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第二章:本当に愛してる者。

愛してるからこそ、常に守る為にと。

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いつも通りにと私も皆と一緒に片付け中。

最近では何も問題すらない。

覚えた事も嬉しい!!
皆とも楽しい!!

早く作業が終わった私がゼスを見ると…

相変わらず指示を出したり?
書類関係を受け取ってる?

前に聞いた事も私は思い出す。

確か報告と?
情報とも聞いたけれど?

そんなゼスにと…
一人の団員が近付いて行く様子が見えた。

でも…

その団員すら?

なぜか…

何かの紙を見ながらと?
複雑な顔にも見える?

それを私も不思議に見てると…

その団員が複雑な顔のままゼスの前でと。
首を傾げながら言う事も聞こえた。

「なぁ、首領しゅりょう
これは…
報告にかぁ?
いんやぁ…
でも違うのかぁ?
俺には全く判らねぇし?
何だこれ状態なぁ?
だから一応にとかぁ?
首領しゅりょうにもと?
それすら判らねぇが…
でもなぁ?
他国でも全部?
同じっぽいし?
全く俺には判らねぇが…
何だ、こりゃ?」

それにとゼスは微妙な顔で団員に言う。

「おぃ…
どんだけの馬鹿だぁ?
報告すら判んねぇとか…
マジあり得ねぇぞ?」

すぐに驚いた顔をした団員が大きく叫んだ。

「んなっ!?
こんなん俺が判るかぁ!!」

急に凄い飛び蹴りをゼスにと!?

私は見て驚く。

でもゼスは素早く避けても…

「俺は足技がだぞぉ!!
得意な事ぐれぇだぁ!?
首領しゅりょうも知ってんだろうがぁ!!
こんなん…
俺が判るかってぇの!!」

驚きながら私は見てるしか出来ない。

そんなゼスも簡単に避けながら言う。

「ちょっと待てぇ!?
今は落ち着け!!
ユアナが驚く!?」

首領しゅりょうが避けるからだぁ!!
もう一撃でも…
俺はだぁ!!
やってやんぜぇ!!」

更に何度も早く飛び蹴りをと…
その団員が動くけれど…

それすらゼスは簡単にと…
避け続けながら大きく言う。

「こんの大馬鹿がぁ!!
そんなん当たんねぇよ!!
もう馬鹿過ぎるなら…
先にと報告だろうがぁ!!」

それでも止まらない団員にと…
更にゼスが素早く動くと?

なぜか急に団員が…
頭を抱えながらも止まった。

私には何をしたかも判らない…

けれどゼスが微妙な顔でだった。
その団員に怒鳴る。

「この馬鹿野郎!!
ユアナが驚いてるだろうがぁ!!
とにかく、もう良い!!
その紙を寄越せ!!」

複雑な顔をしながらも団員は紙をと。
ゼスに渡して首を横に振って大きく言う。

「そんなんで同じ内容がだぞぉ!?
俺すら判んねぇし!!
もう他国の全コードから急にかぁ!?
んなの俺が判るかってぇの!!
でも…
加減したかもしんねぇけど!?
さっき首領しゅりょうのは…
結構ヤベェぞぉ!?
俺を殺す気かぁ!?」

既にゼスは団員を無視して紙を見てた。

すぐに目を閉じて右手を口元に当てて…
そのまま言った。

「これがだと?
ならば…」

目を開けてゼスは団員を見て言う。

「おい、そこの馬鹿。
一応かぁ?
確認するが…
他国も含めた全コードからだと?
そう言ってたな?
なら最初…
どこのコードだ?」

また団員は複雑な顔で大きく答えた。

「最初かぁ!?
確かコード20だぁ!!
でも…
殆ど同時にだぞぉ!?
それから他のコードからもだぁ!!
多分!?
判んねぇからとかぁ?
そっから首領しゅりょうにとなぁ!?
緊急連絡パターン15でとだぁ!?
しかも…
そんな内容だし?
何も判らねぇし?
んなの俺が判るかってぇの!!」

少しゼスは驚いた顔をしたけれど。
すぐに、また紙を見てそのまま大きく言う。

「なら俺にと…
もう、これは全コードにとだぁ!!
今は伝達のみで良い!!
緊急連絡パターン40を出せ!!」

聞いた団員は驚きながらゼスにと言った。

「えぇぇ!?
マジで!?
首領しゅりょうには、それ…
判ったのかぁ!?
そりゃ伝達は簡単でも…
しかも緊急連絡パターン40と!?
やっぱ俺には首領しゅりょうの意味すら?
何も判んねぇよ?」

ゼスは団員を微妙な顔で更に怒鳴った。

「こんの大馬鹿がぁ!!
当たり前だろうがぁ!!
これは暗号文だ。
もう俺宛にとなぁ…
しかもコード20だとぉ!?
発信源すら帝国だろうがぁ!!
それとコード20にへ至急!!
俺にと、また緊急連絡パターン15!!
常に報告させろ!!」

「やっぱ首領しゅりょうは…
とんでもねぇよ!?
暗号だとしても!?
普通!?
こんなん誰も判らねぇっての!!」

そう言ってから団員も、すぐ走り出した。

ゼスの様子も、団員の様子も…
私は見てた。

暗号と?
それに帝国と?

もしかして…

私は何も言わず。
ゼスの側に行くけれど…

どうしても下を向いてしまう。
私もゼスにと小さく言う。

「ゼス?
帝国にと…
何か、あったの?
それに…」

私も考える。

お兄様達も思い出す。

それに…
もし帝国なら…

すぐにゼスは私を優しく抱き締めてきた。
優しい声でと言ってくる。

「大丈夫だ、ユアナ…
必ず俺が居るだろう?
もう離さないと…
前からユアナにもだ。
ずっと俺も言ってる事だぞぉ?
俺はユアナにとかぁ?
安心して笑ってて欲しいかんなぁ。」

ここからはゼスの顔は見えない。
でも優しい声なのは判る。

それでも何も言えず。
ただ、私はゼスにと擦り寄るだけだった…

**************************

一方、アランとリアン。

暗号を出してから約5日後。

皇帝陛下の一族をと。
確実に足留めしていたが…

そんな中で僅かな情報。
返答の暗号に気付いた。

すぐに暗号をと!?

二人共に解読をした時。
その内容に、もう驚くしかなかった。

どうにかアランが考えながらもと…
リアンに言う。

「な…
何だと!?
リアン!?
既に解読したな!?
これだと…
とんでもない事になるぞ!?
もう情報すら完全に…
大きく変わってしまうだけだろう!!」

それにリアンも動揺を隠せず…

アランの意味にも気付いて考える。
目を閉じてから、どうにかリアンも言う。

「アラン!?
俺も解読は簡単だが…
これは最悪だろう!?
もう帝国だけでもない事にと…
この情報がだぞ!?
なら、もう皇帝陛下の一族は簡単だが…
既に他国へも広まった事に!?
しかも…
またユアナにと!?
そうなるだけだぞ!?
それをしたと言う事だ!!」

リアンの意味をすぐに理解した。

それでも考える為にと…
アランも目を閉じてリアンにと言う。

「やはりゼスにと…
俺達が暗号文を出した事は成功したが…
既に裏側の全てをゼスがだ!!
掌握してたからこそ判った事だろう!?
まさか皇帝がだと!?
これは父様の不在時にと…
すぐにと、した事か!?
俺達が動いた時点でだとしたら…
一族の保身にとか動いたか!!
だからこそユアナの情報を…
『ヤラリス侯爵家の内情』すらも!?
もし、それならば…
父様が不在時と事前にだ。
予測もしてからと…
それを皇帝が実行した事にだ!?」

すぐにリアンも理解する。
どうにか考えながらアランにと言う。

「アラン!?
もう皇帝一族は後回しで良い!!
先に他国を…
いや、ゼスならば既にしてるな!?
何かしている可能性もあるからこそだ!!
ならば帝国の情報も知ってる筈…
だとしたら…
次にする行動もだろう!?
すぐに俺達もだ!!
まずは変更するしかないぞ!!
既にユアナがとだ!?
他国から狙われる事にしかならん!!」

すぐにアランも理解する。
どうにか考えながらリアンにと言う。

「判った、リアン!!
帝国内ならば今は何も問題ない。
だが、これならば…
表側に居る俺達が出来る事をとだ!!
今のユアナは裏側、ゼスが居る筈だろう!?
それから『ヤラリス侯爵家のユアナ』をと…
他国は必ず優先して動くだけにしかならん!!
既に他国の三つは情報を得ていたが…
このままだと更に増えるぞ!?
それよりも危ない他国を優先しなければ…
ゼスの予測もだ。
これは確実にユアナが!?」

すぐにリアンも理解する。
どうにか考えながらアランにと言う。

「アラン、ならば…
俺達が出来る事は表側をしないと!!
同時にゼスが裏側でもしてる事だ!!
これならば確実にユアナにと…
常に規制もしてるからこそだろう!?
だからこそ他国も裏側は不可能な筈!!
すぐにユアナの情報を隠した理由も…
これならば判る!!
それにと…
表ならば俺達が規制を至急だ!!」

すぐに二人共に目を閉じたまま…

ユアナをと!!
最善策を必死に考える。

「リアン!!
ゼスの予測、更に俺の予測も…
これは同じだ!!
真っ先に『ウスロア国』だ!!
あの王族、いや既に即位済みだが…
俺達が常にと危険視していた奴が動けば…
その為に表側の策をしないと駄目だろう!?」

「アラン!!
全てに同意する。
俺の予測でも『ウスロア国』だ!!
前からユアナにだったが…
動く前にと、そして補足するならば…
ゼスは、あのウスロア国に何かしら動く事。
裏側をと、してるならばだ!!
どうにかユアナを!?
裏側にとゼスに任せながらも…
俺達が表側をと抑えるぞ!?」

すぐにアランも理解する。
どうにか考えながらリアンにと言う。

「そうだな、リアン!?
もしウスロア国にとユアナが…
更に表側をしないと!?
最悪どころでもない!!
何をするかも判らん!!」

すぐにリアンも理解する。
どうにか考えながらアランにと言う。

「判ってる!!
絶対に駄目だ!!
もう最悪どころじゃないだろう!?
ゼスならば守れるだろうが…
僅かな数日だろうが判らん!!
それだけは絶対に防がないと!!」

そこで二人共が同時に目を開けた。
そして二人共に同時に頷く。

怒りもあるが…
これ以上ユアナにと!!

また、すぐに動き出した。

**************************

一方、ゼス。

裏側の全てを纏めてた事でと…
帝国すら大した事がないのも事実だった。

ゼスは目を閉じて右手を口元に当てる。
またユアナをと…

考え出して思う。

すぐにユアナを救出してからだ…
裏側で俺が常に規制していた事もある。

だがユアナの情報のみならば…
他国には『真実』を除いても情報が多過ぎる。

それも含めて裏側でと…
情報ならば常に他国を優先していたのにか!!

だから常に情報を先にと…
俺が指示を出し続けていた事で済んでたが…

ふと、あの暗号文を思い出す。

解読してから怒りしか湧き上がらない。

帝国の皇帝が真っ先にした事を…

『ユアナの情報』を全て売ったのか!!
更に『ヤラリス侯爵家の内情』すらも同時だと!?

ふざけやがって!!
あの時に完全に滅ぼしてしまえば良かった…

ふと、またユアナの言葉を思い出した。
どうにか皇帝への殺意のみを振り払う。

帝国内の動きは予測していたが…
まさか内情まで『ユアナの全て』だと!?

クズで馬鹿な一族は本当に救えねぇ!!

確か、あの一族には娘が居た筈だが…
保身の為にと売ったんだろうがなぁ…

あんなんじゃ価値すらねぇ!!
全く釣り合わねぇぞ!!

それすら判ってねぇのか!!
これだと皇帝一族は捨てられるだけだ!!

そして必ずユアナをと…
誰もが狙う予測すら簡単だぞ!?

もうユアナの美貌も含めて情報ならば…
他国の全てにある状態だ。

だからこそだ!!

目を閉じたまま必死に考える。

ゼスには今までとも全く異なると…
それすらも、すぐに判断も出来た事だった。

頭脳と力もある血筋の為にだけ…
いや、それ以外でも完全にだ!!

『ユアナのみ』が狙われる事。

これではユアナが…
もう頭脳と力は関係ないだろうがぁ!!

単純に道具として扱われる可能性すらも…
もっと更に最悪な事すらあるのに…

あのユアナにだと!?

どんな手段だろうが俺が許さねぇ…

他国の全てからユアナをと…
もう俺自身が決めた事すらある!!

帝国ならば全く問題すらない…
新たに裏側へと指示の変更もした。

実際に盗賊団として裏側を纏めてから…
ずっと標的は数年以上を使う程の大物。

それだけをと、してたがなぁ…

でも、これでは…
常にユアナが狙われるだけだろう!!

新たに動く他国に関してと…
表側も動かす為にと…

考えて暗号文を出したが。
あの馬鹿共程度でも気付いた筈だな。

それを踏まえて俺がユアナを…

大きく息を吐き出してからゼスは目を開けた。

そこでは皆と嬉しそうに笑うユアナが居た。

一生懸命にと…
判らないならば知る為にと…
それすらもだった。

もうなぁ…
あの笑顔を見てるだけでもなぁ…

他の団員、皆すらも安らぐ…

俺すらユアナを…
もうユアナだけを愛してるのもだ!!

美しいだけでもない。
あんなにも優しいユアナを…

絶対に俺が許さん!!

俺は必ず…
常に守る為として出した伝達もある。

帝国の件で裏側の全てがユアナの為にと…
保護すらも含め簡単に動く事も予測も出来る事。

そして俺が全てをだ。
その裏側すらも動かせる…

再度、他国の全て調べる事もあるが。

先にとゼスは情報を纏めて暗号文を出していた。
予測したからこそ簡単に判った…

俺の予測ならば、あの他国しかない!!
必ずユアナにと動く!!

ならば先にと…
『ウスロア国』の王族をだろう。

イカれてるどころじゃねぇし…

裏側は不可能。
かなり厳重にしてあるがなぁ。

あんなんクズ以下だ!!

ゼスは帝国よりもウスロア国をと…
その策をと考えていた。

**************************

一方、ウスロア国にて。

もう完全にと。
必ず『ユアナ』をと…

その為にと動いていた。

だが…
どうやっても裏側だけがと。
完全に不可能でもあった。

既に帝国の皇帝一族を見捨て…
他国に情報を出し帝国一族の抹殺予定だった。

「ザザラ陛下…
申し訳ございません。
予測した通り、この暗号文ですが…
やはり…」

不機嫌な顔でと椅子に座ってから暗号文を。
ザザラも再度、見るが…

「チッ。
この暗号文ならば確実にヤラリス侯爵家だ。
あんな帝国は、もう捨てるが…
まぁ良い情報ではあったがな…
馬鹿な皇帝が娘の為にとか?
そんな馬鹿な一族の娘など要らん!!
もう『ユアナのみ』だろう?
比較にする時点で怒りが湧くか…
つまらんな、どうせなら…
暇潰しに皇帝の前で、その娘。
甚振ってから始末しよう。
それで皇帝すらも…
ようやく馬鹿な自覚もすると思うか?」

どうにか側近の一人が頭を下げたまま言う。

「はい…
ザザラ陛下。
これは帝国以外の他国すら簡単に判る事です。
ユアナ様を最優先にと。
早めに見つけ出す事もですが…
ヤラリス侯爵家の二人も動いてます。
気付けば必ず、また表側で動き出す事でしょう。
更に一番厄介な存在も居ます。」

ザザラは玉座に座って居たが苛立ちを表した。

今度は両足を手前の小さなテーブルにと…
大きな音を立てて載せた事でと…
飲んでたカップすらも砕け散った。

そして横柄な態度で怒鳴る。

「言われるまでもない!!
指名手配扱いにとした『ゼス』だろう!!
あの時は『内情』を知らなかった…
だが、ユアナの価値をだ!!
あの時に内情も知ってれば…
優先してでも確実にユアナだった事!!
あのヤラリス侯爵家の二人も動いてたが…
いくらでも帝国の処分すら簡単だ!!」

側近の多くが何も言えずに頭を下げたまま…
誰もが怒りを買いたくなかった。

それでもザザラは笑って言う。

「最初から違和感があった…
それにな、あの誰よりも美しい。
有名過ぎる程のユアナがだぞ?
くっ。
ならばこそ…
必ず俺の女にとだ!!
だが表に居るヤラリス侯爵家の二人…
確かに実力も判る上に表側の地位。
更に頭脳もあるからこそ迂闊に扱えん。
だから、まだ今は裏をだな?」

どうにか側近の一人が言う。

「はい…
ザザラ陛下。
それにユアナと言う者も…」

不敵に笑うザザラはユアナを思い出す。

「あぁ、勿論だぞ!!
ユアナか…
美しい淡い赤みの長いブロンドも。
更に華奢で色白の整った顔立ちも。
そして珍しい瞳のヴァイオレット。
俺すら初めて見たのは随分前になる。
だがな…
忘れた事すらないぞ?
歳も離れ過ぎてないから余計にか?
急に公式の場に出なくなったが…
馬鹿な皇帝の情報で充分だった。
今こそだろう?
どんな表情すらも美しいだけだと。
判るからな…」

冷徹で残忍な性格のザザラではあるが…
その容姿は美女すら簡単に騙せる。

髪は煌めくプラチナブロンド。
瞳は美しいエメラルド。
つり目で凛々しく整った顔立ち。
肌も色白で逞しい体付き。

けれど実力だけでもなく頭脳も含めて…
その全てがだった。

性格は外見とは完全に反して大きく異なる。

どんな手段だろうが冷徹に笑って楽しむ事を。
単純に失敗した者には拷問すら笑ってする事を。

更にザザラは両親すらも簡単に暗殺して即位済み。
そんなザザラも年齢は21歳。

だがユアナに関しては随分前から求めてた。

それすら全てにと…
ヤラリス侯爵家の二人が常に邪魔を。

少し思い出しながらもザザラは言う。

「確かに俺でも一応、表側に居る上に…
あのヤラリス侯爵家の二人だけでもだ。
一人だけだったら可能でもあるが…
二人が揃うと大きく動けなかった。
だが裏側ならば、どんな手段でも構わん。
必ずユアナをだ。」

そう、ザザラも…
ユアナを見た時すら欲しいと思った程。

余りの美しさに惹かれた…
尚更ユアナが欲しいだけでしかなかった。

また一人…
どうにか側近が頭を下げたまま言う。

「ザザラ陛下。
全力でと我々もです。」

それにとザザラは冷徹な口調で言う。

「だが、注意を怠るな?
事前に言ったぞ。
必ず探し出せ。
それと報告だ。
怠れば死罪でも済まないぞ?」

すぐに理解して側近も動き出すのを見てから…
またザザラはユアナを考える。

もう全てが判ったからこそ。
ザザラが事前にと危険視した者は三人だけ…

ヤラリス侯爵家の『双子』と。
盗賊団の『首領しゅりょうゼス』だけだった。

表と裏…
両方だからこそ下手に動かず…

情報も含めて探りながらもと。
ユアナのみ考えていた。

**************************

とある夜。

今夜もゼスは私にと優しく触れてくる。

でも軽くキスをしてから私を離してと…
優しくゼスは笑って言った。

「なぁ、ユアナ?
忘れてないだろう?
俺はユアナを諦めないと。
それにユアナもだ。
常に信じてるのが判るからなぁ…
だから余計に離さないぞ?」

私は不思議に思う。
首を傾げながらも言う。

「ゼス?
どうしたの?
私はゼスの側にと…
ずっと居たいよ?」

それにもゼスは私を抱き締めてくる。

「あぁ、勿論だぞ!!
俺はユアナを必ず守る為にとだ!!
離したくないとかぁ?
ユアナが笑ってるのを見るとなぁ…
俺もスゲェ嬉しいかんなぁ!!」

「ゼス?
やっぱり…」

私は抱き締められながらも…
僅かな違和感をゼスに感じた。

ゼスは少しだけ腕を緩めて腰にと回して…
私を支えながら優しく笑ってるのが判る。

いつもの様に優しい声でと…
ゼスが笑って言った。

「悪ぃなぁ…
心配させたかぁ?
そうだなぁ…
これは一応かぁ?
だからユアナ?
俺はユアナだけを愛してる。
安心させて…
嬉しそうにと…
いつもみたいに笑ってて欲しいぞ?
でも今から言う事は予防?
また覚えてくれないか?
俺がユアナをだ。
守るのも変わらねぇが…
前にも教えただろ?
やってからじゃ遅いと。
何かあってからじゃ遅いって事をだ。」

ふと私は思い出す事も多かった。

確か料理の時も…
『やってからだと遅い』と?

それに今までもゼスは…
思い出した事もあって私は笑って言う。

「そうだね!!
いつもゼスは正しい事をと。
私に教えてくれるのを知ってるよ?
判った、覚える!!」

嬉しそうにゼスは笑って言った。

「よし!!
充分、学んでるぞぉ!!
やっぱユアナは馬鹿じゃねぇ…
良いか?
勿論、俺が必ず側にと居るだろう。
だがなぁ…
ちっとだけ、ここから難しいか?
だから良く考えろ?」

しっかりと私はゼスを見てと。
覚えようとすると…

ゼスは優しく私の頭を撫でて言った。

「どんな事でもだ。
これは同じ事だがなぁ?
例えば…
俺がユアナの側に居る事。
それを常にしててもかぁ?
ユアナにとなら…
逆に考えろ?
俺の側にと居たいと思う事。
それでも突発で何が起こるか…
そして判らない場合もある事だ。」

私は覚える。

ゼスが側に居たくてもと?

すぐに私も逆に考える。

つまりゼスの側に居たくてもと?
突発でと?
判らない場合もあると?

私は頷きながらゼスを見ると…
ゼスも優しい笑顔で続けた。

「そうだ。
災害とかでも、そうだろ?
あんなん誰も判らねぇし?
どんなに注意しようとかぁ?
それすら無理!!」

私は凄く納得して頷く。

「だからこそ事前にとなぁ。
予防ってのは常にしておくもんだ。
そんでユアナの場合だぞぉ?
何か判らない場所にと。
何か判らない事を言われた時にと。
その予防を今から俺が言うぞぉ?
もし判らない場所に居てもだ。
俺が必ずユアナの場所にと。
探し出すし?
そこに俺が行くだけ。
もし何か判らない事を言われても…
これはユアナが判らないのにだぞぉ?
だったら、そんな事を聞く事もねぇ…
今でもだがなぁ?
俺が言った事をと。
それに今まで覚えた事も多いだろ?
その事も含めてと。
ユアナ自身が決めて信じるだけ。」

私は全部を覚える。

判らない場所に居てもと?
判らない事を言われてもと?

それにゼスがと。
今まで覚えた事も多いと。
その事も含めてと。
私自身が信じるだけと。

また凄く私は納得した。

「判ったよ!!
覚えた、そうだよね!!
いつもゼスは信じられる!!
私が判らない事を言われても…
私が知ってる事をと!!
それを信じる事が普通だよね!!」

そう言うとゼスは嬉しそうに笑った。

そのゼスの笑顔が…
もう私も嬉しくなって抱き付いて言う。

「やっぱりゼスは凄い!!
いつも教えてくれる!!
やっぱりゼスだけを愛してる!!」

「ユ、ユアナ!?
先に落ち着け!?
今は真面目な話を…」

それでも私は嬉しくてゼスにと。
擦り寄って笑う。

「今は…
でも、これだと…
俺が無理か…」

そうゼスが言うのと同時にと…
簡単に私を抱き締めるとベッドへ…

激しくキスを…
更にと舌も絡ませてくる。

「んぁ、ふっ。
んんっ…」

すぐにゼスも手を動かして…
私には判るのもあった。

「あっ、ふあぁ…」

もう私の身体すらもゼスならと…
全てに反応もあるけれど。

何も抵抗もなく、素直にと。
そのまま私はゼスだけ愛してると…

ただ、そう思いながら…
私はゼスから与えれれる快楽にと身を任せた…
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