メンタル病んでる事は判るが、歴史までは判らねぇよ!!

蒼真 空澄(ソウマ アスミ)

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第一章:深い闇からも必ず。

04.時代が変わっても、変わらない事すらある。

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私は今、高杉さんと部屋に二人だが…
既に興味津々でと、もう私の持ち物をだった。

漁りながら楽しそうな様子の高杉さんを見て思う。

こりゃ、確かに?
あの桂さんが言った意味なぁ…
スゲェ納得すんぞぉ?

一応かぁ?
多分…
歴史には…
大丈夫だよなぁ!?
マジで私は判んねぇよ!?

「春香!?
この不思議な板は何だ?
さっきの電話より大きいだろ!!」

凄く嬉しそうに笑いながら言ってくる高杉さんを。
私も見てから判り易くは考えて答える。

「そりゃ、iPadだなぁ。
使い方でもかぁ?
んなの多過ぎるが。
私の場合は、まぁ…
簡単に言うならノート代わりにかぁ?
高杉さんに例えんなら…
紙と筆に何の?
人によって使い方も違うし?
他にも使い方が多過ぎっから判らん。」

高杉さんが凄く驚いた顔になった。
私すら判り易い程に、もう…

「何だと!?
これが紙の代わりになるのか!?
さっきも聞いたが、あの電話にも…
同じ事は出来ただろ?」

頷きながらも私は目を閉じた。
一応どうにか説明も考えながら言う。

「あぁ…
同じ事も出来んよ?
でも、まぁ…
私の場合は理由も簡単かぁ?
さっき高杉さんが見てたiPhoneは…
主に電話や連絡と言ったがなぁ?
その二つは同期も、させてんだ。
だからiPhoneで書いた事も。
今の高杉さんが持ってるiPadで書いた事も。
常に同じ様にと表示されんの。
そうしてりゃ、わざわざ?
同じ文章を書く手間すらねぇだろ?」

「同期も、させてると?
ならば…
さっきの電話にとか!?
あれで記載した事が、この板にもか?
つまり…
同じ文字が複写されるのか!?」

そのままで私も頷きながら言う。

「高杉さんが正解だなぁ?
でも複写すんのは文字に限らねぇよ。
全て可能だ。
大体、同じ事を?
二度も書く必要すらねぇし?
そんなん時間の無駄にしか何ねぇだろ?」

「文字以外の全てだと!?
ならば、春香が…
あの電話でもか!?
連絡以外に使ってるのだろう?
そして文字すら書いた事も…
その書いた事すら、この板へと。
同じ様にだろう!?
そうなるならば…
確かに春香の言う通りか!!
凄く効率的だな!!」

言ってから私は目を開けた。
高杉さんはiPhoneとiPadを、それぞれ持ちながらだった。
見比べてる様子も判って僅かに考える。

言葉より…
これは…

私は少し動いて高杉さんへ近付いてから簡単に言う。

「一度その両方を返してくれるかぁ?」

そんな高杉さんもだった。
不思議そうな顔になっても無言で私に渡してくる。

すぐ私はiPadに電源を入れた。
それからメモ帳へ文字を書いて高杉さんに見せる。

一応、私は高杉さんが読んだ様子も確認した。
また私は何も書いてない方…
iPhoneからメモ帳の画面も見せる。

「な、何だと!?
今の僅かで複写も!!」

同じ事が表示されてる事は私に充分、判るが。
それを見た高杉さんは…
また凄く興奮した様子になる以上でだった。

まさに、もう夢中に見えるぐらいでと…
すぐ高杉さんが興味津々になる姿を私も見てた。

そんな高杉さんはiPadを操作し出したのも…
私は見ながら桂さんを思い出す。

あの桂さんがした心配そうな顔…
更に去る前、私へ言った言葉を。

そう…
食事に使ってた部屋から出る前。
すぐ桂さんが私を向いた。
不思議に思って見てると…

「これから私は少し来客で春香から…
離れなければ、ならないのだが。
それ程、時間もかからない。
そして春香?
良く聞くんだよ?
晋作ならば大丈夫だと一応、思うがな?
それでも私は心配だ。
この馬鹿は、すぐ興味本位で凄く無作法。
更に我儘で極まりない。
嫌な時は素直に言わないと全く判らないのだ。
だから、そう言う時にも春香?
そのまま素直に言うんだよ?
晋作は言わねば全く判らない馬鹿でもある!!
それでも駄目ならば…」

「小五郎!!
誰が無作法の我儘だ!?
良いから早く客の方へ行け。
春香は俺とで大丈夫だぞ!!」

そんな事を言いながら桂さんは…
本当に心配そうな顔でとだった。

部屋から出て行くのも一応、やり取りも全部…
私は見てたし、聞いても居たのだが。
だから余計に今の高杉さんを見ながら思うばかり。

桂さんは…
スゲェなぁ、おい!?
こりゃ、確かになぁ?

我儘と言うか…
何だぁ?
新しい事っつうのかぁ?
もう好きな事のみ!!
一直線みてぇな感覚かぁ?

でも桂さんは、それすらかよ!?
歴史は私も全く詳しくねぇがなぁ…
二人は真逆にも見えんぞぉ!?

私は夢中になってる様子の高杉さんを見る。

まぁ…
こんな高杉さんすら、あの桂さんと同じぐれぇ…

強い事なら私でも充分、判る!!
私よりもだ!!

それなのにかぁ!?

もう私は、そのまま庭っぽいへ視線を移して言う。

「高杉さんは遊んでてくれなぁ?
私は…
もっとだ。」

「春香?
急にだが、何に…」

高杉さんの声は聞こえてたが、すぐ私は動いた。

「春香!?
どこへ、それに何を!?」

**************************

素足のまま私は広い庭っぽい場所で立ち止まる。
そのまま私は集中する為、目を閉じた。

もっとだろ?
私は強くならねぇと…
駄目だ!!
何が我流だ!!

確かに今の私程度でもクズ共には負けねぇが。
それでもだろ!?
勝てねぇ上にかぁ!?

更に何も判んねぇだと?

そんなんで…
自分の身すら守れる筈もねぇ!!

私は誰も信じねぇ…
今更、生きる意味すら判んねぇのも。
何も変わらねぇ…

それでも私は誰にも頼らねぇ為に!!
一人を選ぶのみ!!

だったら、もっとだろ?
私は強くならねぇと駄目だな…

深呼吸もして、そのまま私は思い出す。

騒つく様な感覚すら抑えて冷静に…

ふと桂さんの言葉も浮かぶ。
『最初から強い者など居ない』と。

確かに間違えてねぇ…
そんでも私は!!

だからこそ私は目を閉じた。
そのままでと私は桂さんの最初も思い出す。

あれは…
剣道とも似てるが足捌きすら違うかぁ?

摺り足なのに早いのもあるが…
私は思い出しながら真似る動きを。

すぐ、しながらも更に桂さんの動きを!!

全て思い出そうとして僅かに私は気付いた。

そうか!!
私は相手の流れを!!
その為に目を閉じたせいだろ!!

だから余計にかぁ!?

相手の動きすら見てなかったが…
あの時か?
私が目を閉じた時点で桂さんは変えたのかぁ!?

それでも、あの早さで!?
だったら少し前に見たが…

今度は高杉さんの動きを!!
私は見てただろ!?

すぐ私は高杉さんの動きを真似た。
でも、これは…
高杉さんが、桂さんにした事とも似てる!?

ただ、力のみじゃねぇ…
身体の…

これは、そうか!!
『形』すら、全て…
ねぇのかぁ!?

だからこそ自然に動かしながらも、あの動き…
更に、あの早さだろ!?

私は目を開けた。
なぜか苛立ちが湧いて思わず叫んだ。

「こんなんじゃ、全て違うじゃねぇかぁ!!
下手に形があれば、全てが逆だぁ!!」

もう、これは剣道だけじゃねぇ…
他の私が習得した武術には全てにだ。
形も多いが、全てが無意味にもなるだけに!!

でも私の場合、更にだろ!?
形もある中で我流へ。
だからこそ、無駄な動作すら多い事に!!

「チッ。
だったら…」

また私は目を閉じた。
そして桂さんの動きを、高杉さんの動きを思い出す。
そのまま真似る為に集中して動こうとした時。

「待つんだ、春香!!
その動きは小五郎の!?
更にだろう!?
俺の柳生新陰流にも似た動きを!!」

大きな高杉さんの声に私も、そのままで言う。

「そう…
これは桂さんの動きを。
でも私は全ては見てなかった。
だったら見てた高杉さんの動きを。
そんだけじゃねぇなぁ…
まだ違うぐれぇ判るが。
これは…」

そこまで言った私をだった。
腕も掴まれた事は判る。
だから私は、すぐ目を開ける。

高杉さんが慌てて言ってきた。

「なぜだ!?
急に春香が、また…
それに真似るだけでは…
心得すら一切ない!!」

私は驚いて高杉さんを見ると少し目すら変わった。
そのまま…

「そんな剣術はだ!!
春香の居た未来の事は判らん!!
だが…
この時代では、ただ人を殺めようとする技のみ!!
春香は人を殺めたいのか!!」

もう、その言葉に私は動揺しかなかった。

私が人を!?
殺す為にして…

「違う!!
私は!!」

「ならば春香が学ぶ事は違うだろうがぁ!!」

私の声すら遮って高杉さんが怒鳴った。
それに何も言えなくて目を閉じて叫んだ。

「だったら何をだぁ!!
判んねぇのにかぁ!!
んな事すら駄目なら私は…
もう生きてたくもねぇ!!」

すぐ高杉さんの腕を振り払おうとしても…
私には出来なかった。
もう思い出すだけでもなかった。
だから必死に暴れて叫ぶ。

「私に触れんなぁ!!
誰も近付くんじゃねぇ!!
何もしてねぇのにかぁ!!
もう嫌だぁ!!
何でだ!?
私は強くならないと!?
また!?
あんなんに、なるぐれぇなら…
死んだ方が!?」

「春香ぁ!!」

その時。
桂さんの大きな声が聞こえて私は目を開けた。
少し離れた場所に桂さんが既に複雑な顔で居た。

でも、その場から動かないで桂さんは大きな声で…

「落ち着くんだ、春香!!
私は春香を傷付けない!!
そして痛くもさせない!!」

言ってからも僅かに首を横に振ってから更にだった。

「春香が痛いならば、私が防ぐのみ!!
そして春香は何も悪くもないとだ!!
それなのに…
なぜ…
春香が死ぬ方を選ぶのだ!!
既に間違ってるだろう!?」

私は判らなくて動けなかった。

でも…
既に間違ってる?
私が?

そう思いながら見てると桂さんが私に近付いてきた。
すぐ動きたくても見てる事しか出来なくて、また目を閉じた。

「春香、私は傷付けない。
もう痛くもだ。
私は絶対に、したくない。
まだ信じて貰えなくても良いが…
それでもだ。
死んだ方が良いなど、春香も…
言わないでくれないか?」

どうにか私も目を開けて桂さんを見た。
でも複雑な顔で判らなかった。

もう私は黙って下を向いた。
高杉さんの腕が離れたのも判る。

そして、すぐだった。

「晋作…
私が心配してたのに、またか!!
どれだけ馬鹿をする気だ!!
こんな事になるのであれば…
一切、任せられる筈もない!!」

怒鳴り声と同時。
すぐに私は桂さんに引き寄せられた。
驚いて見ると、あの桂さんが…
完全に怒ってるのが判るぐらいに…

「晋作も判って居た筈だぞ!?
既に春香がした言動のみで可能な事を!!
にも関わらず…」

「そ、それは、小五郎?
判ってるが、だが、急に…
俺と小五郎の動きすら、習得しようとか?
どうにか止める為に…」

その声すら普段とは違う感じで私は高杉さんを見ると。
明らかに慌ててる様子で…
更に複雑な顔もしながらだった。

でも…

「やはり馬鹿だろう!?
晋作の事だ!!
春香の持ってる荷物にか!?
そんな状況ならば春香からすれば、どうなる?
全く楽しい筈も、ない!!
春香にも言ってたが…
そんな退屈な時間であれば尚更だろう!?」

桂さんの怒鳴り声で高杉さんも私を見た。

「すまなかった、春香?
俺ばかり、だったな…
初めて見る物ばかりで、俺がか?
その、次は遊びを。」

もう、私は二人の…
しかも、そんな高杉さんの様子に笑う。

「あははははは!!
高杉さんが…
もう…
そうなぁ?
ずっとかぁ?
驚いてばっか!!
更に興味津々でと…
しかも桂さんにかぁ?
こりゃ、何て言うんだぁ?
あははははは!!
あれだろ?
えっと…
尻に敷かれるだったかぁ?
判んねぇが…
あはははははっ!!
マジでウケるぞ、おい!!」

高杉さんが凄く驚いた顔で大きく言った。

「それだけは、ない!!
春香!?
それだけは完全に間違ってるぞ!?
いや、その言葉をか!?
本当に意味も知って言ってるのか!?」

んん?
本当の意味?

私も考えるが…
ハッキリとした意味が浮かばない。
首を傾げて高杉さんに言う。

「えっと…
多分かぁ?
雰囲気しか私も判んねぇが。
あれだろ?
奥さんに意見も出来ねぇ?
そんな感じの男かぁ?」

また高杉さんが驚きながらだった。

「な…
俺は違うぞ!?
春香が俺にとか!?
しかも俺が、小五郎に!!」

「あはははは!!
だって、もう…
最初から桂さんのかぁ?
言う通りでなぁ?
スゲェ納得したぞぉ!!」

私が笑ってると桂さんの声が聞こえた。

「ふっ…
これは、もう…
私すら…
傑作だろう?
晋作が?
ははは…」

すぐ私は桂さんも見ると…
もう我慢すら出来ない様子で笑ってた。
まさに耐える感じで初めて見る顔にも気付いた。

「おい、ちょっと待て、小五郎!!
俺がか!?
春香には、すぐ否定しろ!?」

「ははは…
すまんが、それは…
無理そうだぞ、晋作?
もう私すら…
ははっ。
我慢、出来ん。」

また私は不思議な感覚も?
するが良く判らない。

でもなぁ…
こりゃ、桂さんが多分?
いつもだろ?

私が力で勝てねぇのも判るし?
更になら…
どうすっかなぁ、おい?

少しすると桂さんは普段通りの口調で言った。

「晋作には任せられん。
もう客すら春香を気にしてたからな。
私が連れて行く。」

またの急展開に私は目を閉じた。

「だから…
また勝手に決めんじゃねぇ!!」

そのまま大きく言う私すらもだった。

**************************

結局、私は桂さんに着いて行くのだが。
こんな広過ぎる家ってか平屋だがなぁ。

もう私は知らねぇから余計かぁ?
寝てた部屋すら場所が判んねぇし?
どうなってんじゃ…

桂さんが開けた襖の部屋に二人の男性が座ってるのに…
私が気付くと同時。

「春香さんや!!
ワシじゃき!!
じゃが…
桂さんや?
そん姿も目立つんが…」

おぉ、坂本さんかぁ?
もう一人は微妙な顔だが…
まぁ、どうでも良いかぁ。

でも坂本さんの意味なら私も判って笑って言う。

「んだよ!!
客って坂本さんだったのかぁ?
この服は簡単だぞぉ!!
私は着物の着方も知らん!!
だからでもだったが…
でもなぁ…
桂さんがかぁ?
もうスゲェ慌ててたぞ!!
どうにか着せてくれた感じかぁ?」

そう言うと坂本さんも、一緒に居た男性まで…
二人が驚いた顔をしたのも私は見る。

更に坂本さんに関しては、もっとだった。

「何じゃと!?
春香さん、本当かや!!
桂さん!?
しかも着せて貰ったじゃとぉ!!
ちょっ…
な、桂さんや!?
手が早過ぎじゃき!!」

「坂本君!!
それは違うとだ。
私は先に言う事でもある!!
そんな無責任な事も、しない!!」

明らかに慌てて、すぐ言った桂さんも私も見たが…

んん?
今度は、どしたぁ?

「じゃが、桂さん?
春香さんすらじゃぞ?
桂さんすら…
さっきまで、じゃろ!?
それでとかや?」

「既に誤解だと言っているだろう!?
もう朝に私が…
坂本君にすら判らん!!」

座ってた坂本さんが、すぐ私に少し近付くと言ってきた。

「春香さんや?
正直にじゃ…
言っても問題なか。
もうワシすら春香さんが心配じゃよ?
桂さんにじゃが…
夜は、無事かの?」

どうにか私も考える。

あぁ!?
夜って、そう言う事でかぁ?

もう私も笑う。

「あははははっ!!
坂本さん、大丈夫だよ!!
桂さんは、んな事してねぇよ?
それよりもかぁ?
どっちかって言うとなぁ!!
過保護な感じだぞ!!
でも、まぁ…
高杉さんのかぁ?
桂さんの違う苦労は私でも?
そうなぁ!!
少し程度は判んのかぁ?
ありゃ、桂さんも大変だろ!!」

坂本さんは安心した様子で笑った。
ついでに言うなら桂さんは首を横に振って目を閉じた。
そのまま言うのも私は見てた。

「坂本君?
もう誤解すら、ないだろう?
既に話よりもか。
晋作には一切!!
任せられないのだよ。」

「そかそか、ならば良いがの!!
そうじゃ、ワシの連れじゃが…」

ずっと様子見してた感じの男性がスッと立つと。
私を不思議そうに見ながら言ってきた。

「既に龍馬や桂さんから話も聞いて居る。
私の名は『武市半平太たけちはんぺいた』と言う。
龍馬からも貴方がと。
未来からだと聞いたのだが…」

武市半平太たけちはんぺいた』?
どっかで聞いたかぁ?
サッパリ判んねぇが…
でも、あの坂本龍馬と一緒だぞ?

かなり、それは…
またかぁ?
私は知らんが?

「武市さんと?
えっと?
未来からでもなぁ?
そこんとこは、私すら判んねぇが…
名前なら『藤野春香ふじのはるか』だよ。
でも…」

僅かに私は武市さんの目に気付く。

こりゃ…
違うよなぁ?

桂さんや坂本さんとも明らかだ!!

この人は…

「名前すら珍しいが、その苗字も聞かないか。
だが、春香さんの話は龍馬からも聞いて居る。
更に桂さんからもだが…」

すぐ私は完全に警戒対象にした。
だから少し睨んで何も言わなかった。
そして距離だけはと、確認して僅かに動く。

坂本さんが不思議そうな顔で私を見たのも気付くが。
視線は外さないで警戒を上げる。

「春香さん?
武市は無害じゃけん。
どぎゃんして…」

すぐ桂さんも動いて私を側に引き寄せたが…
でも私は一切、桂さんは見ずに武市さんのみを警戒する。

「春香?
どうしたのだ?
急に…」

私は僅かに桂さんへ言う。

「当たり前だぁ…
あの目は違うだろ?
今すら信じても居ねぇよ…
んなの危険人物だろ?」

武市さんが僅かに表情を変えたのも見てた。
冷静に私も判断してから言う。

「今は一応かぁ?
この場には桂さんも、坂本さんも居る。
だから動かねぇ…
そんだけ!!
だろうがぁ?
私も絶対、あの人は信じねぇ…」

三人共に驚いたが、それでも私の警戒対象は一人のみ…
その武市さんが考える様子もした。

「確かに私は未来からなど…
信じられないが。
明らかに珍妙な姿であっても言葉は判る。
ならば…
先に対話をしたい。
だが、先に一つだけ答えてくれないか?」

対話だぁ?
明らかに信じてねぇ筈だがなぁ?

でも私は俊介と桂さんを思い出しながら言う。

「何だ?」

「未来から来たのであれば…
歴史を知ってる筈だろう?
だが、内容を言えない事もだ。
私すら理解して居る。
ならば、どのぐらい先の未来からきた?」

「んん?
どのくらいだぁ?
えっと…
日本史は嫌いだから、すぐ出ねぇが。
でも、ここが江戸時代なら…」

おい、こらぁ!!
いきなり日本史ってかぁ!?
私は歴史が大嫌いだっつぅの!!

そんでも確か…

「テストすら忘れてぇのに?
ここで問題かよ!?
江戸時代って事は…
めっちゃ長いし?
将軍だの居る時代だろ?
始まった時代からかぁ?
それとも終わった時代からかぁ?
そんでも違うだろ?
まぁ…
どっちでも私には関係ねぇが。
簡単にだと…
約160年程度かぁ?
始まったのも…
確か徳川だった気も、すっけど…
あんな似た様な名前ばっか!?
ちっとは考えろっての!!
そんだけなぁ?
もう間違え易いってだけなぁ!!
日本史とか一番、嫌いだったぞ!?」

武市さんが凄く驚いた顔になったのを見た。
でも急に笑い出した。

「徳川の…
ふっ、これは…
確かに?
はははは…
将軍の名前だけならば、そうなるか?
なるほど。
ははは、面白い!!
いや、すまなかった。
疑って悪かったと私から非礼を詫びよう。
春香さん。
だが、気付いてない様子にも…
はははははっ!!
もう…」

そう言うと目すら変わるのを私も見た。

んん?
急に変わったが?
何じゃい、おい!?

更に桂さんも、坂本さんも驚いた顔で言った事を。
私も聞いてた。

「春香さん?
そりゃ…
学舎みたいなもんかのぉ?
じゃが…
終わりすらを!?
こりゃあ、凄いぜよ!!」

「なっ、今、春香!?
苦手な事も判ったが…
時代だけでもなく、普通に言ったな?
幕府の終わりを!?」

二人の言葉で私は失言に、ようやく気付いた。

あぁ!!
そうだよ!?

あれじゃ…
江戸時代が終わる事を!?

私がかぁ!?

しかも重要人物っぽい人達の中で!!
これは言ったら…
普通にヤベェだろ!?

どうにか私も言葉を探して言う。

「ちょ、待ったぁ!!
今のは無し!?
いや、でも…
んん!?
これは…
いきなり質問だったし?
えぇ、しかも…」

もう私は何も言えないと判断した。
両手で自分自身の口を塞いで、ついでに目も閉じる。

「ははは…
判り易いだろう、春香さん?
だが、私から歴史の詳細を聞いたりもしない。
だから、もう気にしないでくれないか?」

武市さんの声が聞こえても私は無言を。

「素直で、えぇ子じゃのぉ!!
春香さんや?
もう大丈夫じゃ!!
気にせんと!!」

坂本さんの声にも私は、ひたすら無言を。

「あぁ、そうだろう?
本当に最初からだろうな。
もう驚くばかりでも…
ははは、でも春香?
今のを失言に思う事すら、ないだろう?
どんな時代だろうと、同じだ。
過去を振り返れば、必ずだろう?
どの時代すら終わりはあるのだから…
そして内容も私達は聞いてない。
ならば歴史すら問題にならないよ?」

桂さんの言葉を聞いて私も考える。

んん?
どの時代も終わりが?
更に内容は確かに…

桂さんの声に私は目だけを開けて見ると少し笑ってた。
どうにか頷く程度にしても無言を。

そのまま桂さんは笑って言ってきた。

「既に詳しい内容の話も終わってる。
だが、坂本君がな。
どうしても春香に会いたいと。
それもあって呼びに言ったら…
晋作の馬鹿にも気付けた程だ。
そして春香が傷付かなくて、私も安心している。
だから気にしなくて大丈夫だよ。」

一応、私も考える。

確かに内容が判んねぇなら…
影響は、ねぇと?

「でも、桂さん?
やっぱ…」

どうにか私は言ってからも考える。

この時代に長く居るのは…
でも帰り方もだろ?
どうすりゃ…
所詮、私は…

首を横に振って私は目を閉じて大きく言う。

「それでも…
全部が駄目だろ!?
私が居るべきじゃねぇ!!
ただの異物でしかねぇんだぞ?
一人でも、どうにかすっから桂さんはだ!!
いや、この場、全員にも…
何も良くねぇだけだろうがぁ!!
帰れなくても、ここに私が居たら…
もし何かあったら、どうすんだぁ!!
全てが変わる場合すらだろうがぁ!!
気付いてねぇのかぁ?
私は絶対に、嫌だぞ…
少なくても私が居る事でかぁ?
もっと最悪に…
そうしたら、もう知ってる人間だけじゃねぇ!!
この国に限らねぇだろうがぁ!!
たかが国の一つでも済まねぇって事も…
あんだぞ!!
どんだけ世界に人間が多いと思ってんだぁ!!
私みてぇな、ちっぽけな螺子程度が…
んなの本来なら要らねぇんだぁ!!
それなのにかぁ?
僅かでも…
もし世界の歯車が狂ったら…
もう、この国に限らねぇだろうがぁ!!」

すぐ私は動いた。

せめて早くだ!!
それだけを思って動いても、また桂さんも動いた。

**************************

私も気付く、さっきの感覚を思い出す。
形すらない様、動いて僅かに避ける。

「春香!?
待つんだ、まだ!!
それに今の動きは…」

桂さんから避けれた私が走ろうとした時。
急に目の前に武市さんが立った。

なっ!?

「春香さん…
素晴らしい動きだがな?
今の京都では危険なだけ…
二人から事情も僅かに聞いてる事。
この場に居るべきだろう?」

笑いながら武市さんが私に言ってきた。
もう動揺しかない。

「馬鹿言ってんじゃねぇ!!
私のせいで全部が狂ったら…
どうすんだぁ!!」

叫んでから、すぐ私は廊下の壁すら使って跳躍する。
僅かな隙を抜けようとしたが。
そこで武市さんが初めて見る動きをした。

瞬時に私も判断するが、これは…
足捌きでも、ないだろ!?
剣術よりもか、格闘系の動きかぁ!?
でも、こんなん壁だけじゃねぇ…
見えねぇのが僅かにだぁ?
って事は、でも何の武器を使ってやがる!?

私も武器は持ってなくても今度は高杉さんの動きを。
真似て自然に流れる様、素早く動いた。

でも武市さんは更に複雑な動きを。
私には全く判らなかった。

一体、何を応用してんだよ!?
しかも早いだけじゃねぇぞ!!

動きすら私をだ…
しかも、どこを狙ってるかも判んねぇだと!?

動揺しながら私も必死に考える。
目を閉じたら対応どころじゃねぇ!!

どうにか判断しながら今度は武市さんの動きを。
武市さんの場合は形もあるが…
それでも知らない動きを。
真似て早く動いたにも関わらず…

「なるほど。
私の動きすら瞬時に…
だが、その欠点も気付いてないか?」

私は武市さんの声だけを聞いた。

「チッ。」

それでも動こうとした時。

「止まるんだ、春香!!
武市もだ!!
春香に手を出すな!!」

桂さんの大きな声で私は僅かに動きを。
その瞬間、抱き締められた。

「なっ!?」

「落ち着くんだ、春香。
そして良く聞いて欲しい。
春香は己を螺子と言うが、それは違う…
命すらある、一人の人間でもある事を。
決して忘れては、いけない…」

命すらだと?
私程度が死んでも何も変わらねぇ!!
ずっと忘れてねぇ!!

そのままでも私は叫ぶ。

「違うだろうがぁ!!
前にも私は言った筈だろ!!
私は立派な人間でもねぇと。
たかが機械のパーツが一つ。
んなん何も変わらねぇ!!
誰も気付かねぇ!!
私すら誰にも求めてねぇとだぁ!!
桂さんは甘いから…
私に言えるともだぁ!!」

抱き締められたままで桂さんの顔は見えない。
でも…

「そんな事すら、ないんだ!!
春香!!
本来ならば命は全て等しい事。
それなのに、なぜだ!!
春香だけが機械になる?
己の命すら機械に…
螺子にと、する事も間違ってるのだ。
未来からだったとしても今は、この世界ですら…
生きてる事も変わらない。
大切な命だ!!
皆の幸せすら普通に言う春香が…
なぜ一人で自ら幸せを拒む?
笑って幸せを願う事の、何が違うのだ!!」

それは…

私も桂さんの言葉を考える。
でも答えすら浮かなばい。

また昔を私は思い出す。

「私は何も望まねぇ!!
こんなん最初からだぁ!!
私は誰も愛さねぇ!!
誰も信じねぇ!!
だからこそ、私もだぁ!!
産まれた事すら間違ってる。
なのに…
命は平等じゃねぇ!!
私の命を誰がだぁ?
最初から判んねぇのにかぁ!!」

大きく叫んだ私に、すぐだった。

「ならば判るまで私がだ!!
春香も言っただろう?
痛い場所すら判らないと。
己を傷付けた方が楽だと。
苦しいのは治せないと…
そんな理由すら簡単だろう!?
既に多過ぎる傷があるからこそ…
もう春香自身が…
判らなくなってるだけだ!!」

桂さんの大きな声に、もう私は驚く。

なっ…
何を言って…
桂さんは何を?
でも…

そのままで私は深呼吸してから冷静に言う。

「なぁ、桂さん。
それは駄目だし?
全く違うのもだぁ。
冷静に考えれば判る筈。
私は本来、ここには居ねぇんだぞ?
だから桂さんは一切…
私の事すら考えるべきでもねぇ…
こんなん当たり前だぁ。」

「歴史では春香が正しいだろう。
だが、実際、目の前に…
春香は生きて居る事も事実。
ならば私は、なぜだ?
今すらだろう?
何の理由もなく、なぜ春香を。
私は知ったのだ?
不可思議な現象だろうが…
それも、また事実。」

桂さんの声も、口調すら冷静で、普段と同じに…
また私も判らなくなる。

「それは…」

全く判らねぇ…
私は何も変わらねぇ…
そして誰も愛さねぇ…

「春香さん。
ワシすらじゃぞ?」

そこで坂本さんの声を。
私には見えないままだが聞こえた。

**************************

「春香さん、ワシすら…
どぎゃんして春香さんとじゃ?
春香さんが言う事は正しいのう?
じゃが、目の前に、おるやろ?
それにのぉ…
ワシにはじゃが。
春香さんが泣いちょるよう…
見えんじゃがのう?」

私が泣いてる?
そんな事すらねぇのに…

「これは私もだろう。
春香さん。
未来から来た女子など信じられないと。
にも関わらず…
今、私達の前に居るだろう?
確かに桂さんや龍馬の言う事も信じられん。
だが、ならば…
なぜか、だろう?
そして理由もある筈だと私は考えて居る。
春香さんが現れた理由を。」

武市さんの声も私は聞いてた。

理由だと!?
私が過去に…
それにかぁ?
んな事すら信じねぇ…

目を閉じて私は叫ぶ。

「私は信じねぇ!!
私は…
絶対、嫌だぁ!!
もう私にと…
踏み込むんじゃねぇ!!」

「こんな私すらもだ!!
春香さんを見てから数刻も経って居ない!!
最初から春香さんへ疑いの目をした私が…
そんな私ですら判る事のみ言う。
今でもだろう?
痛いと…
苦しいと…
だから…
そんなにも、既に泣いているのだろう?
そして私の事は信じなくて構わない。
すぐ誰かを、信じる事など誰も出来ん。
だが、今の桂さんに関してのみ。
判るからこそ春香さんにと、言いたい!!
すぐが無理ならば、焦る事もないと。
普段の桂さんも、私は知って居るからだ。
その痛みを、全ては判らなくても…
だからこそ必死に春香さんを、だろう?」

武市さんの大きな声にも私は驚くばかり。

どうしてだ?
私は…
もう小さく言う。

「んなの判らねぇよ…」

腕が緩まって桂さんから動いた。
少し笑って私に言ってくる。

「春香?
すぐにとは誰でも判らない事なのだよ。
武市君も、坂本君も。
同じ事を言ってるだろう?
この時代に春香が現れた理由。
それが必ずあると…
私も同じ事を思ってる。
そして簡単に判る事でもない。
だから徐々に、だろう?
元の場所に戻る事があろうとだ。
今、ここで生きてる意味すらある事なのだよ?
それすら探していけば、何も問題ないだろう?」

もう私は何も言えない。
どうにか桂さんを見て頷くしか出来なかった。

私が生きる意味だぁ?
それよりも私が…
この時代に居る意味をと?

もう全く何も判ねぇのにかよ?

結局、その場に居た私にだった。
坂本さんと武市さんも少し笑うのも見た。
桂さんとも少し話してから二人は帰ったが。

嫌がる私を食事の為、また部屋へ行けば…
高杉さんすら何も変わらない。

どうにも出来ず。
諦める事も多い中、私も考え出した…
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