色んなことが、ふと、気になって

小椋夏己

文字の大きさ
上 下
106 / 597
2023年  4月

お弁当の納豆

しおりを挟む
 お昼ご飯に納豆を食べていて、ふと、中学時代の同級生のお弁当を思い出しました。

 隣の席のKという面白い女の子がいたんですが、ある日のお昼、お弁当を開いたまま、

「がん!」

 と、机の上におでこをぶつけてふせってしまったのです。

「どうしたん!」
 
 驚いて聞くと、

「またお弁当に納豆入ってる……」

 そう言って、嫌そうにお箸で隅っこに入れられた薄茶色の豆を、

「えい、えい」

 と、つついていました。

 私は中学の頃はもうほぼ好き嫌いがなくなり、それどころが他の人があまり好きではない物まで食べるようになっていたんですが、納豆はまだ食べたことがありませんでした。

 まず母親が納豆を嫌いでした。

「あんな腐った臭い豆よう食べんわ」

 と言って、私の記憶にある限りは食卓に上がったことはありませんし、父親も特に自分から納豆をどうということもないので我が家では食べる機会がなかったのです。

「納豆ってどんなん?」

 そう言って見せてもらったんですが、テレビや漫画で見たり聞いたりするようなねばっとした感じもなかったですし、そんなに臭いとも思いませんでした。

「えい、えい、この納豆め!」

 そう言いながら、Kはそれでもいやいやながら納豆も食べていました。

 今にして思えば、あれはいわゆる普通の納豆だったんでしょうか?
 もしかしたら、これも名前だけ聞いたことありますが「浜納豆」とかそういう、もっと乾燥したような納豆の仲間だったのかも、という気もします。

 以前は関西の人は納豆を食べないということでしたが、いつからかスーパーでは普通に売り場がありますし、色んな納豆を売っています。私も気がつけば食べるようになっていました。初めて食べた時のことはもう覚えていませんが。
 母親はおそらく生涯好んで食べることはなかったと思いますが、父親は薬の飲み合わせで納豆を食べられなくなるまでは時々でも食べてました。妹も食べてたように記憶しています。

 全然そんなこと思い出すこともなかったんですが、いきなりあの日のKのことを思い出し、お弁当に納豆って入れる人いるんだろうか、と疑問が浮かんできました。
 Kが言うところによると「体にいいから」と入れるのだと言うことでしたが、私が知る練るとねばるような納豆なら、お弁当に入れて大丈夫だったのかな、と少し心配になります。
 季節によるだろうと思いますが、お弁当に入れて中で腐ったらどうにもならないように思いますし、もしも入れるとしてもパックのまま持って行くんじゃないかとも思います。 

 もしも、

「うちもお弁当に納豆入れてたよ」

 という方がおられましたら教えてください。

 うーん、いらっしゃらないような気はするんですが、どうでしょう?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

処理中です...