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2023年 12月
インチキ外国語
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朝ドラの再放送を毎日見ています。例のお湯をかけるだけで食べられる、インスタントラーメンの創始者夫婦をモデルとしたドラマです。
その中で、戦後の物がない時代、栄養失調の人が手軽に栄養をとれるように、栄養食品を作り出すんですが、その商品の名前が、
「ダネイホン」
と言います。
元はドイツ語で栄養の「ディーエアネールング」を日本語風にしてそうなりました。日本人には言いにくいので、でぃーえあねーるんぐ、であねーるんぐ、だねーるんぐ、だねーるん、だねいほん、ばんざーい! ばんざーい! という感じでしょうか。
この栄養食品は本当に存在しており、本当は「ビセイクル」という名前らしいのですが、こっちの語源は分かりませんでした。
ふと、もしかして、
「栄養がついていい声で歌えるようになるから美声来るか?」
とか思ったりしましたが、私が勝手に思っているだけです。しかし、どこからなんだろう。
まあ、分からないのでこれは一旦置いておきます。調べてもどこにも見つけられなかったのでどうしようもない。
それで思ったんですが、日本ってこういう感じの商品名とか多いですよね。ダネイホンはドイツ語を英語風ですが、逆に日本を外国語風にするのがうまい。
たとえば喉が痛い時に喉に塗る「ノドヌール」とか、下痢止めの「トメダイン」なんかです。すなおに下痢止めと言うんじゃなく、なんとなく名前から何かを止める物を想像させてくれます。
日本人はそういうのが割りと得意なのか、
「インチキ外国語」
という言葉がちゃんとネット辞典にありました。商品名だけじゃなく、タモリさんが外国語風にインチキな言葉をしゃべる「ハナモゲラ語」とかがその代表のようです。
ですがこれ、もっと古くから日本では広く知られていた言葉遊びだと、今回調べてあらためて知りました。
例えば明治、大正時代の文豪なんかにも見かけられます。外国語由来ではないですが「二葉亭四迷」が「くたばってしめえ」から、「江戸川乱歩」は「エドガー・アラン・ポー」からなど。そんな昔からすでにそんなことしてきたんですね。面白いな日本人。
昭和になってからも「半村良」は「イーデス・ハンソン」さんからと聞いて感心しながら吹き出したことがあるんですが、これはどうやら小松左京氏が適当に言ったことが広まったらしく、本来はダネイホンのように、そういう命名法から語呂のいい言葉を選んだと知り、ちょっとがっかりしました。
すごくいいと思うけどなあ、「イーデス」が「良いです」から「良」で、「ハンソン」が「半村」って。それを思いついた小松左京さんはさすがです。やっぱり日本人ってそういうのが好きなんですよね。
そういや小松さんがある一文の中で星新一氏と一緒に鍾乳洞に行った時のエピソードを書いていたのを思い出しました。
2人が鍾乳洞に入ろうとしたのか出ようとしたのか覚えてないんですが、とにかくその時に反対側から来る2人のお坊さんとすれ違った。
そうしたら、いきなり星さんが大きな声でこんなことを言ったそうです。
「おいおい、大入道が鍾乳洞から出てきたよ!」
うまいこと言いますが、一緒にいた小松さんは相手に聞こえてるだろうと恐縮した、ということです。
日本語って、そういうことのしやすい言語なのかも知れませんね。
せっかくそういう言葉の国に生まれているんだから、もっともっと色々遊べたらなと思います。
その中で、戦後の物がない時代、栄養失調の人が手軽に栄養をとれるように、栄養食品を作り出すんですが、その商品の名前が、
「ダネイホン」
と言います。
元はドイツ語で栄養の「ディーエアネールング」を日本語風にしてそうなりました。日本人には言いにくいので、でぃーえあねーるんぐ、であねーるんぐ、だねーるんぐ、だねーるん、だねいほん、ばんざーい! ばんざーい! という感じでしょうか。
この栄養食品は本当に存在しており、本当は「ビセイクル」という名前らしいのですが、こっちの語源は分かりませんでした。
ふと、もしかして、
「栄養がついていい声で歌えるようになるから美声来るか?」
とか思ったりしましたが、私が勝手に思っているだけです。しかし、どこからなんだろう。
まあ、分からないのでこれは一旦置いておきます。調べてもどこにも見つけられなかったのでどうしようもない。
それで思ったんですが、日本ってこういう感じの商品名とか多いですよね。ダネイホンはドイツ語を英語風ですが、逆に日本を外国語風にするのがうまい。
たとえば喉が痛い時に喉に塗る「ノドヌール」とか、下痢止めの「トメダイン」なんかです。すなおに下痢止めと言うんじゃなく、なんとなく名前から何かを止める物を想像させてくれます。
日本人はそういうのが割りと得意なのか、
「インチキ外国語」
という言葉がちゃんとネット辞典にありました。商品名だけじゃなく、タモリさんが外国語風にインチキな言葉をしゃべる「ハナモゲラ語」とかがその代表のようです。
ですがこれ、もっと古くから日本では広く知られていた言葉遊びだと、今回調べてあらためて知りました。
例えば明治、大正時代の文豪なんかにも見かけられます。外国語由来ではないですが「二葉亭四迷」が「くたばってしめえ」から、「江戸川乱歩」は「エドガー・アラン・ポー」からなど。そんな昔からすでにそんなことしてきたんですね。面白いな日本人。
昭和になってからも「半村良」は「イーデス・ハンソン」さんからと聞いて感心しながら吹き出したことがあるんですが、これはどうやら小松左京氏が適当に言ったことが広まったらしく、本来はダネイホンのように、そういう命名法から語呂のいい言葉を選んだと知り、ちょっとがっかりしました。
すごくいいと思うけどなあ、「イーデス」が「良いです」から「良」で、「ハンソン」が「半村」って。それを思いついた小松左京さんはさすがです。やっぱり日本人ってそういうのが好きなんですよね。
そういや小松さんがある一文の中で星新一氏と一緒に鍾乳洞に行った時のエピソードを書いていたのを思い出しました。
2人が鍾乳洞に入ろうとしたのか出ようとしたのか覚えてないんですが、とにかくその時に反対側から来る2人のお坊さんとすれ違った。
そうしたら、いきなり星さんが大きな声でこんなことを言ったそうです。
「おいおい、大入道が鍾乳洞から出てきたよ!」
うまいこと言いますが、一緒にいた小松さんは相手に聞こえてるだろうと恐縮した、ということです。
日本語って、そういうことのしやすい言語なのかも知れませんね。
せっかくそういう言葉の国に生まれているんだから、もっともっと色々遊べたらなと思います。
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