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第二章:それぞれが想う気持ち

後悔からの決意

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夜光との接触があり、随分が経つ頃。

その後『ディガート帝国』にて、またレーシェルは『重要会議』に参加していた。

夜光は『約束』を守り、魔族からの被害などもだ。
あれから全く起きなくなった。

そして、レーシェルの方も勿論だが『物資も手配を』していた。

『各国』もまた、元に戻り集まり始めており。
けれど重要会議の中で『必ず』出てくる事にすらもだった。

会議に参加して居る者達の中でも、レーシェルはまだ若い。

それでもレーシェルは『充分に理解もしていた』からこそ…
『全てを』抑えつけていた。

**************************

この世界においてならば。
『ディガート帝国』は魔法も学問も含め。
どの国よりも発展して居るのも事実であった。

だからこそ、『各国』のどんな重鎮ですらも。
レーシェルの意見は『無視』出来ないのもある。

その会議の真っ最中でもあった。

レーシェルはただ、淡々と言った。

「もう『皆の意見』は聞いた。
だが私は『一切、許可しない』のも変わらん。
会議においても、『その件に関して』ならば。
今後『召喚の儀』はしないと。」

既に40人以上の重鎮が居る中で、レーシェルは『断言』する。

「なぜですか?
前回は『失敗』だったかもしれませんが。
それを配慮すれば…」

レーシェルは『視線だけ』で、魔力を上げた。

「ではもう今後。
このような話が出ないように『私が宣言』しよう。
『我々』がもし、次に同じように、『召喚の儀』をしたならば。
ここに集まってる『皆の国すら滅びる事』を。
私は知ってるからだ。」

その言葉に皆が若干、騒めいた。

レーシェルはそう、知っているからこそだが。
冷静に判断し、『事態が鎮圧される』まではと待った。

そして収まれば、やはりまた同じように『議題になった』のも事実だった。

「皆には言っていないから、知らなくとも『当たり前』だろうが。
だが、私しか知らない事もあるからだ。
だからこそ、私は言える。
もし、次に『召喚の儀』をすれば、成功なども関係なく、『各国が滅びる』と。
それを私は『知っている』からだ。」

「それは、前回の結果で出たものですか?
何か『証明』をお持ちですか?」

レーシェルは予想通りだと思った。

「では、皆に『証明』すれば、『納得』がいくのだな?
それで『黙る』のならば、構わない。
この会議も含め、今後もし。
『同じ議題』を出した場合は、魔族ではない。
我が『ディガート帝国』が、『攻め滅ぼす覚悟も』ある。
それで、構わないな?」

皆が全員、騒めいた。

「魔族を抑える為の『議題』で、なぜ『帝国』が…」

レーシェルはまた淡々と言った。

「私は『一人』でだが。
既に皆が知っている『魔王』と、ある『提携』をした。
こちらが破らなければ、魔族は今後、動かない。
だからこそ。
我が帝国は、『全ての人間を守る為』にもだ。
立ちはだかる事も厭わない。」

皆が一気に、更に騒めいた。

「な、何をそんな、『魔王』となど、考えられません。
そんな『証拠』があるのですか!?
ただでさえ、普通の魔族にすら…
そんな話は聞いた事がありません!!」

レーシェルはその『言ってきた者を見て』から言う。

「なるほど。
では『証拠』があれば、『皆が納得する』と言うのだな?」

そう言うとレーシェルは座っていた席から立った。
そしてそのまま、服を脱ぎ出す。

側近も含め、皆が動揺した。

帝国の側近が止めようとするが…
それを遮るようにレーシェルは大きく言った。

「下がれ!!
私には『責任』がある!!
その為に、『証拠が見たい』と言うならば構わん。
下がっていろ!!」

そうしてレーシェルは下着姿になり、そのまま皆の前に立った。

だが、皆もすぐに気付いた。

美しい身体ではあるが、明らかに『大きく深い傷跡が二箇所』に目がいく。
それは右肩と左足にだったが、生々しく残る『傷跡』があるのだ。

まだでも、これは治ってから時間も経っていないのだろう事。
それは明らかに判るぐらいでもある。

元々綺麗な身体だからこそ、その『傷跡』がより鮮明に映った。

レーシェルは皆にと向いて、表情すら変えずに言う。

「この『二箇所の傷』だが、私が『魔王』に会った際に受けたものだ。
だからこそ、私はその『魔王の魔力』を充分に知っている。
私はあの場で、『命』を賭けてきた。
あの瞬間、判った事も多いが…
この程度の傷など、大した事でもない。
『魔王』は何の術すらなく、ただ『魔力を視線でのみ』送っただけだ。
それが『どれだけの魔力』か。
想像ぐらいは『皆すら』も出来るだろう。」

皆が何も言えなかった。

「私は『一人』でだ。
『魔王』からの、『使い魔の呼び出し』で、『魔の森』へと行った。
その時、私は『命すら賭けた』時でもある。
だが、これは単に『魔王』が私を『見逃した』に過ぎない。
これはもう『警告と同じ』だろう。
私を『あの場で殺す事』など、『魔王』からしたら『赤子以下の力量』だな。
『今回の件』すら、既に『魔王に知られていた』のも事実だ。
皆も『我が帝国の被害』は知っているな?
これは単に、『それの返答』に近いものだと知った。
私と『魔王』との会話などは『僅か』だった。
その『僅かな時間』でだ、あれだけの『力』も、更に『知能』すら見た。
『全てを私は知っている』からこそだ。
そして、その時に若干、話せた事でもある。
今後、『同じような対策』をした場合、『全力でする』と。
私にと『魔王は宣言』した。
それを『破った』場合…
我がディガート帝国も含めて『全てを滅ぼす』とな。
我が帝国に起った『事件』は皆すら知っているだろう?
あれですら『魔王自身』、何もしていない事も知った。
あれは『ただ他の魔族』に『魔王』が『命令しただけ』だとな。
もし『魔王自身』が動けば、『我が帝国すら一夜もなく滅びる』だろう。
そして、それが終われば、『他の魔族すら』が。
『皆、一斉に動く事』も知った。」

皆が既に『その言葉』と、レーシェルに『残る傷』が余りにも衝撃的だった。

それは『レーシェル』すらも、既に人間の中では…
かなりの『実力のある術者』でもある事は、周知でもあったからでもある。

「私が『これを見せた』のは、『皆を守る為』でもあるが。
我が帝国も含め、今後一切、『召喚』も『魔の森』にも。
触れる事など許さん!!」

皆を一斉に黙らせたレーシェルは、簡単に上着のみを着ながら続けた。

「皆からすれば信じられないだろうが、『これが事実』だ。
この『私の傷』は、『魔王』は何の術すらしていない。
ただ『視線のみ』だぞ?
それもかなり『抑えた魔力』を、僅かに掠めただけの事でだ。
あんなのを『防げる人間など』は、一切、居ないのを私は知っている。
そして更に言うならば、『魔王』は『力だけ』でもない事も大きいだろうな。
私との会話など、本当に僅か。
そんな『僅かな言葉しか』交わさなかったが…
それだけでだった。
魔王は、もう『その知能』すらも『圧倒的』だとな。
私との『僅かな言葉のみ』、たったそれだけでだぞ?
『今回の召喚』が、『我がディガート帝国だけ』ではないと。
その場で『全て見抜き』、その上で出してきた。
皆が知っている被害、それも『魔王』がそう『命令した』からだと。
『我が帝国のみ』をと、そう『命令』したからこそ。
今回の『被害』にも繋がり、受けただけの事だった。
その『魔王が提案』し、その事に『こちらも同意した』事だ。
もし、それを『破れば、人間は全滅』するだけだ。」

レーシェルはまた服を着ながら、議会の皆に向けて言った。

「私が言った意味、した行動も、『理解』出来ないのであれば…
我がディガート帝国が『全力』で阻もう。
そして『今後の議会も含めて』だ。
『召喚の儀』や『魔の森』に関しては一切、受け入れない!!」

皆が何も言えなかった。

それは『帝国の力だけ』でもなかった。
そもそも『レーシェル自身の実力』は周知なのだ。
それだけの『実力者』がだ。
あれだけの深い傷を受けている事実。

それすら考えられない事でもある。
そのレーシェルからの『言葉と行動』だ。

『魔王』からの受けたらしき、『生々しい程の深い傷』と。
更にそれを『証明』として、『この場』で自ら服を脱いで『見せた事』だ。

そんな実力者が、それだけの傷を負い、更に命を賭けたと言った事。
また『魔王の件』と、更に『一人で魔の森に行った』と言う衝撃もある。

レーシェルは服を全て着ると続けて言った。

「何度でも『同じ事』、これは『真実』だ。
私は僅かな時間、僅かな会話だけで。
既に『召喚の儀』をしたのを『各国でした事』まで見抜いた。
僅かな会話のみでだぞ?
それだけの『力』も、また『知能』も、もう『高過ぎる』だけだ。
そして私を生かし、見逃したのも、『わざと』だろう。
各国が絡んでいると、知った魔王がした意味。
もう、これは『完全な警告』の為にと『私を生かした』だけだろう。
その『意味』も、私は『理解も』した。
次にすれば、今回の帝国の被害では済まされないとな。
さっきも言ったがな。
『全力でする』と、『魔王自身が動く事すら宣言した』と。
そしてもう一度言おう。
今回は『魔王』は何もしていない。
『ただ他の魔族に魔王』が、『命令をしただけ』の事。
つまり、『我が帝国を』とな。
だから『他の国には被害がなかった』だけだ。
だからこその『警告と、最低限の提携』だ。
それを『破れば』、我が帝国以外の国すら、『人間が全滅』するだけ。
ならば、私は『人間を守る』上で、この『提携を守るだけ』だ。
今後は一切、『召喚の儀』と『魔の森』への『議案』などは受け付けぬ!!」

皆が何も言えないままだったが。
レーシェルはその場で服を全て着ると。
更にサーベルすら持ち、皆の方に向ける。

「この場で、『私自身』がした『行動の意味すら理解』せず。
次に『同じような議案を出す』ならば、まずは『我が帝国が全力』で阻む。
そして『滅ぼす』のさえ厭わない!!
再度言う。
次に『同じ事を出す』ならば…
『私も、我が帝国も全力』で阻むのを忘れるな!!
今回の会議は以上だ、解散しろ!!」

そう言うと、レーシェルはその場から去った。
その行動すら、つまり、一切。
帝国側が『反論の許可すらしない意味』でもある。

その場の皆は何も言えず、立ち尽くした。
既にレーシェルは立ち去ったが、しばらく皆が動けなかった。

**************************

重要会議を終え、そのまま執務室の方に向かいながら歩く。
レーシェルにとって『この程度』、大した事でもないと『認識』していた。
それは『ミユキにした事』をだった。

それを『考えればこそ』、大した事でもなく。
それすらも『贖罪にさえ』含めて入れてもいなかった。

ミユキの事への大きな要因。
それはあの場でした『後悔』だった。

レーシェルは思うだけでもある。

私には、このぐらい『何でもない』!!
もう、充分『自覚』もしている!!

私がミユキにした事に比べたら…
こんなもので、『贖罪』になる気すらしない!!

レーシェルは、また思い出した。
そして目を閉じた。

あの優しくも、自然に笑うミユキの姿を。

そのミユキを、『私の判断の失敗』で、どれだけ苦しめたかを。
あの森の入り口で、夜光に聞いた時に…
どれだけ、あんなにも『後悔』したのを、思い出すだけで…

レーシェルは壁を強く叩く。

そう、夜光の言う通りだろう!!

『ミユキは何も悪くもない!!』

私達が『勝手に召喚を』してだ!!
しかも『平和で幸せな世界』に居た場所から勝手に!!
そんな中で、私が更に『命まで危うく』させた!!
夜光が来なければ、ミユキを、私がなんだ!!

レーシェルは、それでもだった。

そう、ミユキをその後すらも…
苦しめた事を、想像する。

『何も知らない世界』でと。
更に『目すら見えず』にと。
そして『何も言えず』に、『泣いた事』を…

それを『夜光から聞いて』から、尚更…

あの『夜光』ならば…
『私がしている事すら』も大した事でもないと。
判っていた筈だ。

だが、あの時に夜光は…
『今』は『生かす』と、言った事の『意味』。

つまり、『今はミユキの安全』は、『必ず夜光が守る』のだ!!
そしてミユキも、『夜光を愛している』ならば…

その『邪魔など』は、夜光が怒る以前に、『私すらも』邪魔はさせん!!

ミユキがまだ、『笑って生活を出来る』のならば。
多少しか出来ない『贖罪』をするのが『当たり前』だ!!

それに夜光が、明らかに見せた…
私への『怒り』は、『ミユキを愛して』いなければ決してない!!

レーシェルは目を開ける。
そして若干、王城の窓から外を眺めて思う事。

ミユキが『封印師』かは、確かに判らない…

だが、それでも良い。
もう判らなくても、良いのだ。

ミユキが笑って、そして夜光が守れば。
また、こちらが動きを止めれば、人間は滅ぼされないのだから。

そんな事は、私はもう、絶対にしない!!
どれだけ悔いても遅いが…
後悔をした形にしたのは『自分自身』なのも『理解』している。

だからこそ、もう『召喚』などは許さない!!

レーシェルはそう、どうしても思うのだった…
『あのミユキが笑っていてくれるの』事を願うのだった…

**************************

一方。

魔の森に居た夜光は、あの後、使い魔を出した。

そして、その後から。
『物資も定期的に届いてる』のも、『確認』していた。

その物資は、家の『貯蓄用の倉庫に入る為』、美雪の食事も困る事すらない。
だから『動かない』のも事実ではあった。

夜光からしたら、何かあれば、『使い魔』を出せば済むだけでもある。

勿論、夜光はレーシェルを『許していない』事も。

だからこそ。
あちらが『美雪へ』とする『対応は当然』と認識していた。
もし変われば『警告通りに滅ぼす』事も。
夜光からすれば『簡単』でもあるからだった。

それに対しては、何も思ってはいなかったが…
『美雪が笑う』ならと、『動かないだけ』だったのも、事実である。

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