理解は出来なくもと私へ接してきた!!
そうやって何も判んねぇ私へと。
してきたのに…
新撰組は、どうだったんだよ!?
すぐ疑ってきた!!
すぐ名乗りもしねぇ!!
すぐ異国者だと決め付けた!!
更に、じゃねぇかぁ!!
すぐ私を気絶させてかよ?
すぐ拷問部屋みてぇな場所へかぁ?
すぐ尋問し出しただろうがぁ!!
何も判んねぇ私へと。
完全に真っ先にとだぞ?
攻撃してきたくせにかよ!?
私には途中から急に変わった事の方が…
今でも全く判んねぇぞ?』
はぁ…
以上です。
土方さん?
何か反論、出来ますか?」
そう言うと総司が微妙な顔で俺を。
明らかに見てるのも判ったが…
確かに、もう俺すら何も言えなかった。
そのまま総司を見ながら思い出す。
それは確かに…
俺が、か?
した、よな?
つまり桂小五郎の場合は…
春香より真っ先に名乗って?
攻撃すら一切せず…
話し合いを春香へ申し出てか?
更に安全な場所へ。
そして俺の時、かぁ!?
確かに名乗ったのも、総司からで…
しかも気絶させたのも、俺か!?
そのまま、気絶してる春香を屯所へ。
反論の余地すら無い俺は首を横に振る。
何も言わず総司を少し見て考えるが。
複雑な顔で、更に言ってきた。
「土方さん?
俺が何も言えない理由が、判りましたか?
しかも、ですよ?
『比べる価値すらねぇ!!』と?
そこまで言われましたが?
最初は俺でも、ない上に…
名乗ったのも、俺から!!
ですからね?
春香さんに嘘も言えない俺は、もう…
謝罪しか言えません!!」
「そ、それは…」
ふと俺も春香を思い出した。
だから総司から視線を逸らす。
そのまま沈黙、無言を。
「土方さん!!
それすら春香さんの、でしょう!?
わざと視線まで今、逸らしましたが?」
そして俺は目も閉じた。
一応、考える。
春香は己を螺子だの言うがなぁ。
もう、これは…
螺子どころじゃねぇぞぉ。
既に、土佐の坂本連中?
側に居るのは、長州の高杉と桂だろ?
更に新撰組の俺と総司、もし…
ここで薩摩が出たら…
とんでもない事に、なるだろ!?
だが、それよりも先に幕府の嘘…
確実にある筈。
俺達、新撰組を利用だぁ!?
そんな事は許せねぇ…
どうにか探るしかねぇが、方法は…
そのままで総司が色々、言いながら動いたが。
俺は目を閉じたまま、沈黙、無言を。
選びながらも全く違う事をだった。
考え続けてながらも…
常に避けるのみをした。
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