上 下
292 / 597
2023年  7月

梅雨明けと座敷わらし

しおりを挟む
 今日、テレビで、

「梅雨明けをする時にあるというのはどちらでしょう」

 というクイズをやっていました。

 二択で「雷」と「海鳴り」だったんですが、言うまでもなく「雷」です。

 そして「雷が鳴ると梅雨明け」ということを聞くと、思い出す作品があります。

「ユタとふしぎな仲間たち」

 三浦哲郎さん作の児童文学の名作です。
  
 東京からいなかに転校した勇太こと「ユタ」はなかなか田舎に馴染めませんでした。
 そんな勇太が「座敷わらし」の伝説を聞き、それに会えるという部屋に独りで泊まることになります。

 その夜、勇太は不思議な言葉を耳にします。

「ワダワダアゲロジャガガイ」

 なんだろうと思ったら、部屋のあちこちからおむつをした子供のような大人のような、不思議な人達が現れます。それが座敷わらしたちでした。

 その座敷わらしたちは昔の飢饉の時に「まびき」にあって命を失った子供たちの霊でした。

 さっきの呪文のような言葉は、

「僕だよ僕だよ、開けてよ、お母さん」

 その地の方言でそう言っているのです。

 勇太は座敷わらし達と仲良くなり、自分を鍛えて強い子供になっていきます。
  
 そんな中、座敷わらし達が勇太に会えないと言い出します

「梅雨になるとおむつが乾かないから外に出られない」

 なんとも笑える理由ですが、深刻な理由でもあります。
 そして梅雨が明けたらまた会えると言うのです。
 
 梅雨はいつ明けるのかと聞く勇太に、座敷わらしは、

「大きな雷が村外れの木に落ちたら」
  
 と、教えてくれました。
 
 雷が落ちた日に梅雨が明け、座敷わらしたちはたくさんの洗濯をしたおむつを持って、その大木に干しに行きます。

 子供の頃に読んで、そのシーンで、

「雷が鳴ったら梅雨明けするのか」

 と、覚えました。

 今、外が真っ暗で雨がいきなり降ったりやんだりしています。
 そして雷がゴロゴロゴロゴロ鳴っています。

 夏が来るのかなあ。
しおりを挟む

処理中です...