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第三章:本当に願う事は一つだけを。
残した言葉を。
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んっ?
あぁ…
銀が居る…
私は銀にと、手を僅かに伸ばそうとする…
でも、出来なかった。
けれど、それよりも、気になった…
やっぱり…
銀は、悲しそうな顔だなぁ…
何とか声だけ、出す。
「ぎ、ん?」
それに、すぐ気付いた銀が言う。
「光希、おはよう。」
そして優しく抱き起こすように、銀は支えてくれた。
「う、ん。
ぎん。
ありが、とう。」
あぁ、なんだろう。
あまり…
身体が、動かないや…
「あ、れ?」
目が、霞むなぁ…
起きても、銀が…
「光希…」
銀が、少し、震えてる…?
「ぎ、ん?」
もう見えないけれど、声だけは聞こえる。
「あぁ、光希。
すまないな。
でも、ありがとう…」
私は少し、その言葉は、嬉しいなぁ。
銀が、喜ぶなら、嬉しい…
**************************
「ぎ、ん?」
銀楊はすぐに反応した。
半年ぶりに光希が!!
側に居た銀楊はすぐに言った。
「光希、おはよう。」
銀楊は、またすぐにだった。
光希の…
『様子の変化』に気付いた。
そして、ゆっくりと支えた。
もう…
銀楊は必死に自分を落ち着かせる。
もう…
『動けない』のか…
やはり、もう…
そう思うと、銀楊は苦しくなる。
でも、青嵐からも言われたな…
『感謝だ』と。
だから…
せめて、これは伝えないと。
そう思いながら、どうにか銀楊は言う。
「あぁ…
光希。
すまないな。
でも、ありがとう…」
それでも心の中で思わずには、いられなかった。
光希…
私を…
『1人』にしないでくれ。
『私を1人』にしないでくれ。
そう願わずには、いられない。
「ぎ、ん…」
銀楊はもう…
声すら出せなく、苦しくなっていた。
それでも、どうにか光希を支える。
そんな光希が僅かにだった。
「あ、のね。
もし、ないた、ら…
ひきだし、の、うらを…」
銀楊は瞬時に頭に入った。
「あと、ぎん…
あいし、てるし…
ぎん、なら、わ、たしは…」
『その言葉』に、すぐに光希を見て答える。
銀楊も言った。
「あぁ、私も。
光希を愛してる!!」
そして少しだが、光希が笑ったのを見た。
「ん、なら、うれ、しいよ…」
その時だった。
光希の息が止まった…
銀楊はすぐに、それにも気付いた。
でも銀楊は首を振った。
それでも抱き締めながらも、動けなかった。
そして光希をしばらく…
銀楊は抱き締めたまま、声を殺す。
涙だけを…
どうにかしても、声を殺すが、泣いた…
それでもだった。
銀楊はもう、光希以外。
考えられなかった…
もう、身体を治しても、意味は、ない…
受け入れたくない…
こんな事を…
私は…
受け入れたくない!!
それでもどうしても震えて、涙だけが止められない…
そして光希をまた眺める。
「光希…」
その顔は穏やかで…
また、目を開けるんじゃないかと思える程に。
銀楊はまた首を振る。
こんなのは…
それでも抱き締めながらも、光希の頬に触れる。
そして軽いキスをする。
けれど…
もう、本当に…
そう思った瞬間、初めて…
『更に痛み』にも似たものが突き刺さる。
どうにか耐える…
声だけ必死に殺して、涙だけ流す。
どうにか、声だけをと。
出さずにと、必死だった。
少し、そうしていた時に、ふと。
さっきの『光希の言葉』を思い出す。
『もし、泣いたら、引き出しの裏を』と。
光希は…
そう、言って、いた?
『私』が、もし、泣いたら?
銀楊はソッと、優しく大事なものに触れるように。
光希をベッドに寝かせた。
毛布も整えてから、ソッとまた光希に触れる。
光希…
あの、さっきの言葉は…
そして銀楊は、部屋の中を見渡す。
『引き出しの裏を』
そう、光希は言っていた?
銀楊は部屋の中を視線だけだが。
『確認する』ように見る。
テーブルは1つしかない。
更に引き出しも、『1つ』しかない。
銀楊はすぐに動いた。
側に行き、引き出しの裏を見た。
そこには折り畳まれた紙が貼られていた。
銀楊はそれを手に取る。
そして、広げて中を見る。
これは…
『光希の字』だな。
さっきの言葉は、これの事か?
それは光希の字で書かれた…
『手紙』だった。
銀楊は読んでいくが…
その『内容が全て』判った。
もう、その場で崩れた。
そしてまた思う。
やはり、『あの時』に…
気付いたのかと。
そして、もう声すら殺せなかった。
「み、光希…
ぁあ、っ。
ぐっ。
うぁあぁぁ…!」
初めてだった。
声を出して、もう止められなく、銀楊は泣いた。
頭の中で、光希の笑顔ばかりが浮かぶ。
それでも苦しくて、もう泣く事しか出来なかった。
しばらく、そのまま動く事すらもだった。
**************************
銀や子供達へ。
手紙とかは、そんなに書いた事がないから。
上手く伝えられると良いのだけど。
きっと、この手紙は、銀なら気付くよね。
読んでくれると思うんだ。
銀は、恐いと言ったよね。
私も少しだけ、恐いかなと、思うけど。
最後は、銀の顔を見れてると信じてる。
私は、妖狐じゃないから。
あまり長くない気がするんだ。
だから、もしも、これを読んでいたら。
そんなに、泣いちゃ駄目だよ?
辛いかもしれないけど。
でも、ずっとは泣かないで欲しい。
実はね。
私は銀が、少し心配なんだよ。
皆が、銀は強いと言うけれど。
本当は、我慢しているでしょう?
だって、時々、痛い顔をするもん。
痛いのも、ずっと、我慢してるでしょう?
我慢ばかりは良くないからね?
多分、『長の話』があったから。
青嵐が、次は頑張るのかな?
でも、もしも、青嵐だったら。
1つ、お願いがあるの。
あのね。
銀を助けてあげて欲しいの。
きっとね。
皆が思ってるより。
多分、銀は、力じゃないの。
心がね、痛いと思うの。
だから、そこを助けてあげて欲しい。
青嵐だけじゃないかな?
私と銀の子供達で、皆でね。
銀を、助けてあげて欲しいの。
『1人じゃない』って事を。
皆でなら、これからも大丈夫!!
私と銀との、大切な子供達なら。
皆で支え合って欲しいな。
ねぇ、銀?
子供達も判ってくれるんじゃないかな?
銀、恐いのは、そうなのでしょう?
私と一緒に居たいって言うのは。
きっと、また『1人になる』のが。
でもね。
1人じゃないでしょう?
子供達も、たくさん居るよね?
青嵐だけじゃなく。
これから先も、皆が同じだよね?
私と銀の子だもん。
それと、銀もだよ?
前に言ったよね?
私と銀の子だから『大丈夫』だって。
私の子供達は、皆が。
私と銀と、繋がってるんだから!!
仕事は判らないけど。
きっと、皆で、支え合っていってね?
私も銀を、愛してるから。
私は、やっぱり、銀と居られて。
嬉しいし、幸せだったから。
だから、これからも。
銀も、皆も、元気でね!!
光希より
**************************
銀楊は、しばらく、そのままだったが…
ようやく立ち上がり、光希の側に行く。
そして、光希を眺めながらだった。
せめて、これは…
そう思いながら、先に『青嵐だけ』にと。
連絡をした。
光希を見て、そして手紙に手に、思う。
これは、青嵐だけでなく…
他の『皆』にも、伝えなければ…
銀楊は『固定術式』を応用して。
光希にとかける。
それから銀楊は『全ての結界』を解いた。
そのまま、しばらく…
また光希を眺めて、側に居た。
光希?
泣いては、駄目か?
厳しいなぁ…
やはり、気付いてたのか?
光希…
それがどれくらい経つか判らなかった。
それでもずっと。
銀楊は…
『光希の側』から動けなかった。
時折、光希を眺める。
そしてまた、目を閉じるだけ…
青嵐が部屋に来た様子だったが…
それでも銀楊は何も言えなかった。
**************************
青嵐は、父上からの連絡があった時だった。
すぐ『意味』に気付いた。
作業をすぐに他へ渡し、動いた。
場所は既に知ってる!!
母上っ!!
せめて…
とにかく、その場へと急いだ。
最後の姿を見る為にと、全力で向かう。
けれど、側にと見えた瞬間。
すぐに気付く。
もう結界がない!!
そのまま急ぎながら、家の中に入った。
ベットの側で、父上は座ったままだった。
すぐに気付くが…
それでも…
「は、母上?」
そこには既に…
術式で固定されている母上の姿でもあった。
やはり…
もう…
…っ。
思考よりも先に、勝手に涙が溢れた。
そのまま側に近付いても、父上は…
何も言わない。
また母上を見る。
それは、とても…
穏やかな顔だった。
本当に、眠っているだけに、見える程に…
それでも、美しい姿のままだった。
っく。
青嵐も、声だけはどうにか。
殺そうとするだけだった。
それでも…
涙だけは勝手に、もう溢れてしまう。
その時、父上の腕が動いた。
何か紙を渡し、そして父上は立ってから。
何も言わずだった。
そのまま、外へと出て行った…
青嵐は渡された紙を見た。
これは…
確か、母上の、国の文字?
もしかして!!
母上からの『手紙』か!?
青嵐も『内容』を読んだ。
その内容を読んで…
また、思わずには、いられない…
っ、母上も…
気付いて、いたのかっ…
青嵐も苦しくて、必死に声を殺そうとする。
その手紙の中には…
父上への、『お願い』まで…
書かれて、ある。
これは、つまり…
判っていたのか?
青嵐は、自分の名前まで書かれてある。
その手紙に…
そして、皆へと、父をと。
更に先まで…
母上は…っ!!
それにも気付いて…
これを『事前』に!?
「っ。…」
青嵐は膝を崩す。
声だけ、どうにか圧し殺すように、泣いた。
これは、母上からの願い…
そして、これには思いも、あるんだ…
父上だけじゃなく…
俺や…
皆にすら…
青嵐は泣きながらも、思考する。
どうしても、涙が出てしまうが…
これが、母上の残したものならば…
『ずっとは泣かないで』
くぅ…
母上が、また最後に残した、『お願い』もあるのだ…
その父上が外に行ったのも…
そこで立ち上がった。
また母上の姿を見る。
涙は、やはり出ても耐える。
そして、その手紙の意味を思うのだ。
俺は…
そして、俺達が…
あぁ…
銀が居る…
私は銀にと、手を僅かに伸ばそうとする…
でも、出来なかった。
けれど、それよりも、気になった…
やっぱり…
銀は、悲しそうな顔だなぁ…
何とか声だけ、出す。
「ぎ、ん?」
それに、すぐ気付いた銀が言う。
「光希、おはよう。」
そして優しく抱き起こすように、銀は支えてくれた。
「う、ん。
ぎん。
ありが、とう。」
あぁ、なんだろう。
あまり…
身体が、動かないや…
「あ、れ?」
目が、霞むなぁ…
起きても、銀が…
「光希…」
銀が、少し、震えてる…?
「ぎ、ん?」
もう見えないけれど、声だけは聞こえる。
「あぁ、光希。
すまないな。
でも、ありがとう…」
私は少し、その言葉は、嬉しいなぁ。
銀が、喜ぶなら、嬉しい…
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「ぎ、ん?」
銀楊はすぐに反応した。
半年ぶりに光希が!!
側に居た銀楊はすぐに言った。
「光希、おはよう。」
銀楊は、またすぐにだった。
光希の…
『様子の変化』に気付いた。
そして、ゆっくりと支えた。
もう…
銀楊は必死に自分を落ち着かせる。
もう…
『動けない』のか…
やはり、もう…
そう思うと、銀楊は苦しくなる。
でも、青嵐からも言われたな…
『感謝だ』と。
だから…
せめて、これは伝えないと。
そう思いながら、どうにか銀楊は言う。
「あぁ…
光希。
すまないな。
でも、ありがとう…」
それでも心の中で思わずには、いられなかった。
光希…
私を…
『1人』にしないでくれ。
『私を1人』にしないでくれ。
そう願わずには、いられない。
「ぎ、ん…」
銀楊はもう…
声すら出せなく、苦しくなっていた。
それでも、どうにか光希を支える。
そんな光希が僅かにだった。
「あ、のね。
もし、ないた、ら…
ひきだし、の、うらを…」
銀楊は瞬時に頭に入った。
「あと、ぎん…
あいし、てるし…
ぎん、なら、わ、たしは…」
『その言葉』に、すぐに光希を見て答える。
銀楊も言った。
「あぁ、私も。
光希を愛してる!!」
そして少しだが、光希が笑ったのを見た。
「ん、なら、うれ、しいよ…」
その時だった。
光希の息が止まった…
銀楊はすぐに、それにも気付いた。
でも銀楊は首を振った。
それでも抱き締めながらも、動けなかった。
そして光希をしばらく…
銀楊は抱き締めたまま、声を殺す。
涙だけを…
どうにかしても、声を殺すが、泣いた…
それでもだった。
銀楊はもう、光希以外。
考えられなかった…
もう、身体を治しても、意味は、ない…
受け入れたくない…
こんな事を…
私は…
受け入れたくない!!
それでもどうしても震えて、涙だけが止められない…
そして光希をまた眺める。
「光希…」
その顔は穏やかで…
また、目を開けるんじゃないかと思える程に。
銀楊はまた首を振る。
こんなのは…
それでも抱き締めながらも、光希の頬に触れる。
そして軽いキスをする。
けれど…
もう、本当に…
そう思った瞬間、初めて…
『更に痛み』にも似たものが突き刺さる。
どうにか耐える…
声だけ必死に殺して、涙だけ流す。
どうにか、声だけをと。
出さずにと、必死だった。
少し、そうしていた時に、ふと。
さっきの『光希の言葉』を思い出す。
『もし、泣いたら、引き出しの裏を』と。
光希は…
そう、言って、いた?
『私』が、もし、泣いたら?
銀楊はソッと、優しく大事なものに触れるように。
光希をベッドに寝かせた。
毛布も整えてから、ソッとまた光希に触れる。
光希…
あの、さっきの言葉は…
そして銀楊は、部屋の中を見渡す。
『引き出しの裏を』
そう、光希は言っていた?
銀楊は部屋の中を視線だけだが。
『確認する』ように見る。
テーブルは1つしかない。
更に引き出しも、『1つ』しかない。
銀楊はすぐに動いた。
側に行き、引き出しの裏を見た。
そこには折り畳まれた紙が貼られていた。
銀楊はそれを手に取る。
そして、広げて中を見る。
これは…
『光希の字』だな。
さっきの言葉は、これの事か?
それは光希の字で書かれた…
『手紙』だった。
銀楊は読んでいくが…
その『内容が全て』判った。
もう、その場で崩れた。
そしてまた思う。
やはり、『あの時』に…
気付いたのかと。
そして、もう声すら殺せなかった。
「み、光希…
ぁあ、っ。
ぐっ。
うぁあぁぁ…!」
初めてだった。
声を出して、もう止められなく、銀楊は泣いた。
頭の中で、光希の笑顔ばかりが浮かぶ。
それでも苦しくて、もう泣く事しか出来なかった。
しばらく、そのまま動く事すらもだった。
**************************
銀や子供達へ。
手紙とかは、そんなに書いた事がないから。
上手く伝えられると良いのだけど。
きっと、この手紙は、銀なら気付くよね。
読んでくれると思うんだ。
銀は、恐いと言ったよね。
私も少しだけ、恐いかなと、思うけど。
最後は、銀の顔を見れてると信じてる。
私は、妖狐じゃないから。
あまり長くない気がするんだ。
だから、もしも、これを読んでいたら。
そんなに、泣いちゃ駄目だよ?
辛いかもしれないけど。
でも、ずっとは泣かないで欲しい。
実はね。
私は銀が、少し心配なんだよ。
皆が、銀は強いと言うけれど。
本当は、我慢しているでしょう?
だって、時々、痛い顔をするもん。
痛いのも、ずっと、我慢してるでしょう?
我慢ばかりは良くないからね?
多分、『長の話』があったから。
青嵐が、次は頑張るのかな?
でも、もしも、青嵐だったら。
1つ、お願いがあるの。
あのね。
銀を助けてあげて欲しいの。
きっとね。
皆が思ってるより。
多分、銀は、力じゃないの。
心がね、痛いと思うの。
だから、そこを助けてあげて欲しい。
青嵐だけじゃないかな?
私と銀の子供達で、皆でね。
銀を、助けてあげて欲しいの。
『1人じゃない』って事を。
皆でなら、これからも大丈夫!!
私と銀との、大切な子供達なら。
皆で支え合って欲しいな。
ねぇ、銀?
子供達も判ってくれるんじゃないかな?
銀、恐いのは、そうなのでしょう?
私と一緒に居たいって言うのは。
きっと、また『1人になる』のが。
でもね。
1人じゃないでしょう?
子供達も、たくさん居るよね?
青嵐だけじゃなく。
これから先も、皆が同じだよね?
私と銀の子だもん。
それと、銀もだよ?
前に言ったよね?
私と銀の子だから『大丈夫』だって。
私の子供達は、皆が。
私と銀と、繋がってるんだから!!
仕事は判らないけど。
きっと、皆で、支え合っていってね?
私も銀を、愛してるから。
私は、やっぱり、銀と居られて。
嬉しいし、幸せだったから。
だから、これからも。
銀も、皆も、元気でね!!
光希より
**************************
銀楊は、しばらく、そのままだったが…
ようやく立ち上がり、光希の側に行く。
そして、光希を眺めながらだった。
せめて、これは…
そう思いながら、先に『青嵐だけ』にと。
連絡をした。
光希を見て、そして手紙に手に、思う。
これは、青嵐だけでなく…
他の『皆』にも、伝えなければ…
銀楊は『固定術式』を応用して。
光希にとかける。
それから銀楊は『全ての結界』を解いた。
そのまま、しばらく…
また光希を眺めて、側に居た。
光希?
泣いては、駄目か?
厳しいなぁ…
やはり、気付いてたのか?
光希…
それがどれくらい経つか判らなかった。
それでもずっと。
銀楊は…
『光希の側』から動けなかった。
時折、光希を眺める。
そしてまた、目を閉じるだけ…
青嵐が部屋に来た様子だったが…
それでも銀楊は何も言えなかった。
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青嵐は、父上からの連絡があった時だった。
すぐ『意味』に気付いた。
作業をすぐに他へ渡し、動いた。
場所は既に知ってる!!
母上っ!!
せめて…
とにかく、その場へと急いだ。
最後の姿を見る為にと、全力で向かう。
けれど、側にと見えた瞬間。
すぐに気付く。
もう結界がない!!
そのまま急ぎながら、家の中に入った。
ベットの側で、父上は座ったままだった。
すぐに気付くが…
それでも…
「は、母上?」
そこには既に…
術式で固定されている母上の姿でもあった。
やはり…
もう…
…っ。
思考よりも先に、勝手に涙が溢れた。
そのまま側に近付いても、父上は…
何も言わない。
また母上を見る。
それは、とても…
穏やかな顔だった。
本当に、眠っているだけに、見える程に…
それでも、美しい姿のままだった。
っく。
青嵐も、声だけはどうにか。
殺そうとするだけだった。
それでも…
涙だけは勝手に、もう溢れてしまう。
その時、父上の腕が動いた。
何か紙を渡し、そして父上は立ってから。
何も言わずだった。
そのまま、外へと出て行った…
青嵐は渡された紙を見た。
これは…
確か、母上の、国の文字?
もしかして!!
母上からの『手紙』か!?
青嵐も『内容』を読んだ。
その内容を読んで…
また、思わずには、いられない…
っ、母上も…
気付いて、いたのかっ…
青嵐も苦しくて、必死に声を殺そうとする。
その手紙の中には…
父上への、『お願い』まで…
書かれて、ある。
これは、つまり…
判っていたのか?
青嵐は、自分の名前まで書かれてある。
その手紙に…
そして、皆へと、父をと。
更に先まで…
母上は…っ!!
それにも気付いて…
これを『事前』に!?
「っ。…」
青嵐は膝を崩す。
声だけ、どうにか圧し殺すように、泣いた。
これは、母上からの願い…
そして、これには思いも、あるんだ…
父上だけじゃなく…
俺や…
皆にすら…
青嵐は泣きながらも、思考する。
どうしても、涙が出てしまうが…
これが、母上の残したものならば…
『ずっとは泣かないで』
くぅ…
母上が、また最後に残した、『お願い』もあるのだ…
その父上が外に行ったのも…
そこで立ち上がった。
また母上の姿を見る。
涙は、やはり出ても耐える。
そして、その手紙の意味を思うのだ。
俺は…
そして、俺達が…
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