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第三章:言葉が判らなくて感じる想いを。

不思議な村暮らし、それと初めての感動も。

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新しい場所にと来ると…
元は廃村らしいけれど。

殆どが修繕されてた事もあって…
どれも使える様になってた。

今までの場所とも違う?
村暮らしになるの?

でも…

普通の村だと…
どんな生活をしてるの?

判らない…

不思議に私が村を見周りながら。
ゼスと一緒に歩いてる時。

ゼスは簡単にと。
村にある一つの家を選んだ。

私も見ると大きくはない平家?
でも、かなり広さもあった。

多分…
この家が一番なのかも?

私が中を見ても一応。
家具は全部揃ってるのが判る。

前の隠れ家より…
やっぱり村人の暮らしなのだろう。

私も納得しながら生活を始めた。

**************************

いつも私はゼスと一緒なのも変わらない。
だから一緒に住む事も判る。

食事も皆と一緒に広場でと食べる。
それも同じで変わらず判る。

夜もゼスと一緒で…

ゼスも何も変わらず嬉しそうに笑う。
それから私を優しく抱いて愛してくれる。

私も掃除関係は覚えてる。
だから、いつも通りに家は綺麗にと。

それから他を周って掃除しようと…
私が動こうとした時。

ゼスがだった。

掃除に関しては、この家だけで良いと?

私も食後に片付けを手伝うけれど。

そうなると…
他に私は何をすれば…

考えても私は判らない。

でもゼスは、やっぱり…
いつも書類関係や指示もしてる?

少し私はゼスが心配にもなる。

いつも仕事ばかりを?

私は今日の掃除も終わった。

だからゼスにと聞いてみようと。
私が近付くと…

またゼスは判る様に私に向いて笑う。

「ん?
掃除も終わったんかぁ?
早かったなぁ。」

普段と同じ様に言ってきたゼスを見る。
私は頷きながら…

「ねぇ、ゼス?
私は…
他に何をすれば良いの?
いつもゼスは仕事ばかりなのに…
何か手伝いとか…
私はある?
そんなにゼスばかりだと…」

一応、私も聞いてみた。

ゼスは少し驚いた顔をしたけれど。
すぐに笑った。

「あははは!!
なるほど。
俺の心配をかぁ?
ユアナらしいなぁ!!
でもユアナ?
ユアナは、もう俺の妻だろう?
まぁ、その妻も…
判んねぇだろうが…
普通の妻ならなぁ?
俺が仕事をして養うぐれぇ。
当たり前だぞぉ?
それを気にするこたぁねぇよ。
仕事も心配ねぇし?
後、そうだな!!
ユアナがなぁ…
そうやって俺の側に居てかぁ?
安心して笑ってて欲しいだけだ!!
それにユアナ?
あんな下手くそな報告をなぁ…
ユアナには解読不可だろ!?」

すぐに私も思い出す。

確かに?
あれは読めなかったけれど…

少し私はゼスにと笑ってしまう。

それに妻ならと?
普通と?
ゼスの側にと?

だから私はゼスの横に座ってから…
少しだけ擦り寄るだけにして…

目を閉じたまま言う。

「ゼスは…
凄く優しいだけじゃないでしょう?
皆の事すら普通に考える。
だから皆も笑う…
皆も、そう…
ゼスを信じてるのも判るよ?
私もゼスだけは信じられる。
それに不思議な感覚?
やっぱり安心もする。」

「あぁ…
そりゃぁ、仲間もかぁ?
助け合うのが普通だしなぁ。
それにユアナもなぁ。
そうして安心してかぁ?
側に居てくれるのがだなぁ…
俺には嬉しいかんなぁ。」

ゼスが普通に言うのを聞いた。

やっぱり皆すらも…
それに私もと。

私が目を開けてゼスを見ると…
嬉しそうに笑ってた。

私も嬉しくて笑う。

「それにユアナ!!
もう、ちっとでかぁ?
俺も仕事なら終わっかんなぁ?
少し見せたい場所もあっから…
そのままなぁ!!
きっとユアナなら気に入るぞぉ?」

嬉しそうにゼスは言うけれど。

私は首を傾げる。

見せたい場所と?
気に入ると?

ゼスは私の頭を撫でてくる。

「まだ判らねぇだろうがなぁ?
楽しみ待ってろ?」

そう言って笑うゼスを…
少し不思議に思いながら見るけれど。

でも…

ゼスが言うならと私も笑う。

「うん!!
判った、待ってるよ!!」

私も笑って言うとゼスも嬉しそうに笑う。

「よし!!
俺は甲斐性無しでもねぇし?
任せろ!!」

ゼスが笑いながら言うのを見てた。
それにと私も笑う。

素直にゼスの側で待つ事にした。



**************************

一方、アランとリアン。

もう皇帝一族を娘以外は抹殺済みでもある。

ユアナの情報を売った皇帝を許す気もなく…
娘に関しては監禁と洗脳を。

表ではユアナの急死としての公表していた。

更に皇帝急病でとアランが皇帝の座を。
リアンがヤラリス侯爵家を。

帝国全てを動かせる状態になっていた。
それでも帝国を動かす時は二人で話し合う。

既に皇帝の座に居るアラン。

だからこそでもあるが…
ヤラリス侯爵邸から離れた。

皇族が使っていた王城の一室を二人のみ。
常に情報も含め漏洩防止を優先させた。

部屋の調度品は高級品のみだが…
簡単には近寄る事すらも不可能にしてる。

また使用時も多いが広さはある。
けれどベッドの類もなく…

大きなテーブルには各国の地図を。
他の書類関係も多く作業部屋にと使ってた。

そんな部屋の中で二人共が情報を常に合わせる。

アランは大きな溜息をしてから…
微妙な顔でリアンにと言う。

「もう、これは明らかにゼスだろう?
リアンも情報を知ってる筈だが。
ウスロア国は被害も規模もな。
相変わらず、とんでもないが…
判らなくもないか?」

リアンも意味を理解する。
考えながら微妙な顔でアランに言う。

「だろうな。
俺達が表側を塞いでから約2週間でか?
話はアランからも聞いてたが…
裏側の情報は無理だ。
だが…
ウスロア国は二度と問題にはならん。」

アランも意味を理解する。
考えながら微妙な顔でリアンに言う。

「これは俺の予想だが。
あの場ですらだ。
ザザラは明らかユアナをだった。
かなり俺も怒りが湧いた…
だが、裏側は不可能だからこそ。
更にユアナへと行動した結果だろう事。
それにゼスならばウスロア国の内情ぐらい。
簡単だった筈。
他に何かをした可能性もあるが。
その上でゼスは完全にウスロア国をと言うより…
ザザラをとしたのだろうな。」

リアンも意味を理解する。
考えながら微妙な顔でアランに言う。

「確かにアランから聞いてだ。
俺も怒りがあったからな。
その予測に追加するならば…
一応、こちらも内偵させた。
ウスロア国の軍を約3200人だった。
その中にザザラ自身も動いていた事。
だからゼスはザザラを標的にと。
ここからは俺の予想になる。
標的になるザザラがユアナにと…
他も動いた事にゼスならば気付く筈。
そこで完全にウスロア国をでもなく。
ザザラへ怒りが向いた結果に思える。
その上でゼスはザザラをだろう事。」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら少し笑ってリアンに言う。

「リアンに同意する。
俺が言った事でとな。
あのザザラならば更に動いただろう。
それでユアナを守る為だけにとだ。
他国も多いがな?
あれだけの事をゼスがしたんだろう。
ここからは俺の予想。
ユアナには見せず、更に気付かせたりもだ。
判らせずと完全にザザラへとした事。
そしてウスロア国を滅ぼす動きを出した事。
一応、俺が外交でと聞いたがな。
ザザラの死亡でウスロア国は喜んでたぞ?」

すぐにリアンも意味を理解する。
考えながら少し笑ってアランに言う。

「俺もアランに同意する。
ゼスならばユアナを優先して動くのもだ。
俺も聞いたがな?
あのザザラの死亡でと。
ウスロア国は喜んで今は王選中だが。
積極的に皆が動いてるらしい。
あれだけの軍すら全滅はしたがな。
それすらザザラがした様な状態でとなってる。
まぁ…
それも間違えてないか?
ずっとユアナにと狙って危険視してたろ?
俺達は二人だからこそ。
あのザザラも表側、外交も、そうだった。
頭脳もあるから厄介なだけの存在。」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら少し笑ってリアンに言う。

「確かに?
これはリアンと同じか?
俺達も表側だ。
尚更、厄介でしかない存在だった。
だが裏側のゼスならば確実にと。
俺達が表側を塞いだからこそだな。
それすら予測してザザラにだろうが。
とんでもない事ではあったか?
もう本当に笑いそうだったぞ?
リアンも聞いてるだろう?」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら少し笑ってリアンに言う。

「アラン?
それには俺も笑いそうだった。
ザザラ以外はと。
他の兵は丁重にとか?
埋葬されてた話だったな。
その上でザザラだけは放置だぞ?
確かに無惨な姿のザザラだったが。
もう意図的にしてるだろ。
しかも、あれは…
もしかしたら…
ザザラにとだが。
あれだけしたのもゼス自身だろう?」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら少し笑ってリアンに言う。

「俺もリアンに同意する。
あんなだから…
もう完全にゼスは、わざとだろう?
実力も充分、俺達ならば判るが。
あの場にあった罠すら確認したか?
ここからは俺の予測追加だ。
俺がザザラに接して表を塞いだのも。
ゼスは気付いてたからこそ。
ザザラの予測すらして裏側を動かした事。
ゼスならばウスロア国の内情も知ってる上に?
更にユアナをとしたから完全にか?
怒りでザザラにと直接したんだろう事。」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら少し笑ってリアンに言う。

「俺もアランに同意する。
もう完全に、あれはゼスの怒りだけだろう?
あれだけ複雑に仕込んだ罠だぞ?
しかもザザラの居たらしい場所にだけだ。
何もなく、更にとザザラ以外か?
あの部隊に居た兵達すら埋葬をか?
完全にゼスは、わざとだ。
だが、好都合にもしてるな?
あの状態にまでされたウスロア国をと。
知ったからこそ他国はユアナにとだ。
もう安易には動かん。」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら、またユアナを思い出す。
それからリアンにと言う。

「リアン…
俺達が生きてる理由にもなるか?
ユアナが俺達にとだ。
だからゼスは止めただけでもない。
帝国すらゼスは確かに簡単だった筈。
だが、俺達の動きも予測してと。
ユアナの為に出した暗号の返答だろう。
表側の俺達が動く予測までしてな。」

すぐにリアンも意味を理解する。
考えながら、やはりユアナを思い出す。
それから目を閉じてアランにと言う。

「アラン…
そうなるだろうな。
俺達はユアナの為に動くのも予測してと。
あの暗号文だ。
今でも正直、ユアナを愛してるからこそだが…
一応な、子孫の為と割り切ってか…
ヤラリス侯爵家を変える。
選んだ女にだが、抱く度にユアナばかり…
だがゼスも言った事だ。
『俺はユアナに』と。
きっとゼスならばユアナを。
今はユアナも笑って…」

すぐにアランも意味を理解する。
考えながら、またユアナを思い出す。
同じで目を閉じてリアンにと言う。

「リアン…
それは俺も同じだぞ?
あんな皇帝の娘など…
抱く度にと、もうユアナしか思い出さん。
だがゼスの言葉もあるのも…
俺も帝国を変える為だけにとな。
ゼスに言った言葉でも…
ユアナからの言葉もある…
俺もユアナだけを愛してるからこそ判る。」

すぐにリアンも意味を理解する。
目を開けてアランに言う。

「アラン、変わらんな?」

すぐにアランも意味を理解する。
目を開けてリアンに言う。

「リアン、勿論だ。
同じだろう?」

二人共に頷く。

アランはリアンにと。
リアンはアランにと。

「リアン、表側からは俺達がユアナを。」
「アラン、裏側からはゼスがユアナを。」

二人は少し笑って、また目を合わせて頷く。

それから他国の情報をと。
再度、見直していた。

**************************

一方、ゼス。

報告も読んで更に予測もした。
ユアナの僅かな話で理解した事もあった。

目を閉じて口元に右手を当てる。
それから再度、考える。

もう、この動き…
帝国は明らかに俺とユアナをかぁ?

まぁ…

今更、俺は許す気もねぇが。
放置で充分、表側も動かせる。

あんなクズ以下の始末…

一応、俺もかぁ?
どうにか絶望もすら味わっただろう。

だが…
あんなんは表側でも難しいし?
それでもウスロア国内は喜ぶし?

更に他国もユアナにと安易に動かん。

それに…
もう狙う獲物も決めて動かした。

今回のは俺が動かすだけでも簡単。

獲物の売る先も…
あの獲物なら買い手もかぁ?

すぐにでも金だけ出すし?
更に買い手すらもだろ。

あの獲物を守る事すら予測も出来る。
獲物も、こっちが上手くすりゃ済むな。

全く、身分だの…
クソくだんねぇなぁ。

ふと横に座ってるユアナを見る。

これはユアナの新たな癖だなぁ…

安心すっと…
いつも眠そうにすんだよなぁ。

俺の予測通りなら…
きっと。

**************************

私はゼスの横にと居たけれど。
少し眠くなってくる。

不思議な感覚がする。

それでも私も考える。

普通の妻ならと?
ゼスの側に居てと?
安心してと?
笑ってて欲しいと?

でも…

妻を私は具体的に判らない。

もっと私もゼスもと。
何か出来たら良いけれど。

そんな事を思ってた時。

「ユアナ?
仕事も終わったぞぉ?
眠そうだが…」

咄嗟に私は首を横に振る。

「ううん、大丈夫だよ!?
ゼス!!
そう、私は起きてたよ!?」

急いで私が言うと…
ゼスは急に笑い出した。

「くっ。
あはははははは!!
いんや?
眠そうだったし?
もうバレバレ…
別に寝てても良いんだがなぁ…
あはははは!!
やっぱり…
これは体力かぁ?
そう!!
ユアナは体力!!
もっと食え!?
特に肉かぁ?
ちっとユアナは…
痩せ過ぎかぁ?
普段より、もっと食えよ!?
でも…
それすら無自覚と?
あははははは!!」

それにと疑問が浮かんだ。
私は自分でと身体を少し見るけれど。

首を傾げる。

「うん?
そんな事はないよ?
普通でしょう?
多分…
そう、ゼスも、皆も…
男性だからでしょう?」

ゼスは少し驚いた顔になった。

「ん?
いや、え!?
それは…
違うな!?
こんなん男に限らねぇぞぉ!?」

ゼスは目を閉じて右手を口元に当てると。
すぐに目を開けて微妙な顔になった。

「それもか…
単純にユアナの周りに女性がと。
居なかったからだな?」

私は僅かに社交場に居た女性達をと。
話す事もなかったけれど。

どうにか思い出そうとする時。
ゼスが急に私を抱き上げてきた。

「ゼ、ゼス!?
待って?
今、どうにか…」

「そんなん思い出すこたぁねぇよ?
実際にユアナは軽過ぎなぁ…
前から思ってたが。
もう俺以外でも余裕だぞぉ!?」

焦りながらも私はゼスに言う。

「えっと。
それは…
男性の方が力があるだけでと!?
だから…」

でもゼスは笑いながらだった。

「あははは!!
そりゃ、まぁ?
それも?
一応あるが…
でもなぁ…
そもそも?
ユアナは小柄だし?
もう、これだとなぁ…
軽過ぎかぁ?
それすら気付いてねぇかぁ…
それよりも!?
さっき俺が言った事は覚えてるな?」

すぐに私は思い出して言う。

「見せたい場所もあると?」

ゼスは嬉しそうに笑う。

「あぁ、そうだぞぉ!!
このまま俺がだな?
ユアナを抱き上げてと。
一気に移動すっかんなぁ?」

それを言う同時にと。
ゼスは凄い早さで移動をし始めた。

私は困惑する。

見せたい場所にと!?
このままでと!?

でも…

ゼスは村から出て山の崖にと。
私を簡単に抱えたまま複雑に動き出す。

「ゼス!?
二人でと!?
私を抱えてなら危ないよ!?」

焦りながら言う私にはゼスの顔は見えない。

それに…
もう高い!!

そんな状態でも…

「ユアナ?
大丈夫だぞぉ?
俺なら余裕ってぇの!!
こんぐらいの崖も簡単だし?
大事なユアナを落とす筈もねぇなぁ!!」

もう私は何も言えず…
そのままゼスは崖をと更に移動もする。

早過ぎるのも私は目を閉じた。
急に止まった様子でとゼスの声が聞こえた。

「ん?
ユアナ?
もう着いたかんなぁ!!
目を開けて見てみろ?」

ゼスが私を降ろしながら言うのも判った。

だから私は目を開けると…

すぐに視界の中にと飛び込む様にと。
青く煌めく海だった。

私は初めて見た。

今まで本でしか知らない…

それに私が小さい頃すらなかった。
外出禁止になってから考えた事も…

それに多分?
崖の上で高いけれど…

もう見渡す限りの青だった。

太陽の光で水面が反射してと…
余りにも綺麗で…

私は言葉が浮かばない。

そして更に気付く。

私が降ろされた場所の周りにと…
色取り取りの自然だと思う草花にだった。

それすら初めて見る。

「どうだぁ?
ユアナは気に入ったかぁ?
俺の予測だとなぁ…
ユアナは海すら知らねぇだろ?」

ゼスの声で見ると…
凄く嬉しそうに笑ってた。

完全に私は興奮した。

「うん!!
そう、初めて見たよ!!
こんなにも綺麗なの!?
海は本でと…
でも、こんなに違う!?
音も、色も!!
それに花も、たくさん!?」

またゼスは笑った。

「あははははは!!
やっぱかぁ?
まぁ…
でもユアナ?
ちっと落ち着けって…
海だけじゃねぇだろ?
もっと綺麗な場所ぐらいなぁ…
俺は知ってんぞぉ?
あはははは!!
海だけでかぁ?
でもなぁ…
ユアナは花も好きだろ?
他の場所でも?
たまにかぁ?
あれでコッソリと?
もう…
俺にはバレバレだったが…
弱ってる花にとなぁ?
気にして水だのと…
世話すらしてたろ?」

それにと、また私は驚く。

ゼスが言った通り…

実は家事の時。
気付いた花にと…

私は隠れてしてたけれど。

それでもゼスは嬉しそうに笑うと…
優しく私に言ってきた。

「ユアナは充分にと。
もう優しいかんなぁ…
絶対に触れるだけでかぁ?
花を摘んだりもしねぇし?
それでもだ。
花を見ると…
少しだけだがなぁ?
これも無自覚にかぁ?
笑ってたぞぉ?」

もう私は嬉しくてゼスに抱き付いた。

「うん!!
花は好きなの!!
でも花だって、きっと…
そのままでもだよ!?
どれも一生懸命にと。
咲いてるのに…
それを私は見てるだけで良いの!!」

私がゼスに言うと声だけを聞いた。

「だろうなぁ…
こんなんはユアナをだぞ?
見てるだけでかぁ?
好きな事ぐれぇ。
判るってぇの!!」

それにと私は言葉に出来ない程。
感動してた。

でもゼスは言ってくる。

「それになぁ…
ここは帝国じゃねぇし?
海すらだろ?
夜よりも昼間だと光るかんなぁ。
まぁ…
今度は夜に来るかぁ?
月があれば、また違うし?」

私はゼスをと、また見て言う。

「うん!!
月の光だと変わるんだね!!」

「あぁ、そうだぞぉ?
ユアナは知らねぇだけなぁ…
でも気に入ったろ?」

ゼスは嬉しそうに笑って言う。

「うん!!」

それから、私は…
また海を見てた時だった。

後ろからゼスが軽く抱き締めてきた。

でも…

**************************

スッとゼスは、それだけで離れて笑う。

私は不思議にゼスを見てると…

「ユアナ?
首元を見てみろぉ?」

素直に私が首元をと見ると…
青い石があるネックレスがあった。

それにも私は驚くけれど。

でも…
これは今まで見てきた宝石とも?

不思議に思いながら私が考えてると…

「その石は『ラピスラズリ』って鉱石。
その一つだが…
海よりも青い、更に夜空の様にとなぁ!!
俺からすりゃ…
ユアナが星みてぇに綺麗だかんなぁ…
そんな綺麗な光にも見えっからかぁ?
ただの宝石よりも…
ユアナには、その鉱石だぁ!!」

驚きながらも私はゼスを見ると…
凄く嬉しそうに笑ってるのが判る。

また私も『ラピスラズリ』を見る。

鉱石と!?
宝石よりもと…
私が光にと!?

見てるだけでも充分に綺麗で青く…
綺麗なネックレスだった。

「そう…
ラピスラズリもなぁ?
一部では持ってる者も居るが…
宝石のサファイアみてぇなのはだ。
ユアナとも全く違うし?
天然石みてぇに自然にかぁ?
更になぁ…
石に意味すらあんぞぉ?
ラピスラズリの意味はなぁ!!
『聖なる石』とも呼ばれるが…
『幸運をもらたす』と。
『魔除け』と。
俺がユアナを守るのも当たり前!!
でも、これからは俺が幸せにと。
そして何かあった時にと。
だから予防みたいにもなっかぁ?」

すぐに私は覚えた。

これが『ラピスラズリ』と!?

それに『幸運をもらたす』と!!
更にと『魔除け』と!?

ゼスが私にと!!

すぐに私はゼスにと笑う。

「そんな凄い石まで私にと!!
それにゼスが私をと!?
意味も全部、覚えたけれど…
こんなに嬉しい物すら…
私には初めてだよ!!
ゼス、ありがとう!!
絶対に大切にするからね!!」

そんなゼスも嬉しそうに笑った。

「あはははは!!
俺は絶対にだ!!
ユアナを守るだけじゃねぇぞぉ。
そうやって笑ってなぁ…
安心してかぁ?
俺の側にと居るだけで充分!!」

ゼスは言ってから…
すぐに私を抱き締めてくると耳元で囁く。

「俺はユアナだけ愛してる。
だから、ずっとだ。
俺の側でと。
笑ってくれてるだけで嬉しいんだ。」

どうにか私もだった。

「うん…
私もゼスだけ愛してるよ。
それにゼスだけは信じてる。
こんなにも嬉しい事も…
本当にありがとう、ゼス。」

ゼスの腕が緩めて私の腰を支えながらと。
嬉しそうに笑った。

それすら私には嬉しい!!

それから、しばらく海も…
花々も、ラピスラズリも…
ゼスの嬉しそうな笑顔も見てた。

それにと私は思う。

きっと私は今日すら忘れない。
ゼスだけを本当に愛してる。

それから、また私はゼスにと。
抱き上げられて移動もした。

そして村にと戻ったけれど…

私はゼスから貰ったラピスラズリを。
ずっと着ける様になった。
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