色んなことが、ふと、気になって

小椋夏己

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2023年 12月

笑顔のポスター

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 今朝は病院に行ってました。週明けだからか、随分と混んでたように思います。
 
 待合室で座っていると、目の前に何年も前からよく見る笑顔がありました。
 いつも満面の笑顔のきれいなお姉さん。おそらく看護師さんだと思いますが、本当にこれ以上の笑顔はないんじゃないか、そんな顔でこちらをにっこり見てくれているポスターがあるんです。

 そしてその笑顔の横に、こんな文字が。

「いぼ痔の悩み、お気軽にご相談ください」

 白衣のお姉さんの左に上の文字があり、そして右には赤い文字でこうです。

「今は注射で治す方法があります。」

 そうらしいですよ。

 自分のことや他の人のことで、あっちこっちの病院へ出入りしてきましたが、どこの病院でもこのポスターを見かけます。
 少なくとも10年以上前から見ている気がするので、その間ずっと何も変わらず同じポスターを作り続けているんでしょう。どこのポスターも古くなったという気がしないので、おそらく貼り直しているんじゃないかとも思います。

 いや、病院だし、必要なことなので貼ってもらって構いません。実際に必要な人は多いと思います。

 ですが、同時にいつも思います。

「その笑顔はどうなんだろう」

 病院は色々なポスターが貼ってあります。中には怖い病気のことを書いてあるポスターもある。絵がついているポスターもあります。ちょっと患部っぽい絵もあったりしますが、これほどの笑顔で堂々と「相談してください」ってポスターはこれしか見かけない気がします。

 今日、待合室で座ったら、たまたまこのお姉さんの真正面だったもので、あまりにキラキラした笑顔にちょっと恥ずかしくなりました。

「お願い、そんなにじっと見つめないで」

 そんな感じです。

 前から、いや、昔から病院に行って見かけると気になっていたポスターなんですが、こうして真正面から向かい合ったのは久しぶりで、久しぶりに気になってしまいました。

 おそらく病院へ行ってる方なら、一度は目にされたことがあるんじゃないかなと思います。今朝は外科と内科の間に座ってて、その前に貼ってありました。

 どんなポスターかなと気になった方は「いぼ痔 ポスター」で検索をかけると見つかると思います。そして見たら「ああ、見たことある」そう思ってもらえるはず。それほどあっちこっちの病院で、何年にもわたって貼ってあるポスターです。きっと名作として評価が高いんだろうな。

 決して悪い意味で書いてるんじゃないんです。いいポスターだとは思うんですよ。
 ただ、患部と病名に対して、あまりに素晴らしい笑顔なので、なんとなくかえって恥ずかしい気がするだけなんです。

 相談に来てくださいねというお気持ちはありがたいんですが、あまりに眩しい笑顔でかえって行きにくくないのかな。いつもそう思うので、ちょっと書いてみたくなりました。
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