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第三章:本当に願う事は一つだけを。

人と妖狐の不思議な日常。

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子供達と慣れてから、私は知った。

銀は知っていたから、気付かなかっただけなのだ。

意外にも皆は、私の普通にする事には驚くし?
それに逆もだけど…

ただ、皆の方がいつも『銀に聞く』ような姿さえ、たまにする。

それは親から教わる事なら悪くない事だと。
私は『銀を信じているだけ』でもある。

私は妖狐ではないから、銀が教えるのは良いと思う。
銀なら、ちゃんと教えてくれるのだから。

**************************

とある日。

私は皆に関心を持たれた事もあって、その場で何個か作った。

子供達は皆がもう…
キラキラとした目をして見てる。

「凄い…
あんな糸から…」

「そうでもないよ。
これは簡単な方だし?」

青嵐せいらんすらも驚く。

他にも気付いた子供達が足を止め。
興味を出して、既に約50人ぐらいが集まって来てた。
皆がまた、どんどん増えた。

どうなってる?
どうやって?
なぜ?
と、集まって来るのを見てた。

既に私が埋もれそうに、皆は興味深々である。

そんな中でだった。
私は銀が戻って来たのにも気付いていなかった。

そして家に戻った銀楊ぎんようの目からは…
逆に光希みつきが埋もれている様子にしか見えない。

銀楊ぎんようは若干、不思議だが思う。

なぜ、皆があんなに…
銀楊ぎんようは、そのまま言った。

光希みつき
それと、なぜ…
『皆は』囲んでる…?」

その『意味』を、皆は的確に『理解』した。

あっ!?

父上が微妙に怒っていると。
すぐにサッと少し道を開けた。

私はそこで銀に気付いた。
笑って言った。

「あっ、銀。
おかえりなさい!!」

それに皆が内心…
安堵した時でもある。

ん?
あれ?
皆が静かになっちゃった?

私が不思議にも、皆を見る。

「あぁ、ただいま。
光希みつき
それで、何をしてたんだ?」

私はまた銀に笑って言った。

「うん?
あのね、銀は知ってるよね?
『あみぐるみ』だけど。
でもね。
皆は知らないらしくて、作ってたの。」

銀は何も考える様子もなく、普通に言った。

「あぁ、毛糸のだろう?」

「うん。
そう、それ!!
でも皆は『初めて見た』らしいの。」

銀楊ぎんようは子供達を見渡しながら…
すぐに理解もして若干、呆れ顔で言った。

「なるほどな…
それで、こんなに集まったと…」

実際に『それだけ』だった。

皆は、はしゃぎ過ぎた自覚もあり…
微妙に視線も下である。

銀楊ぎんようは呆れたが…
先にと、光希みつきに優しい口調で言う。

光希みつきが埋もれてたから…
心配したよ。」

私は素直に笑って言う。

「いや?
皆は『私より』も、『あみぐるみ』に夢中だったよ?
可愛いね。
子供っぽくて楽しかったよ!!」

「そうか…
光希みつきがそう言う』のなら。
構わないよ。」

皆が寧ろ、母の無邪気に助けられていた。

もう皆は安堵でしかない。
そして思わずにはいられない。

『母上に助けられた』と…

私は銀にそのまま言った。

「でも、不思議ね。
妖狐の世界にはないの?」

銀楊ぎんようは思考し、言葉を選んだ。

「そうだな。
人形のようなものはあるが…
そうやって『手で編む物はない』だろう。」

私は不思議に思って銀に言う。

「へぇ…
でも…
銀は知ってるでしょう?
どうして、皆は知らないの?」

そう言うと、若干、複雑な顔をした銀が言った。

光希みつき
私と子供達では、歳が違う。
光希みつきから見たら…
皆が既に『大人に見える』だろうが。
光希みつきも考えなさい。
ここに居る子供達でも大体が5歳ぐらいだ。
人間なら『幼稚園児』だな?」

「あっ!」

私はそうかとも思う。
確かに、幼稚園児なら喜びそうな物だもんね。

だから、皆があんなに…

素直にそのまま受け取る光希みつきも判るのもだった。
銀楊ぎんようは、また思考もするが…

若干、溜め息を出した。
少し首を振りながらも、光希みつきにと言う。

光希みつき
頼むから。
私と、その幼稚園児をだな?
『同じ』にしないでくれないか?」

「あぁ、ごめんなさぃ。
銀を子供になんて、見てないよ!」

私は慌てて銀の側に行く。

「まぁ…
判ってくれたなら良いが。」

銀楊ぎんようは疑問を聞く為にと。
光希みつきを優しく抱き上げた。

「銀?」

不思議そうな顔をする光希みつきに優しく言う。

光希みつきが楽しいなら、構わない。
ちなみに、この『毛糸』は?」

光希みつきは笑って言った。

「あぁ、これは『青嵐せいらん』がね?
知らないって言うし。
そうしたら『毛糸を』持って来てくれたの!!」

銀楊ぎんようは全て判ってるのもある。

光希みつきは『全く嘘を付かない事』を。
自然に、『この騒ぎの犯人すら』も簡単に判るのに。
若干、愉快にもなる。

「ほぅ?
青嵐せいらん』がか?」

青嵐せいらんがすぐに思う。

まさかっ!!
こんな展開になるのは、予想外過ぎる!!

そう、確かに青嵐せいらんが興味を出し…
『毛糸があれば作る』と言った母上にと。
持って来たのだ。

けれど、こんな展開は完全な予想外であり…
単純にやはり…
『皆が興味』を出し、集まっただけの結果なのだ。

「あはは!!
皆が凄い興味深々でね。
何個か作ってたら、いっぱい集まって来た。
そうかぁ。
幼稚園じゃ、興味出るよね?」

銀楊ぎんようは、純粋な光希みつきの発言に聞いて…
想像した事もあり、思わず笑った。

「…そうだな。
それは、そうだ。
くっ、ははっ。
確かに、そうだな。
くっ。」

そう、光希みつきに『悪気は全く』ない。

だが光希みつきの頭の中では…
光希みつきは、青嵐せいらんをだ。

完全にもう『幼稚園児と同じか』と。

それを想像するとだった。
銀楊ぎんようは笑ってしまうだけだった。

子供達の皆は、一斉に内心、本当に驚く。

えっ!?
父上が本当に笑ってる!?
珍しいのを見た!!
母上の話で、アッサリと!?
これは貴重な顔だ!!

それでも銀楊ぎんようは、どうしても笑ってしまうが…
さり気なく、『青嵐せいらん』とに、向けて言う。

青嵐せいらん。」

「あ、はい。」

青嵐せいらんも、すぐに気付き返事をする。
少し抑えても笑いながら、銀楊ぎんようは言う。

「人間社会の、『勉強』は?」

「あ、一般常識ぐらいは…」

私は、銀がなんか…
微妙に言う事が違う気もして、そこで銀にと言った。

「銀?
勉強ばかりは駄目だよ。
青嵐せいらんだって、『遊びたい』でしょう?
遊びの中からだって、『学べるものもある』でしょう?」

は、母上ー!?

青嵐せいらんの、まさに心の悲鳴でもある。

銀楊ぎんようもすぐに察した。

光希みつきにと、優しく笑いながらも思考する。

「まぁ…
そうだがなぁ。
『良い機会にはなる』かもしれないな。」

『視線だけ』銀楊ぎんようは『青嵐せいらん』へ向いた。
それに青嵐せいらんも気付く。

「あ、でも。
銀は知ってるみたいだけど?
何か作ろうか?」

光希みつきの思考を簡単に読んだ。
銀楊ぎんようは僅かに思考し内心、また笑う。

「いや?
『私から』だ。
光希みつきにと、あげよう?」

子供達の皆は、また一斉に内心、驚く。

えっ!?
父上がっ!?
あれを!?
作れるのか!?
えぇっ!?

皆が内心、驚きを隠せなくもなる。
子供達が一瞬、思考しながらも『視線を父上』に向ける。

それに銀楊ぎんようは気付く。
けれど、光希みつきにと向かって言った。

光希みつきが言っただろう?
私も光希みつきがだよ。
『遊んでいたのを見て』いたからな。」

そう言ってから毛糸を1つ取る。
光希みつきの持っている『かぎ針』もスッと、受け取った。
そして、銀楊ぎんようは『簡単に小鳥』を作った。

「ほら。
光希みつきは好きだろう?」

私は嬉しくて、受け取って笑う。

「わぁ!!
可愛いなぁ。
凄いね、銀!!
作れたんだね。
ありがとう。
大事にするよ!!」

銀楊ぎんようは、光希みつきが嬉しそうにと。
笑う顔を見ながら言う。

光希みつきが喜んでくれるなら。
私も嬉しいよ。
それに私は光希みつきがだ。
『遊んでいるので学べた』ようなものだからな。」

子供達の皆は、その出来上がりにも驚く。

そして、更に母上は気付いてないが…
『これの意味』を受け取って理解もする。

つまり…
『観察だけ』でも、作れると。
母上が『遊んでいる』のを見て覚えろと。

青嵐せいらんとしては、もう、呆気。

そう、母上には気付かせずにだ。
それで『実践』で、目の前でするとは…

どれだけ父上がだ。
母上の事を知っているのか、疑問でしかない…

私はただ嬉しく言う。

「ふふ、可愛い小鳥だなぁ。
銀は、いつも欲しいのをくれるなぁ。
私も『何かあげたい』なぁ。」

銀楊ぎんようは、光希みつきの無自覚には驚くが。
これは銀楊ぎんよう以外の皆すらも驚く。

この場だけの子供だけではない。
その子供達が、皆がだ。

光希みつきがくれた』ようなものなのに…

銀楊ぎんようは思う。
これは、無自覚過ぎるなと。
けれど、これは素直に言おうと。

優しく笑いながらも銀楊ぎんよう光希みつきにと言う。

光希みつきから。
『私はいつも貰って』いるよ。
だから、光希みつきが喜ぶならば。
私は何でもしよう?」

皆もすぐに『父上の意味』が判る事でもあった。

そう、父上からしたら、母上から『いつも貰ってる』もの…
それは『新たな命』なのだから。

**************************

とある日。

銀と一緒に庭で居た時。
そんな時に、子供達がだった。

いきなり何もないところから現れた。
私は凄く驚いた。

すぐに銀楊ぎんようは察した。
銀楊ぎんようは『それを見て』すぐに理解する。
あぁ、なるほどと。

けれど…
子供達の皆からしたら…
母上が、なぜ驚いているのが判らない。

どういう事が…?

皆は『視線のみ』で、父上に合図を出した。

それに銀楊ぎんようも勿論、気付く。
そして簡単に光希みつきにと思考する。

ふむ。
ならば…

光希みつき
結界だろう。
それで見えてないだけだ。」

「えっ?
ここにも何かあるの?」

皆が父上の言葉を聞いて、すぐに『理解』した。
なるほど、それで驚いたのかと。

銀楊ぎんようは手を翳し、軽く結界の構造を変えた。
そうして光希みつきにも見えるようにとする。

私は機械みたいなのが、いきなり現れてまた驚く。

「えぇ?
何、これ?」

銀楊ぎんようは普通に説明する。

「それは『転移装置』だ。
光希みつきは使えないから、特に見えなくても問題がないと。
そのままだっただけの物だ。」

「てんい…」

それでもだった。

子供達もまた判らない。
妖狐からしたら、普通の移動でしかないのだ。

母上が、やはり…
不思議そうに首を傾げるのだ。
装置も勿論、不思議そうに見ているが…
母上を見てると、装置よりも違う?
そんな疑問がありそうなのだ。

それにも、一応、父上に『視線のみ』で合図する。

銀楊ぎんようも、それには確かに不思議ではある。
一応、言葉を選んでは言う。

光希みつき
その装置の、何かが気になるのか?」

銀楊ぎんよう光希みつきを見てると…
首を傾げながら言った。

「ううん。
違うよ?」

子供達すら、皆が判らず、何を?
そう、不思議に母上を見ていた。

でも逆に、母上が驚く発言をした。

「だって…
銀は今まで、こんなの、『使ってない』よね?
どうして、子供達は、この『装置が必要』なの?
妖狐は皆が普通に、銀みたいにしてると思ってたし。
『装置』なんて…
私は『初めて見た』よ?」

子供達からしたら…

つまりだ。
『転移装置』を普段から使っていない父上がだ。
母上からしたら、『普通』になってる!?

なぜ、『装置』がではなく。
なぜ、『転移術』が出来ないのか。

それを『指摘された』ような事でもある。

銀楊ぎんようは全て判るのもあり…
若干、笑うのを堪えていた。

光希みつき
私と、子供と、同じ扱いでは…
くっ。
いや?
光希みつきから見たら、そうなるか…」

既に笑いに耐えるのが厳しくなる銀楊ぎんようである。
そんな中でも、何にも悪気もなく、普通に光希みつきは言うのだ。

「ふーん?
でも…
『銀が出来る』なら、皆も出来るよね?
『妖狐なら出来る』のでしょう?」

子供達はもう、内心、焦りを隠すのが厳しい。
そして、予測も出来る事が浮かぶ!!

は、母上!?
それ以上は!!
まさか!?

銀楊ぎんようは、もう…
それに笑いを堪えられない。

『子供達の心境すら』も、読めるからだった。

「くっ。
くっ、ははっ。
あぁ、そうだな。
光希みつきの言う事は、正しいなぁ。
くっ。
なるほどなぁ。
確かに『妖狐』なら、『出来る』よなぁ?」

完全に『視線』がだった。
子供達に来たのに皆が気付く。

えっ!?
いや!?
まさか!?
えぇ!?

私は銀が、微妙に笑うのかが、不思議でもある。

「うん?
どうして、使えないの?」

皆がまさに、心の中で叫んだ。

母上ー!?

銀楊ぎんようは、もう笑いながらも言った。

「そうだな。
そんな装置は要らないか。
判った。
『その装置』は、無くそう。
『要らない』からな?」

銀楊ぎんようは最後だけと、『視線』を子供達と送る。
子供達の皆は、父上の『視線で理解』はするが…

えっ!?
すなわち、それは!?
今後は『装置なし』で移動をしろと!?

私は銀が、不思議に笑ってるのに疑問でしかない。

うん?
どうしたのかな?

「まぁ、私はあってもなくても?
別に、困らないけど…」

銀楊ぎんようは、光希みつきの思考も、子供達の思考も簡単である。
だから、笑いながら、光希みつきにと言う。

「ふむ。
なら、その装置。
『1週間』だな。
光希みつきは使う事もない。
何も問題ないか。」

皆は意味を『理解』はする。

けれど更にだった。
そう言った父上が、瞬時に『転移装置を壊した』のに気付く。

「!!?」

「うん?
何か、音がした?」

私がまた装置を見ようとする前に、銀が言った。

光希みつき
こっちにおいで。」

銀が笑って手を伸ばしてたのを見て、すぐに側に行った。

「うん、どしたの?
わぁっ!?」

軽々と抱き上げられた。
でも銀が笑ってまた言った。

「さて、光希みつき
屋上にでも行かないか?
丁度、今は天気も良いからな。」

私は銀に笑って言う。

「そうだね、うん!!
行きたい!!」

銀楊ぎんようは『子供達』の方を僅かに向く。
そして言った。

「お前達も、私と『同じ』ように。
する方が良いだろう?
『1週間』だな。
他の機材も片付けておこう。」

子供達の皆は、父上の意味を『理解』した。

つまり…
『1週間以内に転移術』を覚えて…

『常に』それで移動をしろとっ!?

銀楊ぎんようは理解したなと判断した。
それでも、若干、笑いを殺しながらでもある。

そのままアッサリと。
父上は、母上を抱き、『転移術を使って移動』した。

残された子供達は、皆が思う。

えー!?
意外と父の方が『珍しい』のに!?
まさか、それを『1週間でしろ』と!?

「と、取り敢えず、連絡をしないと。
皆が『転移術が使えない』と、困るな。
これは…」

なかなか、父上のスパルタ教育であった…

**************************

とある日。

良いなぁ、あれ。
私にも出来ないかなぁ。

そんな事を考えていた私だった。
側に居た銀が声をかけてきた。

光希みつき
何か気になるのか?」

子供達の皆は、それぞれが食事の片付け中である。

けど…
人数も、かなり居るのもある。
それに銀が居る時は、私は殆どやる事もなく…
子供達を『観察』していたのだ。

そうすると、何でもないように…
ボタンすらせず、いろいろしている…

あれが波動?

「うん。
ちょっと…」

皆も察して、少し止まった。

そんな光希みつきの様子を見て、子供達も見る。
銀楊ぎんようは僅かに思考し、光希みつきにと言う。

「なるほど。
皆が『波動をして使っている』から。
光希みつきも、使いたくなると…?」

「…うん。」

銀楊ぎんようは瞬時に状況も踏まえて思考する。

人間には『妖力がない』から波動も不可能。
だからボタンの用意はあるが、子供達の動き。
妖狐の生活では当たり前な動きか。

ただ、光希みつきの『性格』からすると…

母上の様子に子供達も察する。

そして、父上へ『視線する』も…
何か、考えている事にも察した。

ならば、父上の案を待つ選択をした。

銀楊ぎんようは僅かに目を閉じた。

この場合は…
光希みつきが少し出来れば、『納得も』する。
逆に子供達は『知らない』のか。
『波動を使う事』が、当たり前だから仕方がないな。
けれど『知能』のみだと…
人間の光希みつきが上。
更にまた、子供達には『別の視点』にも気付くだろう。

目を開けた父上が言った事にだった。

その場に居た多くの子供達の皆が、全員が驚く。

「ふむ。
だがな、光希みつき
別に『ボタンも波動も』関係ない。
光希みつきも使えるものならば。
この部屋にもあるぞ?」

私も銀に顔を向けた。

「え、本当?」

どうにか、皆は動揺だけ隠す。
それでも子供達の皆が全く判らない。

えっ!?
波動を使わない?
それで使える?
そんな物があると?

銀楊ぎんようは、光希みつきに優しい口調で言った。

「例えば、あのキッチンの側のランプ。
あれなら、光希みつきも『火を付けられる』だろう?
『理科の応用』だな。
かがみも、側にある。」

私は指摘されたランプを見た。

理科…
鏡…

「あぁ、屈折かぁ。」

銀楊ぎんようが子供達を見ると、逆に判ってない。
大抵、皆が『火の術を使うだけ』だからだろう。

内心、理解はすると判るからこそ笑う。

光希みつき
少しやってみたらどうだ?
『頭』を使えば簡単だろう?
別に『術や波動が使えなくても』だ。
光希みつきなら出来る』だろう?」

子供達の皆が更に動揺するが隠すので精一杯でもある。

えっ!?
術や波動もなく?
母上が火を付けるのが可能?
りか?
鏡で?

「うん!!
やってみる。」

そう言う母上に、皆が注目してしまう。

えっ?
本当に?
だって、術も使えないのに?
父上の言う『頭』は『知恵』だよな?
でも、鏡は判らないのに…

私は鏡を手に取ると、差し込む光を上手く屈折させる。
そしてランプに火が付いた。

皆の方が唖然となる。

えっ!?
光を集めたのか?
そんな…
術もなしに、火を!?

私は少し、それだけで満足した。
銀のところへ行くと笑った。

「銀は良く知ってたね。
『理科の実験』だよね?」

銀楊ぎんようは優しく笑う。

「正解だな。
光希みつきは『頭』が良いから。
気付くと思っていたよ。」

私は普通に銀に抱き付くと言った。

「でも、これは『基本』だったね!
かなり昔にやってた事だ。
そういえば、『火なら簡単』だった。」

銀楊ぎんようは、光希みつきの頭を撫でる。

そして子供達の方を見ると…
余りにも驚いていた。

銀楊ぎんようは『更に言葉を選んで』と言った。

光希みつきは昔から成績も『優秀』だったじゃないか。
特に勉強すらしなくてもな。
『1度聞けば、簡単に出来た』だろう?」

皆の方がまた、すぐに気付く。

それは、つまり…
『1度聞けば』母上も出来ると!?
『知能面が長けていた』と!?

「えへへ。
それは、ちゃんと聞いてれば『普通』だよ?
だって、教えて貰えてるのだから。
『覚えるのは当たり前』だよ!!」

銀楊ぎんようは思う。
性格で判らないだけで、『知能は高い』のだがなと。

更に銀楊ぎんようは『言葉』を続けた。

「そうだな。
私もそう思うよ。
普通、『1度教えれば』覚えるだろうな。
光希みつき』ならば、当たり前か。」

『視線』だけ、子供達へと向けた。

皆もすぐにそれにも気付く。

まさかっ!?

普段から『2度目以降は』許さない父上だが…
『母上』なら、それすらないと!?

つまり!?
かなり『優秀』なのか!!
ここが『妖狐の世界』だから、使えないだけ!?
単純に『妖力が使えないだけ』の意味か!?
人間の中では、相当『知能が高い』のか!?

それに、あの父上がだ!!

普通に褒めるなら…
もしかして、父上もだが、母上もなのか?

銀楊ぎんようは『意味を理解した』ようだと。
判断したが…

「そう?
『普通』だと思うよ?
だって、真面目に授業を受けていれば。
それで『判る』でしょう?」

銀楊ぎんようは内心。
その『普通』が出来ないのが、大半だと思うが…
また思考も同時にして、『更に付加する言葉』を選んだ。

「そうだな。
光希みつきは、ちゃんと人の話を聞くから。
『必ず、1度で理解』していたからな。
しかも、友人の『間違いも指摘』してあげていたじゃないか。
その友人さえも『導いて』だろう?
一緒に『正解していた』よな。」

皆がその『意味を理解』する。

つまり母上は…
物事を『全て1度で理解』出来ると!!
尚且つ、『周りまでも』引き上げていたと!?

「そんな風じゃないよ。
困ってたら、『一緒に学べば良い』じゃない。
そうすれば、友達も喜ぶし。
もっと私も学べるんだから!!」

無邪気に笑う母上が、簡単に言う。

皆が思う。
だが、それは簡単じゃない…!!

銀楊ぎんようは少し笑ってから『更に』言う。

「だから、凄いんだよな。
『学べば』更に相手の問題すらもだ。
簡単に『解決』してしまうのだから。」

子供達の方が、もう驚愕に近い。

あの父上が…
『完全に能力を認めている』ような発言を!!

銀楊ぎんようは『最後の大きな付加』を言った。

光希みつき
ある意味。
凄いのはな。
『ここに来てから』でも。
私が『指摘』すればな。
術が使えなくても『出来てしまう事』だよ。」

「!!?」

そうだ!!
世界が違うのに!!
実際にさっきの『指摘だけ』で火を付けた!!

銀楊ぎんようは改めて、子供達を見ると…
内心、笑う。

皆が判ったようだな。
光希みつきの『凄さ』に…

確かに僅かな指摘だ。
だが、それが『世界が変わって』も。
光希みつきには出来るのだから。

皆が父上の言い分が、良く判った。

もし、自分が全く妖力がなく…
『知識だけ』の応用でだ。
あれが出来たか判らないのだから…

「あはは!!
銀の指摘が判り易いからだよ!!」

銀楊ぎんようは素直に言う。

「そうか?
なら、良かったよ。」

皆が思うのも同じだった。

これは母上すらも…
とんでもないかもしれないと。

そう、思わずにはいられない子供達だった…
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ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

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