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2022年 12月

一番さん

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 前回、「アル」やら「ッチ」やらがつく名前のことを書いていて、ふと、思い出した名前の話がありました。

 私が生まれて初めて行った海外はバリ島だったんですが、その時のガイドさんが、

「ワヤンさん」

 という名前の、ものすごく日本語が上手でな方で、その方がバリ島の名前の話をしてくださいました。
 
 まず最初に聞いたのはバリ島には名字がないということ。
 これは時々聞きますし、日本だって明治以前には名字がない人はいっぱいいましたから「そうなんですか」で終わりました。

 次に聞いたのは、言い方は正確には覚えていないんですが、

「バリ島では子供の名前は同じのを順番につける」

 みたいなことでした。

 このガイドさんの「ワヤン」ですが、これは、

「男女関係なく1番に生まれた子の名前」

 らしいです。
 
『次に生まれた子には「2番目につける名前」、その次に生まれた子は「3番目につける名前」、そして4番目にはまた1番目に戻って「ワヤン」とつける』

 みたいに覚えてたんですが、どうも私の覚え間違いだったようで、正確には「4番目につける名前」がもう一つあって、5番目に「ワヤン」に戻るらしいです。

 今回調べて本当はもっと複雑なことが分かりましたので、かいつまんで説明しますね。

 日本風にすると「1番」「2番」「3番」「4番」という名前だとして、たとえば8人子供が生まれたら「1番」「5番」が同じ、「2番」「6番」も同じ名前、「3番」「7番」がまた同じ名前になり「4番」「8番」もやはり同じです。
 子供の数は必ず4で割り切れるものではありませんので、戻って1番目の「ワヤン」が一番多いことになります。

 ガイドのワヤンさんは、

「町中でワヤンって呼んだらたくさんの人が振り向きます」

 と言って笑わせてくれました。

 今回調べて分かったことで、「順番の名前」にもいくつかあり、必ずしも1番全員が「ワヤン」ではないようですが、例には「ワヤン」が多かったので、もしかすると一番メジャーなのかも知れません。

 そしてバリ島はヒンズー教の島なので、フルネームは「所属するカースト」「男女を表す言葉」「番号の名前」「個人名」とつなげて長い名前になるようです。

 例えば「カーストが大工」の人が性別「男はイ・女はニ」と「順番ワヤン」に「個人名」で1セット、個人名によくつける「誕生月」として、

「大工・イ・ワヤン・1月」

 みたいなのが本名となるらしい。

 ややこしい! 
 個人名だけでええやん! 
 
 とも思いますが、フルネームで「どこの誰」かがよく分かるらしいので、地元の人にはとても便利な名前なのかも知れません。全部呼ぶのが丁寧な呼び方らしいですし。

 しかし、世界には本当にいろんな名前があるものですね。
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