色んなことが、ふと、気になって

小椋夏己

文字の大きさ
上 下
55 / 597
2022年  8月

世界で私だけに

しおりを挟む
 7年ぶりに私が半生かけて愛し続けてるバンドのコンサートに行ってきました。

 あまりになんやかんやあるバンドなもので、奇跡のような今度の舞台に泣けていたかも知れないと思いますが、1曲目とこの半年の間の出来事が重なり、もう号泣です。マジ泣きしてました。
 そしてこのタイミングでコンサートをやってくれたことに感謝をしました。

 その後はもう彼らの生み出す光と音のスペクタクルに没頭。
 本当に素晴らしい2時間でした。
 
 そしてその中で、世界中で私だけが感動する出来事があったので、それを書いておきたいと思いました。

 コンサートの半ば、必ずメンバーのソロパートがあるのですが、リーダーのキーボードソロの時、いつものように夢のような演奏に身をゆだねて聞き入っていた時、ふと、照明の色に意識が。

「あ、このオレンジ、ミーヤのオレンジ、朝陽あさひのぼる時のあのオレンジ」

 そう気がついたんです。

 拙作の長編小説「黒のシャンタル」の重要な登場人物、ミーヤのカラーがこの色なんです。
 本当にそういう、私が思っていたようなオレンジの照明がステージの上をくるくると回ってました。

 偶然だけどうれしいなあとそのオレンジを見ていたら、次の瞬間、

「これはトーヤの青」

 一瞬にしてステージ上の照明が今度は主人公トーヤの青に変わったんです。

 なんだかもう鳥肌が立ちました。
 ただの偶然なんだと思いますが、まずあのオレンジ、赤ならあるけどあまりあのオレンジはステージで見ない気がします。いや、あったかも知れませんが、少なくとも私の中で印象として残ってはいませんでした。
 それで偶然だけどうれしいと思っていたら、今度はトーヤの青に。
 
 「黒のシャンタル」の中でイメージカラーのある人物が何人かいます。その主人公と主人公の運命の人の2色がくるくる。なんだかもう感激してしまいました。

 そうしたら次の瞬間、

「今度はシャンタルの銀が!」

 本当は白だと思います。
 ですが、今まで何色もの色がくるくるして、そのすぐ手前が青とオレンジだったのが、一斉にあちこちからの銀色のバリライトに照らされて。

 また涙が出てきました。
 そしてこれは、世界で私だけが感じている感動なんだろうなとただ涙。
 
 だってそうでしょう。
 おそらく、今、この会場にいる中であのオレンジと青に、そしてその後の銀に特別な感情を持つのは私だけです。
 もちろん、言うまでもなく当然ですが、バンドのメンバーも全く知らないこと。
 まず私の存在など知らない、そして私が書いている小説のことはもっともっと知らない。
  
 そんな中で起こったほんの一瞬の出来事ですが、きっとこの夏のこの夜のことは一生忘れない、そう思う出来事でした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クエスチョントーク

流音あい
大衆娯楽
『クエスチョントーク』というラジオ番組に呼ばれた人たちが、トークテーマとして出されるお題について話します。 「このラジオは、毎回呼ばれたゲストさん達にテーマに沿って話してもらうトーク番組です」 「真剣に聴くもよし、何も考えずに聞くもよし。何気ない会話に何を見出すかはあなた次第」 「このラジオの周波数に合わせちゃったあなたは、今もこれからもきっとハッピー」 「深く考えたり、気楽に楽しんだり、しっかり自分で生き方を決めていきましょう」 トークテーマが違うだけなのでどこからでも読めます。会話形式です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

一行日記 2025年3月

犬束
エッセイ・ノンフィクション
・新人賞用の小説の執筆。 ・『失われた時を求めて』を読む。 ・一日一行でも、美しい事柄について書く、仕合せな気分になるように。

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

そんじょそこいらのたぬ記

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
雑記(?)です。おまけに過去のマンガも載せていきます。

処理中です...