魔王と封印師

蒼真 空澄(ソウマ アスミ)

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第三章:命すら愛する者へ

大きな間違いと気付いた問題

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今もまた、美雪の寝ている時間。

夜光は家の屋根から同じように…

月を眺めながらも考えていた。

夜光はレーシェルから届いた『物資の中にあった物』を、既に読んだ。
だからこそ、『術式や使用状況の記載』を読み終えた後でもある。

『使い魔』を出してから数日後には、いつもより『早く物資』は届いた。
それに気付き、『中を確認』した際に見つけた。
今回の『術式関係の書類』だった。

そして『詳細』を読み終えた時だ。
その時に、かなり『苛立ち』はした。

だが、どうにか抑え、それをまず『後回し』にと判断はした。

夜光が簡単に読み終えた時、僅かに出た言葉。
それは『一言のみ』だった。

「…愚か者が!!」

その後、夜光は『既に各国』も含め。
『全ての総力で情報を集める為』にと、使い魔をかなり出した。

だが、まだ『有力な情報』はないままでもあった。
その為、夜光は考え続けていた。

(これは『正式な封印師』の…
『召喚術式』とも、『全く違う術式』だろう!!
更に『致命的な点』すらも多いが。
それすらも『大きく間違えて』いる!!
なぜ、こんな『馬鹿な術式』をしたのか。
どうしても、苛立ちが出るが…
それよりも、これは確かに『美雪自身』の事だ。
今は勿論、『問題はない』が…)

夜光は月だけを眺めながら、考える。

(この術式…
俺の『予測は正しかった』が。
だが、これからだ。
『いつ』になる?)

夜光の『疑問、問題は解決』もした。
だが、新たな『問題』にも『気付いた事』だった。

(俺の方がまだ、これの『違う問題』にも気が付いたが…
これではもう、『予測すら』も出来ん!!
大きく『間違えた部分』にも、繋がるが。
だからこその『禁術』だろうな。)

夜光の前にあった疑問は『一つ』だった。

それは『美雪がこの世界に来てから』だろう。
少なくとも、『夜光と会ってから』にはなる。

もう『長く一緒に居る』にも関わらず。
美雪に『何も変化がなかった点』だった。

そう、美雪は、歳を取ってもいない。
『全てがそのまま』だった事だ。

姿は勿論だが。
夜光は『人間の医学書類』は、他に使い魔から。
『情報として知識』は既にあった。

だが、『美雪が変わらない事へ』の小さな疑問だった。

それは年齢に限らない、『些細な点』でも現れていた。
判り易い部分を上げれば多いが、歳に限らない。
髪が伸びる訳でもなく、身体の老化すらなく、また『逆にも』ならない。

つまり、美雪の『時間が止まっている』のだ。

(今は『美雪自身』は、何も問題ない。
この『間違った術式』でだろう。
単純に『止められただけ』だな。
歳を取らないだけではなく、『逆にもいかないから』こそだが。
普通の人間だが『時空魔法の術式』すらも…
『大きく間違えて』いるからか。)

これが更に『禁術の召喚』でもあった。

この『禁術の問題点』でもあるが。
それはもう、『今の世界にも関わる』だろう点。

それに夜光は『気付いた』事もあった。

(だが…)

夜光には『先に浮かんだ策もあった』が。
それも既に『検討』していた。

**************************

(チッ。
愚かな人間共が…)

夜光が『悩んだ結果』もある。
苛立ちをどうにか抑えながらも、また『使い魔』を作り出す。

(これはあくまで、『可能性』だ…
だが、その『返答次第』では、『全てを』消そう。
それをまず『確認』しなければ、どうにも出来ん!!)

夜光は再び。
その使い魔を『ディガート帝国』へ向かわせた。

今回の任務も、また『一つのみ』だった。

(俺の方が、今は『そちらへ行けん』か…
だが、これは『早く俺が』動かねば。
『今後の事も』考える上で、『何も出来なくなる』だけだ!!)

使い魔を出した後、夜光は呟く。

「愚か者ばかりが…」

苛立ちを隠しながらも…
それでも、どうにも出来ない『怒り』も湧き上がる。

使い魔を出し、冷静に判断もしていた。

だが…
今は『夜光は動けない』事を『選択』もしていた。

**************************

一方。

魔の森でも今でも変わらず平和ではあった。

私は思う。

確かに今までの生活とは違うけれど。
それでも『私は幸せ』だなと。

それは『夜光が居る事』が大きかった。

この生活が出来るのは、『夜光のおかげ』だと充分判ってる。
前の世界みたいな『便利がなくて』もだった。

もうそれすら気にしてもいなかった。

だって、『夜光は優しい』から!!

それに『嘘も言わない』のも知ってる。
だから、凄く『安心』出来る!!

この『森で住むようになってから』も…
きっと『夜光』でしょう?

最近は夜光と話していても、側に居る時。
私に『優しく笑ってくれる』のも…

『前はたまに笑うぐらい』だったけど、今は良く笑う。

確かに『夜光の姿を見て』から…
あの時は驚いた…
まさか、あんな『美貌』をしてたのは想像してなかった。

夜光は、あの後も何も変わらない。

『魔族』だとしても、私にとっては『命の恩人』みたいな者だし。
その上にあれだけ、『優しく愛してくれる』のだ。

他の魔族とか、魔物は、『見た事がない』けれど…

この森の『いろんな場所を見たからこそ』だった。

こんな素敵な場所なら、『人間は来ない』方が良い。
私はそれを充分、感じていた。

それに夜光が居れば…
夜光と過ごせるだけで、幸せだと私は思える。

あぁ、そうか。

私は『夜光さえ居れば』良い…
きっと本当にどこに行っても…
『充分』なんだと、感じてる。

確かに世界が変わった。
それでも、もう良い。

そのおかげで『夜光に会えた』のだから。
どんな世界でも同じ、『夜光が居ない』なら…

もう『私の中では答え』も既に出てた。

『夜光が居ない世界なんて、私には何の意味すらない』と…
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